2019年度第3四半期決算概要についてご説明申し上げます。

 

 第3四半期決算を要約しますと、3点ございます。1番目に既往の“K” LINE本体事業であるドライバルク、製品物流(自動車船、物流、近海・内航)、エネルギー資源の各セグメント、事業部門については極めて順調に推移しました。2番目にONE社についてですが、黒字を計上することができました。3番目にIMOによるSOx規制について、規制適合油への入れ替えについて非常に順調にオペレーションをすることができました。また、このSOx規制対応に係るコスト増への対応も、ほぼ想定通り終えることができております。以上が要約でございます。

 この第3四半期を終えての今年度の通期業績見込ですが、経常利益、当期利益段階ともに変更しておりません。

 新型コロナウィルスによる影響等新たなリスク要因が足元生じていますが、来年度開始の新しい中期経営計画のスタートをスムーズに切れるよう残り3カ月間全員で努力してまいります。

 

A. 2019年度 第3四半期決算概要

 

A-1. 2019年度第3四半期決算概要 

2019年度第3四半期の実績は、売上高1,948億円、営業損益+106億円、経常損益+112億円、当期純利益+89億円でした。また9カ月累計の実績は、売上高5,672億円、営業損益+216億円、経常損益+245億円、当期純損益+252億円です。為替レートは9か月平均で109円05銭、燃料油価格は445ドル/MTです。

 セグメント毎実績ですが、第3四半期実績はドライバルクセグメント+38億円、エネルギー資源セグメント+31億円、製品物流セグメント全体で+52億円、そのうちコンテナ船事業は+20億円です。製品物流セグメント全体からコンテナ船事業を引いた差額、52億円引く20億円の32億円が自動車船事業、物流事業、近海・内航事業によるものでございます。コンテナ船事業の+20億円のうち、ONE社からの持分法利益が+3億円となっており、合計で112億円です。9カ月累計では、ドライバルクセグメントで+40億円、エネルギー資源セグメントで+77億円、製品物流セグメントで+157億円、うちコンテナ船事業が+56億円、またそのうちONE社による持分法利益は+48億円です。製品物流セグメント全体の157億円とコンテナ船事業56億円との差額の101億円が自動車船事業、物流事業、近海・内航事業の累計です。会社全体の合計で経常利益が+245億円という結果でした。

 第3四半期3カ月間の主な変動要素について、ドライバルクセグメントでは、上期はブラジルからの鉄鉱石出荷や南米出しの穀物輸送需要が強く、市況は回復基調をたどりましたが、第3四半期の期央より荷動きが鈍化し、市況は軟調に転じました。斯様な状況下、運航効率や配船効率の向上に努めた結果、ドライバルクセグメント全体では、前年同期比4億円改善となる+40億円の経常利益を計上しました。

 次にエネルギー資源セグメントですが、油槽船市況は、第3四半期に入り大幅に回復し、高値圏で推移。LNG船事業や電力炭船事業も、中長期契約に支えられ計画通りに進捗し、長らく低迷していたオフショア支援船事業も、市況は一定程度回復しており、損失は縮小しました。その結果、エネルギー資源セグメント全体では、前年同期比57億円改善の+77億円の経常利益を計上しました。

 製品物流セグメントでは、まずONE社の業績は、第3四半期において北米航路の荷動きが落ちましたが、一部サービスの休止や継続的な減便により、大幅な運航コストの削減を実施し、南米航路や欧州航路では需給が改善したこと、加えて変動費削減による粗利改善を図ったこと等により、3四半期連続で黒字を達成しました。当社に残るコンテナ船事業である港湾事業も想定通りに推移し、コンテナ船事業全体では、ONE社への事業移管に係る一過性費用が発生した前年同期に比べ370億円の改善となる+56億円の経常利益を計上しました。その他の製品物流セグメントにおいても、昨年度下期より航路改編や運賃修復を行ってきた自動車船事業を中心に業績は改善し、前年同期比84億円の改善となる+101億円の経常利益を計上しました。これらの結果、製品物流セグメント全体では、前年同期比454億円の改善となる+157億円の経常利益を計上いたしました。

