(会社業績全般について)

 

Q1
第1四半期の実績は増益となったが、その要因をコンテナ、ドライ・バルク、他部門と分けた場合、どの部門でどれくらい増益になっているか。

A1
第1四半期は前期比合計で260億円の改善となった。その内コンテナ船部門では、発表の通り114億円の改善。残り約150億円がコンテナ船部門以外の海運事業の部門で改善した。その大半はドライ・バルク部門と言える。

 

Q2
配当性向は現在20%が目標ということで、それに基づき配当予定額を年間22円/株に増額されたが、中期経営計画の目標の中で10年代半ばに配当性向30%に向けて増やすと仰っていたと思う。そういう議論は今も続いているのか、伺いたい。

A2
当社では昨年から連結当期利益の20%の配当性向をお約束し、“K” Line Vision 2008+という経営計画の中では10年代半ばの姿を見ているが、この期間を通じて配当性向を30%程度まで上げて行きたいと考えている。


儲かった時はたくさん配当し、儲からなかったら少なく配当する、というのが配当性向の考え方だが、個人的には配当性向を守ると同時に、できれば絶対額で減配にならないようにしたいと思っている。株主様の期待にも応えるためなるべく減配にならないよう配当性向を考えて行きたい。


我々の財務内容がもう少し万全の体制になった時、30%を目指そうと考えている。

 

Q3
中期経営計画 “K” Line Vision 2008+の最終年、2008年度(2009年3月期)の経常利益の目標額は1,100億円だが、コンテナ船部門の会計基準の変更による修正額を考慮すれば、今期の利益予想額は1,100億円を越える見込みということになる。
船隊整備が進む中、社長の目線で、利益規模はさらに拡大できるという見方が強まっているのか、上期の業績予想を修正された今、来期以降をどうお考えなのか、船価も上がって来ている点も踏まえ、伺いたい。

A3
中期的な営業規模をどう考えるかだが、我々の頭には10年代半ばの売上高1兆5千億円、経常利益1,500億円の数字が頭に入っている。
今期については、コンテナ船の運賃は下期も何とか維持できると見ており、ドライ・バルクの運賃市況も、多少上下はあるかもしれないが、このまま高値基調が続くのではないかと感じている。
ドライ・バルクの需給は基本的にしばらくは強いと思うので、今年の上期のレベル、或いは少し下まわるレベルでも、現在の下期の予想より上に行く可能性はあると思っている。


5年、10年先はともかく、少なくともここ1、2年は相当需給は強いのではないかと期待している。しかし未来永劫こういう状況が続くわけはないので、どこかで調整場面が来るのではないかと考えている。

荷況の方は多少上下はあっても、ドライ・バルクもコンテナも含め、毎年3-7%は伸びて行くのだろうと思う。収益を決定づけるのは需給関係だが、需要の方はそういうわけで伸びる。戦争やテロ、鳥インフルエンザ、等々の特殊な状況が無ければ伸びて行くと思う。
では供給の方がどうかと言うと、我々の関心はやはり、中国の造船所がいつ、どれだけのインパクトで世界の造船市場に出て来るか。

色々な人に訊いたり、中国の造船所の現場の状況を見たりしているが、これといった明確な感じを受け取れない。船体のクランク・シャフトやプロペラといった部品の供給がボトルネックになり一気に増えるとは考えられない、という人もいれば、中国のことだからいずれ短期間に追いついて来る、という人もいる。
造船会社や荷主、船級協会といったプロの目を通じてどうか、チェックしているが、早くて5年かかる、というのが一般的な意見のように思う。今から5年だから、少なくとも、2010年から12年の間に何か変化が出て来るのではないかという気がする。

我々の中期経営計画では持続的成長と安定収益体制の確保ということに重点を置いているので、ドライ・バルク部門ではマーケットが良い間に長期的に契約を決めて行きたいという思惑を持っている。とはいえ現実にまだ数年間はマーケットが高いのなら、高いところも享受したい。両方ねらいたい。が、軸足はどちらかと言えば安定収益の方においている。長期の話となると、例えば今のマーケットの、大型船で7-8万ドル/日のレベルでは長期の契約はできない。しかしもう少し低いレベルの契約であっても、10年から15年の安定収益になる。こういう契約をできるだけ決めて行きたい。そうした契約で営業規模を大きくし、余力があれば多少船価が高くても、リスクがあっても、船隊を増やし、これを船価が高いなら高いなりに契約を決めて行きたいと考えている。

こうした状況なので、不安はあるが、足元を固めながらやって行きたい。営業規模の点から言えば、今期、現在の予想通り再度4桁の利益が達成できるなら、できればこれを守り、継続的に伸ばして行きたいと思っている。

 

(コンテナ船事業について)

 

Q1
第1四半期について、コンテナ船部門の期初の想定と、今回発表された実績とは差があると思うが、あるとすればどういった原因で生じたものか。輸送量の差によるものか、運賃のレベルによるのか、また航路別の状況についてもお伺いしたい。

A1
第1四半期のコンテナ船部門の収支については、期初の時点の想定との差で一番大きかったのは運賃市況の変動で、特に欧州方面の運賃の値上りが当社の見込み以上だったこと。もう一つは、これは欧州航路・北米航路共に言えることだが、積高が想定より多かったこと。特に北米航路では収支改善の一番大きな要因は積高の増加にある。

