10月に発表した第2四半期決算以降、当社を取り巻く事業環境は、かなり大きく変化しており、一言で申し上げれば不透明感が増しております。

 事業環境面では、まず中国経済減速の表面化、また中国の環境規制強化、米中貿易摩擦が依然解決できていないこと、米国経済の先行き懸念に伴う米国金利引き上げ予想が縮小し始めたこと、それとイギリスを中心とした欧州および中東を含めた地政学リスクが高まったこと等々の変化がございました。

 それに伴い、当社を取り巻く市況変動について、為替レートは、円高方向に振れております。また燃料油価格、一時期上昇した後、下落傾向にございます。中国の経済動向だけが要因ではないものの、足元のドライバルク市況は下落傾向になっております。

 当社を取り巻く環境自体は不透明感を増すとともに変化しておりますが、当社業績や今年度の業績見込みについては、第2四半期に大幅な下方修正をいたしましたが、今年度見込みについては変更しておりません。

 現在は来年度に向けて取り組むべきことを着実に進めている状況でございます。すでに昨年12月21日にニュースリリースをして公表しました通り、当社の国内港湾運送事業子会社3社による共同持株会社設立、および当該持株会社株式の株式会社上組への一部譲渡といった施策を着実に進めている最中でございます。

 またさらなる施策についても検討をしており、実施していく予定でございます。

 

 それでは、2018年度第3四半期の決算概要についてご説明申し上げます。

 

A.2018年度第3四半期決算概要

 

A-1.第3四半期決算概要

 2018年第3四半期の連結決算概要は、売上高2,224億円、営業損益+30億円、経常損益▲61億円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益▲64億円の損失を計上いたしました。

 セグメント別の経常損益は、ドライバルクセグメントが+14億円、エネルギー資源セグメントが+3億円、製品物流セグメントは▲67億円の損失、このうちONE社持分法損益が▲66億円の損失、それを含む当社コンテナ船事業は▲80億円の損失、その他本部調整を入れまして合計で▲61億円の損失という結果でございました。

 主な財務指標については資料に記載の通りですが、自己資本が第2四半期との対比でも減少しております。これは第3四半期の当期純損益が損失となったこと、それから有価証券の評価額が株式市場等の下落に伴って評価差損となったこと、それから為替の影響等によるものです。

 

A-2.通期業績予想

 2018年度通期業績予想は、売上高8,400億円、営業損益が▲50億円の損失、経常損益が▲280億円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益が▲200億円の損失でございます。

 第2四半期に公表した業績予想との差異は、売上高のみ若干上方修正しておりますが、その他の経常損益、経常損益、親会社株主に帰属する当期純損益について変更はございません。なお通期業績予想の為替レート前提は、110円35銭、燃料油価格前提は1トン当たり429ドルの想定でございます。

 今回の通期業績予想の前提となる各市況前提について、第2四半期公表時の下期見込と大きく変えているのが、ドライバルクのところにて、大型船を中心に若干見込みを下げております。それとは反対に油槽船については、見込みを上げております。

 期末配当予想については、第2四半期決算の説明時に公表したとおり、無配とさせていただきます。

 

A-3.セグメント別通期業績予想

 セグメント別の通期業績予想について、ドライバルクセグメントは、2018年度経常損益+60億円と予想しております。

 第2四半期公表の通期予想との対比では、中国経済の減速や鉄鉱石の生産地における事故等もあり、通期業績予想は▲5億円の下方修正をしております。一方で、エネルギー資源セグメントは経常損益+30億円と、同第2四半期公表対比で+5億円の改善を見込んでおります。これはVLCC等の市況改善による影響でございます。

 次に製品物流セグメントは、セグメント全体で経常損益▲330億円の損失、コンテナ船事業は▲350億円の損失、そのうちONE社持分法損益は▲199億円の損失でございます。同第2四半期公表対比で、ONE社の通期業績見込みが若干改善したため、主にその改善幅を反映して+8億円の改善となっております。

 それからコンテナ船事業の第2四半期公表対比での差異▲25億円は、コンテナ船の追加の資本的支出について収益性を検討した結果、当期の費用処理として26億円を計上し通期業績▲25億円の修正を第3四半期に行ったために、通期予想を変更しております。

 コンテナ船事業以外の製品物流セグメントでは、国内物流や航空貨物をはじめとする国際物流が好調だったことに伴って、+10億円の上方修正がありましたので、製品物流セグメント全体では、第2四半期公表対比で▲15億円に変更しました。

 以前よりご説明している収支向上策については、資料に記載の通り、ほぼ予定通り進捗してございます。

 

A-4.通期業績変動のポイント<2018年度2Q公表との比較>

 資料の滝グラフですが、先ほど説明したように、第2四半期公表時の当期通期業績予想と今回公表の当期通期業績予想は変わっておりません。ただし、内訳は”K” LINE事業での経常損益+45億円が+70億円に良化し、コンテナ船事業で▲25億円悪化したため、合計では相殺されて変更なしということでございます。コンテナ船事業の▲25億円の悪化要因については既にご説明したとおりでございます。

 

A-5.今後の取組み課題 進捗状況 

第2四半期に大幅な下方修正を発表した際に、緊急的重要課題として幾つかの課題をご説明いたしました。その課題への取り組み、進捗状況について、ご説明申し上げます。

 ONE社の収益体制建直しですが、資料に記載の通りです。大きな課題は2019年度に向け、積高、消席率の回復、それから最も重要な、貨物ポートフォリオの最適化を様々な形で進めるべく着実に取り組んでいるところでございます。

