【コンテナ部門】

 

Q1.
運賃の現在のレベルはどうか?今後の運賃交渉にはどういう形で臨んでいくか?

A1.
欧州航路に関しては、現状の運賃は、2008年第1四半期の運賃レベルを100とした指数では、2010年第1四半期で105位のイメージ。今のところ荷量もまだ維持されていますが、今後の運賃については、欧州の景気の先行きの不安もありますし、また大型の新造船もマーケットに出て来ますので、この辺りは特に下期に向けては注視しております。
北米航路については、運賃レベルが指数で92、船社都合で言えば、もう一上げ、もう一頑張りしたいなと、Peak Season Surcharge(PSS)で回復したいと思っています。
そういった点を踏まえた上でまた今後はリーズナブルな運賃修復を、船社としては運賃値上げをお願いして行く。例えば数年間実質フリーズをしていた北米の中のトラック料金、或いは北米のターミナルで働いている人の賃金も数年間実質フリーズしておりますので、それが下手をすると上がってくるのを、それを吸収していただけないか。或いは鉄道料金の値上げも今後出てくるでしょうから、そういうものを踏まえたコストの転嫁をお客様とまた改めて交渉するということになると思います。

 

Q2.
Peak Season Surcharge(PSS)の現状について、教えて下さい。

A2.
北米航路は、各社ばらつきはありますが6月の初旬・中旬位から、PSSを課徴し始めていました。我々も6月の中旬にアナウンスしている金額をフルで課徴しています。現在第2弾のPSSを各社交渉している最中です。大体8月初旬・中旬開始です。6月の中旬から7月の中旬にかけて、臨時船が毎週のように出て来ていますので、その為に若干タイト感が薄まりましたが、まだ割合タイト感は強いので、各社様子を見ながら第2弾のPSSを課徴しています。
欧州航路の方は、今年の初めの頃からPSSを運賃修復の過程で課徴しており、それが度重なる運賃修復の中でベースの運賃に組み入れられたり、また若干外に出たりを繰り返していますので、特に欧州は年間契約が少なく3ヶ月毎の交渉が多いものですから、我々もそのときの瞬間のマーケットで考えるようにしています。従ってPSS部分がどれくらいかという考え方ではなく、そのときそのときグロスでどれ位かと言う考え方をしております。PSSを含む第1四半期のグロスの運賃は前述の通り105位のレベルです。

 

Q3.
コンテナの箱が不足していると言われているが、現状について教えて下さい。

A3.
コンテナの箱そのものはまだまだ不足しています。今日現在コンテナの箱そのもののメーカーは殆ど中国に頼っている状況です、K-LINEがという意味ではなくて世界のコンテナ船の船社が殆ど、私の知る限り100%と言って良いくらい中国で作っています。このメーカーが殆ど皆、やはり昨年、一昨年の不況を踏まえてピタッと全ての船会社がコンテナの発注を控えたことからレイ・オフをしています。丁度船会社がスクラップをしたり係船をしたように。そういう中国の従業員の方々が田舎に帰って未だ戻っていない。中国の地方の発展が影響しているのか、コンテナの発注金額は今、史上最高値に達しようとしています。そういう中で、私どもとしてもそれなりの順調な荷動きの回復とエコ・スロー・スティーミング、ESSをしている関係上コンテナ・インベントリー管理が更に必要だということは認識してコンテナの箱を発注していますが、これがなかなかデリバリーされない。このため各社が船そのものを増強しても、一部航路によっては又は地域によっては、コンテナの箱がまだ不足する。箱が不足しているということが、運賃上昇に影響するかもしれません。

 

【ドライバルク】

 

Q1.
第2四半期のマーケット前提を教えて下さい。

A1.
第2四半期のマーケット前提は、ケープが14,000ドル、パナマックスが17,000ドル、ハンディ・マックスが18,000ドルと、概ね現在のマーケット並みで見ております。なお第1四半期の実績は、ケープで40,000ドル、パナマックスで29,200ドル、ハンディで27,100ドルでした。私どもが期首に予想してみていたケープ35,000ドル、パナマックスを20,000ドル、ハンディを18,000ドルというマーケットより、第1四半期はかなり順調に推移しました。

 

