【通期業績予想】

Q-1:当期の経常利益予想+500億円とされており。昨年8月に公表されたた経営計画では、2021年度の経常利益目標を+100億円とされていますが、来期業績については一時的要因を除くと、当期比減益になる可能性があるのでしょうか。

 

A-1:2021年度の経常利益目標+100億円という数値は、現時点では見直しておりません。考慮すべき点として二つの要素があり、一つは、ONE社の収支動向、それからコロナ禍影響がどう減じていくのかです。ONE社の収支について、現時点では非常に堅調ですが、来年度も今のまま続く確証が持てる状況ではありません。とりわけ足元のコンテナ船運賃市況は、先ほどご説明したようなコンテナ不足等々を反映して、非常に加熱し過ぎているとの印象もありますので、その部分が見えてこないと+100億という目標の見直しはなかなか難しいと思います。コロナ禍影響に関しましては、コンテナ船事業を除いた当社の他の事業は、来年度業績が回復する一方で、2019年度並みの水準に戻るとは言い切れない状況ではありますが、各事業における成約の伸び方等を勘案しますと、来年度経常利益+100億円は、現状では計上できるのではと思っております。

 

 

【財務体質・株主還元】

Q-1:財務体質の改善は最重要課題だと思いますが、通期業績予想で経常利益が+500億円となることを考慮しますと、復配は期待していいのでしょうか。また、復配に際しての条件についてどのようにお考えなのかを教えてください。

 

A-1:配当については数値基準があるわけではありません。当社の経営計画の方針は、自己資本を積み上げていき、2020年代半ばに自己資本額1,500億円、2030年には同2,500億円を達成することを第一に考えており、まずその目標達成を優先したいと思っております。そうした算段の上で総合的に判断して配当することになりますが、1つ補足しますと、この通期経常利益+500億円は連結ベースの数字にて、ONE社からの持分法投資利益は連結経常収支に寄与しており、日本の会社法上の配当可能額の算定基準である単体の利益剰余金には寄与してこないということになりますので、この500億円がそのまま配当原資となるわけではないことはご理解ください。

 

Q-2:劣後ローンを加味せずとも18%程度の自己資本比率ということですが、経営計画にて2020年半ばで同20%程度を目指すという目標がありますが、自己資本比率向上の為に様々な手法があると思います。この自己資本比率20%という目標引き上げの可能性も含めて、現状の財務体質についてお考えを教えてください。

 

A-2:第3四半期の時点で自己資本1,631億円、同比率約18%という状況です。昨年8月に公表した経営計画で掲げた2020年代半ばの自己資本額目標1,500億円を、この第3四半期において上回っており、当期末においても当期純利益が若干改善して同1,650億円程度となるという試算が可能な状況ではあります。ただし、自己資本額の目標数値を前倒しで達成したからといって、現経営計画で掲げている目標値を現時点で変更することにはならないと思っています。期中の数字でもあり、来年度の収支状況等々不透明な部分がかなりありますので、そうした要素を見極めた上で検討することになりますが、当社の5カ年の基本的な財務計画でもありますので、単年度の収支動向によって毎年数字を変更していくことにはならないのが基本的な考え方となります。

 

 

Q-3:当初の想定よりも利益が増加することで、他船社では不採算船処分などを早期に進めるような動きも出ていますが、この不採算部分の処分への対応はどう考えているのか教えてください。

 

A-3:コロナ禍対応や経営計画の一環として、船隊規模そのものの縮小は、当期に自動車船やドライバルク船を中心に精力的に進めており、不経済船の処分とは若干意味合いが異なりますが、他船社と同様の施策を行っているとご理解ください。一方で、2018年度に実施したように、大きな損失を計上して不経済船を処分することは現時点では考えておりません。当社の経営計画における一番の重心が自己資本の拡充にあるので、今の市況において当社の不経済船を対象に処分をすると、経営計画の本旨に反することになりかねない為、現時点では考えていません。ただし、船価等々マーケットによって動きますので、当社の財務状況と照らし合わせて、チャンスがあれば機敏に判断することは、将来的にはあり得ると思います。

