【自営事業】
Q-1: 自動車船事業の2025年度の輸送台数について、新規の部分も含めて、昨年から横ばいに近いところで見ているということでしたが、米国だけでどれぐらいの台数減少と見ているのでしょうか。また、米国向けの輸出は全体の何割程度あるのかも教えてください。
A-1: 今回当社で策定した数字については、カナダ、メキシコを除く遠洋航海で米国に入って行く数量が大体370~380万台程度と見ていて、そのうちの30%程度が年間を通じて減少するという捉え方にしています。これはおおよそ100~110万台の減少となり、一般的に新聞等で報道されている2025年度の年間の数量減と大体合致すると見ています。その中で当社が輸送している部分については、数字として現れていませんが、一定程度が米国向けで減少すると捉えています。
Q-2-1:2025年度の自動車船の輸送台数は北米向けが減るものの、新規でカバーするため全体の数量は横ばいという理解です。一方、経常損益の計画は、2024年度と比べて2-3割程度減る予想になっています。この背景を教えてください。
A-2-1:自動車船の数量の話と損益に対する影響の度合いについては、資料8ページ目に記載がある自営事業の減益部分の大半が自動車船とご理解いただければと思います。一方で、足元の北米の輸送市場は、駆け込み需要等はありますが、昨年から継続的に右肩上がりで推移していることもあり、お客様から米国に限らず長期的な契約をいただいていました。その分があり、2025年度通期の輸送台数予想を4万6,000台程度減らしていますが、先ほどのご説明のとおり、米国向けは一定台数減少している状況になっています。
収支の見方については、米国向けの減少も含め、全体的にマーケットが緩むことも勘案したうえで、策定しています。
Q-2-2:自動車船事業の減益見通しの背景は、米国向けの輸送台数減が大きいのでしょうか。
A-2-2:一番大きい要因については、資料8ページ、2025年度関税影響考慮前のところをご覧ください。為替について、12円程度の円高の影響が効いていますが、自営事業について自動車船の分が大きいです。為替影響が大きいことに加えて、先ほどご説明した輸送台数減とそれに伴う若干の市況の減退を織り込んだものが、自動車船の収益の落ち込みの原因とご理解いただけたらと思います。
Q-3:スエズ運河について、本日米国船への攻撃を止めるというニュースがでていますが、イスラエル関連船への攻撃は変わらず、今年の1月後半の状況に戻ったということになると思います。そうすると、リスクがあるから運航できないという、元の状況に戻るということになるのでしょうか。前提の置き方について、考え方を確認させてください。
A-3:スエズ運河の件は、まだまだ確認しなければいけない点は非常に多いと思っています。仮に米国関連船は攻撃しないとしても、例えばイスラエル関連船といった場合、イスラエルのオーナー、イスラエル向けのサービス、イスラエル向けの貨物など、何が対象になるのか不明確です。さらにそれらを攻撃しようとして、誤って他の関係のない船が攻撃されてしまう可能性もあると思います。本船、乗組員及び貨物の安全を第一に、保険等の状況を考えると、確認しなければならない点はまだ多数ありますので、簡単にスエズ運河通航を再開するような状況には至らないのではないかと、現時点では考えています。
【資本政策】
Q-1:キャッシュフロー計画の考え方について、今回は中計期間の営業キャッシュフローを見直していませんが、これは中計最終年度である2026年度の経常利益1,600億円の計画を前提にしているのでしょうか。
A-1: 2026年度をどう見ているのかは、さまざまな影響があり得ると思っていて、1,600億円とは別の数字を前提に、営業キャッシュフロー1.5兆円は確認できるとしています。ただし来年度の業績はまだ見えない部分も多々あり、上振れや下振れもあると思うので、この点はある程度考慮をしなければいけないと思います。500億円の株主還元の増額については、この点を考慮しても、投資キャッシュフローが減ったことも含めて、確実に確保できると考え、当社の還元方針に従って積極的に株主還元に回したものです。
Q-2:今回株主還元を500億円増額していますが、投資キャッシュフローは減額しているので、差し引き800億円程度の配分未定のキャッシュがあると思います。これは営業キャッシュフローあるいは来年度の1,600億円という経常利益目標が下振れたときのバッファーとして残しておきたいということなのか、または違う考えがあるのでしょうか。
