【第1四半期実績、通期業績予想について】

Q-1:コンテナ船事業の通期業績予想について、上期よりも下期に減益幅が拡大する要因について教えてください。下期にかけて徐々に荷動きが回復していくとのご説明があった中で、上期より下期の収支見通しが悪化している背景をお伺いしたいです。

 

A-1:コンテナ船事業については、第4四半期に傭船損失引当金を織り込んでいるのが一つの要因です。加えてONE社側からの話も踏まえて、様々な懸念がある中で、現時点で保守的な見方をして、上期と同様に全て奏功するようなシナリオは想定していない状況です。

 

 

Q-2:自動車船事業について、輸送台数が落ちた割には、コンテナを除いた製品物流セグメントの売上高があまり落ちておらず、また利益の悪化も相対的に小さかった印象を持っているのですが、どのようにマネジメントされたのかを確認させてください。

 

A-2:輸送台数の減少については、第1四半期、特に5月を底として、相当深刻な状況に陥りました。輸送、出荷ベースでは6割減少ということで、対策としてまずは停船を行い、一番多かった時で船隊の約半分近くが停まるという状況になりました。ただし、コールドレイアップなどの長期の停船は実施せず、全て一時的な停船として対応をしております。もう一つは運航面での合理化で、例えばこれまで別々に配船をしていた航路の統合などになります。

 自動車船については、昨年度から航路の合理化、船隊の絞り込みを相当進めており、今回減船も含めて機動的に対処できたと思いますが、それでもダメージは決して小さくない金額ですので、さらに最小化すべく進めていきます。

 

 

【経営計画について】

Q-1:事業ポートフォリオの見直しについて、今回の経営計画において、どのようにお考えなのでしょうか。

 

A-1:今回の経営計画では部門ごとでの投資の選別を厳しく見直しており、同じ事業部門内でも注力する分野とそうでない分野といった形で、事業部門内のポートフォリオの見直しを行っています。

 

 

Q-2:新規事業への取り組みについてどう位置付けられているのか教えてください。

 

A-2:資料22ページにも記載の通り、環境エネルギー関係事業(FPSO、再生可能エネルギー、GHG削減関連)の拡充や、グループ会社も含む洋上風力発電などの取り組みを進めており、今後の環境エネルギー需要の伸長も見込んで、当社としても体制を整えて戦略的成長分野への取り組みを進めているところです。

 

 

Q-3:自己資本拡充について、事業利益のみで積み上げていくのか、船舶・その他不動産などの資産売却による一次的な特別利益も含めて織り込まれているのか教えてください。

 

A-3:事業利益による積み上げを基本としますが、今年度については特別利益として、北米西岸ターミナル事業会社の売却や、老齢船の売船、その他一部不動産処分などを織り込んでいる他、現時点では織り込んでいないものの検討中のものもあります。

 

 

Q-4:資料20ページで示されている「安定収益型事業」による利益について、2021年度の100億円から、2025年度の200億円までの積み上げを示されていますが、こちらの確度について教えてください。また更なる積み上げも可能なのでしょうか。

 

A-4:こちらの数字はお客様別、契約別に積み上げており、また保守的にシナリオ前提を置いていることも踏まえ、確度の高い目標と思っております。ただし、足元のコロナ禍影響やお客様を取り巻く環境を鑑みますと、現時点でこれ以上の数字を見込むのは、楽観的過ぎるのではとも考えております。

 なお、「安定収益型事業」と「市況影響型事業」は、資料20ページ右下のように事業ごとに定義を見直しており、従来の一定期間以上の契約の有無と基準が異なっています。

 

 

Q-5:資料20ページで示されている、2021年度や2025年度、2030年度にかけての「市況影響型事業」の利益改善要因は、主に高コストの傭船の返船によるものなのでしょうか。それとも他の要因も含まれているのでしょうか。

 

A-5:傭船の返船以外の要因も含まれています。各事業部門で評価項目を設けながら、目標額を織り込んだ上での利益改善であり、返船以外にも合理化、コスト削減、営業努力などかなり細かなメッシュで項目ごとに積み上げたものに基づいています。

 

 

Q-6:資料21ページにある長期固定船隊縮小の表中には、コンテナ船が含まれているのかどうか教えてください。コンテナ船については、傭船契約期間満了に伴い、隻数は自然に減っていくと思いますが、実態としてどのような船隊をどのように減らしていくのか見通しを教えてください。

 

A-6:2020年度に352隻ある当社の長期固定船隊が、2025年度には300隻へと52隻減少としておりますが、ここには当社が傭船、あるいは保有するコンテナ船が含まれております。当社全体でコンテナ船は46隻ですので、極端に多くのコンテナ船がこの表に含まれているわけではありませんので、ご懸念のように、コンテナ船だけが先行して減少して、他の船種が減らないということではないと思います。

 

 

【その他】

Q-1:コロナ禍影響もあり自動車船事業の収支も厳しいとすると、コンテナ船業界のように、自動車船業界でも船社の集約や業界再編の可能性はあるのでしょうか。

 

A-1:自動車船事業で当社は輸送台数ベースで14%程度と十分なシェアを確保しております。またコンテナ船業界のように投下資本の大きい”装置産業”とは異なるため、規模の拡大を求めて事業統合したコンテナ船事業と置かれた状況は異なります。

 当社としては、以前から自動車船部門での航路網の合理化などの手を打って昨年度は黒字化を達成しており、当社の有する事業規模とこうした昨年度来からの取り組みも含めて、今後の黒字化は十分可能な事業と考えております。

 

 

Q-2:8月5日に発表された北米西岸ターミナル事業会社の売却について、当初想定されていたONE社へ売却しなかったことで、ONE社との関係性に何か変化が生じるのでしょうか。

 

A-2:当社とONE社との関係性について変化はなく、当社として引き続き良質な船舶の提供や人材の派遣などによりONE社の事業をサポートしていく方針に何ら変更はありません。