【当社の株主還元について】

Q-1:今回の自社株式取得について、上限600億円という数字はどのように決められたのでしょうか。

 

A-1:当社の自社株式取得について、取得価額の総額と取得する株数の総数の上限を決めるに当たり、株価の水準として足元の水準をまず前提におきました。その上で、今期の当社の追加還元枠の500億円以上という前提のもとに、株数としての上限を決める必要がありました。また、実際に実行するに当たって十分な自己株式取得ができるだけの資金的な裏づけも必要だろうということで、その株数上限と、足元の株価の実勢、マーケット動向なども勘案すると、600億円くらいの資金枠が必要だろうということから、この上限額に決定したという背景です。

 

 

Q-2:株主還元について、今後4年間で1,100億円以上の追加還元を掲げている中で、この第1四半期から既に600億円の自己株式取得を発表したのは非常に速いペースだと思います。これはもう早期に資本構成を見直すべき、あるいは見直していきたいという考えに基づくものなのですか。また、今後1,100億円以上とされている追加還元枠は最低値と考えて、今後さらに拡大させていくような考えがあるのかどうか、現状の考えを教えてください。

 

A-2:当社の中期経営計画における株主還元方針について、キャッシュフローを中心にして、その中から成長に必要な事業投資を最優先に行い、かつ財務の安定性を担保するだけの内部留保を確保した上で、それ以外の部分は積極的に株主還元するという方針です。その結果として、現時点で追加還元1,100億円以上のうち、今回600億円を上限とする自己株式取得を公表したので、残り500億円以上を2026年度までに還元することにしていますが、この部分だけを取り上げて数字を変える、変えないという議論ではありません。全体的なキャッシュフローの計画や、それから投資の計画などが、先行してどうなっていくかを見極めた上で、株主還元を決めていくと考えています。よって、現段階でこの数字がどうなるのかというご質問に対して、確定的な答えはないということをご理解ください。

 

 

【自営事業関連】

Q-1:自動車船事業について、非常に高水準だった前期の利益から、今回さらに積み上げて増益になっていますが、この利益水準はどこまで継続できるのか、あるいは今後さらに利益を積み上げる余地はあるのか、また運賃修復交渉の現状での手応えも含めて教えてください。また、今期の自動車船事業の利益水準については、出来過ぎなのか、あるいは川崎汽船が考える適正な利益水準はもっと上なのかという点についても、考えを教えてください。

 

A-1:先ほどご説明の通り、船腹が不足し需給がタイトな状況は足元も継続しています。また、この先荷量についても、生産制約の緩和も含めて上昇していくと思いますので、現状の利益水準は一定期間続くと思います。船腹需給についてもこの先数年間大きく改善する見込みはない、というのが基本シナリオと考えています。

また、足元の運賃交渉について、全てのお客様が輸送能力のキャパシティを押さえることを非常に重視されているので、現状では運賃修復が進んでいる形になっていますが、今後の運賃交渉の展開はなかなか予想しづらいところがあります。また今の利益水準が出来過ぎかどうかという点は非常に難しいですが、一定程度は適正な運賃水準に到達していると理解しています。

 

 

Q-2:説明会資料の15ページ、CAPEのエクスポージャー率について、足元22%のエクスポージャー率になっています。前年度の第1四半期のエクスポージャー率を見ると11%でしたが、足元市況が低迷しているので、なかなかエクスポージャー率を下げることができないのでしょうか。また、今後のエクスポージャー率に対する方針などあれば教えてください。

 

A-2:基本的にエクスポージャーのとり方について大きく方針を変えていません。ご指摘のとおり前期と今期の第1四半期を比べるとエクスポージャー率が増えていますが、これは契約を決めるタイミングの市況がどうであったかということによります。例えば前年度の第1四半期は、その前の年(2021年)の秋くらいの時点から貨物を固めていきますが、その時点の市況がそれなりの市況でありました。一方で、今年度においては昨年末から中国のゼロコロナ政策もあり、市況が非常に低迷しており、そこで固めなかった結果となっています。その時々でFFA(海上運賃先物契約)の状況なども見ながら、できる限りエクスポージャーを小さくしていく努力を継続しています。

 

 

Q-3-1:第1四半期の実績、また今回の上方修正の1つの大きな要因として為替があると思います。第1四半期実績の為替による上ぶれの金額、また通期全体で50億円の上方修正について、為替感応度で単純に計算すると100億円くらいは為替で持ち上がっているように見えますが、その理解でよいでしょうか。

 

A-3-1:センシティビィの数字、為替の見通しをどのように変えたかもお示ししていますが、概ねご理解のとおりの規模の為替による動きがありました。

 

 

Q-3-2:第1四半期の上ぶれについても、通期業績予想の上方修正についても、大きな上方修正の要因としては、為替が一番大きいという理解でよいでしょうか。

 

A-3-2:ご理解のとおりです、一番大きな要因は為替です。

 

 

