(コンテナ船事業について)

 

Q1
コンテナ船部門の業績は、昨年と比較し、上期113億円、通期218億円の増益となっていますが、その要因分析をお願いします。特に下期の増益額をあまり大きく見ていらっしゃらない。上期で会計基準の変更の影響が140億円あったことを考えると、下期は少し低めの予想ではないかと思います。下期は燃料油の価格を高く設定している等、色々な要因があると思いますので、その辺りの解説をお願いします。

A1
上期については、一番大きな増益要因は運賃の値上げの部分で186億円。次に営業の規模拡大によるものが84億円。為替が9億円程度となっております。



減益要因は、会計基準の変更の他、まず燃料油の高騰により17億円。それから所謂変動比の部分で13億円。これは規模の拡大に伴って若干膨らむ部分です。概ねこうした要因です。



下期のほうが上期に比べるとかなり収益が悪化というか減益になっていますが、1つの要因はやはり燃料油の単価が非常に高くなってきていることです。また下期は、これは毎年の季節要因ですが、上期に比べるとどうしても積高が若干落ちるので、そのように予想を組んでいます。

 

Q2
コンテナ船部門の業績が前年と比べ上期569億円の増収、113億円の増益で大変好調です。その事業好調の原因として、先ほど市況状況と効率化というお話がありました。同業他社と比べて川崎汽船のコンテナ船事業が突出して好調のように見えるはこの効率化のためと思われます。効率化について具体的に教えてください。

A2
コンテナ船でどういう部分を効率化して他社との差別化を図っているかですが、一番大きいのは所謂採算性のよい貨物を如何にとるかだと思います。当社では、世界3箇所にある拠点で採算性をきめ細かく研究し、採算性のいい荷物に集中していくということを機動的に行ったことが大きな理由の1つだと思います。

 

Q3
6月から開始した南米東岸航路の今期と今後の見通しについて教えてください。

A3
開始直後ということもあり、他の邦船2社と比べると規模はまだ小さく収支への貢献度はまだ僅かです。しかし、荷動きも前年比約20%増という状況で、運賃の値上げも浸透してきています。今後収益への貢献も期待もでき、将来的には少し規模を拡大したいと希望しております。

 

Q4
北米と欧州航路の運賃市況の半年・1年くらい先の見通しについて教えてください。

A4
北米航路においては、サブプライムローン問題の影響がでてきておりすぐに改善するとは見ていません。2009年には少し改善に向かうと予測しています。ただ荷動きには、既に2006年の秋口からその影響がでておりましたので、昨年と比べると今年はある程度横ばいが続くと見ています。来年については恐く4-5%の伸びがあると予想しています。一方で船腹供給面においては、今年は昨年に比べると若干マイナスが続いており、需給においては非常にタイトな状況となっています。アジア・北米航路に配船している主要な船会社のプランを総合すると、来年も供給面では殆ど横ばいに近い状態が続くと考えられ、荷動きは好調とは言えないのですが、需給は非常にタイトな状態が続くと予想しております。従って来年は燃料油・鉄道料金の値上がりなどコスト増要因もありますので、北米航路のコンテナ運賃の値上げを実施できると思っています。


欧州においては、荷動きは非常に好調で、今年の上期で見ると対前年比約20%増となっております。この勢いはしばらく続くとみており来年も20%前後の荷動き増を見込んでいます。一方船腹の供給面では北米航路が先ほど述べた様な状態ですので、各社が船腹量を調整し、欧州航路では荷動きの伸びに合わせたぐらいの船腹の増加はあるかもしれないと見ています。ただ、現在欧州航路の最大の問題は、欧州側の港湾が一杯になって来ており、新しいサービスを寄港させたいと思っても中々受け入れられない環境になっているため、結果的に増やせない可能性もあると見ています。

 

(その他海運事業について)

 

Q1
その他海運業の経常利益が昨年と比べて通期415億円の改善。大半の利益がドライバルク事業の利益と思われますが、ドライバルクの内でも一番増益に貢献している船種を教えてください。

