マテリアリティと関連するSDGs

12項目のマテリアリティは、中期経営計画で事業戦略を実現する強固な事業基盤として打ち出された機能戦略の4本柱である「安全・品質」「環境・技術」「デジタライゼーション推進」「人材」と、それらの土台としての「経営基盤」の5分野に分類して整理されています。当社グループにとってのマテリアリティは、中期経営計画に基づいて持続的成長や企業価値向上を果たしつつ、社会課題の解決にも貢献し、企業理念・ビジョンを実現するために取り組むべき重要課題、と位置付けられます。

分類

社会課題解決へのアクション=マテリアリティ

関連するSDGs

基本方針

経営基盤

人権の尊重

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グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取り組みを推進する。

コーポレートガバナンスの強化

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企業の社会的責任を果たし、株主等ステークホルダーの負託に応え、持続的に成長していくために、グループ全体に企業倫理を徹底しつつ、有機的かつ効果的なガバナンスの仕組みを構築し、収益・財務体質の強化と相まって企業価値を高めるよう継続して努力していく。

コンプライアンスの推進・強化

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国内外の法令や社会規範を遵守し、公正、透明、自由な競争および適正かつ誠実な取引を行う。

安全・品質

安全運航の推進

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船舶の安全運航および乗組員と貨物の安全確保に最優先課題として取り組むとともに、顧客を第一に考えた、より高品質で安全かつ最適なサービスの提供に努める。

環境・技術

自社の低炭素化・脱炭素化

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グループ方針である2050年GHG排出ネットゼロに向けて、サプライチェーン全体で環境負荷の低減活動を推進し、地球規模の脱炭素社会の構築に貢献する。

社会の低炭素化・脱炭素化支援

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自社からの海洋・大気への環境影響の

限りないゼロ化

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事業活動におけるあらゆる環境リスクを考慮し、その対策に取り組むとともに、生物多様性の保全と持続可能な社会の実現への取り組みを推進する。

イノベーションの促進

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デジタライゼーション

推進

低炭素・脱炭素社会の構築に取り組むため、安全・環境・品質面でのイノベーションの追求に取り組む。

DX対応の強化

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情報・業務プロセスおよび船舶のデジタライゼーションを一層進め、データやデジタル技術の活用により、安全・環境・品質のコアバリューを磨き上げ、競争力の源泉として付加価値を向上する。

人材

ダイバーシティ&インクルージョンの
促進

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多様性を「競争力の源泉」と位置付け、国籍、大学、学部、性別、職種(事務系・技術系)を問わない一括採用・キャリア採用を実施している。また、それによって生み出される価値観の多様性も尊重している。さらに、男性の育児参加を促進するとともに、“K”LINE UNIVERSITYを通じた海外現法スタッフとの一体感の醸成・融合など多様性のさらなる促進に取り組んでいる。

労働環境の整備・健康経営の促進

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グループ従業員の人格、個性および多様性を尊重し、安全で働きやすい職場環境の整備・向上を図るとともに、ゆとりと豊かさの実現を目指して、育児介護休業制度、コンプライアンス相談窓口の設置、過重労働対策、ストレスチェック、メンタルヘルスセミナーの実施などの施策に取り組んでいる。

人材の確保・育成

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社会的価値および経済的価値の向上に向けて各事業ポートフォリオの需要に応じた人材の量的・質的な確保・育成に取り組んでいる。新卒採用に加えて通年でのキャリア採用も実施しており、「事業の持続的成長・変革をリードしていく人材」、「事業環境変化に柔軟に対応できる人材」の育成を目的に多様な研修プログラムを実施している。

マテリアリティと企業理念・ビジョン・中期経営計画との関係

当社グループにとってのマテリアリティは、中期経営計画に基づいて企業理念やビジョンを実現し、持続的成長や企業価値向上を果たしつつ、社会課題の解決にも貢献する、いわば当社グループと社会・環境、双方のサステナビリティを両立させるために取り組むべき重要課題と位置付けられます。

 

マテリアリティと企業理念・ビジョン・中期経営計画との関係を表した図

マテリアリティ特定のプロセス

マテリアリティの特定に際しては、ISO26000やOECD多国籍企業行動指針など、主としてCSR(企業の社会的責任)に関連する各種ガイダンスを参考に、SDGsなどで掲げられる社会課題を考慮しつつ、事業戦略との整合性や価値創造の観点なども加味して、「自社にとっての重要性」(ビジネス視点での重要性)と「社会にとっての重要性」(ステークホルダー視点での重要性)という2軸から、マテリアリティの分析・評価を行いました。

