【収益構造改革について】

 

Q1
コンテナ船事業の構造改革費用、計500億円を今期に計上されたが内訳は何か。またこの費用の、
営業損益段階、営業外、特別損失のそれぞれの段階の配分についての見通しは。

A1
上期は、経常損益で約52億円。特損のところで134億円。
下期は、経常損益でゼロ。特別損益で314億円。
通期では経常損益で52億円、特別損益で448億円の合計約500億円という内訳です。
この中には傭船の解約、それから船種の変更に関わる費用も計上しています。

 

Q2
収益構造改革に関して、C-1のスライドにコンテナ船は25隻、自動車船は9隻の傭船返却等と
書かれているが、来期、再来期の数字はどうか。

A2
収益構造改革については、基本的に、今期中に思い切ってこういったコスト構造改革を推し進めますので、
不経済船の処分等は、できる限り今期中に全て進めたいと思っております。

 

Q3
コンテナ船の構造対策費用として、経常損失で52億円の影響と仰ったが、これは決算短信のP/Lに
計上されているデリバティブの解約損59億円と何か関係しているのか。

A3
この内52億円が、コンテナ船に関わるものです。

 

【コンテナ船事業について】

 

Q1
下期のコンテナ船部門の収支予想は、当初の計画に比べ未達分があるが、構造改革費用の部分を
除いたコンテナ船事業の通常の部分では、上振れているのか、下振れているのか。

A1
下期のコンテナ船部門に関しては、積高も平均運賃も7月の公表時点の予想と概ね変わりありません。
運賃に関しても、一部に回復が遅い部分もあるが、回復している部分もあり、全体では積高、運賃、
市況面において悪化要因はありません。ただコスト削減の部分で、総額は580億円から600億円に
増加しているものの、CKYHアライアンスでの合理化の一部が来期以降へずれ込んだこと、又、
細かなコストが増加しており、当初の計画より若干収支が下回っているということです。

 

Q2
コンテナ船の実績につき、第1四半期と第2四半期を比べた場合の変化について解説をいただきたい。
先ほどの構造改革費用を除いても、コンテナ船の赤字は殆ど変わっていない。というか若干拡大して
いる。席上配布された『補足資料』によると、消席率は非常に上がっているし、市況そのものも計画通りと
は言わないにせよ、多少上がっているという話なので、何故赤字が縮小しなかったのか。

A2
A-1-2のスライドの通り、コンテナ船の第1四半期と、第2四半期の経常損益は、第2四半期に計上
された52億円の構造改革費用を除けば、ほぼ変わりませんでした。
大枠で申し上げると、第1四半期では欧州・南北航路の運賃が底の時期にかかっていました。一方、
北米航路では6月頃まで、昨年決めた高い運賃のサービス・コントラクト(年間契約)の効果まだ残って
いました。第2四半期入ると、欧州・南北航路の運賃は上がって収支が改善しましたが、北米航路では
6月以降の年間契約の更改により運賃が下がったため収支が悪化し、それが丁度打ち消し合って、
第1四半期と同じ位のレベルになったということです。8月頃、契約期間の途中ではありましたが、
お客様に北米航路の運賃の値上げをお願いしましたが、やはり契約期間中ということで、思ったほど
達成できませんでした。

 

Q3
コンテナ船の運賃の下期の前提について、欧州航路中心にかなり改善する前提だと思うが、足元や
今後の運賃交渉の見通し、現状の回復状況から見てこの下期の運賃前提の達成の可能性は。
合わせて先日TSA(太平洋航路安定化協定)が発表した北米航路の来年度の運賃見通しについて、
どういった経緯でああいう運賃水準になったのか。

A3
今回発表した計画の下期の運賃前提については、冬季の閑散期に入るので、9月末の運賃を10月の
発射台として、全航路大体横ばいで見ています。ご存知の様に、色々な航路、特に欧州航路等で
値上げを図る話がありますが、とりあえず、横ばいで見た数字でこの収支をとっています。
TSAの発表ですが、北米航路の来期の運賃修復について、北米の西海岸の港までの貨物については
40フィートコンテナ1本当たり800ドル。内陸部やパナマ運河経由で大西洋側まで運ぶ貨物は1,000ドルと
発表されています。
この経緯は、勿論、一部の船社だけの意見で決まるわけではないので、皆で討議した上で、
実態的に確実に上がるレベルということと、まずは落ちた分を回復しよう、という議論が為された結果です。

