【コンテナ船】

 

Q.
コンテナ船の第4四半期の運賃の前提を、スライド9ページの指数の基準で教えて下さい。

A.
スライドの9ページ掲載のコンテナ船の運賃指標ですが、2008年度の第1四半期を100とすれば、第3四半期の実績については、記載されている通り、北米往航では99、欧州往航では94となっています。
第4四半期の予想は、この第3四半期の平均より数ポイント下へ行く可能性があると見ています。
北米航路の方が1年間の契約で長く決まっている割合が多いので、スポット契約で運賃が変動する部分は欧州航路に比べると少くなっています。

 

Q.
上記の第4四半期の運賃予想には、1月に予定されていた欧州航路の値上げや、北米航路のPSS(Peak Season Surcharge/繁忙期割増)の課徴を織り込んでいらっしゃるのか?

A.
北米航路の1月からのPSS(Peak Season Surcharge)は、スポット貨物の部分については取れていました。
中国の旧正月の休みに入り、3月頃にまた荷動きが回復するまで、スポット貨物については例年のことですが、北米航路でも欧州航路でも若干運賃が下がりますので、そうしたことを織り込みながら先ほどの数字をつくっています。

 

Q.
南北航路で想定より下振れしたという状況について、もう少し詳しく教えて下さい。
運賃レベルで凡そ何割くらい運賃が下がり、それに伴って各船社がどういったスケジュールでどういう調整をしているかという情報があれば教えていただけますか?

A.
南北航路では、2008年度の第1四半期を100とする指数で言えば、現在は約10ポイント下がっている状況かと思います。
減便等の閑散期への対策ですが、これも共同運航のパートナーと色々と検討していますが、そういう中で、特に現在、旧正月から2-3週間の間、欠便をしたりといった対策をとっています。

 

Q.
国内外の同業者さんの欧米航路の輸送数量のところを見ると、11月までは前年比ずっとプラスで来ていますが、12月に入ってから前年割れになって来ており、またある船社さんでは12月は消席率が凄く悪かったりしているので、需要面で何か変化があるのか、足元の状況も含め教えて下さい。

A.
需要面のところは、我々が見ている範囲では、昨年から落ちているとは感じておりません。
消席率も、当社の場合、スペース自体を昨年から増やしていないということもあり、非常に高いレベルで推移しています。
あとは例年のことですが、この旧正月の後、スラック・シーズン(閑散期)と呼ばれる荷量が減少する時期の後の荷物の回復、その後4月に入ってからの荷量がどういう動きをするのか、今注視しているところです。

 

Q.
来年度のコンテナ事業の利益について、例えば今期と同程度の利益を維持しようとすれば、荷動き、或いは運賃でどの程度の増加が必要でしょうか。

A.
来年度、収支均衡になる運賃・荷動きのレベルを、ということであれば、この資料の中で、
例えば4Qの予想が、丁度収支均衡位になっているので、大体そのようなイメージで頂ければ良いと思います。
特に当社が他社と比較して来期にコストが大きく増える要素は無いと認識していますが、ただ北米航路においては鉄道料金とターミナル料金が一般的に3〜5%位は上がって行くでしょうから、今現在少し低下している海上運賃が2010年の4月から12月までの状況に戻っただけでは、燃料油の価格も上がっていますから、あまり直近で燃料油が500ドルをまた下回って470ドルくらいまで下がって来るとは残念ながらあまり予想できないので、それを補うだけの運賃の回復をするとなると、2010年度より5から10ポイント位の運賃が上昇する交渉を、4月5月には相当の決断でやって行かなくてはいけない、というイメージではないかと思います。
それと昨年は夏の間、コンテナの箱の不足やスペース不足があり、PSS(Peak Season Surcharge/繁忙期割増)が、満額を頂けましたので、そうしたこともまた来年度に向けて1つの要因ではあります。需給がどの程度逼迫するかにもよるでしょう。

 

Q.
エジプトの混乱によってスエズ運河閉鎖の可能性が指摘されているが、この場合のコンテナ事業に対する影響に関して、どういう影響が考えられるか、ご示唆ください。

A.
エジプトについては、今朝(1月31日朝)来た現地からのE-mailでは、昨夜の情報だと思いますが、スエズ運河通行は可能です。但しコンテナのターミナルで労働者不足でのために、荷役が止まっているという状況がありますので、この辺のところが、更に深化して来ると、船腹需給まで影響が及ぶ可能性があると思っています。

 

Q.
大型コンテナ船の投資の決断という話が、専門誌等でも出ていたと思いますが、大型船の投資の効果というのは、御社の中では検討されているのか。要は、現状、海外のコンテナ船社の利益率と比べても、御社の利益率が低い状況の中、コンテナ1個当たりのコストを落とすというのは、コンテナ船の大型化が全てなのかどうか、それ以外の方策が無いのかというところを教えて下さい。

