【通期業績予想】

Q-1:当期の通期業績予想について、ドライバルクや自動車船事業において、不採算船の処理は前年度に進められたと思いますが、各事業で当期利益の収支改善としてどれぐらい見込んでいるか教えてください。特にドライバルクでは、当期の経常利益が186億円改善すると見込まれていますので、市況要因による効果なども含めて教えてください。

 

A-1:前期度比較での186億円の改善の内訳ですが、ドライバルク市況及び荷況回復だけを切り出すと130億円程度になります。それ以外の50億円程度は、昨年度低市況時の配船効率の低下、あるいは一過性の燃料油価格影響からの改善等によるものです。

 不採算船処分による収支改善は単年度で見られるものではなく、長期的にどう効果を出すかなのですが、当期については市況改善がその効果を上回って大きく出ており、その中に埋没している状況ですが、長期的に見れば収支改善に資するということです。

 自動車船の不採算船処分の効果については、今回の目的は競争力の強化、稼ぐ力を強化するということで、既存の長期固定の中小型船、特にデッキ構成等の観点でHigh & Heavy貨物に向いていない船や効率性の落ちる船を減らし、且つ減らすだけでなく大型船の短期傭船への入れ替えを進めました。この結果、船隊全体の大型化率も上がり、効率性はアップしています。稼ぐ力という意味では2019年度を上回る収益力になっていると判断しています。

 

 

【株主還元】

Q-1:5期連続の無配ということで、まだ財務状況が厳しい一方で、一つの要因として単体の配当原資が不足しているということと思います。今回この経営計画が達成される、乃至は、ONE社から今後期末配当を受け取るなどすれば、当期末時点で、配当原資の確保が可能なのかどうか教えてください。

 

A-1:当期の配当予想については、未定とさせて頂いていますが、今回CDS社の売却に加えて、ご指摘の通りONE社からの配当も1つの鍵となります。当社としては、ONE社にて収支が大きく改善する中、今後の代替船の投入も含めて新造船などの必要な投資も行っていく一方、親会社への配当についてもONE社及び他の株主2社とも今後協議していく予定ですので、その状況を見ながら当社の配当政策にどう反映するか考えていきたいと思います。もう一つポイントは、今回ご説明申し上げた通り、不採算事業・不採算船の構造改革も検討していますので、その進捗ともあわせて、これら3つの動向を踏まえながら、配当について決めていきたいと考えています。

 

 

【事業セグメント関連】

Q-1:決算説明会資料11頁にある、当期のドライバルクの市況前提は、ケープサイズが第1四半期で$24,000とされており、足元の市況水準と比べるとやや低い印象なのですが、この市況前提の考え方について教えてください。

 

A-1:ドライバルクの市況については、ご指摘の通り、本日現在の市況水準と比べて市況前提は低くなっていますが、足元の状況が非常に大きく動いており修正し切れていないところがありますが、特にケープサイズは、$40,000近辺まで上昇しており、若干過熱し過ぎていると見ています。一方で全体的には第1四半期もあと5月、6月とありますが、当社の状況はエクスポージャーを下げておりますので、残念ながらその市況影響は大きく受けないことになります。下期については、若干落ちていく想定をしていますが、前述の通り市況に過熱感があること、中国の粗鋼生産量の調整、あとは新型コロナウィルス感染再拡大による経済停滞という懸念材料があると見ています。

 

 

Q-2:当期は半導体製造装置の不足等の懸念材料があると説明会資料にも記載がありますけれども、当期の計画についてそうしたリスクを織り込んで自動車船事業の業績見通しを策定されているのでしょうか。保守的な計画とされているのかどうか、教えてください。

 

A-2:国内の半導体工場の被災による自動車生産への影響は、6月以降一定程度出てくると思いますが、上期については既に一定程度の荷量の減少を織り込んでいます。下期については、各自動車メーカーとも生産量を挽回される前提ですので、1年を通して見れば、ほぼ計画通りに推移するものと見ています。

 

 

Q-3:コンテナ船の業績見通しについて、年間契約やスポット運賃の前提はどのように置かれているのでしょうか。

 

A-3:運賃前提については、大きく長期運賃と短期運賃に分かれています。長期運賃についてはONE社との間で数字を確認しており、最終的な長期契約の結果を取り纏めているところですが、2021年度の運賃水準は、2020年度比で約3割以上上がっているものと思われます。長期契約の比率は航路毎で異なりますが、北米航路は半分以上になると思います。一方、欧州航路の長期契約比率は半分以下となり、その他が短期や中期のいわゆるスポット契約の比率になります。スポット運賃については、現在の旺盛な貨物需要の下支えや、またサプライチェーンの混乱に伴うスペース不足等もあり、短期運賃市況は高水準で推移していますが、この辺りはいずれ収束していく想定の下、なだらかに短期運賃水準は下落していく想定です。

 

 

Q-4:コンテナ船の年間契約の運賃水準が前年度比30%以上の上昇というのは、海外船社などから聞こえてくる50%、60%という数字からすると小さいように思いますが、どのように捉えればいいのでしょうか。想定の前提となるONE社からの情報に実績のみならず見通しも含まれるということなのか、航路や荷主構成の違いもあり、違和感のない数字なのでしょうか。

 

A-4:長期契約運賃については、まず、現在ONE社で最終的な取り纏め段階にありますが、その中で、3割以上の値上げが最低限確保できたであろうという報告に基づくものです。中身については今後精査して参りますが、海外船社など他船社の状況については分かりかねますので申し上げられません。この運賃値上げ幅の差異については、航路ポートフォリオの違いや、北米航路と欧州航路によっても値上げ幅はばらつきがありますし、顧客ポートフォリオによっても違ってくると思います。

 

 

Q-5:コンテナ船の2021年度業績見通しについて、上期、下期の数値は開示されていますが、四半期のトレンドで見た場合、2020年第4四半期(1~3月)の状況との対比でどういった前提として策定されているのか確認させて下さい。

 

A-5:運賃前提については、前述の通り、長期運賃は値上げを一定程度、確保した前提です。一方、短期運賃については、第1四半期をピークとして、その後、第4四半期にかけてなだらかに下落していく前提に立っています。このペースがどうなるか、あるいはどの程度運賃が下落していくのかは、第1四半期の結果を踏まえて、しっかり見極めたいと思っています。積高については、スペースが大きく増えるわけではなく、後はいわゆるサプライチェーンの混乱に伴う欠便などは加味しています。費用面では、サプライチェーンの混乱への対応ついて一定程度コスト増を見込まざるを得ないという前提になります。