中期経営計画の見直し “K” LINE Vision 100 “KV2010”

以前からお約束しておりました中期経営計画の見直しを1月末に発表すると申し上げておりました。
それがやっと纏まりましたので、ここにご披露申し上げたいと思います。
当社の創立100周年である2019年、約10年後を目指して大きな意味でのこうありたいという姿を描いたのが、
“K” Line Vision100、100周年めざして、こういうことであったんですけれども、ご存知のようにVision100を
立ててから経済環境は大きく変わりまして、その中で我々が掲げた色々な定性的な考え方なり目標というのは、
変わっていないのだけれども、ともかく取り巻く環境が大きく変化したということで、少なくとも数字については
見直しして然るべきだということでありまして、今回は、2010年から12年までの数字を見直しました。
同時にこれは2019年、100周年というわけではありませんけれども、2010年代の半ばで一体どうなって
行くのだろうか、という大枠の数字を示すと共に、足元3ヵ年どうして行くか、ということでございます。

 

今まで“K” Line Vision100の中では、5つの取り組み課題を掲げまして、その中では
「環境保護への取り組み」「確固たる安全運航管理体制」「最適・最強組織によるボーダレス経営」
「戦略投資と経営資源の適正配分」「企業価値の向上とリスク管理の徹底」、とこういう風な取り組み課題を
掲げておりました。これは変えるつもりはありませんので、それに加えて、今期大幅な赤字を計上する
その中で、今日申し上げた通り430億のコンテナの構造改革費用を計上するということで、少なくとも
川崎汽船が置かれた状況というのは、コンテナ船事業をどういう風にして収益体制を変えて行くか、
と同時に全体として事業の構造ポートフォリオを長い目でみてどういう方向に持って行くか、
ということについて、1つの考え方を示したい、こういうことであります。

 

ともかく、目先、やはりその赤字体質から、赤字からともかく転換しなければならない、
そういう意味で行くと、今期は申し訳ありませんが、赤字ということもあり、配当は見送らせて頂きたい
ということであります。そしてともかく来期黒字転換して、できるだけ早い段階で復配体制に
持って行きたいと。これが今まで掲げて来たそういう課題に加えて、一つの大きなミッションである、
ということでございます。

 

それから二つ目の付け加えるミッションとしては、百年に一度の経済変動とはいえ、これだけの赤字を
計上するというのは、やはり企業としてとんでもないことだ、と我々も深く反省しておりまして、そういう意味で、
やはりどういう状況にあっても、安定収益体制を確立したい。
なおかつそこで、事業として縮こまるのではなくて、成長して行きたいと。そのために既存の事業は勿論、
こつこつやって行くわけですけれども、それに加えて成長分野にも投資をして行き、長い目で見て成長を
持続的に成長したい、これが二つめのミッション。
それからやはり今期大きく赤字を計上するということで、財務体質、特に自己資本を、かなり毀損をする
ことになり、これを何とか利益を早く積み重ねて、財務体質を改善して強化して行きたいと、
こういう3つのミッションをつけ加えて、来期以降の計画を見直したわけであります。

 

海運会社というのはどういう風にして他と差別化して行くんだ、ということをよく言われるわけですけれど、
やはり大きな製造業に比べて、大きな技術革新が無いような業界で、他と差別化するというのは
全く無いわけじゃありませんけれど、極めて難しいところがあります。自らやる技術革新、それから、
大きな技術革新によって新たな需要を生み出すというのは、なかなかそういうのが少ない業界であります。

 

そういう中で海運会社において、他と差別化して行くのは一体どういうことなのかな、ということを考えて
みますと、やはり、一番大事なのは、我々がお客様とする色々な荷主企業の皆さん方からやっぱり信頼を
得ることだろうと。要するに、運賃が同じでサービスも大して変わらなければ、川崎汽船と契約したい、
こう思われるような信頼を勝ち得ることが、やはり川崎汽船が、数少ないファクターの中で他社と差別化を
図れるところかな、とこういう風に考えております。

 

その中で、信頼を得るためには、一体何かと言えば、財務的に安定した経営が確保されなければ、
絶対いかんだろうとこう考えております。安定した財務体質。どういうことかと言うとやっぱり
損をしたらいかん、と。継続的に利益をあげて行かなくてはいかん。これがやっぱり一番お客様の信頼を
勝ち得る、唯一とは言いませんけれども一番大事なことだろうと、こう考えております。

