【コンテナ船事業】

 

Q1.
スライド8ページの通期業績の修正要因には、北米での内陸輸送費の増という項目が含まれているが、どういう状態か?予想よりも早く上がって来ているのか?

A1.
この夏はコンテナの箱が不足し、箱を早くまわすために相当費用がかかりました。当社から鉄道会社に支払う、船会社で言うところの燃油サーチャージ等の部分も若干値上がりし、コスト増となりました。

 

Q2.
スライド9ページで、今年度第2四半期の北米航路の往航の積高を見ると、前年が18万TEUに対し、今年度が16.9万TEUと、減少している。業界全体の動きを見ると、北米航路は10%位前年より増えている印象があった。北米航路の減少は御社固有の要因なのか、それとも業界全体として下がって来ているのか?

A2.
北米航路全体の荷動きが落ちたわけではなく、船のスペースを絞りきった当社固有の数値という答えになります。当社では昨年来構造改革を行い、特に北米航路・欧州航路ではスペースを絞っています。スペースを絞った結果、第2四半期の往航の消席率は98%とほぼ満船ですが、積高自体は伸びていないということになりました。

 

Q3.
下期の運賃の前提について。スポット運賃はある程度下がっていると思うが、御社の運賃は、ピーク・シーズンと比べて既にどれくらい下がっていて、この先それが更に下がる前提になっているのか、それとも横這いか?

A3.
下期の運賃の見方ですが、例年通り閑散期に入ると思いますので、北米航路のPSS(ピーク・シーズン・サーチャージ/繁忙期割増)は無くなって来て、欧州航路でも大体3ヶ月毎等に更改する運賃が下がって来るのですが、大体10-15%ピーク時から下がると見ています。
スライドの9ページに、2008年度の第1四半期を100とした運賃の指標が出ていますが、今年度の第2四半期の実績は107です。航路によって違いますが、下期はそのピークから大体10-15%位下がる見通しをしています。なお9月末時点ではこのピークの数字からそれほど変わっていません。

 

Q4.
欧州向けの、3ヶ月毎の運賃の更改の状況はどうか?毎月のように更改していたような時期もあると思うが、現状の運賃の更改は、10月にも行っているのかどうか、教えて頂きたい。

A4.
欧州航路の運賃の更改は、アジアのスポット・レートを見ながら、割合頻繁にありますので、10月は特に更改時期ということではありません。それを意識するのは、12月から1月位に交渉をするメーカー様等のお客様との1年や半年の契約更改の際になって来ると思います。その交渉については未だ不透明な状況です。その頃のNVOCC(Non-Vesel Operating Common Carier)との運賃等、色々な状況を見ながら交渉に入ると思います。

 

Q5.
先ほど、係船に関して御社は速やかに出来る体制が整っているとのご説明だったが、アライアンス全体としての減便や係船といった対応は、いつ頃計画を出す予定か?グランド・アライアンスや、マースク等は既に発表しているが。

A5.
閑散期対応と言うか、また荷量が大きく落ちた時への対応については、当社がメンバーとなっている“CKYH-ザ・グリーン・アライアンス”としては、欧州航路で10月に中国の国慶節の休暇のため荷量が落ちた時に、北欧州向けは4便、地中海向けは3便、の計7便を止めました。今後の荷量の見方・動向について、勿論アライアンスの中では、今話をしています。今のところ、国慶節の後そのまま冬の閑散期が来るのか、という危惧もあったのですが、また割合回復基調になっていますので、慎重に見極めた上で対応したいと考えております。

 

Q6.
この下期の北米航路と欧州航路の御社の船のキャパシティーは、この上期に対してどのくらい減るご想定なのか。

A6.
下期の収支前提のキャパシティーですが、北米航路は上期と同じで見ています。欧州航路は2-3%下げる前提です。欧州航路も下期はほぼ変わらないのですが、国慶節の後の減便、それから、来年のチャイニーズ・ニューイヤーの後、また若干減便をする予定ですので、今の予算では2-3%程度減る見方をしています。

 

Q7.
コンテナ船事業部門の経常利益は上期256億円に対し、下期64億円と、かなり落差があるが、PSSの剥落以外に、先ほどの北米の内陸コストの上昇等もあると思うが、他にどのような要素があるのか。

A7.
先ほどの運賃の下期の見方の話に加え、為替レートを上期89円、下期80円と見ていますので、この円高による影響があります。これがかなり効いています。その他の要因は特にありません。

 

Q8.
下期のコンテナ船事業の利益予想64億円が保守的かそうでないか、後で質問があればお答え頂けるということなので、その辺りのご感触、そこは多分、下期の運賃が通常の閑散期並みの動きで終わるかどうかということだろうが、その辺りについて、現実的にどういうことが起こり得るのか、ご解説頂きたい。