Q-4-1:自動車船について、上期も下期も、従来予想比で40億円程度利益が上方修正されているように見えます。上期については、自動車船の輸送台数は下方修正されているので、その中で業績予想の上方修正というのはどのような背景があるのでしょうか。また下期については、輸送台数は変えていない中で、上方修正とはどういう背景なのか。為替が影響しているのかもしれませんが、詳しく教えてください。

 

A-4-1:自動車船の上期、下期の収益の上方修正は大きく2つ理由があります。1つは為替が円安に振れたこと。もう1つは、輸送台数は多少変化していますが、運賃率の高い貨物の取り込みと、配船効率を予定していたよりも効率的に回せているという、事業運営による収益向上です。この2点で上期、下期とも上方修正しています。

 

 

Q-4-2:自動車船事業について、為替による上方修正は金額としてどのぐらいあったのでしょうか。また為替以外のところは、会社の自助努力が効いているということですか。

 

A-4-2:個別事業について為替影響等々は開示していませんので、この場での回答は差し控えたいと思いますが、概ね事業毎の売上規模に比例していると思います。為替以外の部分は、事業運営での上方修正です。

 

 

【コンテナ船事業関連】

Q-1-1:コンテナ船事業の前提について、短期運賃は6月頃の運賃が7月から9月に続く前提で、そこにコスト削減を加えた業績予想の数値という認識でよいでしょうか。足元で運賃値上げなども始まっていますが、下期になるとその値上げもある程度定着するということで、従来の前提から大きく変えていないということでよいでしょうか。

 

A-1-1:短期運賃レベルに関しては、ご理解のとおり、この6月、7月の過去2カ月あたりがマーケットで言う、いわゆる底であると見ています。8月以降は運賃レベル・積高とも回復していくと想定していますが、通期でならすと下方修正になっているとご理解ください。

 

 

Q-1-2:7-9月期の業績予想が低い理由は、現状の短期運賃の水準がそのまま続くという前提で反映されているということでしょうか。先ほどの説明では、夏場のピークシーズンにおける運賃値上げについては収支計画に反映されていないということでした。

 

A-1-2:8月以降の短期運賃の水準については、現時点で運賃の値上げ幅がどの程度になるのか具体的にまだわからないので業績予想には織り込んでいません。

 

 

Q-2:コンテナ船事業の下期の利益見通しについて教えてください。第2四半期から下期にかけては増益で見ていると思いますが、その理由として挙げられたのが1つは短期運賃が上がっていくということで2つ目がコスト削減だったと思いますが、そのコスト削減の中身を教えてください。いわゆる通常の運航費や可変費の削減のレベルなのか、あるいは通常と異なるようなコスト削減を計画しているのか、内容や規模も含めて教えてください。またコスト削減の規模感は通常よりもさらに大きくなるということでしょうか。

 

A-2:コスト削減は多岐に及びます。通常のオペレーションの合理化、またフィーダーや陸送など色々なベンダーとの契約交渉も含めた、船会社として通常行うコストセーブを網羅した積み上げのものです。コスト削減の規模感については、一部航路の配置換えなども含まれるので、目標値としては通常よりも多めに見ています。

 

 

Q-3-1:コンテナ船の短期運賃について、第2四半期から下期にかけて上がっていく前提という説明でしたが、普通夏場のピークシーズンを迎えて、その後中国の国慶節を迎えて下がり、また旧正月後に下がるという、下期は季節的には下がっていくイメージではないのでしょうか。なぜ短期運賃が下期にかけて上がっていくという見方ができるのか教えてください。

 

A-3-1:荷量については、昨年度の第3四半期、昨年10月以降、主に北米とヨーロッパで荷量が落ちて、その在庫調整がいまだにはかどっていませんが、荷量は少しずつですが回復しています。また、暦年の後半に上がっていくだろうという期待は、消費国であるアメリカ、ヨーロッパで、感謝祭やクリスマスなど消費の時期ということで、暦年の上期より下期に上がっていくだろうという見通しです。1月以降のことはまだはっきりしたことは分かりませんが、現状では暦年の下期に持ち直すであろう荷量が1月以降も続くのではないかと見ており、運賃レベルもそれを反映したもので、下期全体を予想しています。

 

 

Q-3-2:通常の季節性よりも、景気サイクルが上昇トレンドになっていく中で荷量も増えて、運賃も上がっていくという、通常とは異なるパターンで想定されているということでしょうか。

 

A-3-2:ご理解の通りです。

 

 

Q-4:ONE社の収益の考え方について、特に第2四半期は損益分岐点の水準だと思っています。ONE社として年間で6億ドル程度の金利収入があると思います。第2四半期は、金利収入もあり黒字なのであって、コンテナ事業としては赤字という利益構成と考えればよいでしょうか。

 

A-4:ご理解のとおりONE社は通常の営業収益とは別に、営業外で金利収入もあります。6月、7月の運賃レベルはONE社に限らずマーケットの底を打ったと称されるレベルであり、他船社も採算分岐点を割る水準だと見ています。したがいましてONE社も週によっては瞬間的に営業段階で赤字だったこともありますが、現在は回復途上にあります。