【自営事業関連】

Q-1:ドライバルクとエネルギー資源、コンテナ船事業について一過性の費用が発生したという説明がありましたが、それぞれのセグメントでどれくらいの一過性費用があったのか、またその要因について教えてください。紅海情勢が影響していると認識していますが、確認させてください。

 

A-1:一過性費用は定性的な説明にとどめていて、内容や金額までの開示をする方針はありません。ドライバルクについては3つくらい要素があり、パナマ運河の通航制限などによる滞船の影響によるもの。また、荒天、天候が悪いことによって本船が遅延したことによる費用。それから各部門に配賦している一般管理費において、想定していなかった一過性の費用がドライバルクとエネルギー資源に関して発生しました。これらの要因で、下方修正額相当プラスアルファくらいの金額が、第3四半期に発生したということです。

コンテナ船事業については、追加費用が発生したというよりは、積高並びに運賃率が想定より悪くなり、第3四半期は非常に厳しい市況だったことによって、予想していた収支に満たなかったという事情がありました。

 

 

Q-2:自動車船について、コンテナ船事業以外の製品物流の利益を見ると、第2四半期までと第3四半期で利益が落ちています。この背景を教えてください。輸送台数も、トータルで見ると前年度よりも落ちていますし、主要なロングホール、往路、復路などあまりよくない状況になっていると思います。なぜこのようになっているのか教えてください。パナマの渇水など、何か特別な下落要因があったのでしょうか。一方で通期利益は、増益しているので第4四半期で挽回できるように見えます。どのように考えればよいのか、教えてください。

 

A-2:自動車船事業にフォーカスして説明します。上半期との比較において、第3四半期はご指摘のようなパナマの渇水による通航の制限や、オーストラリアやそれ以外の各港で滞船がかなり発生していました。その分輸送台数の減少につながりましたし、業績にも影響を与えています。ただ、第4四半期は、もちろん喜望峰回りの航海を実施することにはしていますが、逆にオーストラリア等々を中心に一部滞船が緩和しています。これに加えて、スポット貨物の取り込みなどの努力によって、埋め合わせているような状態になっています。現時点で自動車船については、通期で前回公表値と同じ水準の業績予想を継続しています。

 

 

【コンテナ船事業関連】

Q-1:コンテナ船に関して、紅海情勢の影響で12月くらいからスポット運賃が高騰していますが、その割にはあまり利益の上方修正に至っていない印象です。これは、恐らく喜望峰回りの迂回や配船繰りの費用が先に出ているからだと思うのですが、そのような費用は大体どれくらい今回の業績計画の中で見ているのでしょうか。

 

A-1:現在のような状況がいつまで続くかは不透明ですが、マーケットでは中国の旧正月明け以降需要が下がっていくという傾向があり、ONE社の業績予想にも一定程度を織り込んでいますので、現状では収支予想にそれほど大きな上積みは乗せていないとご理解ください。

 

 

Q-2-1: ONE社の事業計画について、3月の年度末までには策定するという話も聞いていますが、マクロ環境の見通しが非常に厳しい中、ボトムアップで業績予想を積み上げて、色々なKPIを出していくのは、とても難しいと思っています。そのような状況で、どのようなロジックで、どのようなつくり方で事業計画の策定や公表ができるのでしょうか。

 

A-2-1:ONE社の事業計画をどのような形で説明するかは、現在株主の間で協議をしています。事業環境が昨今変わっていく中で、という点についてはご指摘の通りですが、ONE社は開業から約5年以上オペレーションを続け、一定程度の競争力もつけてきました。そこから乗り出しの主たる資産である船舶について、親会社3社から借りている状況から、徐々にONE社が自立して投資をしていく環境にあります。そのような状況の中で、まずは一定程度の骨太な方向性や事業に対する方針などをご説明するような内容を考えています。

 

 

Q-2-2:上場していない会社なので、どこまで定量的に開示するかという問題はありますが、投資家が期待しているONE社の事業計画は、かなり定量的な裏付けに基づいたものです。現在検討されているものは、そのような定量的な計画というより、ビジョンや、中長期的なありたい姿のようなものなのでしょうか。

 

A-2-2:ビジョンにどれだけ定量的なものを織り込めるか、まさに今詰めているところです。

 

 

