【自営事業関連】

Q-1-1:自動車船事業について、四半期毎の自動車輸送台数が、第1四半期と比べて第2四半期は減少し、また前年同期比の輸送台数と比べてもさらに減少しています。この背景を教えてください。通常だと増えているはずだと思うのですが、個社要因で何かあるのでしょうか。それに伴って利益への影響などはあったのでしょうか。

 

A-1-1:第2四半期の輸送実績は第1四半期よりも減少していますが、一番大きなポイントは往航の部分です。往航に関しては、第1四半期よりも第2四半期の方が輸送台数が増えています。足元では港の混雑による滞船の影響等で船の回転率が若干落ちていますが、その状況下であっても往航についてはしっかり積み増しが図れていて、採算性の高い貨物も取り込めていますので、こちらが主軸になっています。それ以外の復航や三国間でも影響が出ていますが、基本的には輸送台数の落ち込みというよりは、配船パターンによる台数の変動ということで、収益性としては第1四半期、第2四半期ともに引き続き堅調に推移していますので、この台数減少による影響はほとんどありません。

 

 

Q-1-2:往航でも、昨年の第2四半期に比べても輸送台数が減少しています。夏場は一番輸送量が多い傾向だと思うのですが、これはいろいろな制限や混雑の影響を受けているからなのでしょうか。

 

A-1-2:第2四半期は夏休みがあるので、例えばヨーロッパ側も日本でも若干自動車の出荷がスローダウンします。必ずしも第2四半期が増える傾向ではないかと思います。ただ、先ほどお話ししましたとおり、滞船等船の回転率が落ちているところがあるので、その分輸送台数の伸びはこの水準にとどまっているとお考えください。

 

 

Q-2-1:自動車船事業について、上期も通期も業績は上方修正されていると思いますが、輸送台数は引き下げられています。これは下方修正要因と思いますが、一方で為替前提は円安方向に修正しているので、こちらは上方修正要因だと思います。他船社はそのような中で自動車船の利益は若干の未達、或いは下方修正している状況であり、何が川崎汽船にとって上方修正の要因になっているのでしょうか。

 

A-2-1:今回の第3四半期、第4四半期の輸送台数の予想数値のとおり、半導体や部品制約による生産減少はほぼ解消された前提で、各お客様からはかなり強いご出荷要望を聞いています。それに対応すべく実際の船回しも含めて変更するとともに、同時にHigh & Heavy貨物も含めて比較的採算性の高い貨物の取り込みも行えていることから、当社としてはこのまま収益を上方修正した形で今期は落着できると思っています。輸送台数としては、先ほどご質問いただいたとおり、第2四半期は若干減少していますが、第3四半期、第4四半期は順調に推移すると見ています。この点において、他船社が実際どのような配船をされているのかわからないところがありますが、当社としては堅調に事業を進めていくことができると考えています。

 

 

Q-2-2:輸送台数の前提を下げている中で、利益が上方修正されたというのは、貨物のミックスがよくなっているからということでしょうか。また他船社より値上げがしっかり交渉できているということなのか、確認させてください。

 

A-2-2:上方修正要因で一番大きい点として、ご指摘いただいたとおり貨物のミックスは最適化に向かっています。足元では来期に向けてまだまだスペース不足が予想されていて、輸送能力を確保しようとされているお客様もいらっしゃいますので、そういった意味では輸送ミックスの改善と、一部で運賃修復も進んでいますので、その影響があります。また、為替の影響も含んでいますので、これらも踏まえて上方修正した形になっています。

 

 

Q-3:今回営業利益を30億円上方修正されていますが、これは部門別にどの程度上げて、下げているのでしょうか。

 

A-3:自営事業の製品物流とご理解いただきたいと思います。どの事業部門ということは開示していませんが、製品物流セグメント内の自営事業の一部門の利益伸長が、この営業利益全体の伸長に資しているとご理解いただきたいと思います。

 

 

