当社グループは、社員一人ひとりが自らの能力を高め成果を上げることを目指し、人材育成と労働環境の整備に努めています。キャリアプランでは入社から10年を一つの区切りととらえ、最初10年は会社から社員に対しできるだけ多くの経験と研鑽を積む場を提供し、業務を通じてキャリアの足腰を強化していきます。その後は、自律的な働きかけを重視した専門性の深化、マネジメント素養の向上とキャリアアップを図る段階へ進みます。社員のキャリアプランに必要なスキル獲得のために多様な研修プログラムを実施しています。
・プロフェッショナルとしての知識・高い組織運営力・モラルを備えた人材の育成
・相互尊重と自由闊達な風土により、多様な個々人の能力・個性を気持ちよく発揮し、挑戦を続ける組織の維持強化
・向かうべき方向性の共有、人事の育成を習い性とする文化の醸成
・社員がいきいきと働き、充実した生活を過ごせるような、最小労力で最大成果を目指すスマートな業務スタイルの確立
“K” LINEグループの事業経営の根幹である、安全で最適な輸送サービスを提供するために海事技術者を確保することは大切であり、確保した海事技術者を育成することも重要です。多様な人材の確保のために、各船員養成系大学・学校での講演会・座談会への当社海事技術者の派遣や、各校からのインターンシップ受け入れを通じて、海事技術者へ広く興味を持ってもらう活動や、船員養成系大学以外の一般大学から採用した者を海事技術者へ自社養成する取り組みも行っています。
海事技術者は、船長・航海士または機関長・機関士として当社運航船に乗船し、勤務するだけでなく、その経験から得られた高い技術・知識・経験を基に、陸上において、安全で最適なサービスに欠かせない多種多様な業務に従事しています。その育成の過程において、海事技術者が最大限に能力を発揮できるよう、多数の技術的なトレーニングが提供されるだけでなく、会社と海事技術者が同じベクトルを持って能力を発揮できるよう、階層別トレーニングも提供されています。
当社の人材育成における研修体系は、企業理念とビジョンを実現するにあたり、川崎汽船が求める価値観を体現する人材の育成を目的として設計しています。研修は主に、4つのスキルの向上を目指して設計されております。4つのスキルとはコアスキル、海運実務スキル、汎用スキル、マネジメントスキルのことで、これらのスキルは主に仕事によって磨かれていくものですが、その成長を促すために研修を準備しています。研修体系は大きく分けて、若手社員に向けた階層別研修、海運実務研修、管理職に向けたマネジメント研修、全社員に向けた汎用スキル研修となっています。
当社は、人事評価制度の運用を通じて、社員一人ひとりの貢献をしっかりと評価に結び付け、当社の成長と差別化の源泉である“海運プロフェッショナル経営人材”を育成していきたいと考えており、そのために、当社の人事評価制度は、目標管理と行動評価の二つを用いて個人業績を測定し、評価に結び付ける仕組みとなっています。
1)目標管理:会社業績目標に対し個々人がどのように貢献していくのかを年度の初めに個々人が職掌及び資格等級に基づく職責の大きさに応じて目標設定を行い、その達成度を年度末に評価するもの。
2)行動評価:職掌および資格等級毎に期待される役割(行動要件)を果たすために、求められる行動を常に発揮できる状態に到達しているかどうかを年度末に評価するもの。
評価結果に対する個々人の納得度を高めるためには、上司と部下との十分なコミュニケーションが重要であり、当社では4月に上期面談(目標内容と行動要件の確認)、10月に下期面談(上期目標進捗と役割行動の振り返り、下期目標内容の確認)、3月に期末面談(評価確定前と評価確定後のフィードバックの計2回)を実施しています。特に、評価確定前の期末面談は、印象や断片的な情報ではなく、客観的な事実に基づきお互いに認識を確認し合う大切なプロセスと位置付けています。
“K” Line Maritime Academy(KLMA)とは、“K” LINEグループの基本方針である「船舶を安全に運航し、海上における人命、貨物および環境を守る」ために不可欠な船員(職員、部員)および“K” LINEグループ陸上部門(船舶管理、船員管理・育成、営業支援)で活躍できる知識・技能を有する海事技術者(“K” Line Seafarers)を育むための政策を含む教育理念の総称です。KLMAでは、長年にわたって培われてきた当社グループの海技力を次世代に継承する「KLMAマスタープラン」に基づく海事技術者の育成を行っており、グループ会社一丸となって優秀な海事技術者の育成に努めています。
