【2025年度第通期決算説明会資料】

A. 2025年度通期決算概要

A-1. 2025年度通期業績

 2025年度の売上高は1兆183億円で、前期比で295億円の減収となりました。営業利益は841億円で、前期比186億円の減益。経常利益は1,091億円で、前期比1,989億円の減益。当期純利益は1,329億円で、前期比1,723億円の減益となりました。

 為替レートの実績は、1ドルあたり平均150円23銭、燃料油価格の実績は1トンあたり平均528ドルです。

 前年度との比較では、営業利益の減益は自動車船事業の減益が主な要因です。経常利益の減益はコンテナ船事業の大幅な減益が大きな要因となっています。当期純利益には、保有船舶や子会社株式の売却、繰延税金資産の見直しなどの影響が含まれています。

 財務面では、自己資本は1兆8,027億円、有利子負債は2,960億円、DERは16.4%です。自己資本比率は77%程度で、オフバランス傭船料を含めたベースでは60%程度となっています。

 2025年度の株主還元は、期末配当を2026年2月の公表どおり1株あたり60円、中間配当の60円と合わせて、通期で120円としています。

A-2. セグメント別通期業績

 セグメント別の通期業績についてです。ドライバルクセグメントでは、2025年度下期に市況が回復しましたが、第1四半期に市況が低く推移したことや積地での争議の影響などにより減益となりました。

 エネルギー資源セグメントでは、LNG船、電力炭船、VLCC、LPG船などが中長期契約のもとで安定収益を確保しています。また、2024年度の減損損失の剥落や、2025年度に生じた税効果の見直しにより、増益となりました。

 製品物流セグメントについては、全体で減益となっています。自動車船事業では、米国の通商政策や中東情勢の悪化の影響を受けたものの、当社の輸送台数は増加しました。しかし、運航費の増加や中東情勢の影響により、減益となっています。

 コンテナ船事業では、自動車船事業と同様に、米国の通商政策や中東情勢の悪化の影響を受ける中、新造船の竣工影響などによる船費の増加や運賃の低下により、大幅な減益となっています。

 

 

B. 2026年度通期業績予想と取組み

B-1. 2026年度通期業績予想及び変動要素

 2026年度通期業績予想についてご説明します。

 業績予想の前提として、ホルムズ海峡の閉鎖は6月末まで続くと想定し、7月以降は通峡が再開されるとしています。スエズ運河の通峡は年度末まで見込んでおらず、引き続き喜望峰経由ルートを利用することを前提としています。

 燃料油価格は、ホルムズ海峡の閉鎖が終了する7月以降に徐々に落ち着き、通期平均で697ドルと見込んでいます。為替レートは通期平均150円82銭としています。

 これらを前提とした2026年度通期の業績予想は、売上高は1兆200億円、営業利益は830億円、経常利益は前期比91億円減益の1,000億円、当期純利益は前期比379億円減益の950億円となる見通しです。

 主な背景としては、中東情勢などの地政学的リスクに加え、為替評価損等を織り込んでいます。為替レートの変動影響は、1円あたりプラスマイナス15億円、燃料油価格の変動影響は10ドルあたりプラスマイナス7,000万円となっています。

 2026年度の年間配当について、1株あたり120円を予定しています。すでに公表している500億円以上の機動的な追加還元については、足元の事業環境を踏まえて引き続き検討しています。こちらについては、当期中での実施を計画しており、詳細が決まり次第、適切なタイミングで公表する予定です。

 

B-2. セグメント別通期業績予想

 セグメント別業績予想です。ドライバルクセグメントでは、足元を含め輸送需要が底堅く、市況も前期を上回るため、増益を見込んでいます。

 エネルギー資源セグメントは、一部船種の長期契約において、新旧入れ替えの端境期にあたることや、2025年度に生じた一過性利益の剥落の影響で、減益を見込んでいます。

 製品物流セグメントの中の自動車船事業については、中東情勢悪化による中東向け荷量の減少や、燃料費をはじめとする運航費の増加により、減益を見込んでいます。

 コンテナ船事業については、中東情勢を含む地政学的リスクなど、不透明な事業環境が継続しているため、前年並みを見込んでいます。

 以上、2025年度決算および2026年度業績予想についてご説明しました。

 

 

C. 中期経営計画の状況・進捗

C-1.【資本政策】資本政策の進捗と企業価値向上に向けて

 スライドでは、ポイントとなる部分をいくつかまとめていますので、要点を簡潔にご説明します。

 稼ぐ力の強化について、従前よりご説明しているとおり、2026年度に終了する現行の中期経営計画期間における営業キャッシュフローは、引き続き1兆5,000億円を見込んでいます。

 投資計画について、同中期経営計画期間の投資キャッシュフローは、前回公表と同様に6,100億円を見込んでいます。

 株主還元政策について、前回公表と同様に株主還元額8,000億円以上を予定しており、変更はありません。

 スライドに記載のとおり、先ほどご説明した500億円以上の機動的な追加還元については、今年度に実施する予定に変更はありません。どのようなかたちで実施するかについては、決定次第、適切にご説明する予定です。

