【コンテナ船事業】
Q.1 コンテナ船の市況は全く安定しませんが、特にここ数ヶ月で急落した過程をご解説戴ければと
思います。特定の船会社が無茶な値下げ競争を仕掛けた様なことがあったのでしょうか。
A.1 特定の会社が値下げに走ったかどうかは別にして、相対的に新しい大型船が多数入って来ることが
市況がなかなか安定しない要因かもしれないと思っています。
収益性を無視したような荷量獲得に向けた動きというのは最近は皆様も規模が大きくなった分だけ
損失の額も大きくなってしまうので痛みがわかって来た。
その意味で無闇に目先の荷量を増やすという展開は以前よりは少なくなって来ていると思いうが、
それでもスペースが空くとそこを埋めるという動きが出る土壌にはあるということだと思います。
Q.2 コンテナ船部門の業績は上期は黒字になりました。ですが下期は赤字です。
一方、コスト削減の計画を見ると、コンテナ船部門では前回の予算から上期で30億円、
通期100億円の積み増しをされています。
これを含めても下期が赤字になる予想は運賃が相当下がる想定なのか、見方を教えて下さい。
A.2 上期と下期の収支の差は、コンテナ船事業では元々季節として下期の貿易量が上期に比べれば
減るという構造ではあります。従って下期の収支が上期との比較で悪化するというのは基本構造です。
その上で、ご指摘の通り運賃の見方が大きく関わって来ると思いますので、そちらから
ご説明させて戴きます。
B-1のスライドに、当社のコンテナ船の運賃を指数にしたものがあります。
一番右に13年度の1Q実績、2Q実績とあり、例えば北米航路では指数が98、96です。
上期平均で大体97になります。欧州航路は1Qが62、2Qが76、上期平均は69。
これは平均で、足元は、非常にストレートに言えば、これより遥かに大きく下がっています。
これに対し、先程社長からお話しした様に11月1日から欧州航路、11月15日から北米航路で
運賃修復の予定です。
下期の業績は、この11月の値上げ次第ですが、これはかなりの確度で上がると見ています。
指数で言えば、北米は数ポイント、欧州は数十ポイントの単位で上がると見ています。
ただ一旦上がった運賃レベルも諸環境により今後も若干下がる可能性があると見ます。
旧正月の前にまた若干上がる。また下がる。
瞬間で例えば数十ポイント上がっても、その後上下を繰り返すのではないかとの見方なのです。
下期全体の平均としてはほぼ上期と変わらない数字と想定したものです。
その結果前年比では、やはりかなりの下振れになる。
それを追加のシャーシ、コンテナ等々の売却等も含めリカバーしようとするのですが、
なかなか前年レベルまで届かないのではないかという見方をしております。
Q.3 コンテナ船の運賃は上下しながらも、どうも構造的に下がって行っているのかなと思うのですが
各社とも新造の大型船投入によるコストメリットを運賃の方に吐き出している様にも見えます。
今後2年程度はまだ大型船が多数入って来る中、来年度、再来年度以降もし仮に運賃が構造的に
まだ下がって行く状況だった場合、御社としてまだまだコスト削減でしっかりと採算を悪化させ
ない様にできるのかどうか教えて下さい。
A.3 コンテナ船の運賃がずっとこのまま続いて行くと、どういうことになるんだ、ということだと
思いますが、例えば今の10月の足元の運賃レベルですっと行くとは考えにくいですね。
それは各社共にこれが適正な利益を出せるレベルとは思えないからです。
ここ直近の過去の事例がそれを物語ってます。
2009年度(2010年3月期)がコンテナ船の業績は最悪、翌10年度が良くて、11年度が悪化、
そして昨年12年度、という流れで来ています。
海外船社の決算数値もご覧戴くとお分かりかと思いますが、コンテナ専業社がかなりダメージを
負っていると思いますので、早晩、欧米の景気がある程度回復して来る中、勿論需給バランスが
段々に拮抗して来ますから、運賃は回復基調がベースであろうと思います。
一方で、当社のコンテナ船事業に対する方針としては、選択とか集中といった言葉を使って
経営資源の投入を東西航路に向け、収益確保を狙いつつ、短中期的に厳しい市況が続くと思われる
南北航路とアジア域内航路はブレーキを踏むというここ2年来行って来たことの継続となります。
南北航路やアジア域内航路では、要は欧州航路に大型船が入ると元の欧州航路の船が北米航路へ行く、