A8.
下期に向けての感触ですが、運賃が、10-15%ぐらいは下がると見ているところです。一番大きなところはそれだと思うのですが、これについては、ほぼ今の国慶節の後の荷動きが続いて行けば、十分想定の範囲内で収まるだろうと見ています。これも荷動き次第というところはあるので、なかなか現下の、欧米の経済状況が不透明な部分がありますので、何とも言えませんが、今年の状況を見ますと、悪い悪いと言われながら、荷動きは結構強いなという感触です。

 

Q9.
来年度以降のコンテナ船の需給について、まだ早いかもしれないが、今の時点でどういうお考えをお持ちか。

A9.
来年度に向けてのコンテナ船のサプライ・デマンドにつきましては、来年度もオーバー・サプライが続くと見ています。もし来年以降荷動きが5%しか伸びなくて、もし全ての船が、全部オーダー通り竣工するとしたら、需給が均衡すると思われる消席率90%に到達するには2015年までかかってしまいます。ただ、やはり資金調達など難しいところが色々あるので、サプライ側は少し遅れたり、或いはキャンセルされたりする部分が一部あるだろう。それから、今でも荷動きは10数%伸びていますから、5%はいくら何でもコンサバティブすぎるとして、例えばこれを7%にすると、2012年から13年の間くらいに消席率90%に到達します。そうだとしても、どうしても来年の国慶節明けはやはりオーバー・サプライの状況は残念ながら続く。従って、来年度にかけても、やはり、係船であり、或いは間引き運転、或いはスロー・スティーミングも色々な理由から継続して、何とかここを乗り越えて2012年につなげれば、その時には当社のみならず、コンテナ船全体として再投資を視野に入れられる運賃水準が継続的に確保できるんじゃないか、と予測しております。

 

Q10.
来期のコンテナ船事業の利益見通しについて、この下期のコンテナ運賃の下がり具合が、ご想定通りピークから10-15%くらいであれば、来期も比較的運賃は上げやすく、経常利益も今期並みの金額が確保できるのか。

A10.
そういう形で来年度に持って行きたい。持って行かなければならない、と思っています。従って、今期の閑散期の運賃の下落が10-15%ぐらいで収まれば、来年度については、来年度の下期に、やはりオーバー・サプライの状況はございますが、今年度と同じ程度の黒字の継続で、持って行きたい。持って行くべく努力をしなくちゃいけない、と思っております。
サプライは、新造船が竣工して来るので、2010、11、12年くらいで、各年8-10%程度の増加と言われています。需要が、7%から上に来れば今の状態が続くと見ていますので、需要が割合堅調に行くことがまず大きな前提になるかと思います。あとは船の出方です。供給増8-10%と言われている今オーダーされている船がそのまま出て来るか来ないかというところもあります。

 

【不定期専用船事業】

 

Q1.
不定期専用船の通期の予想について、前回よりも下げておられるが、内訳として各部門は大体どんな比率か?

A1.
3部門ありますが、ドライバルクに関しては、この下期は、前回の予想に比べますと、4割程減少しております。自動車に関してはほぼ横這い、寧ろ若干良い位。エネルギー資源輸送に関しましては、前回予想に比べ、20億ぐらい減益予想をしております。
ドライバルク船に関しては、特に鉄鋼原料船は、自社船比率が高く、つまりコストの中で円建ての比率が高い。特に為替が減益の主因ですが、もう一つはマーケットの見方も、このところ若干足元のマーケットが停滞していたので、それも少し反映した数字にしております。

 

Q2.
自動車船について、11ページに上期の荷動きの実績を記載して頂いているが、下期の荷動きの前提が緩やかに回復というのは、上期から下期にかけて輸送台数はまだ増えるという見立てなのか?また、やはり11ページの下に書かれているが、円高の影響というのが実際どの程度なのか、今後の見通しの中でその前提に対して無理が無いのかどうか、伺いたい。

A2.
下期の輸送台数ですが、我々はほぼ上期の横ばい、若干三国間輸送が増えるだろうと見ております。但し日本出しについては、各メーカー様の状況について相当、聴取しましたが、ここへきてやはり為替が1ドル80円、81円ということで、メーカー様によって斑模様ではありますが、総じて計画の下方修正という状況です。
2009年の下期以降大きな動きが無く、1年前と大体同じ位の数字を見ています。円高についても、80円相当くらいのベースで我々は荷動きを見ているし、一部アジアへの生産シフト等で三国間輸送が増えることも若干織り込んでおります。

 

Q3.
不定期専用船事業の来期の見方について、今下期で55億円というご予想だが、その下期の2倍とすると来年は100億円と、ちょっと寂しい水準になる。本当にこうなってしまうのか、ならないようにどういうことができるのか。

