2019年度第2四半期決算についてご報告いたします。

 

A. 2019年度第2四半期決算概要

 

A-1. 2019年度第2四半期決算概要

 2019年上期実績は、売上高3,724億円、営業損益+111億円、経常損益+134億円、当期純損益+163億円ということで、経常損益は前年同期比で347億円の改善、前回公表比較では34億円の改善、当期純損益については、前年同期比で409億円の改善、前回公表比較では93億円の改善となります。為替レートは、上期平均で109円18銭、バンカー価格は440ドル/MTとなりました。

 前回3つの課題に取り組むと申し上げましたが、1つ目の当社船隊コストの削減については、前期末に行われた高コスト船処分などの構造改革によりその効果が現れています。2つ目の自動車船事業の収益改善策の取り組みについては、採算性を重視した、航路網の抜本的な見直しに加えて、地道な運賃修復への取り組みが奏功し、黒字をしっかり確保できる体制が確立されつつあります。最後のONE社の黒字化につきましては、開業初期の混乱を脱し、昨年失った貨物の回復に努め、また、ONE社として初めて、自らのマーケティングポリシーのもと2019年度の契約更改に臨んだ結果が出つつあり、まだ十分とは言えないレベルではあるものの、上期はほぼ公表予想どおりの実績を残すことができました。

 ドライバルクセグメントでは、+2億円の経常利益となり、前年同期比19億円の悪化、前回公表比で8億円の悪化となります。これは今年前半に大きく落ち込んだ市況影響を引きずったものであり、その後はブラジル出し鉄鉱石の出荷量も戻り、南米発の穀物の荷動きも堅調な中、市況は回復してきております。また、先ほど申し上げた構造改革による船隊コスト低減もあり、通期では当初予想を上回る見通しです。

 エネルギー資源セグメントでは、油槽船市況は回復基調、LNG船・電力炭船事業でも長期契約に支えられました。オフショア支援船事業においても、市況は底値を脱して一定の回復が見られました。また、先物予約による為替変動影響低減などに努めた結果、エネルギー資源セグメント全体では+46億円の経常利益となり、これは前年同期比で30億円、前回公表比で11億円の改善となります。

 製品物流セグメントでは、ONE社の業績については東西航路を中心に、短期運賃が当初想定レベルに届きませんでしたが、ONE社として初めて取り組んだ年間契約の更改による貨物ポートフォリオの改善、航路合理化による運航費削減やシナジー効果の現出による変動費の削減など、きめの細かなオペレーションを進めた結果、収支が改善し、当社持分相当で45億円の黒字と、ほぼ期首計画どおりの利益を確保しました。また当社本体のコンテナ船事業においては、昨年度のONE社への事業移管直後に発生した大きな一過性費用がなくなったこと、2018年度末に実施した構造改革による収益改善効果もあり、コンテナ船事業全体として前年同期比で270億円、前回公表比で5億円の改善となる、+36億円の経常利益黒字を計上いたしました。

 製品物流セグメントのその他の事業においても、先ほどご説明したとおり、収支改善策への取り組みが実を結びつつある自動車船事業の改善に加えて、物流事業や近海・内航事業もしっかり利益を確保した結果、前年同期比で65億円、前回公表比では19億円の改善となる+69億円の経常利益を計上いたしました。コンテナ船事業と合わせた製品物流セグメント全体では+105億円の経常利益となり、これは前年同期比335億円、前回公表比24億円の改善となります。

 当期純損益につきましては、継続して事業及び船隊ポートフォリオの見直しを進めていますが、上期に実績した資産売却に伴う特別利益や、一部保守的に見積もっていたコンテナ船事業統合に伴う関係会社清算費用の低減などにより、前回予想に比べて上期では93億円上回る+163億円の黒字となっています。

 主な財務指標につきましては、自己資本は1,155億円、前期末比で119億円増加、有利子負債については12億円減少の5,490億円、自己資本比率は、前期末より2ポイント改善となる13%となりました。

