【当社の株主還元および、ONE社からの配当について】

Q-1:今回1株当たり300円の期末配当予想を継続した理由について教えてください。

 

A-1:これまで当社の経営課題であった財務基盤の拡充が想定より早い段階で達成できました。その中で、配当政策をピンポイントで考えるのではなく、成長戦略を含めた中期経営計画を立案し、その中で配当のみならず株主還元全体について、来期以降も継続性があり、企業価値向上に寄与し、且つステークホルダーの皆様にも喜んでいただけるものをトータルにつくり上げる必要があると認識しています。新しい中期経営計画をきちんと策定した上でまとめてご説明、ご報告をしたいという趣旨がありましたので、このタイミングでは前回配当を変えていないとご理解ください。

 

 

Q-2:(決算説明会資料P.7) 期末配当については、最終的に通期業績を踏まえて決定とありますが、これは、ONE社からの受取配当金によって変わってくるという意味合いで捉えてよいのでしょうか。教えてください。

 

A-2:配当は、日本の会社法上、連結決算の損益計算書ではなくて、単体の損益計算書から導かれる利益剰余金の多寡に応じて、配当可能額を算定し、それを上限とするというルールがあります。従いまして、連結ベースでいくら利益を上げても、単体ベースで還元されないと、なかなか配当に結びつかないという事情があります。その意味では、ONE社だけではないですが、ONE社からの受取配当金は、当社のみならず、ONE社の親会社である邦船3社の配当政策を決める上での大きな要因になっていますので、その見極めをすることも、実務的には必要なステップと考えています。

 

 

Q-3:ONE社から親会社への期中配当に関して、何らかの弊害や障害は特にないという理解でよろしいでしょうか、教えてください。

 

A-3:親会社への配当を含めてONE社が事業活動をする上で、何か特段問題が生じていることはありません。こうした事象は、例えば実際に決議がなされるなど、確定的な事案に基づいて決算発表なり配当方針なりを発表するものと考えていますので、当社としては、ONE社の現状の様々な決め事に従って、アナウンスをしているものとご理解いただきたいと思います。

 

 

Q-4:(A-1の回答にて) “来期以降の継続性のある配当”というご説明があったと思いますが、“継続性”という意味は、配当性向という意味で考えた方がいいのか、絶対額で考えた方がいいのか教えてください。

 

A-4:特段こういう形で配当するという具体的なものがあって継続性と申し上げたわけではなくて、企業としてなるべく多く、継続的に、安定して配当を行うことが1つの責任だと思いますので、そうした一般的な意味合いで申し上げたものとご理解いただきたいと思います。

 

 

【策定中の当社の新しい経営計画について】

Q-1:次期中期経営計画のところで「企業価値の向上」という言葉がありますが、この“企業価値”とは何と捉えて実行されようとしているのでしょうか。

 

A-1:当社として捉えております”企業価値”は非常に多義的なものでして、”企業価値がこうである”という定義が特にあるわけではありませんが、アナリストの皆様や株主の皆様とのこうした場で申し上げるとすると、ある一定の投下資本利益率を保った上できちんとした投資を実行して、将来のキャッシュフローを創出していくことが、企業価値を向上させるために必要な1つの財務的な要素であろうと思っています。その側面に限って言えば、当社として将来キャッシュフローを創出できるような成長戦略を描いて、当社の”企業価値”、多義的な企業価値の中で、株主の皆様、ステークホルダーに対する企業価値、言うなれば“株主価値”を上げていこうという理解でおります。“全般的な企業価値とは何か”については、社内でも実際にいろいろな議論をしているところでして、この場での回答としては、今申し上げたような財務的な面での定義とさせていただきたいと思います。

 

 

 

【通期業績予想】

Q-1:下期に不定期船やオフショア支援船の不採算船・事業の構造改革として前倒しで実施されていると思いますが、前回第2四半期の公表時に見通されていた構造改革はほぼ完了したという理解なのでしょうか。第4四半期に追加で構造改革等は行う予定があるのでしょうか。教えてください。

