【コンテナ船部門】

 

Q.1
コンテナ船の第1四半期の赤字78億円を航路別に割ると大体どれ位か?

A.1
港路別では北米、欧州、南北・アジアと3つに分けるとそれぞれ大体均等位のイメージです。

 

Q.2
コンテナ船の第2四半期見込みで赤字が縮小するということだが、この根拠は?
また第2四半期の運賃レベルを指数で言うとどの程度で見ているのか?
これまで延び延びになっている運賃値上げの交渉が、さらに再延期になったり、
結局値上げはできない恐れもあるのではないか?

A.2
北米のPSS(Peak Season Surcharge/繁忙期割り増し)、欧州のRate Restoration(運賃修復)は、
適用開始が7月から8月にずれ込んできてはおりますが、一定程度運賃は上がると見ています。
その分第1四半期と比べるとある程度赤字が減るということです。
航路によって違いはありますが、運賃指数で言うと第1四半期+(プラス)5~10ポイント上がると見ています。運賃修復の交渉状況は、6月以降ピークにかけて荷量の伸びが力強さに欠けるという面はありますが、最近になり北米航路、欧州航路の双方で休止するサービスも出てきておりますので、そういう背景も考慮すると、8月の中旬には需給もかなり締まってくると見ています。こういう背景のもとに値上げもできると見ています。
例えば南北航路では7月からかなり運賃修復が進み、8月以降更に上げようという情勢です。
各船社の経済状況も考えますと、値上げの機運が高まる可能性は高いと考えています。

 

Q.3
コンテナ船の船舶の供給計画について、先ほど一部のサービスが停止と仰っていましたが、
御社では現在北欧州航路で一部 削減しているのみだと思いますが、
具体的に今後何千、何万TEUくらいのスペースの削減を考えているのか?

A.3
サービスの停止のことですが、これは業界の中の話であって、
特定の船社のことを示したわけではありません。
川崎汽船については、リーマンショックの後、2009年に東西基幹航路でスペースを25%
減らしてますから、我々の船については非常に高い消席率を維持しておりますので、
今のところサービスを停止するということはありません。
当社が属しているCKYHのアライアンス全体では、欧州航路で一部サービスを削減していますが、市場全体では、現在各社が削減しているサービスは、北米航路、欧州航路それぞれの約5%前後の効果があると見ています。

 

Q.4
仮に供給を更にもう少し絞るとすればどのような状態になったときか?

A.4
各社コストも違いますので、その辺のばらつきはありますが、一般的には、リーマンショック後の
ときもそうですが、運賃レベルが航路を運営したときにBunker Costも出ない、
こういう風な場合になったときでしょうか。

 

Q.5
コンテナ船運賃について、8月中旬から需給が締まってきて値上げもできそうだという
ご解説だったが全米小売協会の数字を見ると7、8月は荷動きが殆ど伸びない予想である一方、
9月以降は10%くらいに荷動きが加速するという予想もある。
そうなった場合にはむしろ第3四半期にかけて運賃が上がる可能性もあるのか、
その辺の状況を教えて下さい。

A.5
今朝の全米小売協会の数字速報では6月7月8月と若干弱含み、9月以降は10%という
数字が出ています。当社の現地、例えば特にアメリカの現地法人の話を聞きますと、
今、景気が不透明な中で、手持ちの貨物の在庫の消化を行っている状況だが、
第3四半期頃には在庫も減り、また貨物の輸入が始まってくる可能性がある、という話もあります。
そういう状況の中、一部の船社はSpaceを絞っている。
それは必ずしも値上げの為ではなく収支が厳しいから絞っているのだが、
それが結果として需給がタイトになって運賃が上がってくると。8月がダメでも
9月10月には、ちょっとタイトになってくれば十分運賃が上がる要素はあると見ています。

 

Q.6
10年3月期の年初、コンテナ船の運賃が大きく上昇したが、もしあの様な大きな上昇が
期待できるとすれば、或いは今は期待できないとすれば、当時と今とは何が違うのか。

A.6
リーマンショックの後の一旦大きく落ち込んだ運賃が上昇したのは、やはりベースは
サプライデマンドにある、と思います。だから、基本的には東西基幹航路の場合には、
欧米の景気動向にかなり左右されるところもあると思います。
供給の方はここ2年ほどは年に10%位、増えて行くのが決まっているので、
こうした需給の観点から行けば、アメリカの景気が早く回復してくれよという気持ちは強いです。
あとは各船社の値上げの強い意思だろうと思います。ですので各社の自社の収支状況にもよると思います。

 

Q.7
大型船の投入によって、収支のボラティリティは一段と拡大せざるを得ないのか?
面積で見てもうかるかという面はあると思うが、年度年度の各年度のボラティリティは
拡大するというのが一般的な考え方か?

