【コンテナ】
Q.1 欧米航路の減船について、グループ・全体でどれ位の規模か?
A.1 係船の最新状況は、1週間ほど前のデータでは業界全体で約38万TEU、
全体のキャパシティから言うと2.5%強の部分が係船・停船されている。
今後は一時的な停船も入れると10%近くになってくるのではないかと思います。
CKYHでは、6月のピークに比べ、北米航路は19便を3便くらい減らして16便くらいへ、
欧州・地中海航路は9便を8便もしくは7便へ、大体10-15%位の減少を考えています。
Q.2 第4四半期から運賃が上がるご前提と伺ったが、何故第4四半期にならないと上がらないのか?
A.2 旧正月前には例年荷量がぐっと増えて来ます。そのタイミングが、経験的に、
運賃が上がりやすい環境であるためここで値上げができれば良いと考えています。
リーマンショックを受けて1年たった時もそうでした。
Q.3 リーマンショック後と異なり昨今は超大型船の竣工によりコスト構造が変っているのではないかと思われるが、
これから先どの程度運賃は上がるのか?
A.3 下期第4四半期から北米欧州アジアの一部で運賃が上がることを見込んでいるが、
リーマン・ショック後の2010年の第1四半期みたいに、第4四半期から大きく上がるということは考えにくい。
欧米の景気が戻ってしっかり荷動きが増えないとそういう状況にはならない。
ただし我々の試算では欧州航路のスポットの運賃は係船点まで来ています。
各船社によって運賃平均値は違うだろうが、かなり厳しい状況になっているのは確かだと思っています。
このままではどこも持たない厳しいレベル、ということから旧正月前に荷量がぐっと上がるので、
第4四半期から運賃は上がると考えています。
【ドライバルク】
Q.中国の粗鋼生産が今後減小してくるという見方も出てきておりますが、どうお考えか?
A.中国の粗鋼生産ですが、今年は少なくとも年間7億トンペースで来ています。
前年比で言うと15%増、確かに今のマーケットは中国に負うところも大きいと思いますが、
インドも第3四半期の粗鋼生産は前年比8%、それから韓国も21%増、
世界的には平均すると11%増なので必ずしも中国だけではないというのがまず一点。
それから中国の人や在勤に聞いても、今までみたいな強い基調ではないにしても、
特に内陸部ではまだ産業やインフラの整備をやらなくてはいけないと言う事情もあって、
あまり悲観的にはなっていない。今までほどの勢いは無いにしても
そんなに急ブレーキを踏める環境には無いのかな、というところに期待してます。
一方、出荷の豪州・ブラジルもこちらの方も第3四半期で11%伸びています。
世界の粗鋼生産と鉄鉱石の生産が結構呼応しているということで、
値段の都合もあるでしょうけれども、あまり心配しなくていいのかなと、という気はしてます。
【自動車船】
Q.自動車船の下期の台数の前提は?タイの洪水の影響については織り込まれているか?
A.当社の自動車の輸送台数は全体で行きますと、欧州の域内を除けますと、約300万台。
それを大体上下で150万台ずつのイメージですが、下期は上期に震災の影響で減少した分が
上積みされている。タイの洪水による影響はここには織り込まれておりませんが、
当社下期で10万台の船積みを予定しており、影響が出てくると考えております。
【その他】
Q1.下期のコンテナ船▲157億円、不定期専用船▲23億円の
第3四半期、第4四半期別の内わけを教えて下さい。
A1.コンテナ船が第3四半期は▲100億、第4四半期は▲60億、
不定期専用船トータルで、第3四半期▲52億、第4四半期が+32億、ということです。
Q2.不定期専用船の第2四半期▲7億から第3四半期▲52億へと赤字が拡大する背景は?
