2018年度上期および第2四半期決算説明を行います。初めに、当社は2018年度通期業績予想の修正を10月16日に公表いたしましたが、本日の決算説明は7月に公表いたしました第1四半期時点での通期業績予想との差異を中心にご説明申し上げます。

 

 

A.2018年度第2四半期決算概要

 

A-1.第2四半期決算概要

 

 2018年度第2四半期までの連結決算概要ですが、売上高4,161億円、1Q公表比46億円の上振れ。営業損益▲123億円の損失、1Q公表比23億円の下振れ。経常損益▲213億円の損失、1Q公表比93億円の下振れ。親会社株主に帰属する当期純利益▲246億円の損失、1Q公表比96億円の下振れとなります。平均為替レートは109円48銭、燃料油価格は1トン当たり437ドルです。
 セグメント別では、ドライバルクセグメント、エネルギー資源セグメントはともに順調に推移、1Q公表比でそれぞれ11億円、6 億円の改善となりましたが、製品物流セグメントは1Q公表比111億円と大きく下振れました。主な要因は、コンテナ船事業と自動車船事業となります。コンテナ船事業では、Ocean Network Express(ONE)社の持分法損失が大きく悪化したこと、それに伴う海外ターミナル等のコンテナ船関連事業への影響と最終的な一過性費用が4億円増加したこと等です。自動車船事業では、南米経済悪化の影響や欧州発航路での運航効率低下の影響と、資源国、産油国向けの荷量が想定を下回ったことによります。主な財務指標は記載のとおりで、自己資本比率は20%となりました。

 

A-2.通期業績予想

 

 2018年度通期業績予想は、売上高8,200億円、1Q公表比450億円の上振れ。営業損益▲50億円の損失、1Q公表比100億円の下振れ。経常損益▲280億円の損失、1Q公表比330億円の下振れ。当期純利益▲200億円の損失、1Q公表比270億円の下振れとなる見通しです。下期為替レート前提は、1ドル110円、燃料油価格前提は、1トン当たり495ドルで、それぞれ今後6カ月間の影響額は資料に記載のとおりです。
 また、今回の通期業績予想は、10月16日公表の通期業績予想と比較して上期実績が上振れたことから若干の上方修正としておりますが、通期業績予想が大幅な損失となることから、誠に遺憾ではございますが期末の配当予想を無配とさせていただきます。

 

A-3.セグメント別通期予想
 

 2018年度通期のセグメント別業績予想となります。ドライバルクセグメントは、収支向上策および堅調な市況の推移も見込み、経常損益が2017年度比66億円増の+65億円となり、1Q公表比でも5 億円の改善上振れとなる予想です。エネルギー資源セグメントは、LNG船、電力炭船、油槽船を始めとする中長期契約船隊が順調に稼働し、2017年度比でエクスポージャーの縮減も進んだことから、経常損益は21億円増の+25億円となりました。しかし、1Q公表比では5億円の下振れとなります。これらの2つのセグメントは多少の変動はあるものの、ほぼ1Q公表時の想定どおり業績の改善が進んでいると考えており、今後も今の取組みを継続し、強化してまいりたいと思っております。
 一方、製品物流セグメントですが、コンテナ船事業ではONE社持分法損失通期経常損益予想が▲207億円の損失となり、ONE社の積高計画未達による当社海外ターミナルへの影響および一過性費用の最終的な影響が4億円の下振ぶれとなったことを併せ、1Q公表比260億円の下振れとなっております。一方、コンテナ船事業以外の製品物流事業は1Q公表比50億円の下振れとなっております。主な要因は自動車船事業の業績悪化によるものです。アジア出し中南米、豪州、中近東向けの荷量が1Q想定を下回る見通し、加えてアルゼンチンなどの南米経済悪化の影響による荷量減、また、欧州発航路での運航効率悪化による影響で、38億円の下振れ予想としています。これら2つの事業への対策が当社業績への喫緊の課題となっております。

 

A-4.通期業績変動のポイント<2018年度1Q公表との比較>

 

