A. 2020年度第2四半期決算概要

 

A-1:2020年度第2四半期業績

 第2四半期の実績は、売上高が1,479億円、営業損益は▲36億円の損失、経常損益は+110億円の利益、当期純損益は+106億円の利益となりました。上期実績は、売上高は、コロナウイルスの影響を受け、前年同期比およそ2割の減収となる3,001億円、営業損益は▲102億円の損失、経常損益は100億円の利益、当期純損益は96億円の利益となり、これは前年同期比で67億円の悪化となっております。9月24日の適時開示時からは、20億円改善し、+100億円の経常利益となっております。為替レートは105円90銭、燃料油価格は$331/MTです。

 財務指標については、自己資本は前期末比で56億円増加の1,067億円、有利子負債は前期末比345億円増加の5,780億円です。現金及び現金同等物期末残高は1,508億円と、およそ月商の3カ月分以上を確保しています。NET DERは398%、自己資本比率はおよそ12%にて前期末より1ポイント改善しています。また、劣後ローンの資本性を加味した場合は、およそ16%相当となります。

 

A-2:セグメント別第2四半期業績

 ドライバルクセグメントでは、大型船市況は、コロナ禍影響により第1四半期の市況は大きく下落しましたが、第2四半期にかけて中国での鋼材需要の高まりや、ブラジルからの鉄鋼石出荷も回復したことから市況も回復基調に転じました。中・小型船市況は、米国から中国向けの大豆などの農産品の買い付けや、インドからの鉄鋼石出荷が回復したことで、こちらも市況は復調を見せました。しかし、ドライバルクセグメント全体では、第2四半期の実績としましては、航海完了基準という会計基準もあり、第1四半期の大きく下落した市況が反映された形となり、前年同期比で減収減益となる▲49億円の経常損失となりました。

 エネルギー資源セグメントでは、油槽船・LNG船などの中長期契約は順調に稼働しましたが、オフショア支援船事業において、原油価格下落の影響により市況が悪化した結果、エネルギー資源セグメント全体では、前年同期比で減収減益となる+18億円の経常利益となりました。

 製品物流セグメントでは、自動車船事業においては、大きくコロナ禍影響を受けて、第1四半期は前年同期比で輸送台数が半減しましたが、自動車販売台数も少しずつ低迷から回復し、各国の一時休止・停止していた工場も生産を再開するなど、第2四半期の輸送台数は前年同期比でおよそ3割の減少となり、損失を計上しました。コンテナ船事業においては、当社の持分法適用会社であるONE社の業績は、全体の荷動きはコロナ禍影響を受けて減少しましたが、荷動きに応じた機動的な配船、減便を実施し、運賃市況も堅調に推移したのに加えて、燃料油価格の低下や、貨物ポートフォリオの見直しなどが奏功して、前年同期比で増益となっています。物流事業も同様に貨物量が減少した一方で、巣ごもり需要を反映して、eコマース事業を主要顧客とするバイヤーズコンソリデーション事業は好調に推移しました。近海・内航・フェリー事業も、コロナ禍影響で人の動きが止まったことにより、大きな影響を受けました。製品物流セグメント全体では、自動車船事業や内航・近海事業の落ち込みをコンテナ船事業でカバーする結果となり、前年同期比で減収となるも、+157億円の経常利益となりました。

 

 

B. 2020年度通期業績予想と取組み

 

B-1:2020年度通期業績予想及び変動要素

 売上高は、上期同様におよそ2割の減収となる5,900億円、営業損益は▲250億円の損失、経常損益は収支均衡、当期純損益は+200億円の利益を見込んでいます。当期業績については、上期に大きく受けた新型コロナウイルス感染拡大の影響から徐々に回復に向かうと想定しています。一方で、米国での感染拡大や欧州での第2波の影響など、予断を許さない状況が継続、一定の影響は残るとの想定です。経常損益は収支均衡を見込みますが、海外ターミナル子会社などの資産売却により当期純損益は+200億円の利益を確保する見込みです。為替前提は、下期が105円、通期で105円98銭、燃料油価格前提は通期で$362/MTです。

 中間配当につきましては、当期業績、今後の業績動向や、将来への成長投資、財務体質の強化を総合的に勘案し、誠に遺憾ではございますが、配当を見送ることを決定いたしました。期末配当につきましては、現時点では引き続き未定としており、通期業績見通し、および、財務状況を総合的に勘案し、改めて公表いたします。株主の皆様には深くお詫びを申し上げますと共に、引き続き業績回復と財務基盤の強化に努めてまいりたいと存じます。

 

B-2:セグメント別通期業績予想

 ドライバルクセグメントでは、第2四半期に全世界の粗鋼生産は前年同期比9%弱落ち込みましたが、各国の経済刺激策に加えて、中国を中心としたインフラ需要の高まりや、自動車販売が回復し、7~9月についてはプラスに転じた他、日系の鉄鋼ミルにつきましても、4~6月の粗鋼生産は対前年同期比3割ほどで落ち込みましたが、7~9月には同2割前後の落ち込みに回復しています。一方、欧州中心に新型コロナウイルス感染第2波の影響もある中で、本格的な回復には今しばらく時間を要する見通しの下、下期は黒字回復を見込みますが、上期の赤字が大きく影響し、通期では前年度比111億円悪化の、▲70億円の経常損失を見込んでいます。