 

そういう意味で、早期の黒字化、株主の皆様にも還元できるような体制、これを真っ先に考えて行きたい
とこういうことであります。

 

それから、次にあるのは安全運航。信頼の中に、財務的な安定性と安全運航、もやると。
これはともかくお客様の大事な貨物を、場合によっては何十億もするような商品を預かって、荒波を越えて
輸送するわけですから、こういう安全運航に関わるところはやはりちゃんとやって行きたいと思います。

 

3つ目にはやはりグローバル化が進み、09年は一時的に荷動きが減になるようなところがありましたけれども、
長期的にはやはり海上輸送というのは今後とも伸びて行く、と。
そういう中で我々が商売の相手とするのは、段々日本の荷主から、今も現実そうですけれども、
海外の荷主との関係が深まり、なおかつ、こういった大きな経済変動の中でも今後とも成長が
期待できるアジアを中心とする海外のお客さんとのコミュニケーションというか、この関係が大事だろう
ということで、我々川崎汽船の組織としては、グローバルにお客さんと話ができて双方向のコミュンケーションが
図れて、お客様のニーズを先取りして提案型のアプローチをし、お客さんとの関係強化して行く、と
そういうことができる人材を日本人だけじゃなくてグローバルに抱える、陸上での営業や、営業を支える
ファンクションもそうですし、同時に海上で働いている船員さん、これは日本人だけじゃなくて、外国人の船員も
含めて、そういう人材を確保して育成して行くことが大事だろう、と。

 

こういう3つのことがあって、お客さんの信頼を勝ち得るのかなと、こういうことであります。

 

そういうことを持ちつつ、できるだけお客さんを囲いこむというか、事業を拡大して行くためにやっぱり成長分野
というのはできるだけ貨物が出る大元、上流の方に行くのだろうなと。
そこで1つの事業基盤を作り上げるとそこから派生してくる物の動きとかそういうことに対して、お客様との関係に
おいて、囲い込みというか、そういうことができるのではないか、と、こういうような考え方のもとに、後ほど
説明する成長分野への投資ということも出てくる、とこういうように考えております。

 

ちょっと前おきが長くなりましたけれども、考え方としては、そういうような考え方の下に、今回の経営計画
の見直しをやりました。

 

<スライド3>
“K” LINE Vision 100 見直しの背景
−事業環境の激変・需給関係の悪化−

先ほど説明しましたようにVision100を出してから事業環境が激変し、また特にコンテナ船や自動車船、
製品輸送のところで需給関係大きく悪化した。海上荷動き量も、バルクのところを除き、大きく落ち込み、
今度の決算発表でもある通り、事業環境が大きく変わった。従って、経営計画を見直す必要があると
いうことであります。
 

<スライド4>
“K” LINE Vision 100 見直しの背景
−収益計画と実績(及び見込み)の乖離−

この中で、当初掲げていた経営資本なり、それから収支計画・収益計画については、大きく乖離が
出てきた。従って、少なくとも向こう3年程度、数値について見直しをする必要があると、
こういうことでございます。
 

<スライド5>
収益構造改革委員会の取り組み

実際には2008年の12月に、経済危機緊急対策委員会というのを立ち上げまして、昨年の3月末までで、
対策についての大枠の方向付けをして、さらにそれを進化すべく、ここにありますように構造改革委員会、
3つの部会からなる委員会を立ち上げまして、徹底的に今抱える問題点等を洗い出し、特に収益改善部会
では、この頃の議論を通じてやはりコンテナ船について事業改革をやらなくてはいけない。
で、いよいよ船舶などの遊休資産を思い切って、やはりここで処分して来期以降につなげるべきであると。
それから、これがかなり重要なことではありますが、事業ポートフォリオについて、見直しが必要であろうと。
と言うのは、やはり当社は相対的にコンテナ船の比率が高いものですから、そのコンテナ船事業が極めて
ボラタイルと言うか、収益の変動が大きい。これを何とかすべきである。また先ほど言いましたように
グローバルに事業を展開する上で、組織的にどうあるべきか、人材育成をどうあるべきか、ということを、
この3つの部会で検討したわけです。
 

