【自営事業】
Q-1:コンテナ船事業以外の自営事業において、利益計画として中東情勢の影響がどの程度反映されているのか教えてください。
また、ホルムズ海峡の封鎖が6月末まで継続し、7月以降に通峡が再開するという前提で試算しているかと思いますが、これが長引いた場合にはどのような影響が考えられるかも聞かせてください。
現在の状況によりプラス面とマイナス面があると思いますので、そちらも説明してください。
A-1:中東情勢の影響をどのように2026年度に織り込んでいるかという点、6月までの影響を織り込んでいる金額レベルとしては、経常利益が前期比で91億円悪化していると思いますが、その約半分がホルムズ海峡封鎖による影響と考えていただいてよいかと思います。
発生する主たる船種は自動車船であり、それ以外の船種ではそれほど大きな影響は出ないものと考えています。ONE社を除外してというご質問でしたので、ONE社を除外した内容となっています。
ホルムズ海峡の封鎖が7月以降も継続した場合の影響については、想定するのがなかなか難しい部分があります。第1四半期における影響の中には突発的なトラブルも含まれているため、次の3ヶ月間もまったく同じ数字が出るかという点は、おそらくそうではないだろうと個人的には考えています。
一方で、根本的な需要の減退や景気の後退といった状況になると、異なる要素が関与してくるため、そのような点が他の船種を含めてどのように影響を及ぼすのかが問題だと思っています。現時点では具体的な数字を申し上げることはできませんが、これらの複合要素がどのように絡み合うのかがポイントになると考えています。
Q-2:ドライバルクセグメントにおいて、ケープサイズのエクスポージャーが22%と、前期の期初より若干増えています。偶然そうなったのか、戦略的にエクスポージャーを増やしているのかを確認させてください。
A-2:現在、大型船および中・小型船ともに、ドライバルクの市況は比較的強めに推移しています。
極端に意図的に行ったわけではありませんが、市況を見ながら、少しエクスポージャーを厚めに持って対応しています。いずれにしても、長期安定契約とCOAスポット契約の組み合わせをバランスよくとっていく方針です。
Q-3:自動車船事業での72億円の減益に関する考え方と、現状の契約運賃の状況をうかがいます。
輸送量全体は伸びる計画かと思いますが、前期にご説明いただいたインバランスによるコスト増加が今期の計画に織り込まれているのか、または燃料費増加の影響が主な要因なのか、あらためて教えてください。
A-3:自動車船事業は、2026年度は2025年度比で72億円の減益を予想しています。その要因として、過半数はホルムズ海峡封鎖の影響とご理解いただければと思います。
加えて、グローバルで進行中のインフレに伴う港費、貨物費、販管費等の増加、さらに環境対応費用としてバイオ燃料の補油による運航費の増加などを見込んで作成した予想です。
2026年度は、現時点で契約の過半数が確定しています。現在、中東向けの定期配船は見合わせていますが、荷動きとしては非常に堅調です。需給バランスにおいて、需要が多く供給が不足している状況が続いています。
ただし、今後ホルムズ海峡の影響が長期化した場合、生産や販売の需要に影響を及ぼす可能性があるかどうかが、極めて重要な要因になると考えています。2026年度においても、引き続き需要の動向をしっかりと見きわめながら、事業運営を進めていきたいと考えています。
【コンテナ船事業】
Q-1:コンテナ船事業について、2026年度上期はコスト増による赤字が予想される一方で、下期は前年比で増益の計画となっているのは、中東情勢が正常化するという想定によるものでしょうか。
そもそも、需給環境はどのようにお考えでしょうか。供給増の圧力もあると思われますが、増益が可能かどうかも含めて教えてください。
A-1:2026年度の需給環境の見通しは、ONE社としては、2025年度第4四半期の状況が基本的には継続すると見込んでいます。これが出発点です。
その中で、2025年度の特徴としては、前半に米国の通商政策の影響により荷量が大きく変動し、いろいろと変化がある年でした。
今年は、ホルムズ海峡封鎖の影響が懸念されるものの、楽観視はできないが、一定程度需給並みの成長が見込まれると考えています。
供給面では、現時点でホルムズ海峡封鎖の影響が出ています。スエズ運河に関しても、年間を通じて通峡が難しい状況が想定されるため、いきなり大きな供給過多になることは想定していません。現在の状況が1年間継続しながら、昨年顕著に見られなかった夏場や冬場のピークシーズンも戻ってくると考えています。
その結果、下期にはONE社の業績が回復する見通しです。
Q-2-1:今年度のONE社の売上がプラス11%という前提に関して、数量要因と単価要因に分けた場合、どのような前提になっているのでしょうか。 数量要因が影響している場合、マーケットシェアの状況やマーケットの見通しなど、その背景も含めて教えてください。
A-2-1:2025年度は特に、ONE社が強みとしている主要航路である北米航路において、米国の通商政策や、それに伴う米国向けの積地の変化が発生しました。