 

A-2. 通期業績予想

 前回公表から、セグメント及び上期、下期別には変動があるものの、通期での全社数値については、営業損益以下前回公表どおりとなる見通しです。売上高は7,400億円、営業損益+60億円、経常損益+50億円、当期純損益+110億円と、経常損益の+50億円は前年同期比で539億円の改善、当期純損益の+110億円は前年同期比と比べて1,222億円の改善となります。為替前提については、下期は108円を見込んでいます。燃料油価格は、前回公表時点での下期予想677ドル/MTから今回同531ドル/MTへと修正しております。これは当初想定よりも規制適合油と高硫黄重油(High Sulfur)の値差が縮まった実態を反映しているものです。為替変動による下期への影響額については、1円変動で±2億3,000万円、燃料油価格変動による同影響額は1トン当たり10ドル変動で5,000万円になります。

 当期純損益については先ほど申し上げましたとおり、上期においては前回公表を上回る結果となり、下期についても一定の特別利益を見込んでいるものの、海外ターミナルのみならず事業ポートフォリオの見直しによる資産売却など、複数案件の検討を並行して進めており、その中から適宜実行可能なものから進めていく予定です。中間配当及び期末配当予想につきましては、中期経営計画の方針に沿って、財務体質の改善を喫緊の課題と捉えた上で業績の改善に取り組んでいますが、中間配当については、まことに遺憾ながら無配とさせていただきます。期末配当予想につきましては、現時点では未定とさせていただきます。

 

A-3. セグメント別 通期業績予想

 ドライバルクセグメントでは、上期においては、今年年初に大きく下落した市況低迷の影響が残ったことなどにより前年同期比で減収となりましたが、大型船を中心にスクラバー設置工事によりドック入りする本船が増えていることによる供給量の減少もあり、需給バランスが締まっていることから、市況も改善し、それに伴い収益も回復する見通しで、通期では、セグメント全体で+50億円の経常利益を計上する見込みで、これは前年同期比5億円、前回公表比5億円の改善となります。

 エネルギー資源セグメントでは、米国によるイラン問題にかかわる中国船社への制裁措置などに起因して油槽船市況は上昇していますが、LNG船・電力炭船においても収益性の高い長期契約の獲得により安定した収益を確保、また、海洋資源開発事業において、先ほど申し上げたとおり市況は底値を脱し、いまだ不十分であるものの一定の改善を見せているということで、これらにより、エネルギー資源セグメントでは前年同期比65億円、前回公表比20億円の改善となる+90億円の経常利益を見込んでいます。

 製品物流セグメントでは、ONE社業績は上期は計画どおりの利益を確保しました。下期は米中貿易摩擦等景気減速懸念を受け、短期運賃市況の前提を足元の実績に鑑みて見直しました。また、東西航路では冬期減便による積高減少、また、それに伴う運航費削減なども織り込んだ上で、下期予想を下方修正しています。通期全体では、当社持分相当で前年同期比224億円の改善、前回公表比では8億円悪化の、+23億円の経常利益を見込みます。当社本体コンテナ船事業部分では、構造改革効果や昨年度発生した一過性費用の減少により前年同期比で大幅に改善しておりますが、ONE社の減便に伴う国内外ターミナル事業の貨物取り扱い減少の影響なども織り込み、コンテナ船事業全体では前回公表比15億円悪化の▲135億円の経常損失という見通しです。

