2019年度第1四半期決算概要についてご説明申し上げます。

 

 まずは、第1四半期決算について要約いたします。経常利益は27億円、当期純利益は78億円を計上することができました。今年度の通期業績予想に対する進捗率で申し上げますと、経常利益については54%、約5割の進捗、当期純利益については71%、約7割の進捗を示すことができました。これは、村上前社長の前年度に大きな構造改革を実施した効果が今年度から現出しており、明珍現社長の強力なリーダーシップのもと、順調なスタートを切れたということだと思います。ただ、今後第2四半期以降のリスク要因として、米中貿易摩擦、ホルムズ海峡を巡る情勢、Brexit、SOx規制対応等勘案されることもあり、現段階で通期見込みは変えておりません。

 次に、今年度の決算のポイントは3つあると認識しており、1つ目はONE社です。ONE社は、第1四半期黒字化を達成することができました。2つ目は自動車船部門の抜本的改革、黒字化です。前年度から様々な施策を打ち、且つ自動車船部門経営陣の強力なリーダーシップの下、第1四半期は黒字を計上することができました。3つ目はSOx規制への対応です。2020年の1月1日から規制が適用開始となりますので今は準備段階ですが、概ね順調に準備が進んでおります。以上が要約です。

 

A. 2019年度第1四半期 決算概要

 

A-1 第1四半期決算概要

 第1四半期の実績は、経常利益が27億円、当期純利益が78億円となりました。平均為替レートは110.73円です。なお、期末レートは前期末の3月末が110.99円、当期6月末が107.79円ですので、円高が進んでおります。資産計上に関しては、円高の影響があるということです。

 セグメント別の第1四半期経常損益の実績はドライバルクセグメントが▲4億円の損失、エネルギー資源セグメントが+18億円の利益、製品物流セグメントが+18億円の利益、そのうちONE社持分法損益は+2億円の利益でした。全体では+27億円の利益で、前年同期比198億円改善しました。

 各セグメントの変動要素について、ドライバルクセグメントは、構造改革効果により収支改善も見られたものの、年初の市況が落ち込んだ影響が残り前年同期比悪化しております。次にエネルギー資源セグメントは、電力炭・LNGを中心とした中長期契約の積み上げや市況の改善により、収益を拡大しております。製品物流セグメントについては、自動車船は、前期から行っている航路改編・運賃修復の取り組みの効果が出ており、黒字を確保することができました。コンテナ船は、ONE社にて欧州航路の積高の落ち込みがあったものの、堅調な北米、南北、アジア航路等に加え、追加減便などの自助努力等により、黒字を確保することができました。その他、川崎汽船のコンテナ船本体事業で、前年度に発生していた一過性費用が減少し、前年度のコンテナ船事業の構造改革効果の現出によって、収益は大幅に改善しております。

 次に主な財務指標ですが、まず自己資本について、前期末1,036億円から当期末1,119億円に良化、自己資本比率は11%から12%に改善しております。これは決算短信に開示しているバランスシートに記載の通り、(株)上組への国内港運子会社株式の一部譲渡による資本剰余金の増加、当期純利益78億円による利益剰余金の増加、その他有価証券評価差額金の減少、繰延ヘッジ損益の減少、それから円高影響により為替換算調整勘定が大きく減少しており、合算で自己資本額は83億円増加しました。ちなみに、資料一番下に記載の通り、当社は当期に劣後ローンを450億円調達しており、既存の劣後ローン300億円と合計して劣後ローンとして750億円調達しておりますが、格付機関より資本性評価50%を取得しており、その部分を加味した場合、この自己資本比率12%は16%に相当と見做すことができます。

 それから現預金の水準についてご説明しますと、決算短信記載のバランスシートにもある通り、現預金残高は前期3月末の1,432億円から当期6月末では1,208億円と約200億円程度減少しております。この要因は、キャッシュフローに関連して、まず大きなキャッシュアウトとして、前年度実施の構造改革の施策で、実際の支払いの執行が当期になったことによるものが約500億円強あります。それから一部船舶への投資や、調達した劣後ローン450億円は、その多くをシニアローンのコミットメントラインの返済に充てて、借入枠をいつでも使えるようにしたことによります。一方キャッシュインについては、前述の劣後ローンによる調達と、(株)上組への国内港運子会社の株式一部譲渡によるものがあり、結果、現預金の増減は▲200億円となりました。ただ、先述のコミットメントラインは500億円に加えて、以前より300億円設定しておりますので、当社の流動性という意味では全く問題ありません。

 

A-2 上期及び通期業績予想

 上期及び通期業績予想ですが、通期業績予想は変更しておらず、経常損益で+50億円、当期純損益で+110億円です。為替レートについても、期首想定のレベルと大きく変更していません。