 主な財務指標ですが自己資本、有利子負債、DER、NET DER、自己資本比率とも、2018年度末対比にて改善しております。ちなみに第3四半期末の自己資本比率は14%、劣後ローンを加味した場合の自己資本比率は18%となっております。

 

A-2. 通期業績予想

 通期業績予想は、営業損益+50億円、経常損益+50億円、当期純損益+110億円を見込んでおります。それから経常損益の+50億円と当期純損益の+110億円との差額についてですが、当期純損益段階については、海外ターミナルの売却交渉は引き続き進めておりますが、一方で事業ポートフォリオの見直しも継続して検討しており、それらを総合的に勘案して、業績予想は変更しておりません。業績予想に対する為替レートの前提は109円、燃料油価格の前提は470ドル/MT。為替変動による残り3か月間の影響額は、1円変動で±8,000万円、燃料油価格変動による同影響額は1トン当たり10ドル変動で1,000万円です。なお、配当については、中期経営計画で掲げているとおり、株主の皆様への還元を重要課題と認識しておりますが、他方、財務体質の改善を喫緊の課題と捉え、収益の改善に向け取り組んでまいりますけれども、期末配当予想につきましては、現時点では引き続き未定とさせていただきます。

 

A-3. セグメント別 通期業績予想

 セグメント別通期業績予想については決算説明会資料5ページに記載の通りです。

 各セグメント別の主な前期比の変動のポイントですが、ドライバルクセグメントでは、第2四半期をピークに市況は急回復したものの、足元は従来閑散期である季節性要因の影響もあり、全船型で市況想定を下方修正しました。加えて、一部の本船においてSOx規制対応としてSOxスクラバー設置の為の工期が長期化した影響を織り込んだ結果、通期ではセグメント全体で前年同期比9億円の悪化、前回公表比15億円の悪化となる、+35億円の経常利益の計上を見込んでおります。

 次にエネルギー資源セグメントですが、油槽船事業は冬場の需要期を迎えることやSOx規制対応による供給側の一時的引き締めが続くことなどにより、堅調に推移するものと予想。電力炭船事業、LNG船事業、海洋資源開発事業も、中長期契約に支えられ想定通りの進捗を見込んでおります。通期では、エネルギー資源セグメント全体で前年同期比70億円の改善、前回公表比5億円の改善となる、+95億円の経常利益を見込んでいます。

 次に製品物流セグメントですが、ONE社の業績は、昨年末から今年1月末にかけての旧正月前のピークシーズンでは南米航路、アジア航路を中心に好調に推移しており、旧正月後の閑散期に向け、アライアンスでの追加の減便を実施する予定です。第4四半期後半に短期運賃市況が弱含みとなるリスクを織り込むものの、第3四半期の改善が上回り、当社持分相当で前年同期比232億円の改善、前回公表比8億円の改善となる、+31億円の経常利益を見込んでおります。なお、当社コンテナ船事業では、第4四半期にONE社への傭船に関する損失引当金を織り込んでおります。製品物流セグメントのその他の事業では、一部航空貨物の苦戦などの影響を織り込んだ結果、コンテナ船事業を除く製品物流セグメントで前年同期比84億円の改善、前回公表比並みの+80億円の経常利益を見込んでおります。以上の結果、製品物流セグメント全体では、前年同期比452億円の改善、前回公表比15億円の改善となる▲40億円の経常損失を見込んでおります。

 

 

A-4. 通期業績予想 変動のポイント[前年同期比]