反省も含めてお伝えしますが、ONE社がこれらの変化に対応しきれなかったことが、2025年度の反省材料として挙げられます。2026年度はその反省を踏まえ、本来の積高に戻すための営業対策を実施することが、売上増加につながっているとご理解いただければと思います。
Q-2-2:11%増の中身は数量増がメインということでしょうか。
A-2-2:そちらがメインです。
【資本政策】
Q-1:500億円以上の機動的な追加還元の公表について、このタイミングでの発表はありませんでしたが、検討状況を教えてください。
オフバランス傭船料込みの自己資本比率を50%前後へ向けた資本適正化に関して、実施規模などの再検討なのか、中東情勢などの不透明感に起因するものなのか、さまざまな検討事項、要因があると考えられますが、あらためてもう少し詳しく教えてください。
A-1:昨年、8,000億円以上の株主還元の中で、500億円以上の追加還元を実施すると発表してから1年が経過していますが、まだ実施されていない、というご指摘かと思います。
ご指摘のとおり、昨年は米国の通商政策やUSTRの動向があり、現在は中東情勢やイランの紛争など、非常にめまぐるしく経営環境が変化していることが背景の1つとして挙げられます。
先ほど説明がありましたが、マネジメントアロケーションの800億円も、どのように使うのか、何にいくら使うのかはまだ決まっていません。
この2つの件は、中期経営計画の期間中には使途を決めるとともに、株主還元は今年度の中期経営計画期間内に意思決定をすることを大前提としています。経営に影響を及ぼすさまざまな事象を見ながら、適切なタイミングで決定していきたいと考えています。
1年が経過してしまい、申し訳ありませんが、引き続き検討中であることをご理解いただければ幸いです。
Q-2:マネジメントアロケーション800億円は、先ほど今年度中に進めたいとお話をされたように思います。
過去の議論では、800億円のマネジメントアロケーションについて、成長投資なのか、還元なのか、いずれにしても次期中計期間にまたがる可能性についても指摘があったかと思います。
あらためて、マネジメントアロケーション800億円の使い方やタイミングを教えてください。
A-2:マネジメントアロケーションに関して、先ほどの私のご説明が不十分だったようです。要点としては、800億円を今年度中に使用するのではなく、800億円をどのように使うかを今年度中に決定するとお伝えしました。
この中のどれだけを次の中期経営計画期間に持ち越して投資に充てるのか、あるいは今年度中に株主還元を行うのか、来年度以降の株主還元に充てるのかなど、さまざまな選択肢があります。それらの方針を今年度中に決定していくという趣旨です。
【現中期経営計画の振り返りと次期中計への重点課題】
Q-1:スライド17ページに記載している「将来的なROE15%以上」という数値は、将来のかなり長い期間を考慮した上で設定しているように思います。次期中期経営計画の期間内においては、ROEをどのような目線でお考えでしょうか。
資本効率の改善と利益の成長に取り組む中で、今年度の計画におけるROEの前提は5%となっています。そのため、15%に到達するには、それぞれどのような取り組みが必要なのかを聞かせてください。
例えば、ONE社であれば、これくらいの数値を必ず出さなければならない、自社の事業においてこうした取り組みが必要といったように、なにかしら考えているのではないかと思っています。その点の見解をうかがいたいです。
A-1:次期中期経営計画は、ご指摘のとおり、現在まだ策定中の段階であり、具体的な数値は出ていません。スライド16ページで述べたとおり、2023年度のROEは7%、2025年度は8%となっています。
これらは全社の数値ですが、10%を超えている事業も存在しているのが実情です。これらも含めて、波は若干あるものの、一つひとつ利益を着実に積み上げていくことが重要です。
また、スライド17ページで示したオペレーション・機能戦略に基づき、付加価値を提示することによって、積み上げて行ければと考えています。
ONE社を含めたROE15%の達成は、将来的な新しい目標として設定しています。次期中期経営計画の終盤に向け、この目標を着実に達成するか、もしくは確実に達成できる見通しを作り上げたいと考えているのが、現時点での検討段階での当社の考えです。
次期中期経営計画は、スライド下部にも記載のとおり、2026年度中に公表する予定です。その際には、より詳細なご説明をしたいと思っています。
Q-2:次期中期経営計画の方向性として、短期的に資本の適正化を目指すということで、自己資本比率の目安をお示しいただきました。これを早期に達成するには自己株式取得が有効だと思いますが、そのような認識でよいのか確認させてください。
その場合、還元のあり方として自己株式取得が適しているのか、あるいは配当の予見性を高めるほうがよいのか、配当と自己株式取得のいずれを選択すべきか、なにかお考えがあれば教えてください。
A-2:自己資本比率50%を目指すと明記しており、それを軸に検討していきます。ただし、単年での達成は難しいため、複数年かけて徐々に目指していく方針です。
