【自営事業】
Q-1-1:製品物流のコンテナ船事業を除く部分の利益について、下期の予想が前年比で減益に見えますが、この大半が自動車船だとすると、どのような背景によるものなのか教えてください。


A-1-1:先ほど説明があった為替の影響を、上期と下期でいずれも受けているので、通期で見ていただくのがよいと思います。通期の収支という意味では、足元堅調な荷動きが続いていますし、24年度内はスエズ運河を通れず喜望峰を回航する前提で業績予想を作っています。通期では昨年よりも増益の形で着地する前提にしているので、上期、下期で船の入れ出しもありますが、通期で見ていただければ堅調な業績が続くと、ご理解いただけると思います。

 

Q-1-2:前年度下期と今年度下期の比較で見てもコンテナ船以外の製品物流の業績が減益に見えてしまうのは、自動車船以外の事業が悪化しているということですか。


A-1-2:自動車船以外の部分もありますが、どちらかというと上期と下期で部門に配賦されている為替影響が出ていると見ていただければよいと思います。

 

Q-2:決算説明会資料8ページの、エネルギー資源の業績予想について教えてください。為替などのご説明はありましたが、エネルギー資源セグメントの経常利益が上期6億円、通期でも50億円というのは、当社の船隊規模を考えると、少し物足りないと思います。この点について問題意識や、今後の方向性について教えてください。


A-2:エネルギー資源について、今年度は全般的に色々な契約の切りかえの時期や関係会社からの配当の時期の関係など、いろいろな意味で端境期となっています。来期以降は、もう少しエネルギー資源の収支も積み上がっていく見込みです。加えて、先ほど中計の進捗ということでご説明したLNG船の追加契約など、今後積み上がっていく利益については足元2~3年間で出てくるものではなく、26年度以降に当社の収支に反映されてくるものなので、もう少し時間をかければ、収支の数字はかなり積み上がる想定です。この点については、一定程度の投資案件が固まった段階で、しっかりご説明してお示ししたいと思います。

 


【コンテナ船事業関連】
Q-1-1:コンテナ船事業について、下期の運賃と輸送の前提を簡単に説明していましたが、追加で何かあれば教えてください。現状SCFIなどを見ると短期運賃は上がっていますが、この点はどのように認識しているのでしょうか。


A-1-1:一番影響を及ぼすのは、これから年末にかけて欧米での年末商戦で在庫がどの程度はけていくかということです。需給関係は、この点から最も影響を受けると考えています。外的な要因としては、今年9月末にアメリカの東海岸で港湾労働組合との協約期限が切れてストライキが起きましたが、これは3日間で終わりました。ただ、ストライキが終わったのは労使交渉が合意されたからではなく、1月15日まで現行協約を暫定的に延長しているものです。そのため、アメリカ東岸の労使交渉が1月15日までに決着するかどうかが、コンテナ船事業に限りませんが、特に北米のサプライチェーンに影響します。さらに、Ocean Network Express社(以下、ONE社)も含めて業界内で来年2月にアライアンスの改変が行われます。その影響は既に一定程度のコストとして見込んでいますが、それで済むか、それ以上出てくるかということが考えられると思います。

 

Q-1-2:足元の短期運賃の上昇はどう捉えていますか。


A-1-2:短期運賃は7月から8月にピークを迎えて、その後落ちつつあります。これは見通しどおりですが、その落ち方としては9月末から10月にかけて想定以上に大きく下がりました。これが下期予想の下振れの一番大きな原因ですが、この下落に対してONE社のみならずコンテナ船各社は定期的に値上げの努力を続けています。上がったり下がったりという局面が今繰り返されていて、今だけみると年末のクリスマス商戦の締め切り手前にあるのでいったん上がっていますが、これがこのまま安定するか、下がっていくのかは実需との関係で見通すことは難しいと考えています。

 

Q-2:コンテナ船の来年度の需給見通しをどう考えればよいでしょうか。いろいろな変動要因があって難しいと思いますが、仮に現時点のスエズ運河回避の状況が来年度も変わらないと想定した場合に、コンテナ船の需給をどう見るべきかを教えてください。


A-2:コンテナ船の来年度の見通しは、現実的にはかなり難しいと思います。1つ言えるのは、2024年の新造船竣工による供給増加は10%弱と、ここ数年で最大の新造船供給だったということ、来年度が5%弱という見通しで、一旦大量に新造船が竣工したタイミングから少しずつ新造船の供給が減っていくというのが来年の見通しです。
新造船の供給ペースは落ちますが、スエズ運河の状況が今のまま続いたとしても、いわゆる需給バランスという意味ではちょうど今バランスしている状態です。それでもまだ供給圧力は続いている中、新しいアライアンスの体制、スエズ運河以外の要因による短期運賃の傾向が今後どうなるか注視していきます。ただ、過去の経験からお話しすると、運賃のアップダウンには波がありますが、悪くなったときに長期化しないという船会社側の努力が定着しつつあると思っています。また、古い船がスクラップされずに積み上がっているので、いわゆる下方柔軟性、調整の余地は船会社側にある状況です。そのような環境の中で、来年の市況が上に行くとか下に行くというような見通しについて、現時点ではコメントできません。