 製品物流セグメントのその他の事業では、先ほど申し上げた航路網の抜本的な見直しなど収支改善策が奏功している自動車船事業及び物流事業を中心に、前年同期比では大きく改善していますが、自動車船事業においては下期にBrexitに対応した欧州域内航路の減便策の実施や、南米アルゼンチン経済の動向を反映した南米向け荷量の減少、また、SOx規制対応に伴う油種切り替えに要する一過性費用増加などの影響、また、物流事業での航空貨物の一部落ち込みなどの影響を織り込んだ結果、コンテナ船事業を除く製品物流セグメントでは、前年同期比84億円の改善、前回公表比10億円の悪化となる+80億円の経常利益を見込んでいます。以上、コンテナ船事業と合わせた製品物流セグメント全体では、前年同期比437億円の改善、前回公表比25億円の悪化となる▲55億円の経常損失を見込んでおります。

 全社では、前回公表と比較して、ONE社を含む製品物流セグメントでの25億円の悪化を、エネルギー資源輸送及びドライバルクセグメントの25億円の改善で相殺して通期+50億円の経常利益見通しを維持した形となります。

 

A-4. 通期業績予想 変動のポイント [前年同期比]

2018年度通期実績▲489億円経常損失から、今年度は539億円の改善となる+50億円の経常利益という見通しです。コンテナ船事業では353億円の改善ですが、その内訳は、ONE社収支改善により当社持分相当で224億円の改善、本体事業の改善により35億円、昨年2018年度に実施した構造改革効果により94億円の改善です。コンテナ船以外の ”K”LINE事業については合わせて186億円の改善ですが、ドライバルクの構造改革効果により16億円の改善、さまざまな収支向上策により28億円の改善、自動車船の合理化等の取り組みにより50億円の改善、これはこれまで、55億円と申し上げましたが、最新で50億円とほぼ予定どおりの見通しです。更にドライバルク、エネルギー資源の市況の一定回復及び中長期契約の積み上げにより70億円の改善、為替影響により15億円の悪化、その他で37億円の改善というものです。したがって"K"LINE事業では、前回公表を15億円上回る186億円改善の見通しです。

 

A-5. 2019年度第2四半期 主な取組み進捗状況

 前期末に行った構造改革を踏まえたポートフォリオ戦略転換など取り組みを進めております。主なものについて、ドライバルクセグメントは引き続き大型船を中心とした安定収益型船隊の拡充に努めており、10月にはJFEスチール向け長期連続航海輸送契約の開始、また、日本製紙向け連続航海傭船契約など、安定収益の積み上げに努めています。エネルギー資源セグメントも同様に、LNG船・電力炭船を中心に、7月に公表した台湾電力ほかとの船舶保有運航管理事業会社の設立や、第2四半期において発表いたしました北陸電力、電源開発向けの石炭運搬船の竣工など、安定収益を積み上げております。

 環境負荷の低減については、6月に発表した大手航空機メーカーAIRBUS社から分社したAIRSEAS社と過去2年間一緒に開発、研究調査をしてきました自動カイトシステム”Seawing”を、当社大型バルクキャリア1隻へ搭載することを決めています。当社にとって、環境ビジョン2050に掲げていますとおり、最新の環境保全技術の導入によるGHG削減などに努めていきたいと考えています。

 

A-6. IMO SOx規制への対応

 下期の課題として取り組んでおりますグローバルキャップ、SOx(硫黄酸化物)規制が、2020年1月から始まりますが、対応を進めています。大きく言えば2つあり、まずは規制遵守の上、スムーズな規制適合油への対応を行って本船運航を絶対止めないという方針の下、グローバルキャッププロジェクトチームを立ち上げ、300隻以上を超える各本船につきまして燃料の切り替えプランを細かく全部組み立てて、今一つ一つ取り組んでいるところです。

 同時に経済的影響を最小化する為、これもプロジェクトチームで各営業部門と連携しながら取り組んでいるところです。規制適合油の確保については主要港では先行調達を進めており、ほぼ確保できております。端裏の港を除けば必要な数量の確保のめどがついており、また、実際トライアルについてはケープサイズや自動車船を含めて複数の船種にて実施しており、その性状も含めて調査、検証済みです。コスト増加への対応ですが、燃料油の切り替えに残留するC重油を希釈する方法を、低硫黄マリンガスオイル(LSMGO)という非常に硫黄分の少ないものを使用することや、事前準備としてスラッジ分散剤の活用など、残油を極小化することでコストを最小限にすることで対応を進めております。

