株主・投資家の皆様へ

 持続的な成長と企業価値向上に向けて

 平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 

 当社は2021年度の業績改善に伴い、6期ぶりの復配予定など想定よりも早い財務状況の回復を果たし、会社は新たなステージへと移ったものと認識しております。こうした事業環境の大きな変化も踏まえて、この度新中期経営計画を策定・公表いたしました。新経営計画では、低炭素・脱炭素社会の実現に貢献する事業領域への挑戦を事業機会として成長戦略を策定し、ポートフォリオ戦略に基づき、成長の牽引役となる3つの事業に対して経営資源を集中的に配分、また、当社グループの重要な事業部門であるコンテナ船事業については、株主としてオーシャンネットワークエクスプレス社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)の持続的な成長と発展のために支援を強化してまいります。その上で最適資本構成を目指し、バランスのとれた成長投資と株主還元を軸としたキャッシュアロケーションも進めてまいります。これらの取り組みを通じて、環境負荷を軽減し、持続可能な社会の実現に向けて、企業価値を継続的に向上させることで、全てのステークホルダーに選ばれ続ける会社を目指しますので、引き続きご支援ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

【2022年3月期連結会計年度 業績】

(億円未満四捨五入)

 本日発表いたしました、2022年3月期連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)(以下、「当期」と表示する)の決算と2023年3月期連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の連結通期業績予想に関し、概要を説明申し上げます。

 当期の連結売上高は7,569億83百万円(前期比1,314億96百万円の増加)、営業利益は176億63百万円(前期は212億86百万円の営業損失)、経常利益は6,575億4百万円(前期比5,680億6百万円の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,424億24百万円(前期比5,337億28百万円の増
加)となりました。
 なお、当社の持分法適用関連会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下、「ONE社」という。)の業績好調などにより、持分法による投資利益として6,409億92百万円を計上しました。うち、ONE社からの持分法による投資利益計上額は累計期間6,353億78百万円、当第4四半期連結
会計期間においては2,203億3百万円となります。

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
増減額(増減率)
売上高(億円) 6,255 7,570 1,315 (21.0%)
営業損益(億円) △213 177 389 ( - )
経常損益(億円) 895 6,575 5,680 (634.7%)
親会社株主に帰属する
当期純損益(億円)
1,087 6,424 5,337 (491.0%)
為替レート(¥/US$) (12ヶ月平均) ¥105.79 ¥112.06 ¥6.27 (5.9%)
燃料油価格(US$/MT) (12ヶ月平均) US$363 US$551 US$ 188(51.7%)

 セグメントごとの業績概況は次のとおりです。

 

① ドライバルクセグメント

【ドライバルク事業】

 大型船市況は、上半期は中国をはじめとした各国において輸送需要が堅調に推移し、期央にかけて各国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、「新型コロナウイルス感染症」という。)拡大防止に伴う検疫体制の強化や極東での滞船増加により、船腹需給が引き締まり、総じて高水準で推移しました。下半期には、中国の粗鋼生産抑制や鉄鉱石及び石炭の主要産地における荒天による出荷減少の影響を受け市況が軟化したものの、年間を通じ振れ幅を伴いながら概ね堅調に推移しました。中・小型船市況は、上半期は中国の経済活動再開、ブラジル出し中国向け穀物の堅調な輸送需要等に加えて石炭、マイナーバルクなどの輸送需要が増加し、滞船の影響も受け、期央にかけ上昇しました。下半期は滞船の緩和やインドネシア炭の輸出禁止による混乱に伴い軟化しましたが、ロシア・ウクライナ情勢の影響により穀物が代替地から積み出されるなどの輸送パターンの変化を受け期末に再度上昇しました。

 このような状況下、ドライバルクセグメントでは、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減や配船効率向上に努めました。


 以上の結果、ドライバルクセグメント全体では、前期比で増収となり、黒字に転換しました。

 

 

② エネルギー資源セグメント

【油槽船事業・電力炭船事業】

 大型原油船、LPG船及び電力炭船は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。

 

【液化天然ガス輸送船事業・海洋事業】

 LNG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
 オフショア支援船事業においては、油価は回復したものの、市況低迷が継続しました。


以上の結果、エネルギー資源セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。

 

 

 

③ 製品物流セグメント

【自動車船事業】

 世界自動車販売市場は、半導体及び自動車部品の供給不足並びにロシア・ウクライナ情勢により、一部で生産・出荷への影響があったものの、前年度の新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調が継続しました。燃料単価上昇の継続による影響を受けたものの、輸送需要は回復しました。

 

【物流事業】

 国内物流・港湾事業では、国内コンテナターミナルの取扱量は前期比で増加しました。曳船事業では作業数が堅調に推移しました。倉庫事業は継続して堅調に推移しました。
 国際物流事業では、航空フォワーディング事業の荷動きが改善しました。完成車物流事業では、在庫保管サービスの取扱量は低調に推移しました。

