【2024年度第2四半期決算説明会資料】 

A. 2024年度第2四半期決算概要

A-1. 2024年度第2四半期業績

 2024年度第2四半期は、売上高は前年同期比816億円(前回公表比50億円)の増加となる5,380億円でした。営業損益は前年同期比169億円(前回比11億円)改善となる+611億円でした。経常損益は前年同期比1,047億円(前回比208億円)改善となる+1,873億円でした。上期の純損益は前年同期比1,224億円、200%増となる+1,832億円、前回比212億円の増益でした。今回1点だけ付言させていただきますと、第2四半期は一過性の要因としてキャッシュフローを伴わない為替差損154億円を計上しています。これは、外貨建て現預金や債権債務の評価替えによって発生しているものです。

 自己資本は1兆5,808億円、有利子負債は2,878億円、DERは18%、自己資本比率は76%となりました。

 

 A-2. セグメント別第2四半期業績

 全般的には、前年同期比でドライバルク及びコンテナ船事業が、前回公表比では自動車船事業及びコンテナ船事業が収支に貢献しているというのが大まかな内容です。セグメント別については先ほどお話しした通り、第2四半期の外貨建て現預金及び債権債務の評価替えによる為替差損154億円を計上しています。これは一定のルールに基づいて各営業部門に配賦されていて、各営業部門の実力がそのまま見えない、わかりにくい状況になっているので、営業部門の概要については後ほど通期見通しの際にご説明します。なお、この為替差損は、第1四半期末の為替が161円台、第2四半期末が142円台と、20円近く急激に円高に推移したことに起因して発生した、キャッシュフローを伴わない為替差損です。

 

 

B. 2024年度通期業績予想と取組み

B-1. 2024年度通期業績予想及び変動要素

 2024年通期の業績予想について、売上高は前期比721億円(前回公表比100億円)の増加となる1兆300億円です。営業損益は前期比219億円(前回比40億円)の改善となる+1,060億円です。経常損益は前期比1,073億円(前回比200億円)の改善となる+2,400億円です。当期純損益は前期比で1,331億円、130%増となる+2,350億円、前回比250億円の増益です。下期の為替レートの見方については、10月は実勢レートを反映していますが、11月以降は期末も含めて140円の前提で今回収支見通しを立てています。通期の期中平均為替レートは147円17銭、燃料油価格の想定は1トン当たり624ドルです。なお、為替レートが1円変動するのに対して収支に与える影響、変動額は1円当たり±16億円、燃料油に関しては10ドルの変動に対して±3,000万円の影響があります。還元については後ほど説明します。

 

B-2. セグメント別通期業績予想

 セグメント別の通期業績予想について、ドライバルクの経常損益は前期比95億円の改善、前回公表比では20億円の減少で+130億円の黒字です。ドライバルクは昨年度に比べて、大型船は鉄鉱石の輸送需要に加えてボーキサイトが非常に堅調であったということで、上期は市況も安定していました。下期については、中国での不動産市場の不調を主因とする鋼材などの内需が減少していき、中国向けの鉄鉱石の輸送量も一定程度減少するだろうという見方で、市況の一時的な軟化を想定しています。中小型船ついては、上期中国での穀物が豊作で終わりましたが、南米からの穀物(主にトウモロコシ)の輸送需要が想定を下回りました。一旦市況は少し軟化しましたが、今後の荷動きがトウモロコシから大豆に移っていくということで、市況も一定程度回復していくだろうという見通しです。中長期的なドライバルクの見通しとしては、中国経済の減速による懸念はありますが、インドをはじめとする新興国の需要の増加、また、特に大型船を中心として新造船発注が限定的であることなどから、市況は底堅い内容で推移するのではないかと見ています。

 エネルギー資源輸送の経常損益については前期比で25億円(前回比10億円)の減少となる+50億円を想定しています。これについては一過性の要因ですが、他の船種は中長期契約を中心に安定的に収益を稼いでいて、現在行っている投資もLNG船事業を中心に多くは26年度、もしくはそれ以降に収支に表れてくる状況です。