自動車船も震災影響から回復して、ドライバルクの市況も戻っているので、
もう少し良くなっても良いと思っていたのだが。
A2.A-3の通期業績予想のスライドの右下に営業外特別利益・特別損失を簡単に記載しておりますが
上期で海外子会社外貨建て借り入れ為替評価益、上期がプラス25億。
同じものが下期では海外子会社外貨建て借り入れ為替評価損▲50億。
これは当社の海外子会社が、自分の決算通貨以外例えば円での借り入れをしているもの、
これが円高になって借り入れの評価損もしくは評価益が出ると言うことです。
上期はNorwayで事業をしているオフショア船事業がNorwayクローネ建てで、Norwayクローネが
強かったこともあって全体で25億円ほどの益を計上しております。
逆に下期は不定期専用船全体で結果的に50億円ほどの評価損を計上しております。
これが第2四半期から第3四半期第4四半期と不定期専用船の収支が変動する
大きな要因の1つになっています。
Q3.今回の特別損益の通期の前提は?解約等による収支改善はどれくらいか?
前回お話のあった50億+アルファの収支改善策は今回どのように織り込まれているのか?
A3. 特利特損、資産処分については、上期で古いLNG船やバルカー2隻も処分しております。
後は豪州の関係会社が保有している株式を上場株と交換することで、差益が約70億円。
保有株式の売却も実施しており、上期に約100億円近い特別利益となっております。
下期についてはVLCC,AFRA,CAPE,PANAMAX等の売船による特別利益を30億円程度
見込んでおります。保有株式の処分も実施したいと思っておりますが、今株式自体が
下げている状況ですので、様子を見ております。
特損について、上期193億の特別損失が出ており、大きいものは株式の減損、評価損で、
9月末時点でのものが166億あります。それ以外では新造船の解約が入っています。
下期は特別損失としては大きな金額は予定しておらず、約5億円程度を織り込んでおります。
収益改善について、 第1四半期が終わった段階で、下期にコスト削減を含めて50億プラス
と言うことでご案内させていただきましたが、今回の下期見込みでは、
100億強の改善を織り込んでいます。
Q4. 来期に関してコスト削減として 期待できるものが大体年間で何億円位出てくるのか?
A4. コスト削減は、先ほど下期の上積みで100億円強ということでしたが、今年通年を通して
は約200億円以上になります。コスト削減というのは毎年継続してやるものであり、
来期はさらに踏み込んでやっていきます。
Q5. 設備投資について、以前の計画ではこの先2年間は年間辺り800-900億円位の
設備投資が続くということだったが、これはどの程度下方修正することが可能か?
A5. 設備投資関係で数字の圧縮ができないかというご質問だと思いますが、設備投資に関しては
以前に決めたものばかりで、これを更に減らすには解約等しないと数字は減らない。
基本的に新規の設備投資については当面凍結しています。
従ってほぼ、前にご案内した通りの設備投資計画ということになります。
今回の決算で一部小型のバルカーで3隻解約したということもありましたので、
若干下方修正した部分もありますが、全体としては殆ど修正はありません。
Q6. 北米欧州経済の冷え込み、中国の粗鋼生産の鈍化、加えて燃料高となりますと、
極めて厳しいマクロ環境ですが、これが今後も継続した場合、業界としてどうなるのか?
その中で御社としてどういう経営方針をとって行くのか?
A6. 欧米経済の不振、中国が調整局面に入った等、厳しいマクロ状況になった場合、
一番に浮かぶのは業界再編だと思いますが、一般論としては十分にあるのではないかと思っています。
一方川崎汽船の方針はどうか言えば、不定期専用船部門で、中長期契約等から比較的安定的に
上げられる利益というのが200から300億円ありますので、これが一つ経営のベースになると思っています。
コンテナ船が事業構造から言ってどうしても業績が上下することも止むを得ないと思うのですが、
下振れしたときにこの範囲の中で収まるかどうかがポイントだと思います。収められるようにどう変えて行くか。
現在も色々と考えておりますが、一つには、世界で色々事業拠点があるわけですが、できるだけ、
円高が今後も続くことを加味して、日本から外地への業務シフトを含め合理化を進めていきます。
厳しい経済環境になると、今のように高い燃料代に張り付くことは無いでしょうし、為替にしても
いつまでも75円ということは無いでしょうから、ここ数年を凌いで次へ行きたいと思っています。
以上