<スライド6>

新しい見直しの計画の名称を、“K” LINE Vision 100という大きな枠の中で、KV2010と、こう名付けました。
Vとは何かということですが、Vには色々ありまして、一つはV字型回復とか、それからVictoryとか、
Vが頭文字につく、色々な単語がありますけれども、大きな枠組みの中で、“K” LINE Vision 100という、
100周年を目指した大きな枠組みの中で、これは変えない、と。こういうことでありますから、
事業環境が大きく変わった中で、Version 2,010ということで、2010年版の、“K” LINE Vision 100の中での見直し
という意図でもってKV2010と名付けました。

<スライド7>
2010年代前半の事業環境の展望

2010年代の前半の事業環境については、勿論今後とも大きく変わる可能性もありますが、我々としては
ここに掲げているような見方をしています。やはり今後経済の多極化が進み、新興経済国、特に最近では
BRICSに加えて、VISTA等も、新興経済国の存在感が増してきている。中国・インドのGDPの伸びは顕著で、
これはもう皆さんご存知の通りです。で、世界的に人口が増えてきて行くわけですから、基本的に消費物資、
グローバル化された経済の中で、やはり貿易は今後とも盛んになり、我々が行き来する海上荷動きは
やはり今後とも増えて行くだろうと見てます。
また資源需要も、やはり新興経済国が活性化されると資源需要も拡大して行くと。等々大きく見ると
やはり我々の海運というのは、今後とも成長産業であるだろうと、こういう風に思っている次第であります。
 

<スライド8>
KV 2010 『MISSION』

先ほど申し上げたように、“K” LINE Vision 100 の5つの大きな課題、定性的な課題、これは変えずに、
その上に、KV2010としては、ここにあるような3つのミッションを付け加えて考えて行くということであります。

<スライド9>
KV2010 基本戦略

その中でも、やはりコンテナ船事業の体質強化、それから事業ポートフォリオをどういう風に今後考えて行くか、
一つとしてはコンテナ船事業の体質強化の中にはやはり当面、コンテナ船事業をシュリンクさせるのではなくて、
まず明らかに荷動きが、需要が、増えて来るまでは、当面縮こまって現状を維持すると考えております。
現状維持するということは今現在では需給関係が緩んでいる、供給が、当社だけでなく世界的に過剰である。
当社は今期 構造改革としてかなりの船腹を処分しましたが、中期的に見ると、まだ数隻の供給過多になっている。
これは今の段階ではそれほど大きな負担ではなくて、今後数年かけてそれを処理して行く。
処理して行くという意味は、例えば今話題になっているような超スロー・スティーミングで、余剰船舶をそこに投入
する手もあるし、相対として大きな負担にならない程度で、今後の余剰船舶は抱えて行けるだろう。けれども、
需要がやはり、全体として需給がマッチするまでには時間がかかるから、それまでは少なくとも船隊規模は
増やせない、新しい投資も凍結するという考えであります。
一方でやはり安定収益を図る為に、今後荷動きが、先ほど申し上げました世界の経済の構造に合わせて
バルクのトレードなどは今後伸びて行き、ドライバルク事業については強化・拡大して行きたい。
それから自動車船事業についても、色々な今後動きがあるかもしれません。電気自動車が普及し出したら
一体どういうような貿易構造になるのだろうかという様に、色々な意味で課題はあると思いますが、やはり
世界のモータリゼーションは、まだまだで、新興国がある一定程度に達するまで、今後出て来ると
思いますから、我々としてはこの事業は強化して行きたいと考えています。
それから先ほど申し上げたように、より上流部分に近づく為にそういう風な成長分野には積極的に投資して
行きたい、こういう風に、当面目先の需給に合わせた活動とそれから将来への成長分野の投資をやりつつ、
喫緊の課題である財務基盤を、やはり強化して行きたいと、これがKV2010の基本戦略であります。
 