 1つここでポイントになるのは第2四半期の予想で、経常損益が+73億円の利益に対して、当期純利益が▲8億円の損失となっていますが、第2四半期にて清算に伴う特別損失等を保守的に織り込んでいます。これはコンテナ関連会社の整理を進めており、海外代理店等における特別損失等を一部保守的に見込んだものです。

 配当については、中計にて株主の皆様への還元を重要課題として認識しておりますが、財務体質の改善を喫緊の課題と捉え収益の改善に向けて取り組んでおり、中間期末配当予想につきましては、現時点では未定とさせていただきます。

 

A-3 セグメント別 上期及び通期業績予想

 セグメント別の上期及び通期業績予想ですが、大きな変動はございません。ドライバルクセグメントでは、第1四半期は2018年度下期に発生した鉄鉱石供給国での事故を受け、市況低迷の影響を引きずる形でスタートいたしましたが、足元中国での粗鋼生産の増加を背景として鉄鉱石需要は堅調さを取り戻し、市況は大きく改善しております。第2四半期においても、堅調に推移することを見込んでおります。通期セグメント合計では期首公表比5億円増加し、前年並みの+45億円の経常利益を見込んでおります。

 エネルギー資源セグメントについては、予定どおり+70億円の経常利益を見込んでおります。

 製品物流セグメントでは、ONE社の業績は米中貿易摩擦の影響や欧州航路の運賃の伸び悩み等の不安要素はあるものの、追加減便などの運航損益の改善を織り込んだ結果、期首想定並み、前年同期比で232億円の改善となる+31億円の持分法利益を見込みます。当社コンテナ船事業においては、一部で一過性費用が発生、具体的には傭船料の調整や、コンテナボックスリースにかかわる費用が増加したことなどにより、コンテナ船事業全体では期首想定を下回る見込みですが、一方で航路改編や運賃修復を着実に実施している自動車船事業及び物流事業を中心に、製品物流セグメント全体では期首公表値を維持する計画となっております。

 市況前提ですが、期首想定の市況前提と、下期はCAPE、VLCCも含めて全く変えておりません。上期については、足元の第1四半期の実績を勘案して若干調整をしております。

 

A-4 通期業績予想 変動のポイント

 前年度の経常損益実績と今年度の経常損益予想との比較の滝グラフですが、期首から大きく変更しておりません。若干、前述の一部内訳の変更、主にコンテナ船本体事業で10億円ほど下方修正しており、その分、"K"LINE事業の、ドライバルク、エネルギー資源市況・中長期契約の積上げのところでほぼ同じ金額を上方修正して、滝グラフとしては大きなポイントの変更はございません。

 

A-5 ポートフォリオ戦略転換・財務基盤健全化 進捗状況

 ドライバルクセグメントについては、Emirates Global Aluminium社向けボーキサイトの長期輸送契約が始まるなど、中長期契約について順調に積み上げております。中小型の市況影響型船隊の適正化については、前年度に行った構造改革による収益改善効果が想定どおり現出しております。

 自動車船事業は、収支改善効果が具現化しており、今年度は収益を通期通して計上できる部門に変わったという認識でおります。

 次にエネルギー資源セグメントですが、LNG船、電力炭船を中心とした中長期契約の積み上げを行っており、LNG船では、日本それから海外を含めて極めて重要なお客様との間で中長期契約がとれています。電力炭船においても日本の電力会社を中心に中長期の契約を、新たに追加することができました。また「台湾電力他との船舶保有・運航管理事業会社設立を決定」とありますけれども、日本以外のお客様とビジネスを拡大することについても、着々と手を打っております。一方、市況影響型で今後リスク・リターンが見合ってこないような事業については、事業撤退であったり、あるいは不採算のKOASにおけるオフショア支援船事業で1隻を売船したり、そういった選択と集中も進めております。

 コンテナ船事業については、構造改革でその収支改善効果が想定どおり現出しております。それからONE社についても、黒字化を達成できました。

 物流事業についても、国内港運子会社の株式を一部譲渡いたしまして、(株)上組とは今後も協業を進め、さらなるシナジー効果を高めたいと思っており、現実に色々な案件が具現化しております。

 それから財務基盤の健全化においては、4月に劣後ローンにて450億円を資金調達しております。

 

A-6  IMO規制への対応

 今期の決算の3番目の大きなポイントがSOx規制への対応です。当社の基本方針は、円滑な本船運航を維持することがまず大切であり、お客様にご迷惑をかけないことを基本として、且つ経済的影響を最小化する方針の下、着実に対応を進めております。規制適合油の使用については、先行調達をかなり進めており、トライアルや、燃料の切り替えについても一船一船スケジュールを組んでその対応を行っております。また、グローバルキャップ対応チームを組成し専任者を置いて、こうした基本方針の下、対応しているのが現状です。燃料油費増加については、お客様にご理解をいただきながらBAFの基準価格や、あるいは算定方法を協議している最中でして、概ねお客様のご理解は進んでいる状態です。次にSOxスクラバーの設置についても、当社船隊の大体10%程度をめどとして、2019年度、それから2020年度、レトロフィットを含めて設置を計画しており、これも順調に進捗しているところです。

