【コンテナ船】
Q1: コンテナ船において邦船3社でシェアの取り合いをしているというニュアンスのご説明があったと理解したのですが、その背景や現在も続いているのかなど詳細を教えて下さい。

A1: 昨年来から各船社において様々な統合発表がありました。APLとCMA-CGM、COSCOとOOCL、マースクとハンブルク・スード、ハパック・ロイドとUASC、そしてONE。これらは発表のみされて、実際にはまだ個別に運営しております。通常の需給で見れば、過去の経験則上、当初はそろそろ運賃が上昇する頃合と見込んでいましたが、統合前にシェアを確保した上で統合に向かいたいという心理が働いた社があったのではないかと思われます。決してONEの3社間でシェアの取り合いをしている事はなく、業界全般として船社間の統合がどんどん発表され、船社数が10数社から1桁になる中で、マクロ的な需給で言えば、そろそろ運賃が上昇してくるところが、実現せず、今までにない動きがあったと想像するしか説明がつかないというところです。

 

Q2: ONE社設立関係費用が約40億円ということですが、7月の新会社設立に伴って発生した追加費用か、それ以外でさらに7-9月が経過する段階で発生した費用なのか教えて下さい。

A2: 7月に会社を設立してから来年3月までに見込まれる損失となり、今後下期に発生してくると推定しております。1Q公表時点では確度を持った予測がつかず、収支計画に全てを織り込みませんでした。今回ONE側の報告で織り込めるだけの確度となりましたので、収支計画に織り込んだとご理解いただければと思います。

 

Q3: コンテナ船運賃市況について下期は上期並みと見られていますが、来期をどのように見られているか教えて下さい。

A3: 過去2年間赤字でしたが、需給は基本的にはかなり改善してきております。その中で今期この程度の運賃の修復にとどまった事は、大変不本意な結果です。アライアンスの組み変えや、船社の統廃合が基本的に一段落する前提であれば、来期は適正な水準への運賃修復は十分に期待できると考えます。8月以降、短期市況が上がるどころか、徐々に下がってきているのはご存知だと思いますが、ようやく11月1日の値上げで、北米航路については一定の値上げができるであろうという手応えになってきております。したがって、来期と言わず、下期から運賃の潮目が変わってくることを期待したいと考えております。

 

Q4: 現状は各社のシェアの争いの中で運賃が弱含んでいるということですが、来年度には各社が落ちついたサービスを提供して運賃が安定化する状況となるとお考えなのでしょうか。過去においては、統合後に統合会社内でも様々な争いがあり、なかなか落ちつかなかったようなこともあったと思うので、そのようなことが起こらないようにONEとしてどのような対策を想定されているか教えて下さい。

A4: ONEの中で3社が足の引っ張り合いをしているようなことは決してなく、3社ともこの会社を本当にいい会社にすべく一生懸命努力していますので、この点はご懸念には及びません。コンテナ船業界は昨年から今年にかけて歴史的な大変革が起こりました。1つには、今年4月にアライアンスの組みかえという約20年ぶりの大改編がございました。その前後には大手船社の合併統合、そして韓国の大手船社の破綻が起きました。そろそろ市況も落ち着きを見せてきたと期待しておりましたが、一部の船社は今年の夏の繁忙期での運賃修復に傾注できず、臨時船を出してまでシェアをとりにいった状況です。そのような理由で、これまで運賃修復ができておりませんでした。ようやく11月1日の値上げにおいて、北米航路がある程度、運賃値上げの実効が出る見込みですので、潮目が変わってきてくれることを期待したいと考えております。
また、マクロ的な指標の観点から言えば、去年、今年の消席率は80%の前半程度です。投入される東西航路のスペースと需要の関係では、今期需要は5%前後伸びていますが、あと1年ぐらいはこれが続くと思われます。2019年度頃からは、さらに逼迫すると推測します。過去の経験則から消席率が85%を上回ると需給に逼迫感が出てくるので、統合会社が1年経ち、ONEに限らずコンテナ船業界全体として、より安定的になると、もう少し状況は良くなると考えています。

