基本的な考え方

“K” LINEグループは、グループ全体で遵守される行動規範である「グループ企業行動憲章」を制定しており、そこに掲げる「人権の尊重」の中で、グループ従業員の人格、個性及び多様性を尊重し、安全で働きやすい職場環境の整備・向上を図ることを謳っています。

とくに労働災害事故の撲滅は、安全、経済運航の根幹を成すものであり、各人の安全意識を向上するために、安全体感研修やKYT(Kiken Yochi Training、 危険予知訓練)を通じて船上での安全確保に努めています。また、ニアミスレポートなどで、事故に至らなかったものの潜在的な危険性のあった事象を拾い上げ、これをフィードバックすることで、今後の安全運航に役立てる取り組みを行っています。

一方、2006年海上労働条約(MLC2006)は、国際労働機関(ILO)により2006年2月に採択された海上で働く船員に対する包括的な国際労働条約であり、この条約には船員の基本的権利4項目が明記されています。

 

1. 結社の自由及び団体交渉権の実効的な承認

2. あらゆる形態の強制労働の撤廃

3. 児童労働の実効的な廃止

4. 雇用及び職業についての差別の撤廃

 

当社フリート船では、この条約を遵守することで、船員の基本的権利を侵すことのないよう努めています。

 

 

ワーク・ライフ・バランス

家族と接する機会の創出―海上勤務

本船上でインターネットが使用できる前は、衛星電話あるいは送受信に回数制限があるプライベートEメールを用いて、家族と連絡を取っていました。そのような状況は、家族と遠く離れて勤務する海事技術者にとって不安な環境でした。

家族と遠く離れても、安心して船上勤務に従事できるよう、船上にインターネット環境を整え、個人のスマートフォンやPCを使って、家族または友人とメールやSNSなどで連絡を取ることができる環境を提供しています。

また、国内外の港に入港した場合は、家族を本船に呼ぶことができるよう、その旅費や宿泊費をサポートしています。

そのほか、家族が一定期間乗船できる便乗制度を設け、海事技術者本人だけでなく、家族含めて安心し、海事技術者が質の高い業務を行えるように努めています。

船内の生活環境について

船上での生活は勤務環境と密接であるため、オン/オフをしっかりと切り替える必要があります。会社は、業務終了後、運動、読書またはDVD映画を鑑賞し、リラックスできるよう、体育室を設置し、レクリエーション用具を購入するために費用を補助することで、しっかりと休息が取れる環境づくりに取り組んでいます。

船上での生活では、毎日の食事は非常に重要な役割を持ち、調理は外国人コックにより行なわれています。そのコックに対しては、マニラにある“K” LINE MARITIME ACADEMYフィリピン研修所で訓練を受講させ、バランスが良く、栄養価の高い食事が提供できる環境を整えています。

また、各船へは、船上勤務経験豊富な日本人調理師によるレシピを定期的に配信し、バラエティーに富んだ食事が提供できるようにしています。

またときには、日本人・外国人を問わない乗組員全員参加型のレクリエーション大会や、パーティーを企画し、海事技術者が率先して、明るく、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。

 

 

労働安全衛生

マネジメント体制

海上においては、法令に基づいて、安全衛生に関する支援体制をつくっています。

陸上に船員安全衛生委員会、船上に船内安全衛生委員会を設置、関係部署および管理会社と連携を取りながら安全衛生関連業務を推進しています。

船員安全衛生委員会では、船内における作業環境及び住居環境、危険または健康障害を防止するための対策、船員災害の原因及び再発防止対策、安全衛生に関する教育などについて、調査審議しています。

当社は船員労働災害防止優良事業者(一般型1級)認定を、2008年に外航船社として初めて取得しました。

安全と健康への配慮

海上での労働災害防止の取り組み

船内では、毎朝作業前のミーティングを行い、労働災害防止に努めています。また、船内作業管理委員会を毎月開催し、船内での作業に関して危険のないよう準備をしっかりと行うことを徹底しております。「安全監督だより」を定期的に全船に配信し、労働災害や安全、衛生面の注意喚起を行っています。また、ラジオ体操のCDを配布し作業前などに怪我防止のため実施しています。