 製品物流の経常損益に関しては、前期比989億円(前回比235億円)の改善となる+2,275億円、このうちコンテナ船については前期比992億円(前回比170億円)の改善となる+1,450億円を見通しとして立てています。つまり、自動車船をはじめとするその他の製品物流に関しては前回比65億円の改善になります。自動車船については、北米向けを中心に旺盛な輸送需要が続く状況に変わりはありません。もともと需給がタイトに推移する中、紅海の紛争に伴って喜望峰経由の運航を余儀なくされているということで、全体の供給をおよそ6%程度絞る方向に働いているのではないかと見ています。したがって今年竣工する新造船約45隻もこのギャップを埋めるために使用されています。11月からいよいよ始まったEUによる中国出しの電気自動車、EVの追加関税の適用については今後の動向を注視していく必要があります。今いろいろなお客様から話を聞いている限りは、追加関税が適用されるバッテリーEVからハイブリッドやプラグインハイブリッド、ガソリン車など他の車種に変更されるなど様々な動きがあるようなので、影響についてはもう少し状況を注視したいと思います。

 お話ししたとおり、足元で非常にタイトな状況に変わりはないということです。仮に喜望峰経由が解消されるということがあっても、当社の従来からの見方である25年末、26年の頭まで需給バランスがタイトな状況が続くという見方については、現時点では特に変更はありません。当社は環境対応の新造大型船をフルに活用することで、運賃修復と積高の確保に努めて、収益の拡大を図っていきます。

 

(ONE社資料)1. 2024年度第2四半期決算概要

 コンテナ船事業について、上期は北米を中心とした個人消費の回復に加え10月に予定されていた労働協約の更改、これは北米東岸港湾組合であるILAとの労働協約の再交渉締結ですが、これによる不透明さがありました。また、欧州向けについては紅海紛争に伴って喜望峰経由を余儀なくされて、航海日数の大幅な長期化による影響もありました。これらを回避する中で、今年は上期に出荷前倒しが見られ、荷動きも堅調に推移、短期運賃市況が上昇しました。したがって上期は、ONE全体の税引後損益は前年同期の7億ドルに対して20億ドル増の27億7,800万ドルの実績です。

 

 (ONE社資料)3. 2024年度通期見通し 

 下期については通常の端境期に加えて、上期の出荷前倒しの反動もあり、輸送需要の減少、短期運賃の市況については一定程度下落することを見込んでいます。加えて、来年2月ごろに想定されるアライアンス組み替えによる一時的な費用の影響も一定程度織り込んだ上で、下期の税引後損益については3億1,700万ドルの予想、通期の税引後損益は30億9,500万ドルの収支を見ています。

 

 

C. 中期経営計画の状況・進捗

C-1. 【資本施策】資本政策の進捗と企業価値向上に向けて

 次に中計の進捗についてご説明します。

 収益力の強化、稼ぐ力の強化ということで中期経営計画開始以来努めてきました。今年度5月に中計最終年度の経常利益目標を1,400億円から1,600億円に、200億円積み増ししましたが、今年度の最新の見通しについては先ほどお話ししました通り、2,400億円を見込んでいます。

 営業キャッシュフローについても、期首の想定からおよそ1,000億円増加し、中計期間の累計で1兆5,000億円を見込んでいます。投資については企業価値の向上に必要な投資を、投資規律を緩めずにしっかり実施、促進するということで7,400億円としていますが、これは5月に公表した数字から変わっていません。

 最適資本構成については、引き続き自営事業、コンテナ船事業に必要な資本レベルの検証を続けるとともに、当社がいつもお話ししているとおり、財務の健全性と資本効率を両立させる中、キャッシュフローを踏まえて成長、企業価値向上に必要な投資を行うとともに、株主還元も機動的に行なうという基本方針は変わっていません。