Q2.
ドライバルクのケープのところで、9割以上は契約で固まっているという話だが、今の足元の状況は、荷物がかなり無い、異常な状態だと思うので、幾ら固まっているとはいえ途中から荷主さんから、契約の解除ないし変更を迫られるといったことは無いのか、9割の部分は完全にリスクがゼロと見ていいのかどうかについて確認させて頂きたい。

A2.
ケープのマーケットは異常に低水準にありますが、一昨年のリーマン・ショックの後の市場の大混乱時に色々な経験を致しまして、学びました。私どもの顧客は全て超優良顧客でございます。契約を反故にされるといったリスクはございません。第2四半期の予想に関しては、そういった話は全く無いので、全てきちんと契約は守られる前提で業績予想をしています。

 

Q3.
鉄鉱石に関して、最近大手鉄鉱石会社、BHP BillitonとRio Tinto, VALEは、100%稼動しているにも関わらず、何故マーケットがこんなに悪いのか?これは需要よりも、Capeサイズの船が多すぎるためと思うがどうか。下半期以降の鉄鉱石の荷量予想も含めて教えて下さい。

A3.
鉄鉱石会社の稼動は100%なのにどうしてマーケットはこんな状態なのですかというご質問ですが、これは引取りサイドに問題がある。バイヤーですね、需要家の方。とりわけ中国ですが、4月以降鉄鉱石の輸入量が3ヶ月連続対前年比でマイナスに転じています。これはここ数年私の記憶ではリーマン・ショックを除いて無かったのでややショッキングな状況です。理由は何故か。これは非常に簡単で、鉄鉱石の資源価格が余りにも高すぎてこれを海外から買って中国で鉄を作って販売しても儲からない。従って今は中国の製鉄所は減産を始めているということです。それからもう一つ原料について、海外鉄鉱石よりも国内産をどんどん使うと、こういう状況になっておりますので、大手3社と、中国・韓国・日本それぞれの需要家と、価格の交渉或いはスポットの価格がどういうところに収まって行くのかということが、これからの鉄鉱石の輸送需要が回復するかどうかのポイントだと思います。
私の個人的な見方は、さすがに10月以降は、足元の鉄鉱石のスポットのFOB価格は大分下がっていますので、そろそろまた買いに戻って来るんじゃないかと思っておりますので、またケープのマーケットも、今はスモール・ハンディよりも安いという異常なレートですが、これは9月から修正されて来ると考えています。

2番目のあまりに供給が多いのではないかというご指摘、これはその通りでございます。スモール・ハンディからケープまで全てのドライバルク・キャリアの1月から6月までのネットの重量トンの増加率が7.5%。この中でケープ・サイズが飛び抜けていて10%です。スモール・ハンディは逆に少なくて3.3%しか増えていない。このケープがあまりにも作られ過ぎだということが、巷間言われていた「2010年問題」が、ぼちぼち顕在化して来たかな、ということは否定できない事実かと考えています。

 

Q4.
市況の見通しと今後のスポット・エクスポージャー、契約の取り方について、現状について、ご確認させていただければと思います。

A4.
先ほど申し上げた様に、ケープは最悪のレベルにありますが、これは9月・10月にはある程度のところには戻ると見ていますが、需給面で、要するに船腹供給過多がかなり進んでいますので、本格的な回復には時間がかかるかなと見ております。一方、パナマックス以下に関しては石炭の輸送需要がかなり強い。特に日本の電力会社さん向けの石炭は、既にリーマン・ショック前のレベルまで輸送需要が高まっています。今引き続き中国・インドも発電用の石炭というのは必要ですし、それから穀物輸送需要についても伸びて行くと考えていますので、パナマックス以下の中小型船については市況が崩れるとは考えていません。

エクスポージャーをどういう風にとっているかと言うのは、ケープに関しては、川崎汽船は、伝統的にあまりマーケットにエクスポーズさせない方針で、基本的には大体10%くらいを常にエクスポージャーとしてとっておき、あとは固定で行く。それから中小型船につきましては、都度変動がありますが4割から5割がマーケットにエクスポーズしている。こちらもあまり変えるつもりはございません。

 

【自動車船】

 

Q1.
自動車船の第2四半期以降の荷量をどう見ているか?