<スライド10>
1-1. コンテナ船事業の体質強化

コンテナ船事業の体質強化ということで、ここに、見えるかどうかわかりませんが、かなり考えました。
コンテナ船の、近未来の需給関係は、一体どうなるのであろうかということでありまして、最近では色々
調査の結果も出ておりますが、現在世界のコンテナの需給、供給サイドは1,400−1,500万TEUと
言われています。そのうち1割程度は実はアイドリング、係船とか停船しているのですが、
大きく行くと2割かそれ以上の程度の需給ギャップがあると思っています。
我々実際コンテナ船をオペレートしている事業者としては、トータルとして、90%程度の消席率が
継続的に見られるということでないと、なかなかジェネラルに運賃が、その事業が、
拡大再生産できるようなレベルまで戻るというのは、総体としては難しいのではないかという見方をしています。
従って、今後需要は、昨年はドーンと落ちて、さすがに10年以降は伸びて行くだろうと、去年の落ち込みが
激しかっただけに、去年をベースにすると北米向けも欧州向けも1割程度は伸びて行く筈だろう、
その他の航路も去年の数字をベースにすれば5−6%の伸びは期待できるだろうと考えています。
一方で供給は既に12年あるいは13年の前半くらいまでオーダーブックがあり、それまでは、毎年1割近く、
船腹量は増えて来るだろう、一部減ることもあるけれども、そうするとそういう中で需給関係が先ほど述べた
トータルとして90%の消席率が回復するまで、我々の見方では3年から5年かかっても止むを得ないな、
という風に見ております。そういうこともあって、今期構造改革費用として大きな処分をするわけです。
ただ3年から5年経たないと運賃が戻らないかと言うと、いや、そうではないのではないかな、ということを
考えていまして、コンテナ船の所有者は、例えば我々みたいなオーナーオペレーターで、
自分でオペレートしているところと、まさに純然たるオーナーの部分があって、実はオペレーターは、
何しろ自分のところの船を有効に使うことが精一杯で、ともかく自分のところの船をどうするかというところが
まず心配で、そうするとオーナーが何の当ても無く発注した船は、もし需給が回復しなければ、そのまま
塩漬けで、出てきたとしても10年20年放っておかれるのかなと思います。
そうするとオペレーターが持つ、支配している船というのは、需給ギャップの内、恐らく半分程度かなと。
オペレーターが自ら責任を持たないといけない船というのは、そうすると少なくともそのオペレーターが
運航する船がある程度採算性・収益性が上がるようになるまでの運賃修復というのは、全体として90%
回復しなければ拡大再生産ができる運賃レベルにならないと言いながら、もっと絞れば、捨てて行くものが
あれば、意外とある一定レベルまでの運賃修復というのは可能ではないかなと、それを端的に
表しているのは今の状況ではないかな、とこういうことを、難しく言い過ぎましたけれども、こういうことを、
何故考えるかというのが、ここに書かれてあるスライド10の表でありまして、ちょっと見にくい
のですが、いわばオペレーターだけが運航している船の、需給関係というのは、もう少し縮まっているよと、
こういう趣旨であります。
 

<スライド11>
1-2. コンテナ船事業の体質強化

これまた言い訳がましくなるわけですが、実はコンテナというのは2009年度に720億という赤字を出す
訳ですけれども、これが来期以降、一体どういう風に収益を改善する予定なんだと、これを表したのが
このグラフでありまして、中には、マイナス要因もあります。実はバンカー、来期以降の前提では500ドルと置きました。
因みに為替は90円で置いております。そうすると2009年の実績に比べるとバンカーが高くなるわけですから、
それだけマイナス幅が大きくなる。
一方で430億の構造改革費用が計上されますから、これで、経常部分での改善が大方80億ぐらいあるのだろうと
見てます。当初100億程度行くのではないかと見込んでおりましたが、若干構造改革費用が縮んだということもあって、
80億程度になりました。それから色々アライアンスの中、あるいはもっと拡大したベースで、配船の
合理化をやる効果が、まず50億程度あり、それから今本格的に取り込み始めた超低速運航
Super Slow Steam これによって70億程度位の、コスト削減になるだろうと見込んでます。
そのほかに色々コスト削減あり、一部この中に入っているのですけれども、やっぱり今のままでは、
とてもとてもコンテナ・オペレーターとしてやって行けない。2009年は、上位20社のコンテナ・オペレーター
だけで日本円にして大方2兆円近い赤字を出すだろうと思っていますから、とてもそれでは
やって行けないということで、既に色々と手をつけた運賃修復の部分で、現在でまあ確定した、と言ったら
おかしいのですが、これから運賃が下がることもあり得るわけですが、ほぼ上げて来た段階で、既に
相当程度、運賃の改善効果があり、それから5月以降の、北米のサービス・コントラクトの契約更改、
或いは引き続いてやる欧州での運賃値上げ、それから復航においても段階的に運賃を値上げするというような
効果も含めて、これで積み上げて行くと、後ほど出て来るように来期のコンテナ予想の収益は、実はこれだけ
あってもブレーク・イーブンにはならない。恐らく今の段階では、これは4月末に発表することになるのだろう
と思うのですが、実は、2桁の赤字まで縮まらない。今の段階では、これだけやっても赤字の幅が2桁に
縮まらない。というような予想でありまして、そういうこともあり、実は会計士と相談しながら、そういう見込みの中で
今期の減損処理を決断したということであります。但し先ほど申し上げたように、むやみやたらと何の考えも無しに、
じゃあ来期運賃上がりますというわけじゃなくて、先ほど説明したように色々なロジックを積み重ね、なおかつ
現状を見る限り、ここで掲げたような考え方が、まずそれで行けるのではないかと、いう風な確信をもっております。
 

