【コンテナ】
Q1.下期の運賃前提について教えて下さい。

A1.指数は2008年度の第1四半期を100として、第2四半期の北米往航実績93、下期の往航平均運賃はこれより数ポイント下を想定しています。一方で、第2四半期の欧州往航実績は51、下期はこれよりも数ポイント改善することを想定しています。

Q2.欧州運賃について、第2四半期実績の51から下期は数ポイント上がると見ているとのことですが、需給環境が厳しい中そのように見ているポイントを教えて下さい。

A2.9月以降運賃が下がり続けており、10月末時点で第2四半期実績の51をかなり下回っています。11月1日から計画している欧州向けの運賃値上げで、弊社の場合は20フィート当たり1,200ドルを提示していますが、一旦指数ベースで数十ポイント位上がるだろうと見ています。その後の運賃下落ペース次第では、来年1月以降の長期貨物の運賃更改への影響が懸念されます。いずれにしても、特に足元スポット運賃は歴史的に見たことのないような状況が続いており、11月は各社の値上げ表明により一旦上がり、その後各社の減便などによる運賃修復努力がある程度結果に出てくることを見込んでの収支計画となっています。

Q3.今後の需給の見通しについて、下期の荷動きが更に減速すると見ているのか、供給の削減は本当に追いつくのか、川崎汽船としてあるいはアライアンスとしてどう対応するのか、全般的な考え方を教えて下さい。

A3.上期は全般にどの航路も供給過多の状況が続く中、北米向けは比較的好調でした。ようやく各社、各アライアンスが減便やサービスの休止を幅広く進めており、夏辺りまでは全体の2%位に留まっていた係船が、足元では5%近くまで増えてきています。係船が5%を超えると需給が締まり運賃市況も反転してくるという過去の傾向がありますが、残念ながらまだそこまでには至っていないようです。但し、各社減便したことで少なくとも年内、欧州向けの増便やスペースの増強の可能性は低いと思われます。また、11月1日から予定している値上げの感触が良いというのと、国慶節後の荷動きが比較的順調で消席率は高く、大幅な需給乱れのリスクは軽減されているのではないかと考えています。但し、貨物が溢れ運賃が上昇を続けるという想定は、現在の所では織り込み難いです。

Q4.下期の経常損益の見通しは▲61億円ですが、第2四半期の赤字幅と比べてやや大きい気がします。これは下期運賃市況を保守的に見ているのか、それとも北米航路でここまで悪くなるという見込みなのか教えて下さい。

A4.保守的とも楽観的とも思っていません。北米航路については、第1四半期は好成績でしたが第2四半期に徐々に悪くなってきています。上期は北米航路がコンテナ船全体の収支をかなり支えてきましたたが、下期はかなり厳しい状況になるだろうという見方をしています。

Q5.北米航路と欧州航路の足元の荷動きの状況について教えて下さい。欧州は6-7月位までマイナス基調だったが、トレンドに変化はあるのか。北米は様々な統計を見ると、足元荷動きが少し鈍化してきているように感じます。

A5.欧州向けについては、年初は前年比マイナス2-3%程でしたが夏までに、7-8%程のマイナスまで下げました。目下のところ通年で4-5%のマイナスと思われます。今年の後半は、10月以降国慶節後の荷動きがそれ程悪くなかったため、お客様の在庫調整が終わり、荷動きが回復することを期待しています。 北米については4-5%位増えてきていると思います。他の航路が大変悪かったということもあり、北米航路は当社含めた他社も新サービスを導入し今年は相当スペースを増やしており、供給では10%位増えていると思います。したがって、需要の伸びはありますが、残念ながら全体としてスペースの逼迫感はありません。

Q6.第1四半期の経常利益が41億円、第2四半期で▲10億円となっていますが、要因は北米航路の採算悪化という認識で良いでしょうか。もしくは他の要因があるのでしょうか。

A6.北米航路の運賃低下が大きいです。

Q7.チャイナコスコとチャイナシッピングが合併するという報道があり、どういう影響があるのでしょうか。仮にチャイナコスコがオーシャン・スリーに入ってしまった場合、14,000型の投入効果に影響が出るのでしょうか。

A7.コスコはコンテナ船のCKYHEの主要メンバーの1社です。チャイナシッピングと一緒になり、オーシャンスリーに加わるのか、CKYHEに残るのか、単独でやっていくのか、はっきりした情報はありません。仮定の話になりますが、CKYHEのアライアンスの方式はそれぞれのメンバー各社が自身のループを運営し、互いにスペースの一部を交換するという方式を元に各社の独立性を尊重し柔軟性を持った協調体制組むことを基本にしてきましたので、アライアンスの組み換えがあっても、柔軟に対応していけるだろうと思います。