 


【経営管理の高度化】
Q1:  経営管理の高度化に伴い安定利益を増やすことに関して、現状ドライバルクのマーケットは上昇基調で、長期契約の更新等ができる状況と思いますが、経営管理高度化の手法を当てはめると妥当な状況と認識されているか教えて下さい。

A1:  現在、精緻なものに仕上げる途中で、これをどう当てはめるかは残念ながらお答えできませんが、既存船の契約の延長に用いるよりも、新造船を発注する段階でいただける契約と、そのときの船価、市況マーケット等々のリスク量をはかる中でどういうバランスをとるかにより有効な手法になります。

 

Q2:  “K”LINE版のROICの考え方ですが、これを設定することで、前回中計で発表された、19年度の安定収益目標300億円超に対して、投資が消極的になるリスクはないでしょうか。グロス額のターゲットを最初示していただいていたので、そのハードルレートのフレキシビリティについて教えて下さい。

A2: 経営管理の高度化についてですが、リスク・アジャステッドのリターンを1つの物差しとして、投資をするとき、あるいは事業の評価をするときに使う事が主な目的です。その意味では、安定収益とは様々な定義がありますが、荷主との関係で長い契約をとれば安定収益になり、そのときに他の長期的な荷主との契約がない船と比べれば、リスク量は減るかもしれない。ただ、リスク量が減るが、それに見合ったリターンが低いのであればどうするだろうか。一方、エクスポージャーを抱えながらリターンが高いものの投資と比較するときに、どう経営判断するかということです。このトライアルは、私どもの会社としてその物差しを持つということになります。したがって、そのような事を念頭に置きながら、当社が現在考える戦略的に事業を拡大する部門にて、将来性等を勘案しながら投資を決めていくということです。

 

Q3: 事業リスクのコントロールについて、現状、リスク量の総和でどの程度で、現状の自己資本との兼ね合いでどの程度市況変動エクスポージャーを減らす必要があるか、どのように分析されているのか教えてください。

A3:  経営管理の高度化によりリスクの総量を計測し、連結の自己資本に収まるかについてですが、海運業におけるリスク量の計測については、当社は様々な事業部門があり、それぞれの特性を持った船の契約や、荷主との契約があり、計測手法の精緻化をまさに行っている、かつロジックを詰めているところです。商社や銀行などでこのような形でリスク量を計測しようとしている会社は多くございますが、何年か精緻化をした上で、公表している企業もありますし、内部管理的なシステムとして使っている企業もあります。当社は、この手法について精緻化をしている段階であるとご理解下さい。

 

Q4: 今株主資本コストはどういう認識をされているか、マーケットで見られている水準と同じと考えていいのか教えて下さい。

A4:  具体的にどのような数字を想定されているのかわかりませんが、基本的には大きく違った指標は使っておりません。中長期的にROEをどうするかも念頭に入れております。

 

 

【その他】
Q1: 営業外収益に計上されている独占禁止法関連損失引当金の戻し入れについて、その背景を教えて下さい。

A1: 独占禁止法関連損失引当金の一部につきましては、前連結会計年度におきまして、米国民事クラスアクションにおける米連邦裁判所の承認を条件とした一部和解を前提に計上しておりましたが、当連結会計年度におきまして米連邦裁判所による却下判決が確定したことから、前連結会計年度に計上した分を戻し入れいたしました。これは、四半期連結財務諸表に関する注記事項に、金額も含め、記載をしております。本件については米国分だけになります。

 

Q2: 構造改革及び引当金等の影響額について、コンテナ船事業における損失引当金効果がどの程度であったか教えて下さい。下期が、少し金額が減ると考えておりますが、来年度は引当金として計上した509億円がどのように影響すると考えておられるのか教えて下さい。

A2:  引当金については、決算短信の四半期連結キャッシュフロー計算書に、事業再編関連とその引当金の増減額で99億円を計上しており、これが実額です。下期と来年度以降に発生する予定ですが、内訳については公表しておりません。