また、海事技術者に対しては、安全衛生関連研修の受講を定めています。

過重労働防止への取り組み

海上での過重労働防止についても、労務計画立案システムを導入、過重労働とならないように仕事量と人員の適正な負荷分担を考慮するとともに、運航スケジュールを考慮し、必要に応じて増員するなど、無理のない運用に努めています。

健康診断

航海中は陸上医療施設で受診できないため、海事技術者が心身ともに健康であることは非常に重要です。乗船前には必ず健康診断を受診させると共に、法定項目以外の項目も年に1度、受診することを義務付けています。

受診データは会社で確実に記録し、各海事技術者の健康状態の把握に努めています。海事技術者のメンタルヘルスについては、社外有資格者による研修受講体制のほか、後述の安全監督からの定期的な情報発信及び当社産業医と連携する体制を取っています。

受動喫煙防止への取り組み

14,000個積新造コンテナ船において、分煙の取り組みのトライアルを行うべくスペックの改定を行い、喫煙室を設けることで受動喫煙防止の実現を目標としています。喫煙者と非喫煙者が船内で快適に過ごすことができる職場環境に取り組んでいます。

訪船による安全健康管理指導

海事技術者全体の安全衛生向上のため、海事人材グループに安全監督を配置しています。安全監督は寄港地で訪船し、安全管理や健康管理について、指導を行なっています。さらに、訪船時には、安全指導のほか、個人面談によるメンタルヘルスケアも実施しています。また、災害防止の目的で、船内での就業開始前には、ラジオ体操の実施を推奨しています。

人事担当者によるヒアリングの強化

海事技術者が海上勤務する際、通常の職場とは異なり、船上での生活は閉鎖的となります。また乗船すれば通常6ヶ月の船上勤務となるため、特に下船後は、船上での生活、人間関係その他本人たちが感じたあらゆることについて、担当者による電話インタビューを必ず実施しています。また必要があれば、対面でのインタビューを実施しています。このことにより、海事技術者の不安を和らげることはもちろん、会社も現場の状況把握に努めています。

船上働き方改革

乗船中の海事技術者は最重要任務となる安全運航の維持に加え、本船の入出港に伴う諸手続きなど、多くの事務作業も担っています。その業務負荷を軽減するため、当社では本船のIT化、デジタル化に取り組んでおり、すでにITの高度化に対応した高スペックのパソコンの本船への搭載や、大容量のデータ通信が可能な通信インフラの導入が進んでいます。

 2021年年3月に竣工した「CENTURY HIGHWAY GREEN」には、通常の衛星通信システムに加え、LTE回線を用いたIP/MPLSソリューションを導入しました。十分な通信速度と高度な暗号化通信を両立させたFAN(Field Area Network)環境を船陸間で実現させることにより、国内外の寄港地においてさまざまなデジタル技術を活用し、船内業務を効率化しています。

乗組員の健康と乗組員交代に関するネプチューン宣言

当社は、新型コロナウイルスにより生じている世界的な乗組員交代の問題の早期解決に向けた行動を呼びかける「乗組員の健康と乗組員交代に関するネプチューン宣言」に署名しております。この宣言は、以下の行動の実践を骨子として、Global Maritime Forum(※)によって採択され、海事バリューチェーンに関係する850社以上が署名しています。

  • 船員を「キーワーカ―」として認識し、新型コロナウイルスワクチンの優先的な接種機会を提供すること
  • 既存のベストプラクティスに基づいた、最高水準の健康プロトコルを確立し、実践すること。
  • 円滑な船員交代の為に、船舶運航者と傭船者の連携を強化すること
  • 船員のために主要な海事拠点間の空路を確保すること

(※) Global Maritime Forum: 海事産業の発展を目指す国際的なNPO。

 

詳細は以下のリンク(英文のみ)からご参照ください。
https://www.globalmaritimeforum.org/neptune-declaration