 

 

【事業セグメント関連】

Q-1:ドライバルクセグメントについて、今回通期業績予想下方修正されたのは、第3四半期における市況の一時的な下落の影響とのことでしたが、一時的な市況の下落で下期だけでもこれくらい利益が落ちるものなのかどうかもう少し詳しく教えてください。コロナ禍の影響でドライバルク事業の市況エクスポージャーも増加していたと思いますので、そうした影響があるのかどうかや、COA契約の動向が影響しているのかなど、もう少し詳しく要因を教えてください。またそれらも踏まえて、来期のドライバルクセグメントの見通しも教えてください。

 

A-1:今回の下方修正につきましては資料に記載のとおり、第3四半期後半の大型船市況の下落の影響とありますが、下方修正した▲10億円のうち約半分が市況影響によるものです。COA契約が剥落したということではなく、特に大型船で市況に晒されていた部分の影響が大きく出ました。第3四半期で大型船市況を2万1,000ドルで想定していましたが、同市況が一時的に1万ドルまで大きく下落し、11月後半から12月にかけての平均でも1万3,000ドルぐらいまで下落しました。その影響が第4四半期に計上されてくるものです。それ以外の要素では、為替影響及び、コロナ禍影響による航路変更などがあります。来期以降につきましては、このコロナ禍影響がどうなのかはありますが、当社の見立てでは、荷動きは昨年の夏場以降回復基調にあり、2021年も継続していく一方で、船腹の供給圧力は小さく、需給バランスは改善傾向にあると見ております。

 

 

Q-2:エネルギー資源セグメントのオフショア支援船事業について、原油価格の下落で厳しい事業環境が続いてきたと思いますが、原油価格も概ね前年並みの水準まで戻ってきた中で、現状のオフショア支援船事業の稼働状況と、今後の見通しについて教えてください。

 

A-2:ご指摘のとおり、原油価格自体は今50ドル半ばぐらいまで戻りつつあります。しかしながら需要の観点では、このコロナ禍により、特にジェット燃料需要の大幅な減少等があり、いまだに原油需要として非常に弱いものがあります。なおかつ当社のオフショア支援船事業は北海での事業ですので、特に冬場に需要が減少する傾向があり、この2つの点で現状は厳しい状況が続います。来期以降については、この新型コロナウイルスの感染状況が収束して、人々の移動が戻ってくればジェット燃料需要も増えてきますので、そうなれば今後事業の改善も期待できるものと考えております。

 

 

Q-3:自動車船事業について、第3四半期にて経常黒字化したのでしょうか。また足元の半導体の不足等の影響もあり、第4四半期以降については、どう見られているのでしょうか。

 

A-3:自動車船事業の第3四半期の業績は黒字化を果たしております。また半導体等の影響についてですが、足元当社事業への大きな影響は出ておりません。ただ、先行きについてはまだまだ不透明なところがあり、引き続き状況を注視したいと思っております。

 

 

Q-4:足元のコンテナ船運賃市況の上昇がONE社の長期契約価格に与える影響を教えてください。

 

A-4:従来から短期運賃市況の影響を受けながら、長期見通しをどう見るかというところでの長期契約更改ですので、短期運賃市況の影響を受け、長期契約の価格運賃は上昇傾向にあります。ただし、この足元の市況がどこまで継続するのかという見方を含めて、交渉が必ずしも活発化しておらず、現時点で結果をご報告するところまでは至っておりません。

 

 

Q-5:コンテナボックス自体の価格上昇がONE社及び当社の業績に与える影響を教えてください。

 

A-5:足元のコンテナ不足に関しては、ONE社として、短期的にはリースコンテナの発注・確保をしており、これは既に通期の業績見通しに織り込んでいます。2021年度以降の中長期的には、代替需要が主になりますが、コンテナへの投資をどうしていくかは今後の課題になってくると思います。コロナ禍や足元のサプライチェーンの混乱がどう収束するか等々見極めながら、検討していくこととなると思います。