マテリアリティ特定のプロセスに関する図

マテリアリティ分析のステップ

見直しに際しては、以下の3つのステップでマテリアリティ分析を行いました。

ステップ1

社会課題リストの作成

  • SDGs などを中心に社会課題をリストアップ(社会課題のロングリスト作成:全115項目)
  • 自社事業との関連性並びに海運業界に特有の社会課題を加味して社会課題の絞りこみを実施(社会課題のショートリスト作成:全50項目)
ステップ2

社会課題の評価(自社にとっての重要性評価、社会にとっての重要性評価)

  • STEP 1で絞り込まれた全50項目の社会課題に対して、以下の観点でその重要性評価を実施
    • 自社にとっての重要性
      各社会課題について、リスクと機会の観点から自社の企業価値への影響度を評価。当社グループ役職員へのアンケートも実施し、当社グループが優先的に対処すべき社会課題について意見を聴取。
    • 社会にとっての重要性
      各社会課題について、当社グループにとって重要なステークホルダー(顧客、投資家、従業員、地域社会・国際社会)に与える影響度を、それぞれのステークホルダーの立場に立脚して分析。
ステップ3

マテリアリティの特定

  • STEP 2において、自社、ステークホルダーそれぞれに対して重要性の高い項目を、自社の企業価値への影響度が高い社会課題と位置付け、さらにこれらを「社会課題解決へのアクション」としての全12項目に集約し、マテリアリティ案を作成
  • 外部有識者と当社経営陣によるダイアログを実施し、マテリアリティ案について意見交換
  • ダイアログを踏まえて最終化されたマテリアリティ案を、サステナビリティ経営推進委員会で討議し、経営会議で決裁の上、取締役会に報告

マテリアリティに関するKPI

当社グループでは、マテリアリティの各テーマに合わせた目標と指標(KPI)を設定し、代表執行役社長を委員長とする「サステナビリティ経営推進委員会」において進捗をモニターしています。
KPIの達成状況は毎年「サステナビリティ経営推進委員会」に報告され、必要に応じて見直しが行われています。

マテリアリティ

テーマ

KPI

中長期目標値

2024年度達成状況

2025年度目標値

人権の尊重

サプライチェーンにおける人権尊重

サプライヤー向けアンケート実施率

2026年までに取引金額上位80%

未実施

取引金額上位50%

人権に関する意識啓発

人権に関するeラーニングの受講率

全体受講率100%

受講率:社内 89.5%、国内グループ会社 86.4%、海外グループ会社 93.1%

全体受講率90%

コーポレートガバナンスの強化

コーポレートガバナンスコード原則の遵守

プライム市場上場企業に求められるCGコード原則の「Comply」比率

100%遵守の継続

100%遵守

100%遵守

取締役会実効性の継続的な向上

取締役会実効性評価の実施と開示

年1回の継続的実施

機関設計変更に伴い、インタビュー形式による評価を2025年度に延期し、2024年度はアンケート方式にて実施

インタビュー形式による実効性評価の実施

取締役会実効性評価で設定した課題の定期的なレビュー

四半期レビューと取締役会へのフィードバックの継続

4回のレビューを実施(2024年7・10月, 2025年2・ 4月)

四半期レビューと取締役会へのフィードバックを実施

コンプライアンスの推進・強化

法令遵守の徹底

重大なコンプライアンス違反件数

0件

0件

0件

コンプライアンス意識の向上

コンプライアンス研修受講率

継続的な全体受講率90%以上維持

受講率100%

受講率100%

安全運航の推進

事故

重大海難事故

重大海難事故ゼロ

0件

0件

遅延

機関事故による遅延時間

10時間/隻/年

7.55時間/隻/年

10時間/隻/年

自社の低炭素化・脱炭素化

脱炭素(自社)

CO2排出効率

(2008年比)

2030年50%削減

42%改善

中長期目標値を前提に取り組みを進める

CO2排出総量

(2008年比)

2050年ネットゼロ実現

49%削減

LNG燃料船投入隻数

2030/2040/2050年: 35/35/10隻

9隻

ゼロエミッション船投入隻数

2050年:200~250隻

0隻

社会の低炭素化・脱炭素化支援

脱炭素(社会)

森林保全活動実施回数

1回/年

1回

1回/年

自社からの海洋・大気への環境影響の限りないゼロ化

生物多様性

油濁事故

油濁事故ゼロ

0件

0件/年

バラスト水処理装置搭載率

2024年6月までに100%

100%

中長期目標達成済

イノベーションの促進

低炭素

年内新規発注船のEEDI規制値

EEDI Phase3 以上

100%

中長期目標達成済

Seawing搭載隻数

2030年:50隻

0隻

中長期目標値を前提に取り組みを進める

K-IMSの

中長期傭船への搭載率

100%

98%

100%

DX対応の強化

DX人材育成

DX活用層認定者数

2025年度末までに100名

15名

100名

ダイバーシティ&インクルージョンの促進

多様な人材の活躍

女性管理職比率*

15%(2026年度まで)