その際には、今後の投資をどのようなかたちで実施していくかによって、バランスシートがどのように変化するかを十分に考慮する必要があると考えています。
株主還元に関しては、まだ明確な方針を決めていない状況ですが、この点も十分に検討する必要があります。ご指摘いただいた自己株式取得や配当などは、それぞれに効果があると考えています。こうした効果も考慮しながら、今後の方針を決定します。
現時点では、単年ではなく複数年のスパンで、投資、還元、その他さまざまな要素を総合的に考慮して決めていく状況とご理解いただければと思います。
Q-3:自己資本比率50%前後を目指すということで、従来から最適資本構成に関してさまざまに検討しているとうかがっています。すでに50%が最適という結論に至ったと理解してよろしいでしょうか。また、どのような議論があってこの数字になったのか、教えてください。
A-3:最適資本構成は、KPIとして何を基準に説明するのが適切かというと、自己資本比率だけで必ずしも説明できるとは考えていません。
先ほど説明したとおり、現行のオフバランス傭船料込みの自己資本比率が約60%というのは、資本として多いのではないかと考えています。このような問題意識をかねがね持っており、そのような説明も行ってきました。
スライドには「まずは短期的に自己資本比率(オフ込)50%前後をめどに資本最適化を目指す」と記載していますが、ここでの50%は1つのマイルストーンとしての数値です。最適資本構成において、自己資本比率50%を最終的なゴールと現時点で決めたわけでは必ずしもありません。
自己資本比率を50%の水準まで持っていくには、さまざまなプロセスを踏む必要があり、一定の時間が必要だと考えていますが、少なくともこの水準は、早期に適正化の方針で実施することを前提として、今回このように記載しています。
最適資本構成をどのようなKPIで評価し、どのように説明するのかは、次期中期経営計画の検討の中で、さらに踏み込んで説明できるよう、引き続き検討を進めていきます。
Q-4:今回、自営事業のROICの進捗も開示いただきましたが、全社ROICの目標である6-7%に対して、まだ到達していないというのが今期計画の状況かと思います。この差分をどのように整理しているのか、おうかがいできればと思います。
事業別でROICの水準がかなり異なるのではないかと推測しています。どのような点が課題であり、次期中期経営計画に向けてどのような対策が必要と考えているのか、コメントいただける範囲で聞かせてください。
A-4:おっしゃるとおり、自営事業全体のROICを表記していますが、社内ではさまざまな事業ごとに経営管理を行っています。その中には、6-7%を十分に上回っている事業もあれば、やや低迷している事業もあります。
そのような低迷している事業に対してどのようにテコを入れていくのか、どのように規模を調整していくのかが今後の重要なポイントとなります。
次期中期経営計画において、ROICを通じてROEにどのように反映させていくかは、まだ検討の余地があると考えています。さまざまな事業をどのように取り扱っていくのか、まさに現在まとめている最中です。
事業ごとのWACC(加重平均資本コスト)についても、当社では経営管理の中で使用しています。これについても、どのように考え、どのようなかたちで事業運営を進めていくかをあらためて整理していきたいと考えています。
【その他】
Q-1:中東情勢に関して、現状では燃料の不足などのリスクがあり、フジャイラも攻撃を受けています。リスク対応を、海運全体としてどのようにお考えでしょうか。
オペレーションにおいて、燃料やサプライチェーンの管理はリスクがない状態でマネジメントできているのか、将来的にもその点の心配はないのかも聞かせてください。
A-1:燃料は、さまざまな場所で供給がタイトになったり、ショート気味になったりする事態は発生しています。しかし、当社が船を停めなければならないほど手配が滞ることはなく、必要な量を正確に提示し、サプライヤーと協議することで、大きな問題なく確保できています。
今後も十分に確保できると考えていますので、大きな不安は感じていないのが実情です。
Q-2:次期中期経営計画は、今回の中東情勢の影響を受け、構造的に変化する部分があるのではないかと思います。そうした変化を見きわめて、次期中期経営計画の前提に反映させる考えはあるのでしょうか。
それがビジネスチャンスとなったり、事業に影響を与えたりするのであれば反映するべきだと思います。
A-2:ご指摘の点に関して、何をどこまで織り込むのかは、難しい部分があります。例えば、エネルギーを含むトレードパターンが一部変化することも考えられます。そういう意味ではトンマイルが変わったりすることはあるかもしれません。また、そうは言いながらも、化石燃料を含めた存在感や重要性がこれまでとは異なるかたちになる可能性もあります。
そうした要素をできる限り考慮し、一定の幅は持っておく必要があると思っています。そのうえで、慎重に考えながら計画を作成するつもりです。
ただし、オプションを持ちすぎて方向性が定まらなくなることも避けなければなりません。一定の方向性を定めたうえで、どのように幅を持たせるかを検討していくことになるかと思います。