<スライド12>
2. 事業ポートフォリオの再構築
−ドライバルク事業の拡大−

事業ポートフォリオの再構築として、先程申し上げたようにドライバルク事業については、これはもう目一杯
拡大して行くつもりであります。勿論我々の身の丈に合わせてですが、皆さんご存知の通り、昨年は、
中国の鉄鉱石の輸入が、増量分で1億8千万トン。それから原料炭とか一般炭を入れると、これが
大方1億トン近い伸びになっているのかな。そういうことも合わせて、しばらくは、中国の内需拡大に合わせて
バルクの貿易量も増えて行くだろうと。中国に加えて、インドも、随分活気づいて来ましたし、
そういう意味で行くと、やはりトンマイルの増加も合わせて、バルク部門は今後とも活況であろうと。
従って我々は需要に合わせて、或いはできれば需要の増を上回るくらいの拡大規模を、ペースをできたらと、
こう思っております。後ほど出て来る見直した投資計画についても、やはりドライバルクに対する投資は
積極的にやって行きたい、とこういう風に考えております。色々な要因をここに考えておりますが、
基本的にはそういう考えであります。
 

<スライド13>
2. 事業ポートフォリオの再構築
−自動車船事業の強化−

自動車船事業の強化と言うことですが、やはり2009年の落ち込みは非常に大きかった。
アメリカの販売量が1,050万台でしたから、これは1,980何年だったか、のレベルまで戻ったということで、
色々な話を聞いてみましても、やはり落ち込みは大きいけれども、サブプライムの問題の金融関係のところが
問題として残り、消費が元通りの所まで戻ることになかなかならないだろうけれども、今年度の、2010年の
販売見込みについて、やはり相当程度の伸びはあるだろうと、まあ1割程度は伸びるだろうと、
こう見ておられるようで、昨年の1,050万台に対して今年は100万台くらいは販売は伸びるだろうと、
こう見ておるのが一般的なようです。
中国があれだけ伸びて来た、インドも大きく伸びている。そういう意味で行くと、
今後は、やはり生活レベルが上がって行く、経済が発展して行く中で、自動車というのは今後とも
伸びて行くだろうと、その中で我々の海上輸送もこれから徐々に回復して行くだろうと見ております。
ただ先程申し上げたように、自動車メーカーさんも色々な生産構造が、変わって来るだろうと。
これから、今後とも海外生産の部分が増えて行く。そういうことを見ると、我々が基盤としていた日本
或いは韓国からの輸出の台数について、全体の荷動き、世界の荷動きが伸びるほどには荷動きが
伸びないかもわからない。従って、これは徐々にしか伸びて行かないだろう、時間がかかるんだと。
ただ一方でグローバル化された生産形態の中で今度は違った形の輸送が増えて来る。例えば、もう今も
既に始まっていますが、インドから欧州とか、インド生産の車が、例えばこれから発展するであろうアフリカの
諸国に伸びて行くだとか、そういう風な違った航路が出て来るんだろうと思っていまして、それにどう対応
していくか、そのためにやっぱり我々需要が今後とも増えて来るであろう自動車船の事業について強化を
して行きたいということであります。
 

