株主・投資家の皆様へ

 平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 

 本日発表いたしました2019年3月期(2018年4月1日から2019年3月31日まで)(以下、「当会計年度」と表示する)決算に関し、概要を説明申し上げます。

 当期の連結売上高は8,367億31百万円(前期比3,252億93百万円の減少)、営業損失は247億36百万円(前期は72億19百万円の営業利益)、経常損失は489億33百万円(前期は19億62百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,111億88百万円(前期は103億84百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

【2019年3月期連結業績】

(億円未満四捨五入)

連結経営成績(累計) 2018年3月期 2019年3月期 増減額
売上高(億円) 11,620 8,367 △3,253
営業損益(億円) 72 △247 △320
経常損益(億円) 20 △489 △509
親会社株主に帰属する
当期純損益(億円)
104 △1,112 △1,216
為替レート(¥/US$) (3ヶ月平均) 111.19円 110.80円 △0.52円
燃料油価格(US$/メトリックトン)
(3ヶ月平均)
US$349 US$454 US$101

 セグメントごとの業績概況は次のとおりです。

① ドライバルクセグメント

 ドライバルク事業においては、大型船市況は、中国の鉄鉱石需要に支えられ、ブラジル出し鉄鉱石の荷動きが堅調に推移したことにより、上期に主要5航路平均レートが日額2万米ドル台に浮上する場面も見られましたが、下期に入り豪州で発生した貨物列車脱線事故や、ブラジルで発生したダム決壊事故など、市場心理を冷やす事象が重なったことで急激に失速し、低調に推移しました。

 中・小型船市況は、大型船市況の下落や中国の冬季石炭輸入制限の影響を受けて一時大きく軟化する場面も見られましたが、南米出し穀物やインド向け石炭の荷動きが活況を呈し、総じて回復基調で推移しました。このような状況下、ドライバルク事業全体では、運航コストの削減、配船の効率化に努めました。

 以上の結果、ドライバルクセグメント全体では前期比で増収となり黒字に転換しました。

 

② エネルギー資源セグメント

 エネルギー資源輸送事業においては、LNG船、大型原油船、LPG船、電力炭船ともに、中長期の期間傭船契約のもとで順調に稼働し、エネルギー資源輸送事業全体では、前期比で増収増益となりました。

 海洋資源開発事業においては、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は順調に稼働し、長期安定収益の確保に貢献しましたが、オフショア支援船事業においては、船腹の需給バランスの改善が進まず、軟調な市況が継続しました。このため、海洋資源開発事業全体では、前期比で増収となりましたが、損失を計上しました。

 以上の結果、エネルギー資源セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。

 

③ 製品物流セグメント

 自動車船事業においては、当社グループの輸送台数は、国内における自然災害による一時的な出荷減少、南米など一部地域での販売減少、欧州域内の新排ガス・燃費規制導入による販売減少などの影響があったものの、欧米向けの漸増傾向が継続したことや新規契約貨の出荷好調により、前期比で増加しました。

 一方で、燃料費上昇、運航効率の悪化等により、自動車船事業全体では前期比で減収となり、損失を計上しました。

 物流事業では、国内物流においては、第2四半期に発生した自然災害等により一時的に稼働率が低下しましたが、曳船、海陸一貫輸送、倉庫事業を中心に堅調に推移したことで、増収増益となりました。国際物流では、航空貨物輸送において半導体関連の荷動きが好調であったこと、eコマース関連貨物の需要が拡大したこと等が収益に貢献しました。

 一方で、コンテナ船事業統合後の物流事業強化に伴うコスト増加があったため、物流事業全体では、前期比で増収となりましたが、減益となりました。 

 近海事業においては、石灰石やバイオマス燃料を中心に輸送量は堅調に推移し、市況も改善しました。内航事業においては、新造大型船投入による積載スペース拡大効果や自然災害時における代替輸送需要もあり航海数が増加しました。これらにより、近海・内航事業全体では前期比で増収となりましたが、内航船における修繕費や新造船の償却費の増加等により減益となりました。