 


【キャッシュアロケーション、株主還元】
Q-1:今回の株主還元の追加部分に関して、営業キャッシュフローの増加に比べて株主還元の追加の規模が大きくなっていますが、どう考えればよいでしょうか。上期までの見込みに対しても、自己株式取得の規模が大きいですが、どのように決めたのかを教えてください。


A-1:中計累計期間での株主還元額は、前回7,000億円以上から今回300億円改善させています。一方、営業キャッシュフローについては1,000億円の改善です。還元額は、今回機動的な還元ということで追加の自己株式取得を900億円としています。もともと7,000億円以上の段階でも追加還元という枠組みでタイミングも含めて内容を発表していなかった500億円があり、今年5月から7月に行った自己株取得でも100億円の枠を余していることも踏まえて行っています。そういったこともあり、キャッシュフローと見合わないということになっています。

 

Q-2:営業キャッシュフローは今回1,000億円増額されて、その配分が300億円還元に回されましたが、残りの700億円はどうなっているのか教えてください。


A-2:営業キャッシュフローが1,000億円増え、還元にまず300億円充てるということを明確化しました。残りについては、今後の業績動向も一定程度踏まえ、当社が企業価値向上に必要な投資も含めて見定めたうえで、必要に応じて機動的かつ積極的な株主還元を継続していきたいと思います。まずこの段階では株主還元として300億円を増やしたということでご理解下さい。


Q-3:本決算の公表時に追加還元枠1,500億円を設定して、そのうち約900億円を自己株式取得で消化したので、残り約600億円の追加還元枠となりました。それに対して今回新たに自社株買い900億円と増配100億円を発表、計1,000億円の還元を発表したことになるので、約400億円を機動的に増やしたという理解でよいのでしょうか。


A-3:追加還元の計算は、ご理解のとおりです。

 

Q-4:株主還元の7,000億円以上を7,300億円以上に300億円上げた配分は、今回の900億円の自社株買いや100億円の増配で既に充当されたのでしょうか。


A-4:来期と再来期の還元予定もありますので、中計累計期間で計算するとまだ7,300億円にはなりません。

 

Q-5: 決算説明会資料11ページの、キャッシュフローアロケーションについて教えてください。今回投資キャッシュフローは7,400億円で据え置きとなっていますが、これは意思ある据え置きなのか、それとも、とりあえず営業キャッシュフローと株主還元を優先して、投資キャッシュフローの精査はこれからということなのでしょうか。考え方について教えてください。

 

A-5:投資キャッシュフローについては、意思ある据え置きではなく、絶えず見直しを実施して、その見直しの結果、現時点で数字を据え置くことになったというものです。数字ありきではなく、当社としては、やはり企業価値向上に必要、成長に必要な投資はしっかり行っていかなければいけません。投資規律も維持しながらですが、この点を踏まえての足元での投資計画、投資キャッシュフローです。今後また新たな案件があれば、それに応じて投資キャッシュフローを増やしたり減らしたりしていくということです。よって、今後も継続して成長及び企業価値向上に必要な投資は手を緩めずに、しっかり行っていきたいと思います。

 

Q-6:今回追加の還元で自己株式取得900億円と増配100億円を決定しましたが、この内訳になった理由、自己株式取得と配当の分配の仕方の考え方を確認させてください。例えば配当の水準感として、来期の配当計画は600億円ですが、この水準に対してどうしていきたいのかなど、示唆があれば教えてください。


A-6:当社は、インカムゲイン、キャピタルゲイン、双方を志向する株主に配慮した上で、配当及び自己株式取得という形で株主還元に取り組んでいます。特に資本効率の改善という観点から、自己株式取得が資本効率の改善に資するという考えもあるので、配当に加えて自己株式取得も進めているものです。来期以降については、また時期が来た段階で配当も含めてお示ししたいと考えています。当社としては、しっかりキャッシュフローを稼いで、配当、自己株式取得も含めて安定的に株主還元を実行できる業績を上げていくとともに、財務の健全性をも確保していきたいと考えています。

 


【為替差損益】
Q-1:為替差損についてトータルの金額はわかりましたが、各事業にどの程度の影響を与えているのでしょうか。また、今年度から在外子会社等の収益、費用の換算の際の為替レートは期末レートから期中平均レートに変えていますが、資産の換算の部分は期末レートを適用するので、今後も期末レートの変化が、かなりの影響を与えるということでよいのでしょうか。これは、為替のセンシティビティではどのように説明されるのか、1円変動で±16億円としていますが、あわせて教えてください。


A-1:外貨建ての現預金及び債権債務がどのような形で期末に出るかは、ご理解のとおりです。ONE社の持分法適用利益の範囲については四半期ごとの平均レートに変えましたが、外貨建ての債権債務は期末の為替レートで一括して毎回洗い替えを行います。1円±16億円の影響は、この点も含めたうえで変動額を計算しています。