 1Q公表と今回の通期業績予想の差異を説明します。1Q公表比でコンテナ船事業を除く“K” LINE事業の経常損益は+116億円から+45億円に71億円に下振れ、コンテナ船事業の経常損益は、▲66億円の損失から▲325億円の損失に259億円の下振れとなっております。コンテナ船事業を除く“K” LINE 事業では、自動車船事業の下振れ▲38億円と、下期為替前提110円の為替評価替予想▲20億円が主な要因となります。また、1Q末に公表いたしました収支向上策につきましては、進捗状況のアップデートを行っており、25億円から20億円の見通しに修正しました。収支向上策につきましては今後も精力的に取り組み、達成できるものと見ております。コンテナ船事業でも、ONE社持分法損失の悪化、およびそれに伴う積高減の影響を受けた海外ターミナル業績の影響など、▲14億円の下振れを予想しております。

 

A-5.今後の取り組み<2018年度下期~>

 

 当社業績予想の悪化を踏まえた今後の取り組み課題について説明いたします。中期経営計画に掲げたポートフォリオ戦略転換、機能別戦略の強化、経営管理高度化、ESGの取組み、これらにつきましては、その方針に変化なく、着実に取り組んでまいります
一方、当期の事業状況も踏まえ、ONE社の収益体制の立て直し、自動車船事業の収益性改善、そして選択と集中に向けた取組みを喫緊の重要課題と捉えております。まず自動車船事業ですが、2018年度上期輸送台数は184万5,000台と2017年度同期比+7%で推移しており、全体としては堅調な状況です。しかし、アジア出し中南米、豪州、中近東向けの荷量が当初想定を下回ったことによる業績への影響があります。これは各国自動車販売市場動向、また、お客様の出荷動向によるものであり、残念な結果ではありますが同一航路では一定の事業規模、収益規模を維持しており、効率的な配船の実施など、対策と準備を進めていきたいと思います。一方、アルゼンチンなど南米経済悪化による輸送台数の減少、および欧州発航路の運航効率悪化による業績影響については、自社対策として投入船腹の削減、一部航路の休止を含む航路改を行うとともに運賃修復を進め、来年度に向けて年間50-60億円程度の改善効果を期待しており、さらに積み増し対策を策定中です。当社事業の柱としての自動車船事業の収益性改善を、集中的に推し進めてまいります。
 また、コンテナ船事業統合後の“K” LINE事業の構成を見据えた選択と集中による、事業ポートフォリオの入れ替えは、ドライバルク事業、自動車船事業、エネルギー資源輸送事業、物流事業の4本柱への徹底的集中を実現し、その付加価値向上に向けた経営資源の集中配分を進めるため、事業資産の入れ替えを軸に進めております。2018年度は残念ながら赤字となる見込みですが、これら事業資産の入れ替え施策を進めた上で、2019年度の黒字化に向けてさらに対策を進めてまいります。詳細につきましては必要かつ適切な時期にご説明いたします。
 次に、ONE社についての対策の詳細は後ほど説明いたしますが、骨子は、積高・消席目標の未達による2018年度での一時的業績悪化要因の克服、2019年度に向けた貨物構成の最適化、燃料費コスト削減プランの深化、より競争力のあるサービスの構築やONE社組織全体の見直しによる最適化など、構造改革への取組みを実施する計画です。
 また、2019年度に向けた事業課題としてSOxグローバルキャップへの対応も進めており、適合油使用とその費用回収スキームの導入を行っていく計画です。さらに、中期経営計画実行の1つとしてCRM、新技術対応など、足元での取り組みをさらに進め、新たなビジネスモデル構築に向けた専任組織である、マーケティング戦略室、AI・デジタライゼーション推進室、そして環境・技術委員会の設置を決定しております。今後の取組みを、さらに高い次元で実現するべく、着実に取組んでいきたいと考えております。