企業理念とビジョンの実現には、当社100年の歴史の中で挑戦と価値創造を支えてきた“K” LINEスピリット(自主独立、自由闊達、進取の気性)と、“K” LINE グループが大事にする6つの価値観(「お客様を第一に考えた安全で最適なサービスの提供」「たゆまない課題解決への姿勢」「専門性を追求した川崎汽船ならではの価値の提供」「変革への飽くなきチャレンジ」「地球環境と持続可能な社会への貢献」「多様な価値観の受容による人間性の尊重と公正な事業活動」)を、日々の業務においてチームワークを通じて体現し得る人材層の構築が必要となります。VUCAの時代と言われる中、どのように外的環境が変化しようとも、個人が当事者意識を持って常に自己研鑽に努めながら、周りと連携して業務を進め、グローバルに通用する海運パーソンとして成長していけるよう、人材の育成を進めています。
国内外問わず活躍できるビジネスパーソンの土台づくりとして必要な考え方、スキルを学ぶ研修を受講必須で実施しています。特に、入社1年目〜5年目までは毎年各階層で実施しています。
成長に最も重要な育成期に集中的に海運スキルを習得するため、各部門長による業務解説、船体構造、保険、法務、船荷証券、環境など海運事業における専門知識を学ぶ研修を実施しています。
管理職は、任された組織のパフォーマンスを最大限に発揮し、期待される役割を果たすことが求められています。そのために、個人の多様性を尊重し自己効力感を高め、働きやすい「場」を提供することで心理的安全性を担保するマネジメントスキルの獲得を目指した研修を管理職向けに実施しています。また、労務管理・コンプライアンス研修も実施し法令遵守の徹底も行っています。
アカウンティングやファイナンス知識、英語、IT知識の習得を目的とした研修も実施しています。汎用的視点から川崎汽船を見ることで、川崎汽船の企業価値の現在地を知り、企業価値向上に向けた施策を考えることのできる人材の育成を目指します。
※ いくつかの研修プログラムの中から自分が学びたいテーマを選択して受講できる方式
自らが設定した目標と上げた成果を公平に照らし合わせ、結果をフィードバックすることで透明性を高めるとともに本人の成長につなげています。また、業務を通じて知識・技術を習得するOJT(On-the-Job Training)と階層別集合研修(OFF-JT)を二本柱として、従業員の育成に力を入れています。そのほか、社内語学研修、海外現地法人での研修や、自己啓発のための通信教育補助制度も設けています。また、海運会社特有の陸上従業員の乗船研修においては、実際に航行している船内で海上従業員の行っている業務を体験するなど、充実した研修内容で各自のスキルアップを支援しています。
世界各地のグループ従業員が年に数回、東京、ロンドン、リッチモンド(米国)の3拠点に集合し“K” LINE UNIVERSITYを開催しています。この研修ではグループのビジョン、将来のビジネス展開などのテーマを扱います。普段はオンラインツールでのやり取りが多い中、対面でのコミュニケーションを図ることにより、共通の理解を深める重要な機会となっています。
安全で最適な輸送サービスを提供するために海事技術者の確保は重要であり、多様な人材確保のために、各船員養成系大学・学校の講演会に当社海事技術者を派遣しています。また、各校からのインターンシップ受け入れを通じ、海事技術者へ広く興味を持ってもらう活動や、船員養成系大学以外の一般大学から採用した人材を海事技術者へ自社養成する取り組みも行っています。
当社では、船員養成系大学以外の一般大学の卒業者を海事技術者へ養成する自社養成プログラムを2013年より導入しています。一般大学出身者は、独立行政法人海技教育機構が所管する海技大学校における座学・実習や練習船での乗船実習、当社研修所での基礎研修、当社運航船での社船実習など、2年間のプログラムを受講し、三級海技士の国家資格に合格すれば、当社の三等航海士・三等機関士として登用されます。その後は船員養成系大学出身者と同様、本船において航海士・機関士としての業務に従事するほか、海外駐在を含む陸上勤務も経験し、海事技術者としてのキャリアを積んでいくことになります。
海事技術者が海上勤務する際、船上で生活は閉鎖的になります。下船直後、船上での生活、人間関係およびその他本人たちが感じたあらゆることについて、人事担当者による電話インタビューを必ず実施し、また必要があれば、対面でのインタビューも実施しています。このような取り組みにより、海事技術者の不安を和らげることはもちろん、現場の状況把握に努めています。