7.4%

15%(2026年度まで)

管理職におけるキャリア

採用者比率

17.8%

在籍社員におけるキャリア

採用者比率

海上:2.0% /

陸上:23.0%

労働環境の整備・健康経営の促進

労務安全

月間法定時間外労働*

30時間未満

7.5時間

30時間未満

男性育児休業取得率*

50%

81.9%

50%

健康経営

ストレスチェック受検率

90%

海上:96.4% /

陸上:97.0%

海上:90% /

陸上:90%

人材の確保・育成

多様な人材の活躍

管理職におけるキャリア

採用者比率

17.8%

在籍社員におけるキャリア

採用者比率

海上:2.0% /

陸上:23.0%

一人当たりの研修費(陸上職)

208千円

322千円

*2025年3月に策定した「女性活躍推進及び次世代育成支援のための行動計画」にて目標として策定 

"K" LINEグループの6つの資本

川崎汽船が長年にわたり培ってきた安全運航技術と専門性。それを顧客固有のニーズに応える価値へと変換する人材・組織。その結果、獲得した顧客との強固なパートナーシップは当社の事業活動を支える重要な資本で、これら資本の結び付きが当社の成長と企業価値の向上に結び付いています。企業理念に掲げるとおり、“海運業を主軸とする物流企業として、人々の豊かな暮らしに貢献”するためにこれら資本の充実を図ります。

財務資本 「稼ぐ力」の強化を進め最適資本構成とキャッシュ・フローを意識し、資本効率と財務健全性を維持 業務の改善により財務体質の抜本的な改善を果たした2022年5月に中期経営計画を公表。企業価値向上に必要な投資および財務の健全性を確保の上、適正資本を超える部分については、キャッシュ・フローも踏まえて、積極的に株主還元を進める方針を発表しました。中期経営計画3年目の現段階で自営事業を中心に計画を上回る業績となり、2026年までの営業キャッシュ・フローの見通し、投資計画および還元計画について見直していきます。また資本コストを意識した事業別経営指標の導入により経営管理の更なる高度化に取り組んでいます。
人的資本 グローバル社会の物流インフラを不断に支え続ける人・組織 当社の一丁目一番地である安全運航を支える人材、事業の持続的成長と変革をリードし、事 業環境変化に対応できる人材の確保・育成は当社にとって最重要課題です。多様な価値観 を持った社員がいきいきとその能力を発揮できる職場環境の実現に取り組んでいます。
設備資本 事業戦略を支える競争力のある船隊 新たに設定した26年度・30年度の収支目標の達成を目指し、成長を牽引する自動車、鉄鋼原料、LNG輸送船事業を中心に、LNG、アンモニアといった環境対応船の導入、社会の低炭素・脱炭素化に資する新規事業領域への参画、既存船舶のリプレース、また大型化による船隊のコスト競争力の強化、需要減退リスクを踏まえた船隊柔軟性の確保、High & Heavy貨物といった多様な輸送ニーズに応えることのできる船隊整備などさまざまな取り組みを進めています。
知的資本 進化を続ける環境・技術・イノベーション 自社のみならず、お客さまや社会の低炭素・脱炭素化ニーズに対応しています。また、燃料供給網の確立を含むゼロエミッション船の開発、自動運航、故障予知、SeawingやK-IMSなどの環境対応機器など先進・デジタル技術の活用により安全・環境・品質のコアバリューを磨き上げ、業界トップクラスのソリューション提供に取り組んでいます。
社会・関係資本 実績に裏打ちされた強固な顧客基盤とパートナーシップ 安全輸送の継続によってつくり上げた顧客基盤をベースに、低炭素・脱炭素化対応を成長機会として共有できるお客さまとの関係強化を図っています。また、脱炭素化といった社会課題の解決にあたり、内外のパートナーとともに共同研究や協議会などに参加しています。
液化CO2輸送事業は川崎汽船が液化ガス輸送船事業で培ったノウハウ・安定運航実績と既存顧客とのパートナーシップを活用し、カーボンニュートラルへの貢献を目指します。
自然資本 海洋・大気への環境影響低減へ貢献する 海という自然資本をビジネスの場としている企業として、当社の継続的な発展と持続的な社会への貢献の両立を図るため「“K” LINE環境ビジョン2050」を掲げ、自社・社会の低炭素・脱炭素化といった環境負荷低減や生物多様性・大気環境の保全に取り組んでいます。