【2021年度第2四半期決算説明会資料】

A. 2021年度第2四半期決算概要

A-1:2021年度第2四半期業績

 売上高は前年同期と比べて575億円改善の3,576億円でした。営業損益は、前年同期は▲102億円の営業損失でしたが、1年前はコロナウイルス感染の影響を最も大きく受けた時期であり、鉄鋼原料をはじめとするドライバルク事業と、自動車船事業の2部門が、需要の大きな減退により収支が大幅に悪化しました。そこからドライバルク、自動車船ともに荷動き、需要が回復期に入り、営業利益は204億円改善の+102億円となりました。経常損益は、OCEAN NETWORK EXPRESS社(以下、ONE社)にて、タイトな需給環境、コロナ禍による特需も伴う旺盛な貨物需要などを要因とした業績改善により、ONE社の収支が当社経常利益に大きく貢献したことで、2,280億円の改善となる、+2,380億円の経常利益となりました。当期純損益については、前年同期比で2,364億円改善の+2,460億円の利益ですが、この中には既に開示しております米国物流会社のCDS社(CENTURY DISTRIBUTION SYSTEMS, INC社)の保有株売却益が反映されています。

 当第2四半期末時点の自己資本は前期末比2,514億円改善の4,696億円、有利子負債は同比139億円減の4,931億円となります。DERが同比127ポイント改善の105%、NET DERは同比88ポイント改善の84%、自己資本比率は同比16ポイント改善の39%となっています。

 

A-2:セグメント別第2四半期業績

 ドライバルクセグメントは、前年同期比で151億円改善の+59億円の経常利益ですが、鉄鋼原料を中心とした大型船は、昨年後半から中国向けの荷動きが大きく市況を牽引しています。いち早くコロナ禍から回復した中国経済ですが、今年の中盤から不動産などインフラ需要の調整局面に入り若干減速しているものの、堅調な荷動きが続いていることと、インドや日本など、中国以外で昨年コロナの影響を大きく受けた地域向けの荷動きや需要の回復が進み、全体では前年度を上回る荷動きとなると見ております。中小型船についても、中国によるオーストラリア産石炭の輸入禁止に伴い、輸入元がインドやロシア、コロンビアなどにシフトし、輸送する船型も小型化したことで、需給、特に供給がタイトになり、またトンマイルも増加する形となって供給を引き締める要因となっています。また、豚コレラから回復した中国向けに、北米および南米からの穀物需要も強く、全体的な需給バランスは締まってきたのが上期となります。需要面に加えて供給面でも、中国やオーストラリアを中心に水際対策として新型コロナウイルス感染対策に伴う検査、規制が厳しくなったことで、滞船が生じており、5~6%の供給が絞られる形になっていると見ています。需要側では、鉄鉱石、原料炭、一般炭、穀物その他全体で、今年は前年比5~6%前後の需要の増加を見込んでおり、供給側と双方が相まって、現在市況が上昇している要因になっていると見ております。

 エネルギー資源セグメントは、前年同期比26億円悪化の+8億円の経常利益ですが、これは悪化というよりも、LNG船事業を中心に関連会社からの配当受取のタイミングが昨年と今年では異なることによるものです。通期では、昨年度を上回る数字になる見込みです。当社はLNG船やVLCC、VLGC、LPG船については、基本的には中長期契約でカバーされていますので、大きな収支の振れはありません。電力炭船については、一部のCOA契約が足元ドライバルク市況の好況を反映して、収支が改善してきています。

 製品物流セグメントは、前年同期比で2,194億円改善の+2,381億円の経常利益ですが、昨年度は大きく落ち込んだ自動車船も、世界各地で自動車販売台数が回復して荷動き需要は伸びてきました。ただ、当初想定に対して半導体の生産が間に合わず、また新型コロナウイルスの感染拡大により、マレーシア、ベトナムなどの供給元にてワイヤハーネス等の部品生産が滞るなど、夏場から9月、10月にかけて生産台数が大きく影響を受けていますが、11月以降は戻ってくるとの情報を当社顧客の各自動車メーカーから頂いています。

 

 

【OCEAN NETWORK EXPRESS (ONE社) 2021年度第2四半期決算説明資料】

 コンテナ船の第2四半期の荷動きは、市場全体では前年同期比10%増加。ONE社の同期間の積高も前年同期比で10%伸びています。特にアジア-北米航路で、失業給付金などの景気刺激策が需要につながり、コロナ禍前の2019年の同時期と比べても、アジア-北米航路の積高は15%以上の伸びを示しました。需要の増加に加えて、ドライバルクと同様に、供給が絞られる要因として、サプライチェーンの目詰まりが、ONE社も様々な努力をしているものの、なかなか解消されない状況です。港湾や内陸での移動、鉄道やトラック輸送等が新型コロナウイルス感染拡大に伴う運転手不足、労働力不足、人手不足により、ONE社の運航船がターミナルに到着しても、お客様からの引き取りがタイムリーに行われず、また鉄道への接続も同様であり、お客様の倉庫においてもデバンニングする労働力が足りないことも含めて、負の連鎖が生じています。足元ロングビーチやロサンゼルスなどの北米西岸のターミナルでは10日から2週間近く船が待たざるを得ず、80隻近い船が滞船しており、これにより供給がおよそ10%前後絞られていると見ています。