今度は北米航路の船が南北、アジア域内へとどんどん流れて行く構造ですから、欧米航路での
需給のバランスによるもの以上に激しい競争が長引くだろうと見越した上で、収支を縮小均衡に
持って行く政策をしっかりと続ける以外に無いと考えています。
フィーダーコスト等、所謂「リーフピッキング」と呼ばれる日々の運航コストを如何に下げるか、
効率運航をするか、コンテナシャーシーの売却も上期で全部が終わったわけではありません。
目下交渉中のところもありますので、潜在的には未だ出て来得るアイテムであります。
そういうもので補填しながら収支改善を下支えしてということではないかと思っています。
Q.4 コンテナ船部門では来年の春からP3という、マースク、MSC、CMA-CGMによる
相当コスト競争力、配船効率化の余地のある強力なアライアンスが出て来ますが、それに対し
御社が所属するCKYHを含めた他のアライアンスは、今後も現状のままで良いとお考えか、
それとも何らか別の再編も含めてお考えなのか、現時点のお考えを教えて戴ければ幸です。
A.4 確か前回も同じ様な回答をしたと思いますが、我々の見方としては、まず総じて、結果的に
P3がコンテナ船市況の安定に寄与するとポジティブに考えています。
CKYHのアライアンス等での対応ということですが、今航路に投入されているスペースの
シェアから言えば、CKYHの規模は、欧州航路で約18%、北米航路では26%ぐらい。
P3を構成する予定のマースク、MSC、CMA-CGM3社のスペースを単純に足すと、
欧州航路は46%、北米航路が24%ぐらいです。
CKYHは今のままでも充分対応できるとは思いますが、更にミックスフリートも含め、
航路の合理化、コスト削減ができないかという点については常々話をしています。
P3の最近の動向ですが、皆さん既にご存知かもしれませんが、一応申しておきますと
10月24日にアメリカではFMCに届け出が出たということです。
一方で、アメリカの荷主団体、ニットリーグ(The National Industry Transportation League)
からFMCに対し、厳密な調査を要請するとの依頼が出ているようです。
【ドライバルク】
Q.1 ケープサイズのフリー船はこれまで1割未満だったと思いますが、
方針としては来年もそういうイメージで宜しいでしょうか?
A.1 中国中心に荷物は増えてきていますけれども、船腹過剰の状態に変わりはないと
思いますから、慎重には行こうと思っています。フリー船を沢山増やすつもりはありません。
Q.2ドライバルクの市況について、現状とこれからのアウトルックをお示しいただきたい。
A.2 ケープサイズの市況が今回上がったのは、
中国が7月上旬に経済の減速に歯止めをかけるべく都市のインフラ整備や地下鉄、内陸部の鉄道建設等
手を打っており、粗鋼生産が上向いていて、鋼材の価格も8月以降上がってきていることが基本的にあります。
もう1つは、ブラジルからの鉱石が、大体年前半は天候、洪水の影響があって出だしはスローペースだが、
年後半に行くに従って今まで上がってきている。そのような背景からケープサイズが上がってきました。
その後、パナマックス以下の小船が上がっているが、北米の穀物シーズンが10月からなので、
まだパナマックスからハンディは引き続き堅調です。
ケープは今のところ、用船料が足もと1万6,000ドル/日程度ぐらいまで下がっているが、
今の現状からにしても、まだもう少し12月に向けて少し上がるのではないか。
Q.3 ドライバルクの船隊のコストは船価の高い頃に発注した船が竣工して来て、上がっているのではないか?
A.3 高い新造船が入ってきたのではないかということについて言えば、それはその通りです。
リーマンショック以前に発注した高い船の竣工を随分遅らせてきたが、それらが船隊に加わりつつある。
若干ドライの収益力は以前よりは落ちていると思うが、引き続き、わが社の全体のドライバルクの平均コストは、
おそらく他社との比較において競争力があると思っており、多少のマーケットの変動には十分耐えられると考えています。
【不定期専用船】
Q.不定期専用船の下期の見方につきまして、上期219に対して下期156と言うことで、
ドライバルクの市況前提から上期より下期が悪くなるということはあり得ないと思うが、
下期を慎重に見ている理由は何か?
