【2025年度第3四半期決算説明会資料】

A. 2025年度第3四半期決算概要

A-1. 2025年度第3四半期業績

 2025年度第3四半期の業績は、売上高は7,677億円で前年同期比372億円減少、営業損益は+687億円で235億円減少、経常損益は+886億円で2,002億円減少しました。親会社株主に帰属する四半期純損益は+1,026億円で、1,821億円減少となりました。為替レートは、第3四半期までの平均が148円52銭、燃料油価格は535ドルです。

 前年同期と比較した第3四半期累計の業績損益については、為替が平均で3.75円の円高だったこと、自動車船事業において運航船舶の隻数が増加したことによる運航費用の増加、さらにドライバルク市況が第1四半期で低調だったことなどが影響し、営業損益が減益となっています。

 コンテナ船事業における貨物輸送量は、上期、特に第2四半期に北米向けの前倒し出荷があったものの、その後は伸び悩んでいる状況です。運賃市況は、新造船がマーケットに出てきたこともあり、第2四半期後半から第3四半期にかけて低水準で推移しています。

 当社の持分法適用会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS(ONE社)の業績は、先述した理由により大幅な減収減益となりました。この結果、当社の持分法適用損益も減少しています。営業損益の減少に加えて、経常損益や四半期純損益も前年同期比で減益となっています。

 主な財務指標については、スライド左下の表をご参照ください。自己資本が1兆7,397億円、有利子負債が3,090億円、DERが17.8%、自己資本比率は連結ベースで76.1%となっています。

 また、傭船料債務などのオフバランス資産・負債が約6,000億円から7,000億円あり、これを加味した場合の自己資本比率は58%から60%となります。

 

A-2. セグメント別第3四半期業績

 セグメント別の状況を簡単にご説明します。

 ドライバルクセグメントについては、大型船および中・小型船は、第2四半期以降、荷動きの回復に伴い市況も堅調に推移し、第3四半期の収益は好転しました。ただし、第1四半期から第3四半期の累計で見ると、第1四半期の市況があまり良好でなかったことに加え、以前ご説明した積地での争議やクレーン倒壊などの影響により、上期の収益は低調で、前年同期比では減収減益となっています。

 次に、エネルギー資源セグメントについてです。LNG船、LPG船、電力炭船、VLCCなどは、基本的に中長期の契約のもとで安定的に収益が推移しています。為替の影響を受けて若干の減益要因はありましたが、2024年度に発生した一過性の損失が今年度はないこともあり、第3四半期までの累計では増益となっています。

 続いて、製品物流セグメントについてです。まず、自動車船事業では、米国の電気自動車の補助金が2025年9月末に廃止されたことや、通商政策など地政学的な影響、さらには半導体の出荷停止による生産への影響といった逆風がありました。しかしながら、総じて世界の自動車販売は堅調に推移し、海上輸送需要も増加基調で推移しています。一方で、前年同期と比較すると、為替がやや円高に振れていることや、新造船の竣工により運航隻数が増加し、運航費用が上昇したことなどにより、減益となっています。

 コンテナ船事業についてです。出荷動向は先ほどご説明したとおりですが、特に第3四半期の輸送量は上期の前倒し出荷の反動で北米向けを中心に荷動きが伸び悩んでいます。また、新造船の竣工により船舶需給が緩み、短期運賃が低い水準で推移していることも重なり、ONE社の業績は減収減益となっています。その結果、持分法適用損益が大幅に減少し、当社のコンテナ船事業の業績も減益となっています。

 

 

B. 2025年度通期業績予想と取組み

B-1. 2025年度通期業績予想及び変動要素

 通期業績予想です。前提として、スエズ運河の通峡については、少なくとも現時点では3月までの再開は難しい状況にあります。

 為替レートについては、第2四半期までは145円と説明していましたが、足元の状況を踏まえ150円に変更しました。また、燃料油価格は524ドルとしています。

 市況の前提や積高の見通しについてはAppendixにまとめていますので、そちらをご参照ください。

 みなさまもご承知のとおり、現在の事業環境は、中東情勢や米国の安全保障、通商政策など地政学的な要因により非常に不透明な状況が続いているという認識です。一部のコンテナ船社がスエズ運河の通峡を再開するという見解が示されているようですが、当社としては、現時点で直ちに通峡可能な状況にあるとは考えていません。

 特に紅海近辺の情勢を引き続きモニタリングするとともに、専門家のみなさまのご意見や保険会社からの情報収集を踏まえ、通峡再開のタイミングを今後判断していく必要があると考えています。いずれにしても、安全に通峡できることを確認することが最大の前提条件と考えています。

 今年度の業績の通期見通しについては、売上高は1兆60億円で前年度比419億円の減少、営業損益は+840億円で188億円の減少、経常損益は+1,000億円で2,080億円の減少、親会社株主に帰属する当期純損益は+1,150億円で1,903億円の減少を見込んでいます。

 前年度との比較において、営業損益は、第1四半期から第3四半期までの実績と共通していますが、自動車船やドライバルクの自営事業の利益が減少したため、188億円の減益となっています。経常損益については、営業利益の減少に加え、コンテナ船事業、ONE社の減益が影響していると認識しています。