 一方、お客様には、燃料油費用増加分につきましては、社会環境コストとして適正な負担へのご理解を得るべく丁寧な説明をこれまで進めてきました。一部協議が残っているものはございますが、基本的にはご負担いただくということで概ねご理解を得ております。これも各営業部門で、特にこの2~3カ月かなり集中的に取り組んできた課題で、ようやく先が見えてきたところです。

 

 

C. ONE社 2019年度第2四半期決算説明資料

 

 資料17ページにございます、2019年第2四半期の税引き後損益は、昨年度の開業初期の混乱で大きく落ち込んだところから、前年同期比313百万ドル改善の+121百万ンドルの黒字。積高、消席率の回復、あとONE社として初めて取り組んだ東西航路、特に北米航路の長期契約運賃の改善、貨物ポートフォリオの改善、航路合理化による運航費削減などの収支改善への取り組みにより、121百万ドルの黒字を確保いたしました。売上高は前年同期比146百万ドル改善の3,109百万ドル。貨物ポートフォリオの見直し、シナジー効果の発現などコスト削減、可変費単価が低下したことも収益改善につながっております。

 資料18ページに主要航路別積高・消席率・運賃指数の記載がございます。北米往航、アジア出し北米向け積高は、前年同期比12%増加となる77万3,000TEU、消席率は前年同期比4ポイント改善して94%。米国による中国への追加関税措置により、一部顧客が出荷を控えた影響などが見られて、積高は前年同期比では改善したものの、予算レベルには若干届きませんでした。欧州往航、アジア出し欧州向け積高は、前年同期比20%増加となる48万8,000TEU、消席率は、前年同期比5ポイント改善の95%。欧州航路全体は、各アライアンスの新造大型船投入により供給の伸びが需要の伸びを若干上回る状況となったことで、積高は予算レベルを上回ったものの、運賃は若干下回ったことになります。復航貨物についてはここに記載がございますように、北米、欧州ともに前年同期比3割の改善ということで、初期の混乱から立ち直った状況です。 

 資料19ページに記載の2019年度通期業績見通しについて、上期はほぼ公表どおりの実績となりましたが、先ほど申し上げましたとおり、下期は足元の状況に照らして東西航路で短期運賃レベルを見直しました。この結果、下期の税引き後損益については、前回予想から28百万ドル悪化の66百万ドルの損失を見込んでいます。従いまして2019年度通期の税引き後損益は、上期が126百万ドルの黒字、下期が66百万ドルの損失、通期は前回予想から30百万ドル悪化の60百万ドルを見込んでおります。当社持分相当は、18.6百万ドルとなります。

 資料20ページに記載の2019年度収支改善への取り組みについては、下期対策としてTHE ALLIANCE、アライアンスベースでの減便対応が進んでおり、需要減少に対応して、11月からは北米航路の冬季減便プランを一歩踏み込んで行います。欧州航路でも、来年4月よりアライアンスメンバーとして加盟する予定の現代商船との協調による減便策実施を決めております。また、今年度50百万ドルの一般管理費削減計画を進めておりますが、これも想定どおり進捗しております。年間1,050百万ドルのシナジー効果実現の目標については、2018年度に82%、2019年度96%、来年度100%達成に今のところ変更はございません。MARPOL2020、SOx規制への対応は、規制適合油について調達は既に完了したと報告を受けております。一方、輸送コストの上昇についてはお客様へのご負担をお願いしており、環境問題に対するお客様の意識の高まりもあり、OBS(One Bunker Surcharge)適用によるコストリカバリーの合意もほぼ得ておりまして、長期契約も含めて峠を越したと報告を受けております。