【株主還元政策、資本政策、最適資本関連】

Q-1:株主還元について、今年度期初に残りの中計期間で1,100億以上の追加還元をすることを公表され、562億の自社株買いを実施されました。今回は追加配当という形でこの追加還元を実施されたと思いますが、株主還元の手法として自社株式取得なのか配当なのかの選択において、どのような議論を社内でなされたのか教えてください。

 

A-1:詳細の経緯まではお示しできませんが、いろいろな議論をしました。23年度においては自己株式取得を既に実施しています。中計期間における還元総額5,000億円という1つの目安に近いものを、このタイミングで還元すべきであると考える中で、先ほどご説明したような要素なども勘案すると、今年度と来年度の配当という形が、株式市場で株主の皆様に一番歓迎されるのではないかと考え、総合的に勘案して決定しました。5,000億円「以上」としていますので、今後もキャッシュインが増えればその分だけ還元原資も増やすことができ、ここまでで自社株式取得を止めてしまうということではありません。これからも、キャッシュフローの状況を見ながら、当社の企業価値を上げるのに一番効果的な株主還元を選択していきます。

 

 

Q-2-1:今年度の追加の増配は、キャッシュフローを見ながら、というお話で言うと、何がどのように変わったから、ということになるのでしょうか。業績予想は何も変わっていませんし、キャッシュフローの源泉となる自営事業は前回公表比で若干下方修正されているので、キャッシュフローという兼ね合いからすると、今期増配というのはピンとこない気もします。例えば設備投資が思ったほど増えないなどの事情もあるのでしょうか。業績予想がそれほど変わらない中で、キャッシュフローを見るとき、なぜ増配が可能なのかを教えてください。

 

A-2-1:前回の株主還元政策の公表では、同じ利益水準で1株当たり200円の配当とすることをご説明しましたが、これは必ず1株当たり200円の配当で留めるということではありません。その時点での収支状況やキャッシュフローを見ながら、その段階では自社株式取得と1株当たり200円の配当とお話ししたものです。それを必ず守り抜いてこれ以上増配しないということではなく、現状第3四半期までで数字が確定的になり、キャッシュフローも見えてきましたので、ご指摘あった投資によるキャッシュアウトなども含め全体的に勘案した上で、今期は合計で1株当たり250円の配当をすることが、当社の株主還元政策上、最も有効的であろうと考え決定したものです。

 

 

Q-2-2:外部から見ると、利益計画はあまり変わっていませんが、キャッシュフローはもともと若干余裕を見ていたので、その余裕を今回見極めた上で、還元することにしたということでしょうか。

 

A-2-2:概ねご理解の通りです。

 

 

Q-3-1:説明会資料 12ページの資本政策のスライド、「企業価値向上に向けて」の3番目の項目に、最適資本構成を含む株主還元政策と成長戦略のアップデートを5月に行う予定という記載があります。これは株主還元の方針を、レバレッジの目標をつけてアップデートする予定と理解すればよいでしょうか。

 

A-3-1:最適資本構成で、ご指摘のようなレバレッジ、DERをどうするのかという論点ももちろん含まれていますが、もう少し全体的な整理になると思います。かつての歴史的な出来事として、当社は2016年頃の深刻な不況時、各事業の事業リスクが顕在化してしまい、累計すると、当初想定していたリスクバッファー、端的に言うと自己資本を凌駕するかもしれない状況になりました。このような経験を通して、リスク管理の問題は海運業にはつきものとの認識を非常に強くして、以後リスクと自己資本というものを考えるようにしています。これも要するに財務の健全性ですが、一方で資本の効率性も非常に大きな要素として考えなければいけません。この2つ要素の中で最適資本の水準はどこにあるのか、これは一度設定して継続すればよいような、固定的なものではないと思っていますが、これを形にしようと現在検討しているところです。レバレッジを増やせばよいというだけの結論ではなく、その点も含めた全体的な絵姿を現在模索している状況です。

 

 

Q-3-2:それが決まったら、株主還元の方針に影響を与えるという認識でよいでしょうか。株主還元方針もアップデートするということでしょうか。最適資本、株主還元、成長戦略について精査し、どのように変えるのか、変えないのか、その理由や考え方についても公表するということでしょうか。

 

A-3-2:そうなると思います。