A1.
資料のB-3をご覧いただきますと、2009年度の第4四半期の当社の実績で、往航は22万6千台。この第1四半期は24万台。一方復航・三国間の方は相当伸ばしており、数字的には15%位2009年第4四半期に比べて伸びています。
我々にとっての一番主要なビジネスである、日本からの輸出は、現状を申しますと2009年の第2四半期以降、少し緩やかですが回復しております。が、我々が期待するほど大きくは伸びておりません。全体で大体四半期毎110万台くらいのペースを、ここ3回、4回続けております。ということは去年4-3月期で400万台強だった日本からの新車の輸出は、今年度は430-440万台ではないかと考えられます。その程度の回復しか見込めないだろうと見ております。2008年4月-2009年3月が約560万台だったと記憶しておりますので、そういう点からしても、日本の自動車メーカーさんは日本からの輸出と言う点では極めて慎重になられていると思います。それは先ほどからコンテナ船でも出ている様にヨーロッパの景気動向、為替の問題等で影響を受けているということもあり、特に9月までの生産と出荷計画については各メーカーさんとも下方修正しており、下期で戻そうという動きになっています。従ってそれほど大きな落ち込みは無いですが、大きな伸びも無いと見ています。

 

【エネルギー資源輸送】

 

Q1.
エネルギー資源輸送事業に関して、今黒字なっているのか?或いは赤字か?

A1.
エネルギー資源輸送事業は昨年については残念ながら赤字であると申しました。今年度の第1四半期については、かなり改善しましたが、依然として赤字に止まっています。第2四半期については大分見えてきていますが、AFRAMAX, LRIIという部門はあまり芳しくない。VLは殆ど長期契約ですからあまり問題ありませんが、第1四半期よりは第2四半期の方がちょっと悪いかもしれない。いずれにしても小額の赤字の見通しです。

 

【会社全体・その他】

 

Q1.
上期の上方修正額について、コンテナ船部門が160億円と不定期専用船部門が60億円ということですが、その内訳では、どの部分が計画より上回ったのか、数字の内訳を教えて下さい。

A1.
コンテナ船の上期160億円の改善の大半は運賃です。北米の鉄道や若干変動費の上がる部分と、減速も含めた合理化の効果が打ち消しあって、結果として残ったのが運賃上昇部分という構成です。不定期専用船の60億円の改善の内訳は、ドライバルクが半分程度、次に自動車、残りがエネルギーその他になります。

 

Q2.
不定期専用船部門の第1四半期117億円という実績に対して、逆算すれば第2四半期が53億円となりますが、これだけ不定期船部門が落ち込むのはどうしてか。自動車船事業の輸送台数が落ちこむ形をイメージされているのか。

A2.
第2四半期で不定期専用船部門の数字が悪化している原因は、一つはケープの市況を14,000ドルで見ていることが影響しています。自動車船の荷量については、第2四半期は第1四半期よりは少し伸びるだろうと見ています。エネルギー資源輸送事業は第1四半期より第2四半期の方が少し悪くなると見ています。

 

Q3.
下期以降不透明な部分がある、乃至はその予防的な部分があるというお話だったが、御社独自で考えた場合に、例えば今きちんと利益が出ている段階で、供給調整のようなものが十分に予防的に取り得るものなのか、今の段階でどうお考えなのかお伺いしたい。

A3.
少なくとも若干でも一息ついている時にリスク・マネジメントをどう考えるかというところは、考えてはおります。あえて申し上げれば、つとにご指摘いただいている当社の強みでもあり弱みでもあるコンテナ船比率が高いという点、その比率をどう縮小するかということになると、今日現在では赤字であるエネルギー関係事業、ここは大きく化けて来るにはもう2-3年は耐える時だ、従ってここですぐには効果が出ない。とするとドライバルク部門の拡大強化という路線を以ってやって行きたい、という風に思っております。


KV2010として発表しております向こう3年間の計画では、コンテナその他についての投資は一端見直してフリーズをするけれども、成長が見込まれるドライバルク部門については約2,000億円を念頭に3年間平均して、出来る限り健全な投資をして行くという路線については敢えて見直しをしておりません。

ただその投資の在り方は、オフ・バランスかオン・バランスかということではなく、自社建造で行くのか、オペレーティング・リースで行くのか或いは船主起用で行くのか、それに加えて今マーケットが非常に乱高下しているので、程度の良い中古船が出て来るのであれば敢えてオン・バランスになることも辞さずに自社の費用で持つことも選択肢として拡げて行きたい。むしろそういった観点で今の時点でドライバルクの強化策を維持するという状況です。撤退を考えるとか縮小、船齢の古い船をスクラップにするという具体的な計画は今視野にはありません。

以 上