 今回、営業キャッシュフローの増加に伴って中計期間の累計の株主還元額を、7,000億円以上としていたものを300億円引き上げて7,300億円以上としました。具体的に今年度24年度の計画としては、1株当たり15円増配して100円の配当を予想しています。加えて、機動的な追加還元として900億円の自己株式取得を実施します。これは今年の5月から7月にかけて908億円の自己株式を行いましたが、新たに900億円、3,600万株式を上限とする自己株式取得を予定しているものです。当社は今お話ししたような収益力の強化、稼ぐ力を強めるとともに、資本効率の改善よってROE10%以上を継続的に達成していきます。このことによって資本コストも低減し、PBR1倍以上に復帰、維持、向上することを、引き続き目指したいと考えています。

 

C-2. 【資本政策】キャッシュアロケーション

 キャッシュアロケーションについては、営業キャッシュフローが今年の5月公表時から1,000億円増えて中計期間の累計1兆5,000億円を見込んでいます。したがってキャッシュアウトについては、累計の還元額を7,000億円以上から7,300億円以上に引き上げることとしました。

 

C-3. 【資本政策】株主還元政策

 株主還元政策については、今年度は1株当たり15円増配の100円ということと、機動的な追加還元として900億円、3,600万株を上限とする自己株式取得を実施予定です。自己株式取得の方法については、立会外買付取引(ToSTNet-3)及び東京証券取引所における市場買付を予定しています。取得期間は、11月6日から2025年2月28日までです。今回取得する自己株式については、原則として消却を予定しています。以上が2024年度の株式還元政策のアップデートです。

 

C-4. 【事業戦略】成長を牽引する3事業・新規事業領域-成長戦略の進捗

 最後に、事業戦略の進捗です。

 鉄鋼原料は安定収益基盤の維持、拡大ということで、LNG焚きを始めとする環境対応船、大型船への入れ替えを着実に進めています。今年、当社では初めてとなるLNGを主燃料とする20万トンの大型ばら積み船の竣工を受け、長期契約の下、安定的な稼働を開始しました。これに続いて後続船の発注も需要をしっかり確認した上で進めていて、併せて中長期の契約も進捗している状況です。

 LNG輸送船については、安定収益基盤を拡大していくということで、長期傭船を中心に、足元46隻の関与船から、中計の最終年度である26年度には65隻、その先30年度には75隻以上という船隊に拡充する計画を掲げています。進捗については、Qatar Energy向けのLNG船について、昨年の12隻に加えて今年4隻追加して16隻の契約を締結しました。加えて現在複数の案件について、1つずつ積み上げているので、基本的に26年度の65隻体制はもうほぼ見えている状況です。現在はさらにその次、30年度に向けた収益の積み上げに向けて動いています。

 自動車船については回復した収益力をさらに強めていくということで、競争力のあるLNG焚き環境対応大型船への入れかえが着実に進んでいます。足元、本年度までに既に新造の大型LNG燃料焚き船が5隻竣工、今後漸次竣工してきます。Scope3のCO2削減に貢献する本船の投入ということで、それに見合う契約の確保も進んでいる状況です。また、いずれも大型船なので、その大型化を享受する形で積高、輸送効率化を図るとともに、High and Heavy(背高・重量貨物)や大型の非自走貨物などを更に取り込むことで収益基盤の底上げを図っていきます。

 当社は海運を主軸として取り組んでいる中、培った経験とノウハウを生かした社会の低・脱炭素化に貢献する新規事業領域に取り組んでいます。まず液化CO2輸送事業については、世界初のフルスケールのCCS事業であるNorthern Lights社との液化CO2輸送事業が、いよいよこの秋、まさしく始まろうとするところです。Northern Lights社とは3隻目の傭船契約も締結して、さらに欧州での事業の展開、新たな契約の確保に向けて活動を進めているところです。

 一方、日本で今後建設が進んでいくことが想定される洋上風力発電への支援船では、洋上風力発電の建設及びケーブル敷設などに不可欠な、海洋地質調査を行うのに適した海洋地質調査船事業をイギリスの会社と合弁で設立、日本籍船である海洋地質調査船が就航したところです。これから、その活躍に期待をしているところです。