 

C. ONE社  2019年度第1四半期決算説明資料

 ONE社について第1四半期は黒字を確保することができました。極めて改善が図られたという認識です。第2四半期については、今後の市況や、あるいは荷動きの想定を含めて現実的に収益を織り込んでおり、結果として上期は期首想定とほぼ同様の数字を見込んでおります。下期については、期首想定の数字が相応の蓋然性を織り込み済みでありますので、変更をしておりません。通期においても若干の上方修正をしましたが、ほとんど変わっておりません。また、SOx規制による燃料油費増加に対するOBS(ONEの固有の燃料油サーチャージ、ONE BUNKER SURCHARGE)による費用負担ついてもお客様と交渉を進めており、当社としてはお客様の理解が概ね得られていると認識しております。

 2019年度第1四半期の税引き後損益は5百万ドルの利益でした。要因は滝グラフにあるとおり、一番大きいのは積高の増加、改善によるもので、前年同期は極めて不安定な状況の中でサービスを開始しましたが、サービスの安定化に伴って昨年同期比で大きく改善しました。加えて貨物ポートフォリオの見直しや、コスト削減活動による可変費削減が大きな要因だったと考えており、収益改善につながりました。

 資料17ページには主要航路の積高、消席率、運賃指数を並べています。北米往航の積高については、昨年同期比13万9,000TEU改善し、66万9,000TEU、消席率についても前年同期比13%改善の86%となりました。米国の中国への追加関税措置により、一部の顧客に出荷を控えるなどの影響が見られ、やや低迷しましたけれども、期首想定では計画していなかった12便の減便を実施したことによる効果もありました。それから北米往航の長期契約運賃については、期首想定並みに妥結できたことで上昇し、北米の短期契約運賃も堅調に推移しました。欧州往航の積高についても改善が見られており、消席率は対前年同期比14%改善の87%ですが、欧州航路については各アライアンスが新型大型船を投入し、マーケット全体の供給が増えたこと等により、供給の伸びが需要を上回る状況となったため、こちらについても5便程度の欠便を実施しました。欧州往航の運賃については、供給の伸びが需要を上回る状況を反映して、昨年同期並みに低迷しました。

 資料18ページ記載の、通期予想については期首想定の85百万ドルから90百万ドルに微増させております。これは、第1四半期の収益改善は期首想定を上回って推移したものの、第2四半期は主に欧州航路での運賃下落等も見込んで、上期期首想定から微増の計画といたしました。下期は変更しておりません。

 資料19ページにあるONE社収支改善に対する取り組みの進捗状況ですが、様々な施策を打ち、徐々に効果を上げておりますが、貨物ポートフォリオ最適化は、北米航路を中心に効果を現わしています。それからプロダクト最適化については、複数航路での投入船型の大型化や、配船合理化、寄港地の見直しを行うなど、効果が現れております。また、燃料油節減活動についても、改善策を打って効果が現われております。なおニュースリリースしているとおり、ザ・アライアンスは2020年4月から現代商船の参画が決定して、さらなるプロダクトの最適化を目指していくことにしております。それから事業統合当初から申し上げているシナジー効果についても、予定どおりのシナジー効果を出せる見込みです。MARPOL2020、SOx規制対応については、概ねお客様の理解をいただいており、規制対応によるコストをリカバリーできると想定しております。最後に海外ターミナル事業の移管については、2019年度早期の実行を目指し、親会社3社間にて鋭意交渉を進めている段階です。

 

B. 部門別業績動向

 資料10ページ以降で、セグメントごとに運航規模の変更やエクスポージャーに変化があった箇所についてコメントいたします。

 まず資料10ページのドライバルクセグメントですが、2018年度末(2019年3月末)の209隻から6月末で199隻と10隻減少しております。内訳では、中小型船の減少が主な要因です。それからエクスポージャー率については、期首からCAPE、中小型船ともエクスポージャー率を下げております。

 資料11ページのエネルギー資源セグメントですが、運航規模、隻数について2018年度末(2019年3月末)との比較では全体の隻数は変わっておりませんが、VLCCは1隻減少、LPG船も1隻減少、一方で電力炭船は2隻増加しています。エクスポージャー率については、LPG船が大きく減少させており、電力炭船もエクスポージャー率を下げております。

 最後に資料13ページの自動車船ですが、船隊規模は2019年度第1四半期末が85隻、2018年度末の90隻に比べて5隻減少、前年同期2018年度第1四半期末からは8隻減少しています。それから輸送台数についても、結果として減少しております。これは様々な施策を打っていく中で、効果としての1つの現れだと考えております。