“K” LINEグループの基本方針である「船舶を安全に運航し、海上における人命、貨物および環境を守る」ために不可欠な知識・技能を有する海事技術者(“K” Line Seafarers)を育むための施策“K” Line Maritime Academy (KLMA)の下、各種研修を行っています。航海系の研修としては、最新の操船シミュレーターを導入し、事故を再現した対応などの研修を実施しています。また、機関系の研修についてはKLMA (Philippines)において、実際の主機を使った研修なども行い、新技術に関する知識と技術を習得し、グループ会社一丸となって優秀な海事技術者の育成に努めています。
KLMAでは、長年にわたって培われてきた当社グループの海技力を次世代に継承する「KLMAマスタープラン」に基づき、当社の事業基盤である安全運航と環境保全を支える知識・技能を確実に次世代に継承すると同時に、先進技術などの新たな時代のニーズにも応えています。具体的には、日本、フィリピン、インド、バングラデシュ、東ヨーロッパ、中央ヨーロッパの世界6拠点にある研修施設での陸上研修、船上でのプログラム、および海陸相互勤務を含めたキャリアパスなどにより海事技術者を育成し、特に、“K” LINEグループ配乗船の約7割を占めるフィリピン人船員に対しては、KLMA(Philippines)を研修の中核と位置付け、年間延べ10,000人の受講者を受け入れています。
また、コロナ禍においては、研修のオンライン化を進め、自宅から受講できる体制を整えています。
(川崎汽船株式会社を対象としています)
項目 |
単位 |
年度 |
||||
2022年度 |
2022年度 |
2023年度 |
||||
従業員数 |
男性 |
陸上 |
人 |
372 |
369 |
395 |
海上 |
人 |
204 |
201 |
206 |
||
合計 |
人 |
576 |
570 |
601 |
||
女性 |
陸上 |
人 |
213 |
228 |
240 |
|
海上 |
人 |
5 |
6 |
6 |
||
合計 |
人 |
218 |
234 |
246 |
||
総計 |
陸上 |
人 |
585 |
597 |
635 |
|
海上 |
人 |
209 |
207 |
212 |
||
合計 |
人 |
794 |
804 |
847 |
||
女性比率 |
陸上 |
% |
36.41 |
38.19 |
37.80 |
|
海上 |
% |
2.39 |
2.90 |
2.83 |
||
合計 |
% |
27.46 |
29.10 |
29.04 |
||
管理職 |
男性 |
人 |
128 |
126 |
124 |
|
女性 |
人 |
8 |
10 |
9 |
||
女性比率 |
% |
5.88 |
7.35 |
6.77 |
||
管理職(うち部長職) |
男性 |
人 |
31 |
27 |
26 |
|
女性 |
人 |
0 |
0 |
0 |
||
女性比率 |
% |
0.00 |
0.00 |
0.00 |
||
役員(執行役員含む) |
男性 |
人 |
25 |
26 |
28 |
|
女性 |
人 |
2 |
2 |
2 |
||
女性比率 |
% |
7.41 |
7.14 |
6.67 |
||
新卒採用 |
男性 |
陸上 |
人 |
17 |
19 |
26 |
海上 |
人 |
17 |
13 |
18 |
||
合計 |
人 |
34 |
32 |
44 |
||
女性 |
陸上 |
人 |
8 |
7 |
15 |
|
海上 |
人 |
1 |
3 |
1 |
||
合計 |
人 |
9 |
10 |
16 |
||
総計 |
陸上 |
人 |
25 |
26 |
41 |
|
海上 |
人 |
18 |
16 |
19 |
||
合計 |
人 |
43 |
42 |
60 |
||
女性比率 |
陸上 |
% |
32.00 |
26.92 |
36.59 |
|
海上 |
% |
5.56 |
18.75 |
5.26 |
||
合計 |
% |
20.93 |
23.81 |
26.67 |
||
キャリア採用 |
男性 |
陸上 |
人 |
0 |
7 |
13 |
海上 |
人 |
0 |
1 |
1 |
||
合計 |
人 |
0 |
8 |
14 |
||
女性 |
陸上 |
人 |
0 |
5 |
3 |
|
海上 |
人 |
0 |
0 |
0 |
||
合計 |
人 |
0 |
5 |
3 |
||
総計 |
陸上 |
人 |
0 |
12 |
16 |
|
海上 |
人 |
0 |
1 |
1 |
||
合計 |
人 |
0 |
13 |
17 |
||
女性比率 |
陸上 |
% |
0.00 |
41.67 |
18.75 |
|
海上 |
% |
0.00 |
0.00 |
0.00 |
||
合計 |
% |
0.00 |
38.46 |