 尚、ONE社の上期売上高は133億米ドル、税引き後損益は+67億6,000米ドルの利益という実績でした。

 

 

【2021年度第2四半期決算説明会資料】

B. 2021年度通期業績予想と取組み

B-1:2021年度通期業績予想及び変動要素

 ドライバルクセグメントでは、市況上昇による収支改善が上期より下期に反映されます。また、自動車船事業も、半導体不足の影響や部品不足が徐々に解消されていく11月以降、荷動きが回復する想定です。通期業績予想は、売上高が前年比で645億円増収の6,900億円、営業損益が363億円改善の+150億円の利益、経常損益は3,005億円改善の+3,900億円の利益、当期純損益は2,613億円改善の+3,700億円の利益としています。ドライバルクや自動車船は下期にかけて業績も伸びてくる想定にて、ONE社は、税引き後損益67億6,000万米ドルの利益という上期実績に対して、下期の予想は50億米ドルの利益としています。下期は例年の季節要因である旧正月等の荷動きを考慮しています。為替前提は下期106円15銭、為替変動は1円変動で±39億円、燃料油価格変動は10ドル変動でおよそ±0.2億円としています。

 下期に不採算船・事業の構造改革を予定していますが、高コスト船や老齢船、自動車船の不経済船など、経済効率に劣る船を中心におよそ50隻の船隊適正化を進めることを昨年ご案内しています。足元では、自動車船の大半は昨年適正化が済んでおり、今期上期で予定した計画も全て終了しています。ドライバルク船は、市況が反転する中で、短期傭船については解約ではなく、足元の市況上昇を享受する形で使い切る対応をする一方、中長期傭船として抱えているものは、足元の市況享受する形で解約を進めつつあります。経済合理性、経済効果があるものは、今期大半のものに手を付けることができるのではないかと考えています。加えて、不採算事業の撤退、処分も考えており、現在、交渉を進めているところにて、おそらく今年度末か来期にはご案内できる状況になるのではと思います。

 

B-2:セグメント別通期業績予想

 堅調な需要と水際対策による滞船により船腹需給がタイト化しているドライバルクセグメントは、前年比286億円改善の+195億円の経常利益、エネルギー資源セグメントは同24億円改善の+35億円の経常利益、製品物流セグメントは2,740億円改善の+3,785億円の経常利益と見通しています。自動車船事業にて、老齢船もしくは小型の経済効率に劣る船の船隊適正化や航路網の再編や、今期から来期にかけて幾つか運賃修復も進む中、今後それらの効果がより出てくるものと見ています。物流事業においても、需要の回復に伴い、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年並み、もしくはそれを超える水準になってきている状況です。

 

B-3:2021年度自営事業セグメントの改善ポイント (2020年度比)

 コンテナ船を除いた自営事業セグメントの改善を示したものですが、前年度▲62億円の経常損失に対して、今年度は+320億円の経常利益見通しにて、382億円改善し、そのうち約4分の3が新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一時的に大きく減退した需要が戻ってきたことによる荷量回復、加えて市況改善が要因となります。

 

C. 株主還元について

C-1:株主還元について

 コンテナ船事業を中心とした業績の大幅な増益、自営事業の収支改善により、財務体質が一定の改善を見せており、また、今期は不経済船および不採算事業等の構造改革も織り込んでいる中、配当可能な利益が創出されたことから、今回配当予想を修正しました。中間配当は無配としますが、期末配当として1株当たり300円を実施する予定としています。配当については、ONE社の業績改善に伴う連結ベースの財務体質、バランスシートの改善が大きいのですが、特に当社は過去数年にわたって実施した構造改革により自己資本を毀損してきた中で、その自己資本が今回の業績改善によって連結ベースでも改善が進み、また、配当原資となる単体利益剰余金がプラスに転じる目途が立ったことから、今回1株当たり300円の期末配当の実施予定をお知らせします。

 来期以降の株主還元については、現在新たな経営計画の策定作業を進めている最中です。来年度の5月頃に公表したいと考えていますが、新たな事業計画、経営計画の中で最適資本構成を踏まえた株主還元方針もお示ししていきたいと考えています。適正資本レベルを踏まえた最適資本の構築の中で、成長に必要な投資を行っていく上では、中長期的な成長戦略が必要ですし、低炭素化・脱炭素化に向けた取り組みを強化していく為の環境関連投資もあります。それらの投資も含めた、成長戦略に必要な投資をしっかり行い、財務体質の強化を進める一方、最適資本構成を踏まえた株主還元もしっかり進め、これらを合わせたバランスの取れた資本政策を事業計画とともに検討を進めることで、来年5月に新しい経営計画をお示しできればと考えています。

 

 

【 “K”LINE環境ビジョン2050年の改定~2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦】

 環境については、当社の”K”LINE環境ビジョンにて、2050年目標として、従来は国際海事機関であるIMOの目標と同じくGHG総排出量を50%削減する目標を掲げていましたが、新たにGHG排出量のネットゼロに挑戦することを打ち出しています。