 次に、11月5日に公表した通年の業績見通しとの比較です。経常損益は1,000億円で、見通しは変更していません。当期純損益はプラス100億円となっていますが、これは会計上のテクニカルな要因によるもので、繰延税金資産にかかる法人税等調整額の見直しによって100億円増加したものです。

 為替の影響については、1円の変動で約7億円の影響、燃料油価格の影響については、10ドルの変動あたり約1,000万円に相当しますので、残りの期間における影響は限定的と見込んでいます。

 配当については、今年度は1株あたり120円を予定しており、変更はありません。来年度の年間配当に関しては、昨年および一昨年と同様にこのタイミングで次年度の配当見通しを公表しています。2026年度については、現時点での状況を踏まえて20円の増配を行い、100円から120円としたいと考えています。

 500億円以上の機動的な追加還元については、2026年度の20円の増配の原資も含めて後ほど詳しくご説明します。

 

B-2. セグメント別通期業績予想

 セグメント別の状況と通期業績見通しについてご説明します。

 ドライバルクセグメントでは、下期の市況が概ね堅調に推移しています。ある程度エクスポージャーを固めていたこともあり、市況の好転が直ちに反映されているわけではありません。通期で見ると、第1四半期の市況が低調であったことや、第1四半期に積地の争議が当社の特殊要因として影響を与えたことで、上期の業績が低迷しました。その結果、通期では減収減益となり、11月公表時の数字を据え置いています。

 エネルギー資源セグメントについては、基本的に中長期の契約が多いため、安定した収益が確保できている状況です。また、2024年度に一過性の減益要因があった分が、今年はなくなったことで増益となっています。なお、11月の公表時点からは、為替レートの見直しの影響やタンカー、LPG船の市況改善を反映した結果として15億円の増益となっています。

 製品物流セグメントの自動車船事業は、米国の通商政策やUSTR(米通商代表部)の対抗措置など地政学的な影響を受けています。ただし、自動車販売自体は比較的年間を通じて堅調に推移しており、当社の輸送台数も2024年度と比較して若干増加しています。一方で、為替が通期で円高傾向にあることや、運航する隻数が5隻弱増加したことにより、運航費用やそれに伴う港費が増加しました。この影響で、前年度と比較すると減益となる見込みです。

 コンテナ船事業についても、先ほどご説明したとおり、現状の市場環境では運賃が非常に厳しい状況です。第3四半期の数字は、コンテナ船事業の資料をご覧いただいているかと思いますが、少し悪い結果でした。ただし、第4四半期には盛り返すと予想しています。具体的には、12月頃に市況が少し回復した影響が1月以降に反映されてくる見込みです。そのため、11月に公開したONE社の業績見通しについては変更しておらず、当社の業績見通しも引き続き同程度を見込んでいます。

 

 

C. 中期経営計画の状況・進捗

C-1. 【資本施策】資本政策の進捗と企業価値向上に向けて

 資料を更新しています。非常に情報量が多くなっていますが、後ほどご覧いただければと思います。

 

C-2. 【資本政策】株主還元政策

 次に、株主還元政策についてです。スライドのグラフでは、この中期経営計画期間中の株主還元総額などを示しています。2025年度については従前通り1株あたり120円としています。今回は、来年度の配当予定額を100円から20円増額し、120円に引き上げるとお知らせしています。

 従前から、中期経営計画期間中の株主還元総額は8,000億円以上とお伝えしています。その中の500億円以上については、中期経営計画期間内の追加還元として組み込んでおり、今年の1株あたり120円の配当、そして来年の従来ご案内していた100円の配当とは別に、機動的に500億円以上の追加還元を行うと説明していました。

 今回、配当を20円増額しましたが、追加還元の500億円以上については変更はありません。また、マネジメントアロケーション、すなわち営業キャッシュフローと投資キャッシュフロー、株主還元の差額として設定している800億円も変更はありません。

 20円に相当する原資は、さまざまな数字を精査した結果、500億円以上の追加還元の中から拠出する必要がなく、またマネジメントアロケーションからシフトしなくても確保できることを確認しました。

 また、中期経営計画の5年間で8,000億円以上の株主還元を確実に実施するという観点から、過去の自己株式取得などの還元実績を累計して足し上げ、8,000億円以上を確実に達成するために、このタイミングで20円の増配をアナウンスする判断をしました。

 なお、500億円以上の追加還元については、引き続き時期や手法を検討していきます。

 

C-4. 海運業を取りまく環境

 最後に、海運業を取り巻く環境について説明します。

 一番大きな影響として考えられるのは、中東情勢、特に紅海情勢に関連したスエズ運河の通峡再開の時期です。1年延期となったUSTRの対抗措置が来年10月頃にどうなるのかという点も、非常に見通しの立てづらい状況です。

 スエズ運河の通峡再開に関しては、まだ確実に安全と言える状況にはなっていません。そのため、乗組員、貨物、船舶の安全を確保することを最優先とし、みなさまからのご意見も客観的に踏まえた上で、再開の時期を決定しなければならないと考えています。

 したがって、来年度の初めから直ちに再開するような状況ではないと考えていますが、効率的な輸送の観点から、当社としてもどのタイミングで再開するのかしっかり検討していく必要があると認識しています。