 

Q4
コンテナ船部門は、この上期から下期にかけ200億円強改善の見込みだが、航路別の状況はどうか。

A4
欧州、南北航路では7月、8月、9月と、運賃が上がって来ています。収支の面では去年の第4四半期
から今年の第1四半期にかけ欧州航路が一番悪かったものが改善を見せており、下期では北米航路の
収支が一番悪い。欧州航路の動きを見ると、需給に関わらず、あまりに収支が酷いので運賃が上がって
来ています。従い、来年度の北米航路の運賃については、非常にポジティブに考えています。

 

【ドライ・バルク事業について】

 

Q1
資料のC-2の船隊整備計画のスライドの中で、特にバルカーの船腹量が2009年度の174隻から
2年後の2011年度末で220隻まで、相当大きくなるが、これは長期契約等々で船の契約が固まって、
リスクが殆ど無いと考えて良いのか。フリー船の割合は2009年度末より2011年度には著しく拡大する
のか。

A1
2009年度の下期については市況にさらされる比率を相当縮めています。2010年度についても、
ある程度、手を打てるものは打っていますが、2011年度、今から2年半先のものはすぐに契約をつける
のは難しいので、2011年度は市況にさらされる比率は今のところは、相当程度あるとお考えいただいて
良いと思います。が、一つ強調しておきたいのは、CAPEサイズを中心とする大型船に関しては、
輸送契約相手先が、鉄鋼メーカー、或は電力関係等、そもそもお客様の方が長期契約を好まれるので、
大型船についてはもうほぼ固まっていると考えていただいて結構かと思います。

 

【自動車船事業について】

 

Q1
自動車船の荷動きの回復が若干遅れて来ているというが、下期にはピークから見て7-8割程度まで
改善するのではないかと仰ったと思う。この場合、どういう利益の戻り方が期待できるのか。例えば
来年度にピークから7-8割まで、年間で均して達したとして、利益はピークから見てどれくらいまで
戻ると考えれば良いか。

A1
非常に大雑把に申し上げて、07-8年の上期にかけ、当社の月間の輸送台数は大体20万台強でした。
それが今期の上半期は約10万台で、大凡半分に減っている状況でした。これが下期の見込みでは
大体15万台くらいです。船腹は16隻のスクラップと9隻の返船を合わせ、9月末現在で25隻の船腹調整
を行い、昨年の年末90隻あった船隊が約70隻強位の規模になります。月間15万台を運ぶにはこの
70数隻でも少し多いのですが、ほぼ均衡して来たことになります。しかし、まだ大幅に利益を伸ばせる
ような状況ではありません。この改善幅の上積みについて、あらゆる手段を講じて行きたいと思って
います。
因みに来期、2010年度は、荷動きの回復は世界各地それぞれ斑模様になっており、このまま順調に
全ての地域において回復に向かうと言う事は言い切れない状況ですが、多少回復することは間違い無い
だろうと見て、輸送台数としてはピークの2007年に比べると7割位だろうと思います。昨年度の船腹は
約90隻あって来年度は約70隻と約3割減りますので、これがフルに稼動すればある程度の利益水準に
なるのではないかと今のところ考えています。

 

【今期業績予想(コンテナ以外)】

 

Q1
上期と下期を比較すると、「その他海運事業」全体で130億円近く改善しているが、例えばドライ・バルク
部門が何割程度といったご解説をいただきたい。

A1
上期の実績と下期の見込みを比較すると、ドライ・バルクに関しては概ね上期並みです。現在の市況は
計画の前提よりも上回っていますので、期待できる部分もあるかと思います。下期に関しては、全船隊の
20%程度フリーの部分があります。改善の主要因は自動車船、およびエネルギー資源関係です。どちらか
と言えば自動車船が多く貢献しています。

 

【来期会社業績予想】

 

Q1
先ほど社長より、来期は経常利益が3桁に回復するイメージ、というお話だったが、どうやってそういうこと
になるのか?今年度の500億円の構造改革費用計上による来年度1年間の改善効果は、年間で
70-80億円と伺ったので、これだけでは全く足りないと思うが、どうやってそこまで持って行くのか。