 

Q2
第1四半期のコンテナ船部門の経常利益は前年の実績と比較すると114億円の増益だが、この内北米航路・欧州航路の比率をざっくりとしたイメージで良いので教えていただきたい。

A2
航路別の内訳は、第1四半期は北米航路と欧州航路とは同じくらいの貢献度。第2四半期については、欧州航路の運賃がかなり上がって来ているため、その分だけ欧州航路の方が北米航路より改善幅は大きいと見ている。そういう前提で今回の見直しを行った。

 

Q3
上期のコンテナ船部門の業績予想について、会計基準の変更の影響の他、燃料油の価格の影響やその他の状況についても大凡のところを教えていただきたい。

A3
上期については、運賃市況の変動によりプラス160億円程度、営業規模の拡大で約70億円のプラス。一方で貨物費等の荷役関係の費用が約30億円の減益要素となり、為替や連結子会社の業績の影響で20億円強のプラス。燃料油価格は第2四半期では10億円強のマイナスに影響した。

 

Q4
御社では昨年末から、現在の日本の船会社の運航船では最大船型となる8,000TEU(8,000個)積みコンテナ船を新造投入されているが、この大型船の投入効果はどれくらいプラスに働いているのか伺いたい。

A4
8,000TEU船の効果を具体的に数字で表すのは難しい。コンテナ輸送のサービスは色々な要素が複雑に入り組んでおり、個別の船の採算は出し難い。
単位あたりのコストは8,000TEU船は従来の5,000TEU船よりかなりメリットがある。欧州航路での改善のかなりの部分は8,000TEU船の効果によると見ている。

 

Q5
コンテナ部門の現在の下期の予想は経常利益でマイナス30億となっている。下期には毎年スラック・シーズンがあり、荷動きが低調になるということは承知しているが、今の運賃市況を考えると、一体どういった要因で赤字を見込まれるのか。

A5
下期の業績予想については先ほどご説明した通り、基本的には全部門とも燃料油価格を除いて見直しを行っていない。積高や運賃市況等については見直しを行わず、ただ燃料油価格のみ、急激に高騰しているため、当社の想定より50ドル/トン高いレベルで計算し直した。この結果赤字の数字になったということで、現在の市況の実勢は反映されていない。

 

Q6
コンテナ部門の見通しだが、今の利益率がどこまで改善するか、イメージを伺いたい。第1四半期のコンテナ船部門の経常利益率は5%を越え、2004年度のピーク時よりは下だが、かなり良いところまで来ているのではないかと思う。感覚としてここからまださらに上に行くかどうか、行くとすればどういう要素か伺いたい。

A6
今後さらなる上昇の可能性があるのか、ということだが、北米航路では基本的に運賃は1年間の契約。今後今期の収支の予想が変わるとすれば、荷動きと燃料油価格等の影響で変わるが、それほど大きく変動することは無いと思う。
欧州航路は三ヶ月毎の契約更改、ピーク・シーズン・サーチャージといったものがこれから出てくるので、改善の要素がある。
下期については、今の勢いから見ると、あまり荷動きが落ち込む感じは無い。荷動きと、運賃レベルも大きく落ち込まないだろうと見ている。現在まだ下期の見直しはしていないが、多少はここに出ている数字より良くなるのではないかと期待している。

 

(その他の事業について)

 

Q1
ドライ・バルク部門の今後のリスクという点だが、御社が運航しているパナマックスの約40隻、ケープ・サイズの約60隻のうち、契約がついてないフリーの部分の割合の数字があれば伺いたい。

A1
ドライ・バルク船隊全体では、長期的には大型船は大体7割が固定で3割がフリー。その逆の比率が中小型船になる。しかし直近は大型船はフリーの割合が10%くらいになっていると思う。具体的数字は無いが、中小型では6-7割がフリーかと思う。
要は大型船ではもうフリーはあまり無い。中小型船は6-7割がフリー。大型船で長期の契約を結び利益を固定化し、中小型船はフリーでマーケットを享受する。これはどこの会社も同じだと思うが、自然にそうなってくる。
リスク分散をするということは、とりもなおさず大型船は固定の契約をとり、中小型船はフリーで運航するということ。

 

Q2
ドライ・バルク部門の市況の感応度、マーケットがこれぐらい上がればこれぐらい利益が上がる、といった数値について、条件により数字が変るため難しいことは承知しているが、前回の説明会では、仮定の話として、仮にもし、フリー部分を全て、1年間ずっとマーケットのスポット価格で契約し続けるとすれば、例えば、マーケットが1年間の平均で、全ての船型で千ドル上がれば、理論上は15億円程度の上ぶれが見込めると教えていただいた。
今回の実際のドライ・バルクの修正を見て、この感応度の見方を変える必要があるのかどうか、
今後の感応度をどう考えれば良いか伺いたい。

A2
上期については既に実際のマーケットに基づいて見直しを行ったので、計算上は現在の感応度は前回申し上げた2分の1程度ということだろうが、下期についてもかなり契約が決まって来ている。その辺りを見直さないと、どれくらい変わったか正確な数値はお答えできないのでご了承いただきたい。

以 上