A-2:800億円のマネジメントアロケーションは、ご指摘のとおり、営業キャッシュフローの下振れがあった場合には吸収されるべきでしょうし、更なる株主還元もあり得るでしょう。先ほどご説明した投資の後ろ倒しについて、遠い先ではなく、27年度に少しずれた程度のものについては、一定程度用意しておく必要があるかもしれません。これらを踏まえて今後判断していきたいと思います。
Q-3: 投資キャッシュフローについて、従来の計画から1,300億円程度投資キャッシュフローが減少、投資がずれるということと、資産売却によるプラス効果ということですが、もし数字があればその内訳を教えてください。また、資産売却は船が多いと思いますが、中身を紹介できるものがあれば教えてください。
A-3: 1,300億円程度前回から減った内訳は、資産売却によるキャッシュインが300億円程度増えたこと、残りは主にLNGのプロジェクトの中計以降へのキャッシュアウトの期ずれ、鉄鋼原料船の竣工の期ずれなどです。その他も含めておおよそ船関係のものが1,000億円、資産売却時のキャッシュインが300億円程度とご理解いただければと思います。
資産売却は、船の処分が多いですが、以前発表した、4月のケイラインロジスティックスの株式の譲渡によるキャッシュインが一部含まれています。
【コンテナ船事業関連】
Q-1:全体の利益計画の中のコンテナ船事業について、関税の影響を考慮する前の535億円と、考慮後の370億円の計画の前提となっている荷量や運賃に関して、定量的な補足データがあれば教えてください。
A-1:資料8ページ目中央の関税影響考慮前の数字はONE社が示している2つの数字のうち、税引後損益11億ドルがベースになっています。すなわち、2024年度の実績から、その11億ドルという数字を作成した3月時点の短期運賃マーケットと、長期運賃マーケットを考慮して見立てたものです。一方で、当社の関税影響考慮後の数字は2024年の実績から、11億ドルも踏まえて、その後の直近のマーケットを織り込んでいます。米国による関税が発表された後に、駆け込み需要で短期運賃が一時的に上昇する傾向もありましたが、これがいつまでも続くとは見ておらず、どこかで落ち着いていくであろうことも踏まえています。
荷量については、資料中央の関税影響考慮前は概ね昨年と同量を前提にしています。それに対して、関税影響考慮後の数字は、主に米国航路で一定程度荷量が落ちることを織り込んでいます。
Q-2: コンテナ船のトレードパターンについて、足元何か変化はあるのでしょうか。直近だと中国から北米向けより、ベトナムから北米向けの短期運賃が上がっているというような話も聞きます。迂回生産などが起きているのかどうか確認できたらと思います。
A-2: トレードパターンの変化については、現在中国からのブッキングが止まっていることは事実としてあります。その代替輸送として、ご指摘のベトナムや他の積み地からのブッキングが増えているということは一時的にはありますが、短期間でサプライソースが中国から他の国に代替することや、仕組み替えができるようにはなりません。米国で現在何が起きているかというと、小売のマーケットでの在庫が日に日に逼迫、不足しているということです。これに対して、今後1、2ヶ月で米国がどう切り替えてくるのかをまず見きわめることが必要になると思います。それを踏まえて、その後のトレードパターンが本当に変化していくのかどうか、見ていく段階になっていくと考えております。
Q-3:現状のSCFIのスポット運賃と川崎汽船の2025年度の見込み前提の比較についてです。輸送量は当然落ちていると思いますが、スポット運賃は実は落ちておらず、下げ止まっている状況ですが、この点2025年度の見込みの前提とどのような差になるのでしょうか。また、年間の契約運賃について決定したという報道もありますが、2025年度の見込みにはどのように織り込まれているのでしょうか。
A-3:運賃のレベル感について、長期と短期、それぞれご説明します。
まず長期運賃は、昨年度に比べて今年は、特に北米航路と欧州航路において、若干の値上がりで成約が進んでいます。一方で、主に北米航路について、お客様によっては、先行き不透明感を見越して、契約における年間数量保証のサイズを縮小しているということは、傾向としてあります。
次に短期運賃は、関税影響が出る前と後で若干上下に振れています。関税影響が出る前は、旧正月後から短期運賃は相当下落し、昨年の期初のレベルまで落ちたことが実情です。関税の発表があった後は、当社としては一時的と捉えていますが、駆け込み需要が発生し、それに伴って現在は運賃が若干上がった状態で推移しています。これがいつまで続くか注視している状況です。