 先ほど申し上げたようにONE社については当期通期業績見込みが、前回第2四半期に公表した数字とほぼ同じですので、当期の進捗については予定通りですが、来年度のONE社収益改善のための施策を、今着々と打っているところでございます。

 次に自動車船事業ですが、第2四半期決算発表時に、来年度に向けて大きく収益改善を行っていくことを発表しております。セグメント別では、黒字を確保できていないセグメントですが、来年度の黒字化に向けて年間で50~60億円の収益改善効果を狙った施策を打っております。

 すでに顧客との交渉等を通じて、そのうち約49億円の収支改善効果は確保しており、さらなる収益改善を目指していきたいと考えております。

 次に選択と集中に向けた取り組みですが、国内港湾運送事業における株式会社上組との協業による事業強化については、ニュースリリースで発表した通りでございます。

 

 その他不動産など非コア資産の処分や、あるいはAI・デジタライゼーション等を活用した次代の中核事業育成についても、取り組みを始めているところでございます。

 最後に4つ目の施策ですが、市況影響型事業縮減については、資料に記載のとおり、2019年度の収益回復、コスト削減を目的として、ドライバルクやコンテナ船を中心に、事業競争力強化へ取り組んでいくものです。具体的には不経済船処分など、船隊コスト、競争力の強化を図っていきたいと思います。

 当期も残すところ、あと2カ月ほどですが、内容の詳細については検討中でございまして、適切なタイミングにて皆様に公表してまいりたいと考えております。

 それから資料には記載しておりませんが、今後の取り組みの中で来年度において、極めて重要になってくるのが、2020年のSOx規制です。これはまだ規制適合燃料油と現状の高硫黄燃料油との値差がどれくらいとなるか、分からないわけですが、非常に大きなコスト増加となるので、当社サービスをご利用いただいているお客様と交渉していく必要があり、大きな課題として認識しております。

 

C. ONE 2018年度第3四半期決算説明資料

 ONE社の第3四半期の決算実績と通期業績予想については、資料に記載の通りです。

 2018年度の最新の通期業績予想をご覧ください。第3四半期実績については、売上高3,025百万ドル、税引き後損益が▲179百万ドルの損失でございました。

 通期業績予想については前回予想では▲600百万ドルの損失でしたが、今回若干修正を行い、▲594百万ドルの損失という予想です。その前提となります燃料油価格については、資料に記載の通りです。

 第3四半期の収支概況については、前回の想定であった▲218百万ドルの損失に対して、実績は▲179百万ドルに改善しました。また消席率についても前回想定よりも若干未達となったものの、上期からは大幅に回復しております。また北米往航運賃の高止まりも寄与しております。

 なお足元の燃料油価格下落による費用減少効果は、第4四半期に現出することとなります。第4四半期の業績見込みにつきましては、米中貿易摩擦や欧州経済の動向、中国環境規制による復航荷動きへの影響など、外部環境不透明要素を保守的に織り込んで、通期業績予想は前回想定並の▲594百万ドルの損失を見込んでおります。

 資料17ページに記載の積高および消席率をご覧ください。北米往航については国慶節後の10月、11月の需要が例年以上に強かったこと、減便、いわゆるキャパシティの減少に伴って需給がタイトな状況が続いて、消席率と運賃は高水準を維持いたしました。欧州往航については、資料に記載の通りです。

 北米・欧州復航については、積高、消席率とも第2四半期から大幅に改善して、運賃も安定的に推移しておりますが、引き続きイールドマネジメントの強化、消席率の改善を図ってまいります。

 第3四半期については、北米往航同様に欧州往航についてもキャパシティは減少しており戦略的な航路運営を行っています。

 資料18ページに記載の第3四半期の業績差異分析の滝グラフについて、一番右から2番目にある、上期分為替評価益修正による悪化が▲32億円とありますが、これは為替の評価益の計上に際して、システムの構築に関わる修正により、上期に遡って修正したものです。この要因がなければ更に改善していたということですが、

 二度とこうしたことが起こらないように、他の要因もないかということも含めて、すでにチェックをしていると聞いております。

 資料19ページは通期業績見通しの差異分析がございます。結果としては大きな変更はありませんが、要因別で資料に記載の通り積高減によるマイナスを、賃率改善やDetention & Demurrage回収促進による+55百万ドルのプラスや、キャパシティの減少に伴う、運航費の減少で補っていくという構図になっております。

 資料20ページに記載の差異要因分析の積高減の項目について、積高は全般的に改善しているものの、旧正月明けの外的要因を見直して、相応に保守的な想定を織り込んだのがポイントでございます。

 それから店費等その他の項目にあります、親会社からの海外ターミナルの移管については、引き続き18年度中の実行を目指して、ONE社と親会社3社の間で、鋭意交渉を続けているというところです。 

資料23ページにあります、2019年度に向けた取り組みでは、Group2に書いてある貨物ポートフォリオ最適化、いわゆる往航と復航貨物のマッチングを考慮し、往復全体での収益の一層の改善を図ると共に、2019年テンダー交渉を通じて、貨物ポートフォリオの組み替えも進行中です。 まさにここが来年度の収益を上げられるかどうかのポイントですが、欧州顧客を中心にまさに交渉が始まった段階でございます。まだここで皆様に詳細なご説明をできる段階ではございませんが、追って詳細についてご説明したいと思います。