 エネルギー資源セグメントでは、油槽船、LNG船など中長期契約は安定的に稼働していますが、オフショア支援船事業については、引き続き原油価格下落の影響が継続するとしてコスト削減に努めて収支改善を図っています。また、ドリルシップ事業につきましては、コロナ禍影響も含めて、原油価格の低迷により、一過性の損益悪化を見込んでいます。エネルギー資源セグメント全体では、前年比で94億円の悪化、前回公表比で35億円の悪化となる、+5億円の経常利益を見込んでいます。

 製品物流セグメントでは、自動車船事業については、世界の自動車販売台数は、4~6月にかけて前年同期比3割落ち込みました。当社の輸送台数は、前年同期比5割落ち込みました。7~9月は、中国での販売がプラスに転じ、米国での販売も前年同期比比10%減まで回復してきている中、当社の輸送台数の想定は、下期も前年同期比で10%の減少を見込んでおります。引き続きサービスの一時的な見直し、不経済船、老齢船の処分などによる一層のコスト削減に取り組んでいます。物流事業においては、国内外ともに取扱高が徐々に回復しているものの、本格的な回復には少し時間がかかるという想定です。コンテナ船事業においては、米国の消費動向も含めて荷動きの見通し、市況動向が不透明な部分もあり、今後、ONE社では欧米を中心とした消費動向、荷動き需要を注視しながら、機動的な配船、減便等の収支改善策に引き続き取り組んでいく予定です。製品物流セグメント全体では、前年同期比145億円の改善となる、+115億円の経常利益を見込んでいます。

 

B-3:セグメント別通期業績予想

 前期通期実績と当期通期業績予想の差異について、ドライバルクセグメントが▲111億円悪化、エネルギー資源セグメントが▲94億円悪化、コンテナ船以外の製品物流セグメントが▲120億円悪化し、合計▲325億円の悪化となりました。コロナ禍影響は、一時的な需要の減退、市況下落、また乗組員交代のための航路の迂回や、PCR検査等のために滞船を余儀なくされるなど、これらの直接経費も合わせて、全体ではおよそ300億円の影響額を想定しています。下期に入り、ドライバルクセグメント、自動車船事業等も収益が改善しており、エネルギー資源セグメントにおける一過性の影響を除き、当社本体事業については改善傾向にあると見ています。ONE社については、荷動きに応じた機動的な配船、堅調に推移した運賃市況や燃料油価格の低下により、収支が大幅に改善しており、その結果、当社本体事業の損失を補填する形となっています。

 コンテナ船事業については、ONE社も事業開始後3年目に入ったということで、大きく2つポイントが挙げられると思います。1つは、3年目に入りONE社の組織がしっかり機能するようになり、親会社3社のベストプラクティスがしっかり発揮できる組織体となり、巡行速度に乗ってきたことが一番大きいと思っています。加えて、ONE社も含めて、業界の再編・統合が進んだ結果、東西航路のメインプレイヤーが減り、アライアンスも3大アライアンスに集約されるという事業環境が整ったタイミングで、ある意味ではコロナ禍が業界再編によるメリットを機能させる引き金となったと見ています。各船社ともに年初にコンテナ船の荷動きが大きく減るのではと身構えたところ、各アライアンスがサービスの品質を落とさずに機動的に減便を実施できるということで、例えば、ONE社の属するTHE ALLIANCE(ザ・アライアンス)では、北米航路サービスは毎週16便あり、1便減らしてもスペースは6%しか減らず、サービス品質も維持できる為、各アライアンスが、躊躇なく需要の減退に備えていたところ、実際にはそこまで需要が減退しなかったこともあり、結果として、過去に繰り返したような、需要の減退と同時に市況が下落するという事態が起こらなかったのではと思います。ONE社自身の組織の面、および業界全体の統合・再編が、ようやく一定程度効果を発揮できる環境になってきたと見ています。

 なお、先ほどご説明したコロナ禍影響の中で、国境封鎖に伴う乗組員交代による航路の迂回や安全確保の為の本船滞船期間による直接費用は、コロナ禍影響額300億円のうち、およそ24億円を見込んでいます。

 

B-4:足元での課題の進捗状況

 コロナ禍影響から回復してきたとはいえ、第1四半期公表時に経営計画で当社の考え方をお示ししたとおり、足元でのダメージコントロールのみならず、ウィズコロナの事業環境の変容も視野に入れた船隊の適正化、特に傭船の返船や、老齢船・不経済船の処分を積極的に進めております。ドライバルクセグメントと自動車船事業を中心に20隻超の返船・処分をほぼ予定通り進めているところです。また、流動性の確保は手元では3カ月分の現預金を確保しています。自己資本の拡充については、海外ターミナルの資産売却は予定通り進んでおり、また安定収益の積み上げについては、LNG、エネルギー関係も含めて、中長期契約の確保をしっかりと目標を立てて、一つ一つ取り組んでおり、今のところ予定通り進んでいるところです。

 

B-5:新型コロナウイルス感染症対応とその進捗

 新型コロナウイルス感染症拡大はまだまだ予断を許さず、欧米での猛威を見ると、油断ならない状況と思いますが、海陸共に当社は物流インフラの一翼を担っており、全社一丸となって取り組んでおります。本船では、船内の監視、予防策を徹底しております。一方で、国境封鎖に伴い、乗組員の交代に支障が出ており、当社グループにて管理する194隻に常時乗船する乗組員が4,300名おりますが、そのうち乗船期間が10カ月を超える乗組員数はピーク時には1,100名を超えていましたが、足許では700名を切って、600名台まで減少してきている状況です。陸上では、飛沫感染防止パネルを設置し、在宅勤務や時差通勤なども機動的に活用して、感染予防に努めている状況です。