A.ドライバルク船では、残念ながらケープサイズでは、あまりフリーを沢山持っていない。
特に下期で言うと、殆どフリーがない。今フリーが割合と多いのは、小さい方のサイズです。
また上期為替差益が会社全体で約20億計上されております。
このうち不定期専用船で約30億程度加味していますので。
それを下期は織り込んでいませんから、それが差の出る一つです。
あと一つは上期の不定期専用船のところを見たときに、全体として
配船の効率化、というところが、想定以上に効果が出たんだろうと考えています。
それについて、下期に全部織り込みきれていないというのが
上期と下期の差の一つの要因だと思います。
【全体】
Q.1 A-2のスライドの上期のポイントの中で、前回計画との乖離で見ると、コスト変動、という項目で
かなり金額が増えているが、コスト削減は具体的にどういうものがあるのか?
A.1 コスト削減は決算説明資料A-5のコスト削減の進捗というところでまとめています。
コンテナ船とそれ以外の不定期専用船の2つに分けています。
コンテナ船では通期見込みで175億のコスト削減目標。ざっくり言うと、
3分の1が8,000個積みの船が5隻出揃ったことによる大型船の効果や、不採算航路の縮小、
また寄港地等の見直しによる減速、そういったものが大体この中の3分の1。
あと3分の1が、世界各国でやっている細かいコスト削減。
ターミナル料金の再交渉や、トラック・鉄道の再交渉等、細かいものの積み重ねが3分の1。
あと残りの3分の1が、ざっくばらんな話、コンテナ関連の機器、コンテナであったり、
アメリカでは今、シャーシを船社が持たなくなるという方向になっており、
こういった機器の売却益等がだいたい3分の1となっています。
不定期専用船では、今回67億円のコスト削減を見込まれる。期首でも70億円でほぼ同じです。
こちらは主に減速航海に因る燃料費の削減や自動車船等における荷役費の削減等の項目の積み上げです。
Q.2 決算説明資料A-4の3番目の項目にある配船効率化について、
上期で58億で、下期で16億円織り込んでいるが、この内容について教えて下さい。
また配船効率化が下期に悪化する理由を教えて下さい。
A.2 配船効率化については主に不定期専用船の配船効率化を想定している。
具体的には、減速航海の深化、自動車船等における船の待ち時間の減少、
ドライバルクのバラスト航海(貨物を積んでいない期間)の減少、といったもの。
不定期専用船が上期良くなっている理由は主にこういった要素です。
配船効率化は、予算の中でどういった形で織り込むかが難しく下期の予算には
織り込みきれておりません。上期並みの効率的な配船ができれば、上振れ要因になります。
Q.3 為替差益について、
上期は、不定期船のところでプラス30億ぐらい出て、残りのオフショアでマイナス幾ら位か。
通期では、為替前提100円だが、為替差益は下期は入っていないのか。
A.3 為替差益は、上期で合計約20億円計上されている。
不定期専用船のところで30億円プラス、エネルギー資源輸送・重量物で10億円のマイナス、差し引きして20億。
マイナス10億は、主にノルウェークローネが4月以降クローネ安になっていて、ノルウェーで事業をしている
オフショア船事業で借り入れている円、ドル、ユーロの借り入れの評価損が10億程度発生しています。
下期については、期末の9月末が97円75銭が当社の期末レート、
下期為替前提が100円なので、下期期末、来年3月末のレートが100円であれば
為替の評価益が出る計算になるが、この点については、今回の収支計画の中では織り込んでません。
Q.4 今回9月にCBを発行されたが、その使用用途について
ゼロクーポンとしてほかの有利子負債と入れ替えるということなのか、
船に使うのであればどういうことを考えていらっしゃるのか、教えてください。
A.4 CBで調達したお金は、自動車船、LNG船に充当できればと思う。
自動車船が好調と申し上げており、実際荷物の動きが非常に好調であるのに加え、
建設機械の積み取り等にも取り組んでいる。燃費効率の良い新造船を投入することで、
競争力を増し、サービスの向上を目指すつもりです。
シェールガスを含むLNGは次のプロジェクトも視野に入れています。
と同時に一方で、社債の償還の一部に充てる、こんなイメージでご理解ください。