A3.
ドライバルクでは、船隊の数が現在194隻運航しており、規模が大きい。先ほども申し上げたように、コストの中に占める円の比率が高いため円高に今一つ弱い体質がある。80円が続くということになると、来期の見通しで言うと、運賃市況を別にすれば、この下期の2倍に陥りかねない。しかし来期は、比較的コスト的に有利な新造船の竣工、それからその船に固定した契約、つまり専用船・専航船タイプの契約、それが新しく追加になりますので、その部分では利益上のせが見込めると思います。ですので、ドライバルクはあまり来期について、それほど悲観はしていません。この下期の2倍よりは上に行くと、今のところ思っています。

自動車船については、前期相当の赤字でしたが、なんとか今期上期は黒字達成し、徐々に回復基調になっています。荷物はそれほど、特に日本出しについては円高が続く限りは期待できないですが、3国間の動き次第では下期自体、もう少し上ぶれする可能性も若干秘めております。それから、この2年間かけて、相当償却が進んだ船を全部スクラップし、リーマンショック前に傭船したような船が、来年の3月ぐらいまでまだ契約が残っていることもあり、高い船を今使っている状況です。それが新造船と入れ替り、コストが減ります。
以上より、来期は来期で相当また変わった動きになって来るということで、単純に2倍ということにはならないと思っております。

エネルギー資源輸送ですが、LNGに関しましては、フリー船を私ども抱えておりましたが、ここに来てスポットマーケットで中期の需要が出て来ており、何とか私どもは中期の契約をとることができましたので、上期より改善を見ています。他の案件については基本的に決まっております。為替が80円で止まってくれれば、これ以上の為替損も出ないこともあり、LNG関係は来期は上振れするのではないか、と思っています。

油槽船に関しましても足元の市況は非常に悪く、採算点を大幅に下まわっておりますが、私どものVLCC9隻の内8隻までは定期用船で、1隻のフリー船がやや市況に翻弄されていますが、これについても場合によっては採算のとれるところで、傭船契約をとって行くことで固めて行きたい、と思っています。
AFRA、LRⅡ等も マーケットは非常に悪いのですが、場合によっては減船を含めて、収支対策を打って行きたいと思いますので、この分野も、今年が最悪ではないか、と考えています。

重量物船も同じように、リーマンショックの後の荷況の激減から乗り越え、下期に入り、荷況が改善し、運賃も上がって来ていますので、来期は今年よりは良くなるのではないかと、いずれも今年が底だと考えております。

 

【全社】

 

Q1.
営業利益では、上期実績が前回予想比80億円改善しているのに対し、通期予想は120億円改善しているが、経常利益では、上期実績が68億円改善しているのに対し、通期予想は70億円の改善と、営業利益と経常利益とで利益の改善幅に違いが出ている、これに関してご説明頂きたい。

A1.
この部分は為替等の評価が、下期80円という設定をしたことから、各部門でそれなりに出て来ていると基本的に理解しております。前回予想の90円から80円で見ることで、為替の影響は非常に効いて来ています。その数字が反映されており、営業自体を反映した数字ではありません。

 

Q2.
通期の営業利益、経常利益は上方修正されているが、当期利益は以前の320億円のままになっている。 これは、どう考えれば良いか。

A2.
項目としては、投資有価証券の評価損や、本船のリースの解約損等の影響です。

 

Q3.
今期の経常利益を550億円まで上方修正された段階で、結果的に中期計画の最終年度の480億円を越える見通しになった。まだ今期の結果がどうなるかということもあるが、この今期の利益を踏まえ、来年、再来年について、中期計画を延長されるつもりがおありかどうか、伺いたい。

A3.
来年の3月末を目処に、全社を挙げて、事業構造改革及び組織改革部会を再度、立ち上げて、社内的に中期経営計画の見直し作業を進めているところです。発表のタイミングは、今年度の収支がほぼ見通しがついて、来年度の見通しが出来た時点を考えております。

 

Q4.
社長は色々な場で今後の中長期的な船隊規模の見通しとして、コンテナ船は現状の船隊規模を守りつつ、非コンテナのところで船隊規模を拡大し、コンテナ比率を下げて行く、ということを仰っている。特に大きいのがドライバルクの船隊規模を将来的には300隻規模に持って行きたい、というお話しだと思うが、どうか。

A4.
当社のドライバルクの船隊は、今日現在で194隻。これを少なくとも3年で240ー50隻に行く目処はもう、発注済みを含めて確定しています。従い、あと60隻ほどをマーケットを見ながら進めて行けば、割合自然に、2015年までに300隻という数字は達成できるであろうと思っています。

以 上