A1
その他海運業の前期からの増益要因は基本的にはドライバルクであり、1番の要因は市況変動です。そのため契約の確定していないフリー船が一番増益に貢献いたしました。ケープの7割、パナマックスの5割は比較的長期の契約が確定しておりますが、スモールはほとんど長期契約が決まっておりません。従って一番増益に貢献したのはスモールということになり、これにパナマックス、ケープと続きます。ただ、だからといってケープサイズで損をしたということではありません。前期と比べて差が大きかったのはパナマックス・スモール等の中・小型船だったということです。

 

Q2
ドライバルク事業の主な3船種(ケープ、パナマックス、ハンディマックス)の所謂フリー船の割合を教えてください。これに伴い現在の市況想定に対し、実際の市況が変化した際の、利益の変化度合いを教えてください。

A2
弊社のドライバルク船腹は第3四半期についてはほとんどが契約済みの状態にあります。第4四半期においては、全船腹の大体20%がフリーの状態にあります。現在の市況は高騰状態が続いており、弊社の前提よりかなり高いレベルになっております。仮にこの市況が続けば燃料油の値上がりによるマイナス要素も出て来るでしょうから、確たるものはいえないのですが、大凡50〜100億程度の上振れになるのではないかと思います。

 

Q3
ドライバルク市況を、下期はケープサイズで11万2,500ドルと見込んでいらっしゃいます。この数字をどういう根拠をもとに算出されたのか教えてください。

A3
当社では第3四半期の数値は、大凡現実の数値をおきました。ケープサイズ市況は、第4四半期で太平洋ラウンドの1日当たりの傭船料が9万5,000ドルとなっています。現在は約19万ドルに上昇していますが、この日毎に上昇していく数字に予測がたちませんでしたので、少し前の予想の時点から数字を変えませんでした。

 

Q4
現在の市況高騰を踏まえて、ドライバルク事業のフリー船の比率の取り方が今後変化するのか、見通しについて教えてください。

A4
フリー船の割合は大体2割か3割にするという原則があるのですが、私の考えとしてはやはり、現在の高騰状態も永遠のものでもありませんので、今の間に長期契約を締結したいと思っております。

 

Q5
ドライバルクの需要面と供給面のそれぞれの見方について、御社としての、或は個人的な見方を教えて下さい。

A5
ドライバルクの市況は2004年以降、非常に上がりました。それ以前のドライバルクの需給関係というのは、長い間船腹過剰であったと私は思っています。船腹過剰が解消しつつあるとマーケットが上がり、その差が開くとマーケットが下がるということで、今から見るとそのアップダウンは非常に小さかったと思います。ところが、これが中国の成長によって突然に逆転した。最たるところは現在で、毎日のように運賃市況が史上最高値を更新している状況は、完全に船腹過剰が解消し、荷動きの方が上回ってしまっているという状況です。このような状況がいつまで続くかというと、BRICs(Brazil, Russia, India, China)諸国の成長や様々なことを考慮に入れると、当分供給不足が改善せず荷動きに関しては好調であると見ています。しかし、2010年頃よりかなり船腹の増加が見込まれており、それが世界のGDP、物流の伸びを上回るかどうか、各社とも色々検討中だろうと思います。

 

(会社財政について)

 

Q1
船腹建造を中心に旺盛な資金需要が発生しています。この資金需要に対してどのような調達を行うつもりであるのかを教えてください。

A1
これはいつもと同じ答えになりますが、我々としては資本市場からの調達も含め、できるだけ我々にとって有利なファイナンスの方法を考えていきたいという風に考えております。

 

(トン数標準税制について)

 

Q1
現在の進捗状況と今後の見通しについて教えてください。

A1
船主協会がトン数税制を問題にしてから約5-6年経ちます。既に世界で17カ国にトン数標準税制が導入され、世界の運航船腹の約7割がこの税制でカバーされています。


なぜトン数標準税制を導入するべきかというと、外航海運業は世界の単一市場で国際競争をしており、そのためルールがちがうと競争力の低下が発生するからです。特に今期のようなマーケット状況では、世界中の船社が利益を享受しております。その中において、税引き後利益に大きな差がつくと競争力の点で劣ってきてしまいますので、何とか今年度導入していただきたいということをお願いしています。

以 上