(コンテナ船)

Q.下期の運賃、業績予想をどう見ているか?

A. 北米往航は2Q実績102に対し、下期前提は約3ポイント程度下で見ている。
一方、欧州航路は2Q実績78に対して、下期平均で約10ポイント下で見ている。
欧州航路の足元の運賃水準は、下期の前提より今現在更に下回っているが、
11月の値上げの感触が良く値上げにより一旦運賃水準はリセットされるだろう。
北米航路についても11月中旬の値上げの感触は良く、これが実行できれば、
その分が収支の上乗せになる可能性がある。

 

Q.2015年の市況をどう見ているか?

A.供給は6%~7%伸びてくるだろうが、需要はそこまで行くかどうかはわからない。
但し、全体として船が余っているというようなことがここ何年か言われているが、
実際船で停船している比率は1%に近いような水準で、99%の船は稼働している。
その中で消席率は今でも9割以上を確保している状況を見ると
需給について大きく過剰になっているとは見ていない。
一方で、ウクライナ問題、イスラム国、エボラ熱、
こういったものが市況のセンチメントに与えるのではないかと危惧している。

 

Q.コンテナ船事業黒字化のためにできることは?

A. 1万4000TEU型を来年5隻、あと18年に更に5隻出てくるが、
発注の時期も良い時期で競争力があり、最新の燃費性能を備えた船で、
そういう意味では有利な武器を持つべく仕込みはできたと考えている。
ただし、コンテナ船事業で重要なのは、顧客からの信頼を得、
きめ細かいマーケティングと継続的にコスト削減を続けること。
これらは目新しいことではないが、黒字化のために努力を続けたいと思っている。

 

(ドライバルク)

Q.2015年の市況をどう見ているか?

A. 15年に向けた市況の予想は、ドライバルクに関してあまりいい材料はない。
中国、インドの鉱石輸入は増えるだろうが、新造船の竣工がそれなりに
出てくるため、マーケットの予想としては多少ネガティブと考えている。

 

Q.フリー船の市況耐性、今後フリー船を縮小又は増やすのか?

A. 中小型船についてはフリー船が多くマーケットが悪いと赤字になる可能性が大きい。
我々の中小型船は相対的に見ても長期契約を持っている方だと思うが、
今後も引き続き長期契約を増やして、他方古い船は順次処分して出来る限り
フリー船を縮小し、安定的な経営をしていきたい。

 


(自動車船)

Q.自動車船の大型新造船10隻について、既存船のリプレイスか?
どのような収益改善効果があるのか?

A. 既存船のリプレイスと考えている。
収益改善効果は、当然台辺りのユニットコストは大型化によって下がる。
エンジンも新しくなって燃費も改善しており、輸送単位辺りのコストは随分下がる。

 

Q.これらの大型新造船の使い道はどのように考えているか?

A.航路としては、基本的にグローバルで航路の需要に合わせて投入航路を決定する。
対象貨物は、この船は重量物、背の高い貨物等、従来のトラック等より大きな
建機、農機等も船積み可能な船型になっているので、従来の乗用車に加え
大型貨物にも力を入れて取り組んでいくことで収益向上を目指している。

 

(海洋資源開発及び重量物船)

Q.原油価格が急落しているが、海洋資源開発事業への影響はあるか?

A. 原油安が海洋開発事業にマイナスの影響がないかというと、実需面では見られない。
80ドルから85ドルというのは微妙なところで、この位の原油安で済めば、
今世界中で生産されている原油自体そこそこペイするというレベル。
今の原油価格をもって、例えば開発をやめるとか今動かしている井戸の蓋をするとか、
そういう動きは出たとしても極めて限定的。あと10ドルとか15ドル下がる話になると、
例えばアメリカのシェールオイルの生産とかコスト高の大水深の開発計画の棚上げや
延期といった動きが出てくるだろう。

 

(通期経常利益予想)

Q.通期の経常利益予想は据え置きだが、為替と燃料油の前提の
変更は反映されているのか?
 
A.下期の収支計画は、新たな前提(バンカー590ドル、為替105円)
に基づいて作成されておりそれが経常利益に反映されている。

 

(コスト削減)

Q.通期コスト削減の追加の主な中身は何か?

A.主にコンテナ船関係が中心、コンテナ船関係は期首目標の77億に対し、
通期で48億増の128億を計画している。コスト削減と呼んではいるが
配船効率化のみならず、冷凍コンテナ増量による収益改善、
コンテナ機器の売却による収益増加もそこに含んでいる。

 

(投資キャッシュフロー)

Q.投資キャッシュフローについて、今後も引き続き年間500~600億円と
考えていればよいか?

A. 基本的に公表している船舶投資計画の通りで、リーマンショック前のように
再び大規模な船舶投資をすることはないため、常々申し上げている減価償却の範囲内、
年間500億円以内というところでは自然に収まっていくと思われる。
また逆に資産を入れ替えるということで、有効に使われていない資産については
売却をして投資キャッシュフローを抑えていくという戦略を今後も続けていきたい。

 

(次期中期経営計画)

Q.次期中期計画が始まる次の5年間の中で、各事業どういう経営環境を想定していて、
どういう経営を考えようとしているのか教えて欲しい。

A.まだ詳細を語るには時期尚早で全般的な答えになるが、2015年からの5年間の
海運市況全般については、需給が引き締まることはないだろうと見ている。
ただ、一部の船種に関して一時的に上向くということあるし、悲観一色ではない。
しかし、この5年間の前半、15、16、17年辺りはまだ厳しい環境が続くという前提。
自動車船、大型コンテナ船の導入、燃費良いケープサイズの投入等により、
それぞれが経済効果を発揮して、収益率を高める努力をしている。
ポジティブなところでは、LNGは我々も更なる新規契約の獲得を目指してやっていく。
またこれまで手がけていなかったFPSOなど新分野への参入も最終検討段階にある。