 次に、当社の部門別業績動向についての、詳細説明は割愛させていただきますが、コンテナ船事業関係での統合関連費用の状況ですが、資料14ページに記載のとおり、運航損益段階での一過性費用は▲4億円増加し、最終的に▲119億円となりました。また、組織再編費用は記載のとおり、大きな修正を見込んでおりません。前回公表いたしました2019年度に向けた35-40億円の残置固定費の削減ですが、予定どおりの進捗となっており、収支向上策として掲げましたとおり当期でさらに2億円の削減早期化を進める計画です。

 

 

C.ONE 2018年度上期決算説明資料

 

 ONE社の業績および今後の取組みについて説明いたします。2018年度上期および通期の概況ですが、2018年度上期は、営業開始直後のITシステム習熟度不足によるサービス混乱の影響等が予想以上に大きく、特に7月から9月の積高・消席率の改善計画は、北米・欧州の復航、それからアジア域内航路で未達となり、これを主因として、大幅な業績の悪化予想となりました。現在サービスの混乱は収束したものの、2018年度下期でも積高・消席率は回復途上であること、また燃料油高騰に対応したコスト削減は目標を下回る見通しで、シナジー効果については、10億5,000万ドルの約75%は当通期に現出する見込みですが、2018年度通期業績予想は1Q公表比7億1,000万ドル下振れの、税引き後損益▲6億ドルの損失となる見込みです。
 資料17ページは、2018年度上期実績および通期業績予想となります。通期での税引き後損益は▲6億ドルとなる予想です。
 資料18ページは、2018年度上期での積高・運賃指数を記載しております。運賃レベルは安定的に推移しており、消席率も北米往航、欧州往航とも現在90%台に回復しており、今後は需要の軟化時、いわゆるスラックシーズンの減便などの柔軟な対応を行っていく計画です。一方、復航の消席率は回復途上であり、今後さらなる営業強化により、回復計画を達成してまいります。
 資料19ページは、上期の差異分析となりますが、20ページの通期業績見通しと1Q公表比との差異分析と併せて説明をいたします。▲7億1,000万ドルの悪化の主な要因は、積高不足による影響が▲4億ドル、それに伴うコンテナ回送費用の増が▲1億7,000万ドル。加えてコスト削減計画未達の▲8,000万ドルとなります。このことから、まずは積高回復により、これらの影響から改善させるとともに、さまざまなコスト削減、体制整備に取組んでまいります。
 資料21ページは、通期業績の差異分析についての説明となります。
 資料22ページは、収支改善への取組み内容となります。今後、ONE社の収益体制の立て直しに向けては、大きく2つのステップを計画しております。1つ目は、開業当初の一時的悪化要因の克服であり、積高の回復および“Detention & Demurrage”、つまりお客様がピックアップした後のコンテナの滞留や、ターミナルでお客様が引き取りに来ない長期滞留コンテナの費用ですが、その回収強化を図ることで事業の計画本線復帰を果たしたいと考えます。2つ目は、2019年度に向けては貨物契約の組み合わせポートフォリオを修正・最適化、つまり、往復航インバランスのマッチングはもとより、長期契約、短期契約、そしてスポット契約の割合の最適化を図ります。ONE社のサービスについて、貨物構成に合った最適化、運航効率の向上、燃料費等コスト削減などを行い、競争力があり、かつお客様にとって、より価値のあるものに変えていく計画です。また、当初予定していたシナジー効果を着実に現出させるとともに、ONE社組織の余剰削減も含めた最適化を進めてまいります。これらにより、ONE社サービスのお客様の満足度、競争力を強化するとともに、当初計画していた事業経営に復帰させる考えでおります。また、今後は持株会社がグリップをきかせ、シンガポールの事業会社本部とともに収支動向を適時に把握する体制を強化してまいりたいと思っております。ONE社のオペレーションについて緊密なモニタリングを行うことで、収支改善に向けたアクションプランの実施をスピードアップし、確実なものとする。また、進捗状況については定期的に短いスパンで持株会社に報告を行い、ガバナンスの強化を図ってまいります。