 スライド右上にROICを記載しています。中期経営計画ではROIC6%から7%の実現を目標として掲げていました。しかし、2026年度の見通しは中東情勢の悪化の影響を受けており、それを踏まえて5%を見込んでいる段階です。

 

C-2.【資本政策】キャッシュアロケーション

 スライドは、キャッシュアロケーションをまとめたものです。キャッシュインフローは1兆5,000億円を維持しており、キャッシュアウトフローについても、6,100億円の投資キャッシュフローに変更はありません。8,000億円以上の株主還元計画にも変更はありません。

 先に公表しているとおり、800億円のマネジメントアロケーションについては、どのように使用するか決定次第、適切にご説明する予定です。

 

C-3.【資本政策】事業投資計画

 スライドには、6,100億円の投資キャッシュフローの内訳について記載しています。6,100億円のうち、鉄鋼原料、自動車船、LNG船を中心とした成長を牽引する役割を担う3事業に対する投資は、一部変更があるものの継続しています。

 全体の中では、LNG焚きなどの環境対応船や液化CO₂輸送船、さらに研究開発を継続しているSeawingの開発など、環境対応への投資も引き続き実施する予定です。

 

C-4.【資本政策】株主還元政策

 スライドでは、株主還元政策の詳細についてご説明しています。全体として、先ほどからご説明しているとおり、中期経営計画期間中における8,000億円以上の株主還元方針には変更はありません。

 スライド右側の詳細な表をご覧ください。2026年度、現行中期経営計画の最終年度の予定として、1株あたり120円の配当および今後内容が決定次第公表する500億円以上の機動的な追加還元を予定しています。これらを合わせたトータルで1,270億円が2026年度の株主還元計画です。

 

 

D. 現中期経営計画の振り返りと次期中計への重点課題

D-1. 現中期経営計画の事業環境と業績

 現行中期経営計画の振り返りと次期中期経営計画の重点課題に関するスライドを数枚ご用意しています。先ほどお伝えしたとおり、2026年度は現行中期経営計画の最終年度となります。また、私が社長に就任してからおおよそ1年が経過しました。

 当社は2027年度以降の新しい次期中期経営計画の検討を進めており、その重要なポイントについてご説明するためのスライドを、いくつかまとめています。スライドでは、2020年度以降、また現行中期経営計画の業績動向をまとめています。

 ご承知のとおり、2020年度には新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生し、2022年度にはウクライナ紛争がありました。その後も、中東情勢の悪化や米国の通商政策など、地政学的リスクを含む大きな事業環境の変化が続いています。

 そのような環境下においても、当社は現行中期経営計画期間中に、自営事業の安定化に努めることができました。また、コンテナ船事業では業績の変動が大きい面もありましたが、収益のアップサイドをしっかり確保することができたと考えています。

 スライド下部の棒グラフでは、赤色が経常利益、青色が税引前当期純利益を示しています。濃い赤色と濃い青色の部分が自営事業を示し、その上に重なる部分がコンテナ船事業を示しています。

 自営事業については、2020年度と2021年度は特に困難な状況が続き、2020年度は経常利益が赤字となりましたが、徐々に回復傾向を見せはじめました。

 そして、2022年度以降、事業環境が激しい変化に見舞われる中でも、2026年度に至るまで安定的に経常利益と当期利益を積み上げることができていると考えています。

 最終年度においては、ペルシャ湾情勢を含むさまざまな影響により、目標としていた経常利益900億円には届いていません。しかし、5ヶ年を通してみれば、安定的な収益基盤を堅実に築き上げてきたと認識しています。

 コンテナ船事業については、特に2021年度と2022年度において、大きな収益を確保しました。その後、収益の上下動は見られたものの、全体としてアップサイドを確保できたと評価しています。

 特に、スライド下部に表形式で掲げた数字をご覧いただくと、自営事業のROICについては2022年度、2024年度、2025年度において6%から7%という目標を達成しています。コンテナ船事業については、特に業績の良かった2022年度、2024年度は目標を達成しています。

 ただし、投下資本については、2020年度時点でオフバランスの傭船料を含めた合計が1兆4,000億円でしたが、足元では合計2兆6,000億円と大きくなっている状況です。

 

D-2. 現中期経営計画の振り返り

 スライドでは、さらに詳細を掲げています。全体として、白抜きの表題にも記載されているように、自営事業の安定化および株主還元の拡充においては大きな成果があったと考えています。ただし、資本効率の向上や事業成長への投資については、一部に課題が残っていると認識しています。

 特に、当社へのさまざまな取り組みに対する評価として、株式市場からの評価という意味では、PBR(株価純資産倍率)1倍を超え、これを定常化させることを経営課題として重要視しています。

 スライドの表の一番上の行に示されているPBRの推移についても、2022年度から2025年度まで、足元を含めていまだ1倍を超えていません。今後は、1倍超を定常化させるために、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。