 前年度通期経常損失▲489億円と、今年度通期業績予想+50億円の経常利益との比較にて、滝チャートによる要因分析ですが、大きな要因として、ONE社持分法損益の改善で+232億円、コンテナ船構造改革効果で+94億円、ドライバルク、エネルギー資源セグメントの市況・中長期契約の積み上げで+65億円、自動車船事業の航路改編・運賃修復効果が+50億円となっており、収益が改善しております。

 

A-6. IMO SOx規制への対応

 当社として極めて重要視していた本船の運航を止めることなく、かつ経済的影響を最小化する方針の下、対応を進めた結果、計画通り切り替えは完了し、また、コストへの影響についても、想定と同程度のコスト増に抑えることができたと評価しております。一部スクラバー設置に伴って入渠している船が、設置工事に予定よりも若干長い時間がかかっていることはありますが、こうしたコスト増についても、既に業績予想の中に織り込み済みです。

 

 

B. 部門別業績動向

 

 運航規模におけるエクスポージャー比率が第2四半期時点との対比で改善している他、

資料13ページの自動車船事業について、2019年度の輸送台数の第3四半期実績と、第4四半期の予想を記載していますが、グローバルでの自動車販売台数の落ち込みもあり、輸送台数が減少しております。

 

 

C. ONE社 2019年度第3四半期決算説明資料

 

 ONE社の第3四半期実績及び第4四半期予想ですが、第3四半期実績は前述の通り+5百万ドルの黒字を計上、第4四半期の業績予想は▲49百万ドルの損失、通期業績予想は前回公表の+60百万ドルから21百万ドル上方修正して、+81百万ドルとなっております。第3四半期も黒字を計上できたことで結果的に3四半期連続での黒字決算となりました。

 全体の荷動きは、1月下旬の旧正月に至るまで、東西航路及び南北・アジア域内航路全般について、ほぼ想定通りに推移しました。ただ、旧正月以降については、今回の新型コロナウィルス等の影響もあり、弱含みな荷動き環境が見込まれており、東西航路のザ・アライアンスを中心に、需要減少に対応した継続的な減便を実施予定で、運航コストの削減にさらに努める予定です。また、コンテナ回送最適化等の可変費分野でのコスト削減が予想を上回る成果を上げており、収支改善に大きく寄与しており、自助努力によって粗利が改善しております。また、下期の前半においては、旧来のHFO(Heavy Fuel Oil、重質燃料油)バンカー価格が当初想定を下回り、収支の押し上げ要因となっております。1月以降の規制適合油については、ほぼ想定並みの価格で推移する見込みです。また、IMO SOx規制、MARPOL2020規制対応では、規制適合油の調達や、本船ごとの綿密なマイクロマネジメントを行い、12月中に円滑に移行を完了しており、追加燃料油コストは、想定通りOBS(ONE BUNKER SURCAHARGE)等で徴収中です。

 資料17ページに滝チャートにて通期業績予想を21百万ドル上方修正した要因を示しています。悪化要因として運賃下落、積高減少がありましたが、これを可変費削減、運航費削減、燃料油価格下落でカバーして、結果21百万ドル上方修正したということです。

 資料18ページに積高、消席率、運賃指数実績の表を掲載していますが、第3四半期実績について、2018年度第3四半期実績と2019年度第3四半期実績を比較すると、北米往航で積高が746千TEUから665千TEUに減少しています。これは、前年に米中貿易摩擦による駆け込み需要があったその反動によって需要が減少した要因によるものです。それから欧州往航については、前年同期442千TEUから440千TEUへ微減となっています。ただし、消席率は北米往航で前年同期の95%から今年度第3四半期で93%と、欧州往航で前年同期92%が今年度第3四半期は92%とほぼ変わっておりません。それから運賃指数については、北米往航は前年同期が108、今年度第3四半期は104、欧州往航は前年同期が100、今年度第3四半期が98です。積高、消席率、運賃指数とも前年同期比では改善していませんが、先ほど説明したコスト削減といった自助努力や資料にも記載しています主要航路における減便を実施することで、収支を黒字化することができました。