 

A-1:構造改革に関しましては、当社が想定していた構造改革は全て当期中にやり切ったと言えようかと思います。追加で行う予定はありません。

 

 

【コンテナ船事業関連】

Q-1:来年度のコンテナ船市況について、アップサイドとダウンサイドシナリオについて、もしお考えがあれば教えてください。

 

A-1:1つは、現在交渉中の来年度の長期運賃契約の見直しがどういった形で決着するかがポイントになろうかと思っています。北米航路においては長期契約比率が65%程度、欧州航路においては50%程度ですが、この部分の運賃がどういう水準で決まっていくかが1つのポイントになろうかと思っています。それによって、短期運賃の動き方もある程度影響を受けるのではないかと思っています。サプライチェーンの混乱は来年度、少なくとも2022年の暮れまでは続くであろうと思っていますので、基本基調としては運賃市況が崩れる形ではないと思っていますが、長期運賃がどう収まるのかという部分で、足元の短期運賃に引き摺られる形で、相応のレベルで成約事例が報告され始めていますが、その見極めが1つあると思っています。

 ダウンサイドシナリオについて、サプライチェーンの混乱が思いのほか早く収束することです。これはお客様へのサービスをきちんと提供する意味では望む部分ではありますが、運賃市況という意味では下がる傾向になろうかと思っています。あとは、政治動向、経済動向など、中国政府とアメリカ政府の関係や貿易摩擦がどう動くかということは1つあるかと思っています。それから北米西岸ターミナルにおけるILWUとの労使交渉がどう展開していくのかという部分など、いろいろな要素でネガティブに働く部分はあろうかと思っています。

 

 

Q-2:第4四半期のONE社の見方は「過度に保守的ではない」とご説明されたと思いますが、逆に言うとまだ保守性を残しているとも聞こえたのですが、もし若干でも保守性を感じているとすれば、どのあたりを保守的な部分として考えていらっしゃるのか教えてください。

 

A-2:ONE社の予想部分の評価ですが、そもそも日本の会社は会計原則として保守主義、なるべく合理的な範囲で保守的な数字をアナウンスすることによって、ステークホルダーの利益を守るというような考え方がありますので、ONE社についても、現時点での予想数値は健全な保守主義をもとに数字を出しているものと理解しています。ピンポイントで、どこがすごく保守的だということではないとご理解いただきたいと思います。

 

 

Q-3:コンテナ船の長期契約運賃について、業界紙などの情報によると、次年度の長期契約運賃がスポット運賃に比較的近い水準で落ちついたといった話も出ていると思いますが、ONE社に関しては、どういった状況なのでしょうか。

 

A-3:ONE社の場合も、一般的に伝えられているところと概ね同じような動向です。現段階で、成約例がそんなに多いわけではありませんが、成約例を見る限り、短期運賃にある程度近いレベルで決まっているとご理解いただいて構いません。

 

 

Q-4:第4四半期のONE社を除いたコンテナ船事業の利益について、マイナスがいつもより多いような気がします。何らか傭船の早期解約をしたなど動きの変わっている点があれば、教えていただければと思います。

 

A-4:マイナス要素について、特に例年に比べて数字が大きく違っているとは思いませんが、為替の関係はあるかもしれません。

 

 

Q-5:ONE社の中期計画、船隊整備計画について、議論の進捗についてアップデートされているのかどうか。また川崎汽船として思ったような形で纏まりそうなのかどうか教えてください。

 

A-5:ONE社では、事業計画という言い方をしていますが、3月末までに何らかの形で皆様にご提示できるよう、最終調整に入っているところです。中心となるのは船隊整備計画となっており、きちんと船隊を整備していかないとコンテナ船事業は立ち行きませんので、継続的に自らサステナブルな形で船隊整備をしていくことをベースに、最終調整をしているとご理解ください。