 投資キャッシュフローについては、合計6,100億円となっています。2026年度の現行中期経営計画最終年度には1,200億円を予定しており、しっかりと規律を保ちながらこの1,200億円の投資に取り組んでいる状況です。

 一方で、一部を次期中期経営計画期間に後ろ倒ししているなどの状況もあり、成長に向けた投資は厳選しながら着実に進めていきたいと考えています。

 経常利益については、コンテナ船の大きな利益確保がある一方で、自営事業は安定化しているものの、2026年度の到達点としては予定を下回る見込みとなりました。

 安定的な成長と安定的な収益力を確保しつつ、PBR1倍超を定常化させるためには、一部に課題が残っていると考えています。

 ROEについては、持続的に10%以上を目標として掲げています。コンテナ船事業が好調だった時期には大きな数字を達成しました。2023年度は7%、2025年度は8%と、一部の事業では10%以上の実績を上げていますが、一部の事業では依然として改善の余地があると考えています。2026年度については、中東情勢の影響もあり、全体として5%を見込んでいます。

 ROEに関しては依然として課題が大きく、PBR1倍超を実現するためには重要な指標であることから、今後も引き続きしっかり取り組んでいきます。

 ROICについてはスライドのとおりで、こちらもまだ課題が残っていると認識しています。オフバランス傭船料込みの自己資本比率は、ほぼ6割ないし6割弱で推移しています。

 後ほど次のページでご説明しますが、資本効率の向上という観点から見ると、自己資本比率は若干高いと考えています。この適正化が当社にとって今後非常に重要なポイントになると考え、次期中期経営計画の策定に取り組んでいます。

 株主還元額の合計8,000億円以上については、先ほどご説明したとおり、当初の予定を大きく上回るかたちで実現できているため、緑色の印としています。

 

D-3. 次期中期経営計画への重点課題

 当社としては、PBR1倍超を定常化させる目標に向け、さらに邁進する所存です。その中で、最も重要な要素としてROEを重視し、将来的に15%以上を実現することを次期中期経営計画の大きな柱と考えています。

 その実現に向けては、利益成長を続けることと資本効率の改善を続けることの両輪でしっかり取り組んでいきたいと考えています。

 具体的な施策として、スライド下部に記載した3つの項目をご覧ください。

 1つ目は、自営事業の成長戦略です。競争力の源泉となる当社のオペレーションおよび機能戦略の強化にしっかり注力し、ビジネスモデルの強化を図っていく方針です。

 強みを持つ事業への集中投資や、資本コストを下回る事業への投資抑制を進めるとともに、場合によってはポートフォリオの入れ替えをしっかりと進める必要があると考えています。

 また、注力する事業での成長加速やオペレーション・機能戦略の強化のために、M&Aを積極的に活用していきます。内容については、次期中期経営計画の検討中であり、すべてを詳細にご説明する段階ではありませんが、これらの観点で自営事業の成長戦略を検討しています。

 2つ目は、コンテナ船事業の課題解決です。OCEAN NETWORK EXPRESS(ONE社)においては、新たなCEOが着任する予定です。

 これまで、現CEOのジェレミー・ニクソン氏には、創業以来の厳しい局面を乗り越え、現状までONE社をしっかり経営してこられたことに心より感謝申し上げ、深くねぎらいの意を表したいと思います。

 新たなステージに進むONE社は、新しいCEOのもと、さらなる発展を目指していきます。新しいCEOと協働し、当社は株主として課題の解決にしっかり取り組んでいきます。ポイントとして、3点を挙げています。

 1点目は、ONE社の事業競争力をさらに強化していくことです。2点目は、資本効率を改善し、最適な資本構成を実現することに取り組みます。3点目は、新しいステージに向けてさらなるガバナンス強化を図ることです。

 当社にとっては、コンテナ船事業全体、ONE社にとってもONE社の事業運営において非常に重要なポイントになると考えています。そのため、これらの点にも引き続きしっかり取り組んでいきます。

 3つ目は、資本政策です。キャッシュアロケーションについては、スライドに示すとおり、引き続き規律ある成長投資を進め、資本効率と財務健全性を確保したうえで、積極的に株主還元を行います。この方針は、現行の中期経営計画から変更はありません。

 資本効率については、現状ではオフバランス傭船料込みで概ね6割前後、または6割弱程度の自己資本比率となっています。まずは短期的に、オフバランス傭船料込みで自己資本比率を50%前後にすることを目標に、資本の適正化を目指します。

 単年での実行は難しいですが、今後の投資やM&Aの動向を見きわめながら進めていきます。現時点では具体的な決定はしていませんが、株主還元も組み合わせながら、自己資本の適正化をしっかりと図ることが、次期中期経営計画における1つのポイントであると考えています。

 最も重要なことは、財務健全性と資本効率の両立です。詳細については、上記の方針に基づいて策定中です。次期中期経営計画では、これらの大きな取り組みを軸にしながら、計画の詳細を詰めていきます。