A.
コンテナ船の大型化については、ご質問のところを含め、検証をするスタディをしろという指示をしただけであって、大型化を進めると表明したわけではないので、改めてご案内を申し上げたいと思います。
私が社長を引き継いだ昨年の4月1日の時点で、その直前、昨年の3月末にしめた当社の決算の経常損益が670億円にものぼる大幅な赤字、その殆どがコンテナ船事業から来ている時に、すぐにコンテナ船の大型化だという。
コンテナ1個当たりのコスト競争力を持たせるには、小学生でもわかる大型化が正解ですが、これはあくまでその大型船が100%荷物でうまるということであれば1万個型より 1万3,000個型、1万3,000個型より1万6,000個型の船の方が良い。今のコンテナ・ターミナルのマックスが物理的には多分1万6,000個型だと思われますので、1万6,000個型の船を造ることが、1隻あたり1個あたりの競争力が良いのはわかっているのですが、本当にそれが正しい選択なのか。むしろ8,500個型でまわす方が良いのではないか。或いはそれを1万個にするのか。それとも私共のアライアンスのパートナーであるコスコ(COSCO)さん、ハンジン(韓進海運)さんが既に発注済であり、1年後、2年後に竣工する1万3,000個型と合わせた方が、私共としては有利なのか、そういう検証をしろ、という指示をしたわけですので、専門誌にも書いてありますように、要するに検討禁止令を解いただけで、次に当社がどこに行くのかということは、多分最終的にイエスかノーかを決めるのは、もし超大型船を建造するとなれば、本年の11月末くらいには発注しないと、少し間に合わないのではないかと、そういうタイムスパンの中で検討しています。
当然その前提には、既に私共が運航している3,000個から4,500個、5,500個、8,500個型の船のベストの使い方は何なのかということを全て含めて、慎重にかつ大胆に検討して行くという状況でございます。

 

Q.
大型コンテナ船の新造を考えると、欧州航路の場合、減速航海の影響に伴い、1つのサービスに10隻の船が必要ですが、そうすると大型船に投資する場合、一度に10隻位の単位でお考えでしょうか?

A.
仰る通り、一社で船隊を維持をするとなると、幾ら船価を値切っても1隻100億円を超えるコンテナ船でしょうから、大雑把に130億円×10隻の相当な投資規模だという認識はしていますが、必ずしも1社単独で10隻全部を整備しなくてはならないということでもなく、例えばヤンミン(陽明海運)と共同で整備したり、或いはハンジン(韓進海運)の発注した船を私共が買い取るということもオプションの1つですから、日本に寄港する航路、及び日本に寄港しない航路を、各々のアライアンスが何隻で運航するかという、そういう経済マーケットの分析の方が先に在りきで、そこに各社が何隻投入するか、それによって自分がお付き合いしている荷主の需要に十分対応できるのか。
当社のマーケットシェアが今3.5%くらいですから、当然中期計画では、当社のマーケットシェアを例えば5%くらいまで高めて行きたいと思います。その5%に伸ばしていく時に、呼応する必要最小限の船舶は何隻必要なのか、その中で超大型船が本当に必要だとしたら何隻必要なのか。もし超大型船は持たないとしたら、必要な船舶はどうやって調達するのかは、オプションの付帯的な部分だと認識しています。

 

【ドライバルク】

 

Q.
スポットの船のエクスポージャーはどのくらいありますか。
来年度新造船32隻が出て来るのも織り込んだ上で、来年はどのような感じになるのでしょうか。

A.
バルクの基本戦略につきましては、新造船が増えましても指標としての数字は変えておりません。
ケープサイズ10%、パナマックス30%程度、ハンディマックス40-45%、スモール・ハンディ50%以上、
程度のフリーの船を維持することによって、マーケット志向と安定志向とのコンビネーションをして行くという
基本方針については来年度も変えません。

 

Q.
来年度以降、フリーポーションを減らすという方針は無いでしょうか。
逆ザヤになった船を解約したり返船したり、特損処理しながら、市況変動に対しての
マーケット・エクスポージャーを減らすような対策は考えられないでしょうか。

A.
マーケット・エクスポージャーの方針を根本的に見直すという考えは今の時点ではございません。
足元4Qではケープはフリー船が殆ど無いので、市況は相当落ちていますが、影響はあまりありません。
2011年を非常にご懸念されているのだろうと思いますが、新造船がデリバリーされるので船隊は増えていきますが、昨年12月に試算した時点での来年度のエクスポージャーは15%で、市況減による収益減は限定的だと思っています。
また今の足元のケープサイズ6,000ドルというレートがいつもまでも続くことはないと思われ、そういう意味でも来年のケープの収支を悲観することは無いと思います。パナマックスに関しては、先ほど申し上げたとおり30%程度でやって行こうと思っています。
ハンディ、スモール・ハンディについは、そもそも長期契約に馴染まない船型なので、マーケットが悪いからといって焦って固定をすると、将来のプロフィットを逃すということになりかねないと考えております。

 