A1
来期経常利益3桁のイメージは、先ほどご説明した様に、まだ精査して積み上げた数字ではありません。
やはり今期大きな改革費用を計上するに当たり、来期以降に目に見えた形での改善が達成
できなければ、意味が無いと言うか、それを目指してやって行く中で、一番大きな要因は、
コンテナ船部門の説明にあったように、今年の8月以降の特に欧州航路、もっと言えば北米以外の
各航路において相当運賃修復が進んできています。
コンテナ船の航路では複数の船社が競合しているので、過去に何回も、繰り返し、言わば学習効果の
無い値下げ競争をやって来ましたが、今回は、過去の例と違い、各社相当大きなショックを受けている
ので、運賃修復のペースはなかなか崩れないだろうと思っています。従って、今年の8月以降の
運賃修復のペースが、来年以降も持続するだろうと見ているので、所謂構造改革費用を除いた
コンテナ船全体の収支回復に相当大きな影響が出て来ると見ています。また北米航路でも、今年の
運賃の下落は余りにもひどい、ということがあり、一方で、北米向けの荷動き量がどうなるかという点に
ついてはかなり議論があるところです。今、当社が様々なソースから得ている来期の荷動きの見込み等を
見ても、08年から09年にかけては大きく落ち込んでおり、恐らく20%程度の減とすると場合によっては、
来年にかけ、今度は20%近く荷動きの回復がある、と言うところもある。従って、来期の北米向けに
動きは多少は改善されるだろうと見ています。荷動きについてそう考えると、やはりある程度の
レベルの運賃の回復は期待できるだろうと思う。従ってコンテナ船部門の収支も、半期毎に200億円の
レベルの赤字ではない、と考えています。
ドライ・バルクについても、2010年に船腹が過剰になる「2010年問題」が懸念材料の一つとして
ありますが、それでも新造船の竣工が、当初思ったよりも実際には少なくなるということと、それから
相変わらず中国の鉄鋼石を中心にした買付けが堅調であるということを考えると、ある程度堅調な
マーケットが期待できるのではないかと見ています。
自動車船については、この下期に回復基調にあり、それが来期に続くと、今期と来期の改善幅はかなり
出るだろうと見ています。荷動きがピーク時の8割程度となれば、スクラップして安い船が無くなり
1隻当たりのコストがかなり上がっている分を差し引いても、ある程度の利益水準は行けるのではないか
と見ています。これは荷動きが8割程度に回復するということが前提ですが。
こう考えると、例え為替が80円、燃料油が500ドル台でも、少なくとも黒字転換は間違い無いし、
条件が重なれば三桁も期待できると考えています。

 

【その他】

 

Q1
資本増強の必要性について切実に感じていらっしゃるか。

A1
今のところ資金調達については目処がたっているので、今後の財政状況、財務状況を見ながら
考えて行きたいと思いますが、資本増強について今のところ色々考えているわけではありません。

 

Q2
御社と船主さんとの付き合いで、大体何社くらい付き合いがあり、その数が一般的に見て多いのか
少ないのか。またもし、その船主さんが破綻といったことになった場合、何らかの影響があるのかどうか。

A2
現在お付き合いのある日本の船主殿は大体70ー80社です。他船社のことはわかりませんが、
日本国内の船主殿の数から言いますと、健全と思われる船主殿とのお付き合いは大体できていると
思っています。破綻した場合の影響等は、契約にもよりますが、結果的に船は金融機関殿等第三者の
所有になりそうですが、当社としては、傭船契約等をなるべく維持して行くことになります。
船主殿の財務体質をどう見るかについては、今後、リスクマネジメントの点で、見て行かなくては
いけないと思っています。

 

Q3
今後会計規則が変わり、オペレーティング・リースのオン・バランス化が2015年くらいに始まるが、これが
今の経営判断に影響を及ぼすか。

A3
今まで当社でオフ・バランス化を図るのに、オペレーティング・リースという方式を一部で使い、
先ほど話題になりました船主殿を起用するという方法もありました。まず、オフ・バランス化を図ると
いうことが一体どういう観点から考えるべきか、例えば、当社が格付け機関とお話しする時に、
例えば長期のオペレーティング・リースの場合、会計上はオフ・バランスでも、格付け機関から見ると、
大きな意味合いの、いわばバランス・シートに載るという考え方で、当社の財務について色々検討して
いると聞いています。
今後オペレーティング・リースが正式にオン・バランス化されると、どちらにしてもオン・バランスで当社の
財務の健全性について測られるとすれば、「それではファイナンスの上でどちらが有利なのか」、という
観点から判断するのだろう、と思っています。

以 上