Q8.下期赤字化要因として北米航路は市況悪化、欧州航路は横ばいか改善という前提で、燃料価格の下落のメリットも下期の方が大きいことを加味すると、赤字が拡大するという想定と整合していないと思います。コストアップ要因が他に何かあるのか教えてください。

A8.北米は第2四半期実績の93から数ポイント下がる想定ですが、第1四半期から第2四半期で既に4ポイント下がっているということもあり、厳しい状況です。 ターミナル料金や内陸輸送コスト増に加え、ドル高による北米からの輸出が多少低迷しているため、空コンの持ち帰り費用の増加などが、下期更に顕在化する見込みです。そのようなコストアップ要因も織り込んだ収支計画です。


【ドライバルク】
Q.ドライバルクの構造改革を行う上で、第一中央汽船が民事再生の手続きに入ったことにより、チャーターチェーンの問題や何か妨げになるようなものはありますでしょうか。

A.我々は直接の取引がないので直接的な影響はなく、船主を通じての間接的な影響もないと認識しています。但し、ドライバルク全体としては、マーケットの長期低迷による影響を注視しています。


【海洋資源開発・重量物船】
Q1. 海洋資源開発・重量物船の通期予想を60億円下方修正しているが、この内訳について教えて下さい。

A1.ノルウェークローネ建ての決算会社の為替評価差損が半分強の35億円、残りは原油価格低迷に伴う市況の悪化を織り込んでいます。

Q2.海洋資源開発について、今回また下方修正で赤字になりしばらく原油価格は改善の兆しが見えないと思いますが、オフショア支援船の事業方針について教えて下さい。

A2.海洋資源開発は成長分野だと考えています。世界的なエネルギー需要はまだまだ出てくると思っていますので、将来に向けて大きな事業に成長していくよう進めて行きます。


【全体】
Q1.下期の構造改革の詳細と効果について、また今回特別損失は織り込んでいるか教えて下さい。

A1.詳細については交渉の相手もあってコメントは差し控えますが、ドライバルクを中心に売船も含めて検討中です。効果についても現在精査中ですが、少なくとも数十億円程度の規模になると考えています。構造改革には様々な要因があり、相手との交渉や下期の収支動向も踏まえて決めていきます。

Q2.今回、投資有価証券評価損を80億円出していますが、今後持ち合い株は解消の方向か、現状維持なのか、方向性について教えて下さい。

A2.営業政策上の取引関係や業務提携維持・関係強化と言った企業価値向上に資するような目的のない株については、タイミングを見て処分していくことになります。我々は船会社なので、大きな投資をする局面が多いため、少なくとも年1回は保有理由の精査をし、コーポレートガバナンスコードに沿った対応をしてまいります。

Q3.中期経営計画上、来期以降は増益の想定です。その増益要因として期待しているところを教えて下さい。

A3.来年度に向けての改善は、14,000TEUのコンテナ船5隻が出揃うことによるコスト競争力のアップ、アライアンスの枠組みの中で検討中の更なる合理化効果、高燃費効率が期待でき、又、完成車以外の多様な貨物積み取りが可能な7,500台積の新造自動車船が出揃うこと、ドライバルク等構造改革を含め100億円を超える収支改善を既に確保しており、それの積み上げを想定しております。

Q4.燃油価格の下落メリット以上にコンテナ船とドライバルク市況が悪くなったとのことですが、これは燃油安のメリットは100%顧客に取り込まれたと考えるべきか、それとも燃油安はやはりポジティブなもので、それがなければもっと悪かったと考えるべきなのかを教えて下さい。

A4.事業セグメントによって違いはありますが、燃油価格の下落によってその一部は燃料サーチャージの減額という形で顧客に還元される部分がありますが、運航コストが下がるという意味での船社へのプラス要因になります。一方で、船腹供給過多をベースとした市況変化の厳しいコンテナ船事業においては、燃油価格の下落メリット以上に運賃レベルが下がっているという状況です。その結果、昨年は黒字を出せたコンテナ船事業ですが、かつてのような大幅な額ではないにせよ今期については若干の赤字を想定せざるを得ない状況になっています。

Q5.投資CFの見方を教えて下さい。通期でどのような考えなのかということと、来期以降、中期経営計画での設備投資計画に変化はないのか教えて下さい。

A5.中期経営計画で発表した500億を前提に、2018年からの2年間で伸ばしていくという考え方は変わっていません。フリーCFの黒字を堅持しつつ、中期経営計画で見込んでいる安定収益分野や成長戦略分野への投資を行なっていきます。