株主・投資家の皆様へ

 持続的な成長と企業価値向上に向けて

 平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 

 新型コロナウイルス感染症の拡大は世界中のあらゆる産業や企業に大きな影響をもたらし、海運業界もその例外ではありませんでした。世界の物流の80%、日本の貿易量の99%以上を海運業が担い、人々の暮らしや産業に不可欠なエネルギー資源や原材料から製品や消費財に到るまで運んでいます。コロナ禍のなかでもモノの流れは止めない、人々の生活を支えるライフラインとして働き続けるという海運の重要な役割を改めて認識しました。

 

 当社もグローバルな物流の中枢を支える一員として、人びとの豊かな暮らしに貢献するという経営理念の実現のために、船を止めず、物流インフラとしての社会的使命を果たすことに全力を挙げて取組んでいます。安全かつ高品質な輸送を、環境への負荷を低減しながら提供することの重要性は益々大きくなっています。また、カーボンニュートラルに向けたエネルギー転換や再生可能エネルギーの発展、EV化に代表されるCASEによる自動車産業の変革など、事業環境も大きく変わりつつあります。

 

 このような海運を取りまく事業環境の変化や安全・品質・環境への意識の高まりは、リスクは孕む一方、大きな機会でもあります。不確実性を抱える将来に柔軟に対応し、備え、変化への挑戦を恐れずに、「自営事業4本柱の磨き上げ」、「新たな事業領域への挑戦」、「アジアを中心にグローバル展開を加速」、「コンテナ船事業の競争力向上」、「継続的な財務基盤の拡充」という5つの施策に取り組み、これらの実現とともにサステナビリティ経営の一層の強化を図り、企業価値を継続的に向上させることで、全てのステークホルダーに選ばれ続ける会社を目指します。

 

 変化に対応し、環境に配慮し、安定した物流インフラを支え続けるという使命のもと、グループ役職員一丸となって持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいりますので、引き続きご支援ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

【2022年3月期第2四半期連結累計期間 業績】

(億円未満四捨五入)

 本日発表いたしました、2022年3月期第2四半期連結累計期間(2021年4月1日から2021年9月30日まで)(以下、「当累計期間」と表示する)の決算と2022年3月期連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)の連結通期業績予想に関し、概要を説明申し上げます。

 当累計期間の連結売上高は3,575億56百万円(前年同期比574億54百万円の増加)、営業利益は101億82百万円(前年同期は102億2百万円の営業損失)、経常利益は2,380億14百万円(前年同期比2,280億36百万円の増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,460億8百万円(前年同期比2,363億79百万円の増加)となりました。
なお、当社の持分法適用関連会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下、「ONE社」という。)の業績好調などにより、持分法による投資利益として2,362億86百万円を計上しました。うち、ONE社からの持分法による投資利益計上額は当累計期間2,343億57百万円、当第2四半期連結会計期間においては1,467億2百万円となりました。

前第2四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
増減額(増減率)
売上高(億円) 3,001 3,576 575 (19.1%)
営業損益(億円) △102 102 204 ( - )
経常損益(億円) 100 2,380 2,280 ( - )
親会社株主に帰属する
四半期純損益(億円)
96 2,460 2,364 ( - )
為替レート(¥/US$) (6ヶ月平均) ¥106.82 ¥109.90 ¥3.07 (2.9%)
燃料油価格(US$/MT) (6ヶ月平均) US$353 US$497 US$144 (40.8%)

 セグメントごとの業績概況は次のとおりです。

 

① ドライバルクセグメント

【ドライバルク事業】

 大型船市況は、堅調な輸送需要が続くなか、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、「新型コロナウイルス感染症」という。)拡大防止に伴う検疫体制の強化が続き、主要な揚げ地である中国を中心に船舶の滞留が拡大したことで、船腹需給が引き締まり、高水準で推移しました。中・小型船市況は、2021年8月末にメキシコ湾岸を襲ったハリケーンによる影響を受けるものの、穀物、石炭及びマイナーバルクの輸送需要は増加し、大型船同様中国での滞船の影響を受け総じて堅調に推移しました。

 このような状況下、ドライバルクセグメント全体では、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減や配船効率向上に努めました。

 

 以上の結果、ドライバルクセグメント全体では、前年同期比で増収となり、黒字に転換しました。

 

② エネルギー資源セグメント

【油槽船事業・電力炭船事業】

 大型原油船、LPG船及び電力炭船は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。

 

【液化天然ガス輸送船事業・海洋事業】

 LNG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
 オフショア支援船事業においては、油価は回復したものの、市況低迷が継続しました。
 

 以上の結果、エネルギー資源セグメント全体では、前年同期比で増収となるも減益となりました。

 

 

③ 製品物流セグメント

【自動車船事業】

 世界自動車販売市場は、前年度の新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調が継続しました。足元では半導体及び自動車部品の供給不足による生産への影響はあるものの、輸送需要は回復しました。

 

【物流事業】

 国内物流・港湾事業では、旺盛なコンテナ海上輸送需要に下支えされ、コンテナターミナル取扱量が堅調に推移しました。曳船事業では輸送需要の回復を受け、全体的に作業数は増加しました。倉庫事業は継続して堅調に推移しました。

