2022年度第1四半期決算説明会資料】

A. 2022年度第1四半期決算概要

A-1. 2022年度第1四半期業績

 売上高が2,285億円、営業利益+189億円、経常利益+2,674億円、当期純利益+2,666億円、為替レートが126円49銭で推移し、バンカー価格は821ドル/MTでした。この経常利益と当期純利益は、四半期ベースでは当社の過去最高益になります。

 主な財務指標は、自己資本が1兆1,878億円、有利子負債が4,104億円です。この結果、NET DERが13%に改善、自己資本比率が64%に改善しました。

 

A-2. セグメント別第1四半期実績

 ドライバルクセグメントが経常利益+150億円。前年同期比が+9億円でしたので、141億円の改善です。エネルギー資源セグメントは経常利益+58億円。こちらも前年同期実績+9億円でしたので、50億円の改善。製品物流セグメントは、コンテナ船事業を含めまして+2,488億円の経常利益、これは前年同期比1,599億円の改善となります。

 

 

B.2022年度通期業績予想と取組み

B-1. 2022年度通期業績予想及び変動要素

 上期の売上高が4,700億円、営業利益390億円、経常利益5,000億円、当期純利益4,950億円です。

 下期の売上高が4,200億円、営業利益+180億円、経常利益+2,000億円、当期純利益+1,950億円。通期予想は経常利益が+7,000億円、当期純利益が+6,900億円です。こちらは、7月21日に適時開示をいたしました数値と相違ありません。

 

 営業利益は前年同期と比べていただきますと、393億円の改善です。こちらは、自営事業のドライバルク事業および自動車船事業の収益が回復したということがあずかっています。

 

 経常利益7,000億円は、前年同期に比べますと、通期増減額は425億円の増加です。こちらは、コンテナ船事業であるOCEAN NETWORK EXPRESS社(以下、ONE社)の収益が当初の5月9日に公表した数値よりは高い数値になるということで、前期に及ばないものの、その差が縮まったという形です。

 

 為替レートの前提が、足元以降ドル円が130円になるという前提の下で、通年平均で129円68銭、バンカー価格が896ドル/MTです。

 変動影響は、為替のレートが1円変動で55億円という大きな影響を受けまして、これまでは収益の改善要因とみていましたが、現状、相当円安が進んでいますので、この先、収益の下方修正要因になり得るということで注視を続けたいと思っています。

 

 配当については、これまで上期150円、下期150円としていましたが、こちらを上期300円、下期300円の配当に増額します。これ以外の1,000億円超の株主還元についてはそのまま維持をしたいと思います。また、2022年10月1日付で株式分割、3分割するということを既にプレスリリースをしています。

 

B-2. セグメント別通期業績予想

 セグメント別の業績予想ですが、経常利益でドライバルクセグメントが+360億円、エネルギー資源セグメントが+130億円、コンテナ船事業が+6,270億円です。製品物流セグメントは+6,630億円ですが、コンテナ船事業を除くと+360億円の経常利益を予想しています。都合7,000億円の経常利益になります。

 部門別の概況として、まず、ドライバルクについて、資料の15ページをご覧ください。一番上のテーブルにドライバルクの市況実績と当社の想定が書いてあります。左側が2021年度実績、右側が2022年度の想定です。

 例えばCAPESIZE(大型船)の通期実績と通期予想を比べてみると、前年度が32,750ドル、今期の予想は22,400ドルと、押しなべて全船型で前期よりも悪い想定です。これは、実は5月に発表しました当初の2022年度予想よりも悪くなっています。

 このような状況下でも、ドライバルクセグメントは、前年同期比で123億円収益が改善しています。市況の悪化要因以外の改善要因は3つあります。1つは、中期経営計画でうたっている日ごろの取り組みです。とりわけエクスポージャーコントロールが所期の効果を上げておりまして、これは当社のコア船隊の余剰船隊にスポット契約や中期の契約を当てはめるだけではなくて、臨機応変に船を短期間、輸送契約と見合う期間で引いて、それで商売を広げているというところがまず1点です。

 第2点は、前年度において完了した不経済船の処分です。ある時点での想定値を参考までに申し上げると、20億円程度ドライバルクセグメントの経常利益を改善するのに貢献しています。

 あともう1つは、後ほど説明しますが、為替要因です。円安が進んだことによる収支の押し上げ効果がドライバルクセグメントにも効いています。

 

 エネルギー資源セグメントですが、ここにはいつも中長期的の契約で市況の変動なしという説明だけですが、現状、ここに数字で表れていないアクティビティーについて申し上げます。現在、特にLNG船を中心に将来のプロジェクトの引き合いを非常に盛んに行っています。相当の件数のプロジェクトで新しい船を発注しつつあり、契約をまとめつつありまして、こちらは数字として表れるのが2023年以降になりますが、現状、エネルギー資源セグメントは、現状の当社船隊での商売のみならず、新しい将来に向けての取り組みに傾注をしています。

 

 製品物流セグメントも、自動車船事業、物流事業、近海・内航事業、コンテナ船事業について説明します。自動車船について、資料の16ページをご覧ください。こちらは輸送台数が2021年度の実績と2022年度の現時点の予想が記載されていて、前年度288万6,000台に対して、今期は約17%増の336万5,000台と、足元積み高予想が増えています。