A.7
これには色々な考えがありますが、コンテナ船事業のボラティリティーは避けられないと思います。
個品輸送で、基本的には1年契約のマーケット、これ に対して供給は1社がコントロール
できないわけだから、ボラティリティーがあって当たり前のビジネスという考えもあります。
ボラティリティーのあるビジネスと安定収益の稼げる事業と組み合わせて、いかにリスクヘッジ、
リスクマネジメントをするかというのが経営だと思っております。

 

【不定期船部門】

 

Q.1
自動車船の第2四半期の台数前提は?下期は当初見込みより上振れするのか?
それが収支に与える影響はどう考えたらいいのか?

A.1
自動車船の第2四半期の積み高は通常通りです。期首に震災前の予算を立てたときの数字、
7月から台数はきっちり戻る、という前提で立てています。
下期の見通しは、自動車各社の増産計画の発表を見ておりますと上振れすると予想しています。
但し、どの程度輸出に回ってくるのか、欧米の景気動向、為替等々まだ色々な要因があります。
第2四半期の決算発表時には、その辺ももうちょっと明確になっていると思いますので、
下期の数字にきっちりと反映させたい、と考えております。

 

Q.2
不定期専用船で第1四半期は前年比で経常利益が137億の減益、第2四半期は68億の減益を
予想されていますが、それぞれ増減の内訳は?また前回公表比ではどうか。

A.2
前年実績と比べると、第1四半期は137億悪化したが、部門の内訳は、多くの影響は自動車船、
ドライバルク、金額的には震災の影響が大きい自動車船部門のほうが大きい。
第2四半期では、前年同期比で68億減益、こちらも主に減益はドライバルクと自動車船だが、
自動車船部門は前年と比べるとまだそこまで回復していないが、どちらが減益幅が大きいかというと、
第2四半期はドライの方が大きい。
公表比では、上期全体として比べると、各部門とも数億円程度の差で、殆ど変わり無い。

 

【会社全体・その他】

 

Q.1
下期の見通しは前回予想から変えていないということだが、どういう考えからか?
予算を8月中に見直すので、単純に手続き上の理由か、
もしくは今後コスト削減を検討するのでそれが出てから発表するということか?

A.1
コスト削減と資産処分を下期どこまで織り込むか、この夏の間に決めようと思ってます。
それを織り込んた下期の収支予想を出したいということで、今日の時点では数字は変更しておりません。

 

Q.2
収支改善については50億プラスαとスライドに記載されているが、その中身、
また収支改善が50億から例えば100億円位まで積みあがる可能性もあるのか?
改善額が増える場合、特別損失も増えて最終赤字になってしまう恐れもあるのか?

A.2
ご承知の通り、収益改善部会というものを、5月の末から立ち上げ、検討しているが、
これまで積み上げてきた経常利益ベースの改善額が下期で約50億見込まれています。
内訳はかなり細かいのですが、主な項目の一つが減速航行です。
コンテナ船・自動車船での減速航行を更に追求していくということ、
次に、ターミナル費用の減額交渉、高い傭船料の減額交渉があります。
下期にかけて更にコスト削減を積み上げていきたいと考えております。
また特別損失については、下期の経常利益を黒字が確保できれば、
資産処分したものを原資に、次のステップへ向けて、異常に高い用船契約
あるいは建造契約等を解約するということも考えたいと思っています。

 

Q.3
設備投資計画は2,400億円位かと思いますが、先日も自動車船のLNG燃料船開発とか、
コンテナ船の大型船の投資の検討とか、色々ニュースは出てきています。
中期的な設備投資の考え方について教えて下さい。

A.3
投資について向こう3年間2,400億はもう確定済みのものですから、これは粛々と
ファイナンスをつけてやっていくということであります。
これ以外のところについて考え方はどうなのかというのがご質問の趣旨と思いますが、
先般新聞に発表したLNG燃料船開発の話は今すぐに実現できるところまではまだ行っていません。
なので、すぐに実現できるプロジェクトでお金が必要ということではありません。
ただ次世代のエコシップというのは、今は海運業を本業と標榜する会社で避けては通れない、
というか、むしろイニシエートしていく位の会社で無いと生き残っていけないという認識がありまして、
これは川崎汽船の具体的な夢ということで、ご理解いただきたいと思います。
それからコンテナ船の大型化については、欧州航路ではご承知の通り各社大型船導入というのを、
自社船か用船か何らかの形で決めており、川崎汽船も欧州航路を継続していく限りどこかで
大型化が必要だろうと考えている。ただ今の運賃レベルは大型船がペイするのかというところにあり、
今すぐに決断が必要だとは思っていない。もう少し時間をかけて考えていきたいなと考えている。
これ以外に何か投資があるのかという点については、今のところはありません。
投資に関してはここしばらくは絞るというか、凍結という言い方は言い過ぎかと思うのですが、
必要なところではやっていきますが、大規模な投資ということについては当面ありません。

以 上