 コンテナ船事業においては、当社持分法適用会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS社(以下、ONE社)の業績は、上期では営業開始直後に発生したサービスの混乱による積高・消席率の落ち込みの影響を大きく受けました。第3四半期以降、混乱はほぼ収束し、また、運賃市況は堅調な荷動きが継続したことから特に北米往航運賃が底堅く推移しました。第4四半期では中国の旧正月による荷量の落ち込みが見られましたが、ONE社では需要に合わせた柔軟な減便の実施を行うなど、引き続き収益性改善に向けた取り組みを行いました。

 以上の結果、製品物流セグメント全体では、前期比で減収となり、損失を計上しました。

 

④ その他

 その他には、船舶管理業、旅行代理店業、不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期の業績は前期比で減収減益となりました。

 

 

【2020年3月期(2019年4月1日から2020年3月31日まで)連結通期業績予想】

(億円未満四捨五入)

連結業績予想(通期) 2020年3月期 対前期比増減率
売上高(億円) 7,600 △9.2%
営業損益(億円) 60 -
経常損益(億円) 50 -
親会社株主に帰属する当期純損益(億円) 110 -
為替レート(¥/US$)※ 109円 -
燃料油価格(US$/メトリックトン)※ US$584 -

 

 

 ドライバルク事業では、海上輸送需要の緩やかな増加、新たな環境規制施行に伴う解撤船の増加による船腹需給バランスの改善が期待され、大型船を中心に上下動はありますが総じて市況は改善へ向かうと見込まれます。当社グループでは引き続き運航効率の改善とコスト削減等の収支改善策に取り組むと共に、強みを生かした長期契約の拡充を図ることで、安定収益拡充に努めます。

 エネルギー資源輸送事業では、LNG船、大型原油船、LPG船、電力炭船ともに、中長期契約の輸送契約のもとで安定収益の確保に努めます。

 自動車船事業では、世界主要国自動車販売市場は、米国の関税問題や英国のEU離脱などの要因による不透明感が増しており、海上輸送需要の落ち込みによるリスクが懸念されます。また、自動車メーカー各社の生産拠点は「地産地消」に加えて「適地量産」の流れが進展し、さらに自動車のEV化やシェアリングの動きが加わることで、輸送需要は多様化していくものと見られます。一方で、18年度後半より進める航路再編による配船・運航効率の向上により、19年度は収益の確保を見込みます。当社グループでは引き続きトレード構造の変化や複雑化にタイムリーかつ柔軟に対応した船隊整備、配船サービスの合理化を適切に進めてまいります。

 物流事業では、国内物流においては曳船、海陸一貫輸送、倉庫事業が、国際物流においては半導体・eコマース関連の荷動きが、引き続き堅調に推移し、収益に貢献することを見込んでいます。

 コンテナ船事業では、ONE社は米中貿易摩擦や欧州経済の動向、中国環境規制の復航荷動きへの影響等、外部環境不透明要素はあるものの、サービス品質の向上、競争力の強化、積高・消席率の改善を継続することにより、大幅な収支改善を見込みます。

 

 当社は経営計画の主要課題である持続的成長のために、設備投資や企業体質の充実・強化に必要な内部留保の確保などを勘案しつつ、安定的な配当を実施し、株主の皆様への利益還元を最大化することを重要課題と位置づけています。しかしながら、当期は親会社株主に帰属する当期純損失となり、財務体質の改善と事業基盤の安定化を最優先課題と捉え、2018年10月に公表しましたとおり、誠に遺憾ながら期末配当については無配とさせていただきます。

 次期の配当については、当面は財務体質改善と事業基盤安定化を最優先とし、現時点では未定とさせていただきます。株主・投資家の皆様には誠に申し訳なく存じますが、ご理解のほどお願い申し上げます。

 

 当社では株主・投資家の皆様の期待にお応えできるよう、グループ企業の役職員一丸となり、努力を重ねてまいります。皆様におかれましては、今後とも川崎汽船グループに変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

2019年(平成31年)4月26日

 

川崎汽船株式会社 代表取締役社長

明珍 幸一