 需要はそのような形ですが、供給サイドが今非常にタイトでして、自動車船が払底しています。とりわけ傭船マーケットで払底しているということで、需給が締まっています。このため、運賃の更改などを迎えた契約の場合には需給を反映した形での運賃修復が行われているということ、並びに高い運賃貨の貨物、例えばハイ・アンド・ヘビーの建機や重機などの比率を上げ、あるいはアジア出しの運賃の比較的高い貨物への取り組み比率を上げることによって、自動車船は前年同期比で割と大きな増益を期待できる状況です。

 一方、物流は、前年度においてコロナ禍の影響による特にフォワーディングを中心としました収益の高止まりが、徐々に剥落してきている状況です。現下では、為替益を入れても、今年度と前年度で収益は大体同水準ぐらいを維持するか、という見方をしています。

 近海・内航事業は、アジア近海航路(外航)が好調です。フェリー事業において赤字航路の改廃を進めたことがあり、こちらも前年度比で増益を予想しています。

 

 コンテナ船事業について、まず、航路概況をご説明します。サプライチェーンの混乱は長い目で見ると収束をしつつあり、とりわけ北米西岸の滞船状況は、前年度第4四半期で40隻程度だったものが、今、20隻程度まで減少しています。一方で、北米の東岸への配船の数が増えていて、そこでの滞留を来している。それから、ヨーロッパ航路においては、例えばハンブルク港などにおいて港湾労働者のストライキが起きるなどという状況が重なっており、全体的には大きく改善したという状況にはありません。

 北米西岸でのILWUという労働組合と使用者側との契約更改の交渉について、目立った動きはなく、足元では荷役のスローダウン等交渉に伴うターミナルオペレーションの遅延というものは見てとれない状況です。

 一方で、そのような状況下でサプライチェーンの全体状況は変わりませんが、例えばアメリカにおけるインフレによって消費が減るのではないか、あるいはウクライナ情勢によってヨーロッパにおける消費が落ちるのではないかという消費に対するセンチメントの見方なども作用して、現在の運賃水準は、とりわけ北米西岸を中心に若干弱含んでいる状況が続いています。

 このような環境下で、私どもの見立ては、ONE社の今期の収支は前期の経常利益には届かず、おそらく7%内外ぐらいは利益が落ちるという想定の下、その31%が当社に還元されるということです。昨年度同期の円建ての当社へのONE社等の貢献度が6,238億円でしたが、現時点での予想は6,270億円としています。

 

B-3. 自営事業改善ポイント

 今年度はドル円の為替の動きが非常に顕著で、収支への影響が大きいので、その動きが分かる形で図示しました。コンテナ船以外の自営事業の改善ポイントを図にしており、一番左側の滝グラフは2021年度の自営事業の経常利益455億円、一番右側が今年度の予想で850億円に増えるであろうということです。

 一番右側の滝グラフにおいては455億円を発射台とすると、218億円が自営事業による自主的な収支改善要因による改善額、177億円(グレーの部分)が円安による収益の改善額です。事業部門別に見ると、ドライバルクセグメントは123億円改善しますが、自営事業の収支改善が75億円で為替要因が48億円、約40%程度です。エネルギー資源セグメントも82億円の改善額のうち、航路収支の改善が48億円で為替要因が34億円、これも40%程度です。コンテナを除く製品物流セグメントは、190億円改善しますが、事業収益の改善が95億円で、半分の95億円は為替による改善であると分析しています。

 

C. 中期経営計画の状況・進捗

C-1. 営業キャッシュフロー

 こちらからは、中期経営計画の進捗状況についての取りまとめをしています。

 まず、通期営業キャッシュフローは、期首時点での予想は3,000億円のキャッシュインでしたが、主にONE社によるコンテナ船事業および当社自営事業の堅調な業績推移、前者のほうが大宗を占めますが、これによって1,000億円営業キャッシュフローが上振れする見込みです。都合、今回の発表では4,000億円の営業キャッシュフローが期待できるという形になります。

 

C-2. 株主還元政策

 資料は株主還元政策を図示したものです。私ども株主還元の考え方としては、期中のキャッシュインフローと投資、こちらの2つの要素の変動というものを中心に考えており、配当性向等々あらかじめフォーミュラを決めているわけではありません。変化に応じて臨機応変にやっていくという考えの中で、今回の追加配当を決めました。もちろん利益剰余金の余裕額や、前年度の利益水準や株主還元等とのバランス等も考えていますが、その結果としまして、ページ右上に記載の通り、追加配当を含めて600円の配当を実施するとともに、1,000億円以上の追加還元についても、どういう形でいつ実施するかは未定ですが、予定しています。

 

C-3. 川崎汽船グループを取り巻く事業環境

 こちらは現在の事業環境で、ご質問をたくさんいただく項目ですので、これを整理したものです。国際情勢には、本日現在の情勢などを考えると、台湾のクライシスも入ってくることになろうかと思いますが、こちらもご一瞥いただければと思います。