 国際物流事業では、フォワーディング事業において、コンテナ海上輸送の需給ひっ迫に伴い、航空に輸送手段が移ったことをはじめ、自動車産業関連の需要回復等により、航空貨物輸送量の改善が継続しました。完成車向け陸送事業は活発な新車販売を背景に好調に推移しました。

 

【近海・内航事業】

 近海事業では、鋼材・木材の需要は堅調に推移し、石炭の輸送量は前年同期並みとなったものの、スラグ等の輸送量が前年同期を下回り、全体では前年同期を下回る輸送量となりました。内航事業では、国産の製材や建設関連の貨物等の取り込みにより、全体では前年同期を上回る輸送量となりました。

 フェリー事業は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、人の移動が制限されたものの、前年同期比では旅客と乗用車では乗船者数が回復しました。トラックの輸送量は前年同期を上回りました。

 

【コンテナ船事業】

 当社持分法適用関連会社であるONE社の業績は、サプライチェーンの混乱と旺盛な荷動きにより輸送需給がひっ迫するなか、全航路において運賃市況が高水準で推移したことで、前年同期比で大幅な改善となりました。


 以上の結果、製品物流セグメント全体では、前年同期比で増収増益となりました。

 

 

④ その他

 その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、前年同期比で減収となり、損失を計上しました。

 

 

【2022年3月期連結会計年度 連結通期業績予想】

(億円未満四捨五入)

前回予想
(2022年3月期
第1四半期決算発表時点)
今回予想
(2022年3月期
第2四半期決算発表時点)
増減額 (増減率)
売上高(億円) 6,300 6,900 600 (9.5%)
営業損益(億円) 40 150 110 (275.0%)
経常損益(億円) 2,750 3,900 1,150 (41.8%)
親会社株主に帰属する
当期純損益(億円)
2,650 3,700 1,050 (39.6%)
為替レート(\/US$) ¥106.67 ¥108.02 ¥1.36 (1.3%)
燃料油価格(US$/MT) US$455 US$517 US$62 (13.7%)

 ドライバルクセグメントでは、回復基調が続く世界経済に伴いばら積み貨物の海上輸送需要は堅調に推移していくことが見込まれます。一方で中国における粗鋼生産抑制の動きや電力不足といった懸念材料があり、新型コロナウイルス変異株の再拡大等による実体経済への影響とともに、ドライバルク市況に与える影響を注視しています。ドライバルクセグメントでは、運航効率の改善とコスト削減等の収支改善策に取り組むとともに、高い輸送品質を生かした営業活動を積極的に行い、中長期契約の上積みによる安定収益拡充に努めます。


 エネルギー資源セグメントでは、大型原油船、LPG船、電力炭船、LNG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)において、中長期の傭船契約のもとで安定収益の確保に努めます。オフショア支援船事業においては、引き続きコスト削減などに取り組み、収支の改善に努めます。


 製品物流セグメントでは、自動車船事業においては、世界自動車販売市場は、足元での半導体や自動車部品の不足による影響を受けるものの、前年度の新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調を継続する見通しです。2021年3月期以来取り組んできた船隊規模適正化、航路網再編の取組みなどによる運航効率の向上を継続し、2022年3月期は収益の確保を見込みます。物流事業においては、国内物流・港湾事業では、コンテナ海上輸送の需要増加が堅調に推移する見込みにより、コンテナターミナル取扱量は堅調に推移する見込みです。国際物流事業では、フォワーディング事業において、コンテナ海上輸送需要のひっ迫に伴う航空貨物へのシフト継続により、荷動きは堅調に推移する見込みです。完成車向け陸送事業は旺盛な新車需要が継続する見込みです。コンテナ船事業においては、下半期は新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が世界規模で進むにつれてサプライチェーンの混乱は解消に向かい、需給は徐々に平常化すると予想します。ONE社では、今後の経済環境を注視しながら、着実な事業運営に努めます。


 以上のとおり、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期については不確実性が高く、先行きの情勢を見極めることは困難な状況が続いていますが、各国財政支援・景気刺激策が継続している背景もあり世界経済は順調に回復基調であり、コンテナ船事業を中心とした堅調な輸送需要は継続しており、当期の親会社株主に帰属する当期純損益については3,700億円としています。


 当社は企業価値向上のために最適資本構成を踏まえたうえで成長投資、財務体質の強化、及び株主の皆さまへの還元を総合的に勘案し中長期的な株主利益の向上を図ることを基本方針としています。2022年3月期の中間配当については、誠に遺憾ながら無配とすることを決定いたしました。一方で、2022年3月期の期末配当については、復配の目処がついたことから、1株当たり300円とする方針といたしました。

 

 当社では株主・投資家の皆様の期待にお応えできるよう、グループ企業の役職員一丸となり、努力を重ねてまいります。皆様におかれましては、今後とも川崎汽船グループに変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

 2021年(令和3年)11月4日

 

川崎汽船株式会社 代表取締役社長

明珍 幸一