 

【近海・内航事業】

 近海事業では、鋼材・木材の輸送需要は、堅調に推移しましたが、バルク輸送では、当期の輸送量は前期を下回り、近海船全体では、当期の輸送量は前期を下回りました。内航事業では、フェリー輸送の市況は堅調に推移し、輸送量は前期を上回りました。定期船輸送では、木材製品・食品貨物などの取り込みを図り、輸送量は前期を上回りました。不定期船輸送では、石灰石・石炭の各専用船は安定した稼働となり、一般貨物船では国産材の需要増により、輸送量は前期を上回りました。

 

【コンテナ船事業】

 当社持分法適用関連会社であるONE社は、サプライチェーンの混乱と旺盛な荷動きにより輸送需給がひっ迫するなか、全航路において運賃が高水準で推移したことにより、業績は前期比で大幅な改善となりました。

 

 以上の結果、製品物流セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。

 

 

④ その他

 その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期業績は前期比で減収となり、損失を計上しました。

 

 

【2023年3月期連結会計年度 連結通期業績予想】

(億円未満四捨五入)

今回予想
(2022年3月期
本決算発表時点)
売上高(億円) 7,800
営業損益(億円) 410
経常損益(億円) 4,700
親会社株主に帰属する
当期純損益(億円)
4,600
為替レート(\/US$) ¥117.70
燃料油価格(US$/MT) US$764

 ドライバルクセグメントでは、輸送需要は底堅く推移し、限定的な新造船竣工量が船腹需給を引き締め、全般的にドライバルク市況は堅調に推移していくと見込んでいます。一方で、ロシア・ウクライナ情勢による資源価格への影響、新型コロナウイルス感染症の輸送需要への影響を注視し、迅速に対応できる準備を進めてまいります。ドライバルクセグメントでは、運航効率の改善やコスト削減等の収支改善策に取り組むとともに、環境対応ニーズの強まるなか、高い輸送品質を生かした営業活動を積極的に行い、中長期契約の上積みによる安定収益拡充に努めます。


 エネルギー資源セグメントでは、大型原油船、LPG船、電力炭船、LNG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)において、中長期の傭船契約のもとで安定収益の確保に努めます。また、2021年12月17日に公表しました「連結子会社の異動を伴う固定資産の譲渡及び連結子会社の清算に関するお知らせ」のとおり、連結子会社であるK LINE OFFSHORE ASが保有する全ての船舶を売却し、同社を清算することを決定しました。

 

 製品物流セグメントでは、自動車船事業においては、世界自動車販売市場は、引き続き半導体や自動車部品の不足による影響が懸念されるものの、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調は継続する見通しです。販売・荷動きの回復及び運賃修復に加え、船隊適正化並びに航路網再編の取組みなどによる運航効率向上に継続して取り組みます。物流事業においては、国内物流・港湾事業では、コンテナ海上輸送の需要が堅調に推移する見込みです。国際物流事業では、フォワーディング事業において、海上及び航空輸送需要は引き続き高い水準を維持することを見込みます。完成車物流事業では、豪州において輸入車の増加傾向の継続により、取扱台数増加を見込みます。コンテナ船事業においては、ロシア・ウクライナ情勢、中国のロックダウンなど不透明な状況が続くと思われますが、堅調な荷動きは当面継続する見込みです。ONE社では、サプライチェーンの混乱回避を目的とした対策を積極的に実施しながらも、今後の経済環境を注視し、着実な事業運営に努めます。

 

 なお、当社のロシア及びウクライナ両国に関わる配船・サービスにつきましては、各種情勢を見ながら、休止・変更を順次行っていますが、両国における当社事業への影響は軽微で、業績への影響も限定的と見込みます。

 

 当社は、安定的な配当を通じ株主の皆さまへの利益還元を最大化することを経営の重要課題と位置づけ、業績動向、企業価値向上に必要な投資、財務体質の強化等を総合的に勘案し、中長期的な株主利益の向上を図ることを基本方針としています。


 2022年3月期の期末配当につきましては、前回予想の1株当たり300円から、追加配当として1株当たり300円増額し、1株当たり600円とさせていただく予定です。なお、2023年3月期につきましては、業績見通し等を総合的に勘案し、年間配当金1株当たり300円(うち中間配当金150円)の基礎配当に加え、1,000億円以上の追加的な株主還元策を検討する予定です。追加的な株主還元策については配当に加え自己株式取得も検討予定です。

 

 当社では株主・投資家の皆様の期待にお応えできるよう、グループ企業の役職員一丸となり、努力を重ねてまいります。皆様におかれましては、今後とも川崎汽船グループに変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

 2022年(令和4年)5月9日

 

川崎汽船株式会社 代表取締役社長

明珍 幸一