Q.
来年新造船も入って来ますが、コストに関して資本費はどれ位上がって来ますか。

A.
高値で発注した船も、2006年から2007年頃、造船ピークの時期に発注した大型船が何隻かあります。
しかしこれらの船については船の発注と同時に荷物の契約を全て固定していますので、新造船による懸念は余り無いと思います。ただ小型船、ハンディマックス辺りで、船によっては1日当たりのコストが1,000ドルや2,000ドル上がることはありますが、マーケットの変動の範囲内だと思いますので、あまり心配する必要は無いと考えております。

 

Q.
ケープのチャーターレートが6,000ドルというのは異常値という話ですが、仮にこれが異常値だとして、
今後これがどういう形で正常値に戻っていくか、今の低すぎる水準からある程度にリバウンドするのであれば、どういう形と見てらっしゃいますか?

A.
異常値というのは、船社として持続可能でない数値だから異常値と申し上げたので、一般的に言えることはそんなレートで営業できるわけがないということで、だからどこかで戻る筈だ、というのが一般論です。

それからもう1つは季節的要因、今旧正月でございまして、例えば鉄鉱石は世界の輸送量の6割以上が
中国に向かっているわけですから、中国がお休みの間はドライバルクマーケットは大変閑散な状態が続くので、マーケットが落ちるというのは常のことです。

オーストラリアのクイーンズランド州の、洪水によって、一説には今年の1-3月で1,500万トンの石炭出荷に
影響が出たと言われており、年間に換算にすると6,000万トンと言う数字です。ケープ1隻が年間に100万トンを運ぶと言われていますから、ケープサイズで60隻程度の需要が急減したわけです。
これによってケープのレートが急落したというのは十分説明できると思うのですが、この洪水も、これから
雨が降らないという前提で、インフラの方はかなり復旧しているようですから、石炭の出荷が3月、4月には
正常化してくると見ておりますので、その時点では明らかに反転してくるだろうと見ております。

どのレベルに戻るかは、もう1つ船腹の供給過剰の問題があるので、ちょっと頭を抑えるところはあるかと
思いますが、いずれにしてもこの6,000ドルというレベルが持続するとは到底考えておりません。

 

Q.
ドライバルクの船腹供給過多に対してどのような政策を取れますか?

A.
ケープが6,000ドルにもなったら荷物を取らないで、じっと沖で待つということは個別の対応として、
考えないわけではない、けれど、一方で中国はまだ発展はまだするでしょうし、インドも、例えば
一人当たりの鉄鋼消費量、あるいは電力消費量については、対中国比で5分の1とか10分の1ですから、
穀物を含めてまだまだ需要が阻害されたわけではなく、インフラ整備が出来ればまだまだ需要はある。
コンテナ船で見られたような停船係船について、当社が今検討しているような状況ではございません。

 

Q.
コリアラインの影響は?

A.
コリアラインに関しては、ケープを1隻定期用船で貸し出しをしておりますが、
同社は法定管理に入りましたので、おそらく返船されることになると思います。
そういう意味で1隻分の影響は出るということでございます。

 

Q.
ドライバルクで、来年度、今年度と同じくらいの利益を維持する為にはどれくらいの平均レートというものが必要なのか、イメージで結構ですので、ご示唆いただければと思います。

A.
わかりやすいところで言うとケープサイズで2万ドル台の後半、パナマックスも2万ドルに近いレベルに戻るというのが前提です。BDIでどれくらいかと言うと、足元でBDIは1,200ですが、1,600-1,700くらいまで戻れば、今年とほぼ同様か今年に近い収益が残せるのではないかと思います。

 

【その他】

 

Q.
中期経営計画を作成中だと思うのですが、大きなテーマとしてどういったことを考えていて、
今思い描かれていることがあれば教えて下さい。

A.
今の3ヵ年の中期計画は、最悪の時に作成されているため、それを延長線上で中期計画を見直さないと、
細かいところで説明の辻褄があまりに合わなくなります。例えば今の中期経営計画は今年の3月頃に、
コンテナで100億円位の赤字を前提に作っておりますが、その前提が大きく変わってきている。

また私どもが特にコンテナ船から学んだことは、オフバラを意識しすぎて自社船を少なくしすぎたことによって、フリートの調整の柔軟性に欠けることがある。長期傭船は一見安くてオフバラですが、船を返す時に解約金を取られる、例えばコンテナ船において数百億円にも上る解約金です。オンバランスの数字が増えても自社船を増やすことで、船隊の柔軟性を持つこととリスクマネジメントを考慮し、船隊の在り方を見直そうとしています。

もう1つは、3ヵ年に渡る円の見方によって、ROAの数字が大きく違ってくる、例えば85円で想定した場合、
90円で想定した場合では、私どもの営業努力ではないけれども非常に改善してこういう数字になる、
こういうところも合わせ、従業員、経営者も或いは皆様とも同じ理解をするような資料の整え方をしたい。

内容的に新しい奇手は出てこないと思いますが、今年度の回復した基調をベースに11年12年をどう見て行くか、今年の延長線上で黒字の固定化・継続化が視野に入るような内容の計画にしたいと思っています

以 上