【成長戦略、最適資本構成など】

Q-1-1:成長戦略の、自営事業の部分について、計画を上方に見直していくということですが、これは経常利益目標である+1,400億円がある程度全体で見えて、どういう形で見直していくのか、わかる範囲、言える範囲で教えてください。ROEや投資なども過去1年間で計画より積み増しているものや、今後どういうものを織り込んでいきたいかなどを含めて、現状でアップデートできる限りで考えを聞かせてもらいたい。

 

A-1-1:成長戦略への取り組みについて、きっかけとなったのは、中計1年目が終わり、2年目に入って、足元の実感として連続的な成長の部分はもう少しできるのではないか、ここを伸ばせて、契約ももっといろいろな形でできるのではないか、まず連続的な部分においてもう少し改善できる余地が出てきたのではないかという感触も得ていて、もう一度全体を見直したいと考えたことが一点です。

 もう一つは、必要に応じて非連続的な手法も排除せず、フラットにいろいろ検討することによって、当社の事業、成長を牽引する役割を担う事業がどう強くなるのか、これらのいろいろな選択肢も踏まえて包括的にもう一度見直そういうことで取り組みを開始したところです。

 

 

Q-1-2:これは今後半年ぐらいですぐ結論が出るようなものなのでしょうか。適宜出せるものを公表していく形で、徐々にアップデートしていこうという考えなのでしょうか。

 

A-1-2:中計期間も2年目に入り、来年には折り返しになるので、まずはこれまでの振り返りも含めてアップデートするという意味合いもあります。当社としては、これから半年でかなりの部分を進められるのではないかと思っていますので、この半年でできる範囲で、当社の新たな事業戦略、数値目標についても、来年の本決算発表のタイミングで発表したいと考えています。

 

 

Q-2-1:最適資本構成というのは常に資料に書かれていますが、もう少し定量的に把握できないか教えてください。他船社はオフバラのリース債務込みで自己資本比率などを出していますが、川崎汽船もそういうことを目指しているのでしょうか。もしそうであれば、例えば上期末でのオフバラのリース債務はどのぐらいあるのか、それを含めて最適資本構成はどういうものを目指していくのか、もう少し定量的にフォローアップいただけないでしょうか。

 

A-2-1:オフバラも含めた自己資本比率については、前回計算して50%台だったと思いますが、これは大きく変わらないとご理解いただければと思います。

最適資本構成については、決まった定量的な出し方をするという考え方や、一定のレンジを持って考える方法など、いろいろな方法があると思いますが、まず当社の自営事業については、それぞれ事業別管理も踏まえて、大分考え方の整理ができてきたと思います。あとは今取り組んでいるONEの事業計画、資本政策などの数値がまとまってくると、当社としてもより明確な考え方がまとまってくるのではないかと思っています。それらも踏まえた上で、今後どのような表し方をするか、引き続き検討していきたいと思います。

 

 

Q-2-2:最適資本構成については、基本的にはオフバラのリース込みで考えるという理解でよいでしょうか。

 

A-2-2:当社としては、長期債務ということであれば、基本的にはオフバラも含めた考え方が、最終的には適正な評価ができるのではないかと考えています。競合である欧州系の船社もIFRSということで、各社同じ物差しですので、当社としては基本的にはその方向で見ています。

 

 

【コンテナ船事業関連】

Q-1:コンテナ船について、恐らく下期からの緩やかな運賃回復を想定していると思います。その中で減便をしながら、運賃値上げもしながら、ということだと思いますが、今後の運賃値上げの時期、目先どのようなタイミングで値上げをするのか教えてください。また、今年の4月以降値上げをかなりしてきたと思いますが、足元のお客様の反応はどのような感じなのか教えていただけないでしょうか。

 

A-1:運賃値上げのタイミングですが、まさに11月1日のタイミングで各航路、これはONEのみならず各船社が値上げに動いています。その後数日しか経っておらず、この効果やお客様のリアクションまで細かく入手できていません。次の値上げのタイミング等々に関しては、予測は難しいですが、来年2月10日が中国の春節で、通常は春節1か月前程度が需要、荷動きが活発になる時期です。