17.65 |
||
新規採用 |
男性 |
陸上 |
人 |
17 |
26 |
39 |
海上 |
人 |
17 |
14 |
19 |
||
合計 |
人 |
34 |
40 |
58 |
||
女性 |
陸上 |
人 |
8 |
12 |
18 |
|
海上 |
人 |
1 |
3 |
1 |
||
合計 |
人 |
9 |
15 |
19 |
||
総計 |
陸上 |
人 |
25 |
38 |
57 |
|
海上 |
人 |
18 |
17 |
20 |
||
合計 |
人 |
43 |
55 |
77 |
||
女性比率 |
陸上 |
% |
32.00 |
31.58 |
31.58 |
|
海上 |
% |
5.56 |
17.65 |
5.00 |
||
合計 |
% |
20.93 |
27.27 |
24.68 |
||
障がい者雇用率 (※1) |
% |
2.09 |
1.71 |
2.11 |
||
研修 |
一人当たりの研修費 |
陸上 |
円 |
107,000 |
97,092 |
171,454 |
海上 |
円 |
154,664 |
263,880 |
393,407 |
||
年間総教育・研修時間 |
陸上 |
時間 |
8,083 |
15,066 |
13,621 |
|
海上 |
時間 |
13,512 |
20,080 |
32,344 |
||
年間教育・研修平均日数 |
陸上 |
日 |
0.5 |
3.4 |
3.0 |
|
海上 |
日 |
8 |
12 |
20 |
||
年間教育・研修平均時間 |
陸上 |
時間 |
13 |
24.1 |
20.9 |
|
海上 |
時間 |
64 |
96 |
160 |
||
離職者 |
定年退職 |
陸上 |
人 |
9 |
11 |
4 |
海上 |
人 |
3 |
4 |
2 |
||
合計 |
人 |
12 |
15 |
6 |
||
自己都合 |
陸上 |
人 |
12 |
7 |
12 |
|
海上 |
人 |
10 |
9 |
5 |
||
合計 |
人 |
22 |
16 |
17 |
||
会社都合 |
陸上 |
人 |
5 |
6 |
7 |
|
海上 |
人 |
3 |
1 |
1 |
||
合計 |
人 |
8 |
7 |
8 |
||
その他 (役員就任による退任含む) |
陸上 |
人 |
2 |
7 |
2 |
|
海上 |
人 |
0 |
1 |
0 |
||
合計 |
人 |
2 |
8 |
2 |
||
離職率 |
全体の離職率(※2) |
- |
% |
4.58 |
4.75 |
3.28 |
自己都合離職率(※3) |
- |
% |
2.40 |
1.65 |
1.69 |
|
入社3年以内での離職率(新卒)(※4) |
陸上 |
% |
1.39 |
0.00 |
2.17 |
|
海上 |
% |
7.14 |
6.52 |
1.89 |
||
合計 |
% |
3.51 |
2.36 |
2.07 |
||
入社3年以内での離職率 (新卒・キャリア入社合計)(※5) |
陸上 |
% |
2.44 |
0.00 |
2.50 |
|
海上 |
% |
7.14 |
6.38 |
1.82 |
||
合計 |
% |
4.03 |
2.13 |
2.29 |
||
30歳以下の離職率(全体) |
% |
5.08 |
2.53 |
3.22 |
||
平均勤続年数(※6) |
男性 |
年 |
15.21 |
14.92 |
14.58 |
|
女性 |
年 |
14.17 |
13.77 |
13.52 |
||
従業員の労働組合加入率 |
陸上 |
% |
76.20 |
75.90 |
76.54 |
|
海上 |
% |
75.80 |
74.90 |
74.16 |
||
男女の賃金差異(※7) |
全労働者 |
% |
- |
57.7 |
59.0 |
|
うち正規雇用労働者 |
% |
- |
58.9 |
60.7 |
||
うちパート・有期労働者 |
% |
- |
44.5 |
41.0 |
- 障がい者雇用率は、雇用促進法の定めに従っています。その規定により、海上従業員(陸上勤務中の者を除く)については除外率90%を適用して算出。
- 算定方法:各年度の退職者数 / 正社員数
- 算定方法:各年度の依願退職者数 / 正社員数
- 算定方法:過去3年の新卒採用の内の退職者数 / 過去3年の新卒採用者数
- 算定方法:過去3年の新卒・キャリア採用の内の退職者数 / 過去3年の新卒・キャリア採用者数
- 対象範囲は、期間を定めない川崎汽船株式会社従業員
- 算定方法:女性労働者の賃金の平均 / 男性労働者の賃金の平均