<スライド14>
2. 事業ポートフォリオの再構築
− 油槽船・LNG船事業の強化 −

油槽船・LNG船事業の強化と言うことで、強化と言う意味は、今はそれほど大きな事業規模はないわけ
ですけれども、今後ともエネルギー需要というのは、先進国がトータルで増えるかどうかは、
まあ心許ないですが、少なくとも、新興経済国、これから発展する国については、エネルギー需要は多い。
それから既に発展している先進国についても、使うエネルギーの中身が変わって来る。
例えば石炭・石油からLNGに変わると、これはあるだろうと思います、例えばLNGの中でも、じゃあアメリカで
今色々といわれているシェールガスとの競合はどうなるであろうかと、色々な考えるべき要素はありますけれども、
やはりエネルギー需要としては、これから増えて来るんだろうなと、こう思っておりまして、我々としては産油国、
或いは産ガス国の工業化も視野に入れて、事業の、いわばバラエティを増やして行きたい。即ち原油輸送よりも、
或いは製品輸送の方がこれから需要が高まるだろうし、製品輸送の中でもケミカルとかそういった最終品に
近いような需要が増えて来るだろう、その辺りの事業分野に注力して行きたい。
それからLNGについては、後ほど出て来る上流部門の取り組みも合わせて、我々の既存のLNGの輸送事業と
合わせてシナジー効果を持って行きたいと、こういう風に考えております。
 

<スライド15>
2. 事業ポートフォリオの再構築
− 成長分野への戦略投資 (エネルギー資源開発関連事業) −

成長分野への取り組みですが、ここにありますように既に手をつけているオフショア船事業、或はドリルシップ、
それからLNGプロデューサーの事業についても、今後とも具体化を図ることについて支援して行きたい。
これは実現すれば、結構事業に幅が出て来るのではないかと、こういう風に思っております。
 

<スライド16>
2. 事業ポートフォリオの再構築
−成長分野への戦略投資 (重量物船・物流事業) −

もう既に手をつけた重量物の事業も、今現在1,000トンx1,000トン、計2,000トンのキャパがある新造船を2隻
発注しておりまして、これが出て来ると、例えばこれから増えて来る原子力発電に使うリアクターとか、
何百トンもするような、単体の重たい荷物も運べるようになるし、欧州における自然エネルギーの強化
ということで、風力発電とか、こういうような物が今後とも増えて来る。これに対する、色々な輸送需要についても、
こういう重量物船でカバーできるということで、そういう意味で行くと色々な意味で資源輸送、或は上流部門に
関与することによって当社の他の事業分野との間でシナジー効果を期待して、こういうところに、強化をして行きたい。
それから、今日、プレス・リリースをしていますがアメリカのフォワーダー、物流業者ですけれども、
主としてエア・フォワーディングをやっているエア・タイガーという会社に資本参加する、ということを基本合意に
達しまして、この物流事業をですね、今後とも強化して行きたい、これでもっていわば当社の既存の物流事業との、
将来的にはシナジーを図って行きたい、とこういう風に考えております。
 

<スライド17>
3. 事業環境変動への即応と財務基盤強化
−投資の選別と抑制・機動性の高い船隊構成−

投資については相当程度、既に決めた投資計画について、さらにオフバラ化を進めたり、
或は、ものによってはデリバリーを遅らせたりしまして、2010年から12年について、
投資キャッシュフローを、当初の計画5,500億円を、2,000億円まで圧縮しました。それで、2009年度末の
運航隻数470隻に対して、2012年には537隻にする予定で、2010年半ばには600隻弱の規模にして行きたい。
これは当初たてた計画に比べると、大幅な見直しになっております。
 

<スライド18>
3. 事業環境変動への即応と財務基盤強化
−安定収益積上げと投資抑制による財務基盤の強化−

そういうことを進めて、我々としては収益を、2009年に比べて、最近こういう言葉あるのかどうか知りませんが、
カタカナのレ、「レ」点回復を目ざす。いや本当はV字回復と、こう言いたかったのですが、なかなかVほど
カーブがきつくないので、最近こういうレ点回復という言葉があるそうです。こういう回復を目指したい。
 

<スライド19>
数値目標

こういうことをすることによって、最終的に2010年代の半ばには、当初我々が目指していた4つの財務規律、
その目標、DER95%以下、ROA8%以上、自己資本比率40%以上、Debt/営業キャッシュフロー比率を4.5倍以下
まで持って行き、一番最初に申し上げた様に できるだけ早期の復配を目指して、頑張りたい。
配当はきちんと利益があがれば、我々は当初お約束していた通り、2010年代半ばには、配当性向30%目指して、
毎年配当性向を増やして行きたい、こういう計画であります。
ちなみに、成長分野にも投資をするということで、2010年代半ばには、今説明しましたオフショアや重量物船、
或は物流事業の収益が、3桁になるような規模にまで、我々としてはこれを育てて行きたい、
と考えております。