2018年度第1四半期の決算概要についてご説明申し上げます。第1四半期については、コンテナ船事業をOcean Network Express (以下、ONE社)へ事業統合することに伴う一過性費用が、期首想定より経常損益で約30億円悪化し、上期の業績予想を30億円下方修正いたしました。通期業績予想については経常損益、当期純利益段階とも変更しておりません。ONE社については、サービス開始時点の積高減少で下振れがあったものの、通期業績予想は当初より変更はありません。

 

A. 2018年度第1四半期決算概要


A-1. 第1四半期決算概要

 

 2018年度第1四半期実績、売上高2,122億円、前年同期対比26.1%減少。これは主にコンテナ船事業のスピンオフによるものです。営業損益▲134億円の損失、経常損益▲171億円の損失、親会社株主に帰属する当期純利益▲193億円の損失でした。実績の為替レートは1ドルあたり108円10銭、燃料油価格は、1トン当たり414ドルとなりました。
 セグメント別の経常損益は、第1四半期実績でドライバルクセグメントは経常損益で+4億円と健闘いたしました。エネルギー資源セグメントは経常損益で+3億円。製品物流セグメントは、自動車・自動車物流、物流、近海・内航、コンテナ船事業で形成されており、経常損益で▲168億円の損失。そのうち、コンテナ船事業全体で▲162億円の損失、さらにその内訳として、ONEからの持分法損益は▲43億円の損失でした。その他本部調整等勘案し、経常損益で合計171億円の損失でした。
 主な変動要素を説明します。まず、今回の決算のポイントである当社コンテナ船事業の、一過性損失が期首予想の▲85億円から30億円悪化し、実績は▲115億円となりました。そして、ONE社からの持分法損益については、立ち上げ時のサービスの混乱により積高が減少し、第1四半期は下振れしました。ドライバルク事業は市況も堅調に推移し、黒字を確保することができました。燃料油価格については、期首予想時は第1四半期で1トン当たり383ドルと想定していましたが、1トン当たり+31ドルの単価増となりで、約1億円の収支悪化となりました。また、今年度よりセグメント変更がございましたので、前年同期対比をする場合に、新セグメントに基づき比較している旨、注記の説明を加えております。
 主な財務指標については、第1四半期末時点で自己資本2,045億円、有利子負債はほとんど変更がなく5,763億円、自己資本比率は20%となりました。

 

A-2. 上期及び通期業績予想
 

 A-2、ここには先ほど申し上げた第1四半期実績をもとに、第2四半期予想、上期予想、それから通期予想についての、期首公表との比較をご説明申し上げます。第2四半期予想の数字は資料記載のとおりにて、上期予想は、第1四半期実績の下振ぶれにともない下方修正をしております。売上高4,115億円、営業損益は▲100億円の損失、経常損益は▲120億円の損失、親会社株主に帰属する当期純利益は▲150億円の損失となりました。通期予想はほとんど変更しておりません。売上高7,750億円、営業損益+50億円、経常損益+50億円、親会社株主に帰属する当期純利益70億円となります。
 期首公表比較では、経常損益で、上期の▲30億円を下期で収支を改善させて通期では変更なし。当期純利益では、上期の▲175億円を下期に175億円収支を改善させて、変更なしとなります。主な要因は上期で予定しておりました資産売却等が、下期にずれ込むことによる影響です。なお、ONE社への海外ターミナル事業移管の遅延も含んでおります。
 前提条件は、為替レートは1ドル当たり109円で期首対比変更はしておりません。足元為替レートは1ドル当たり111円で、想定通りの水準だと思っております。燃料価格については、期初の1トン当たり373ドルの想定を、同451ドルに大幅に前提を変更いたしました。足元の燃料油価格は1トン当たり460ドル近辺で推移しており、それに見合った前提としております。市況の前提については、微調整はありますが、大きな変更はありません。
 為替レート、燃料油価格の変動に対する残り9カ月間の影響については、為替レートでは1円変動で±5億円。燃料油価格は10ドル変動で±8,000万円という感応度です。なお、燃料油価格変動についてはONE社の燃料油価格変動影響は含めておりません。
 配当につきましては、上期の業績予想修正を踏まえ、誠に遺憾ながら中間配当は無配とさせていただきます。通期業績予想は期首公表どおりですので、期末配当については引き続き未定とし、業績の改善に向けて取り組んでまいります。
 主な変動要素につきまして、上期の経常損益30億円の悪化を、下期に30億円改善することが、課題となります。内訳としては、ドライバルク、製品物流の収支向上策を実施することによる25億円の改善要因。そして、ONE社の通期持分法損益が期首公表から変更なしということで、+16億円の改善要因となります。一方で、燃料油価格変更の影響として、▲5億円の悪化要因を見込んでおります。

 

A-3. セグメント別 上期及び通期業績予想
 

 ドライバルクは、上期予想は経常損益+10億円、通期予想は同+60億円です。期首公表比較で25億円の上方修正です。主な要因は、市況の堅調な推移に加え、さらなる効率的配船、収支向上策効果もあり、上期、通期とも業績を改善させる見込みです。
 エネルギー資源は、上期予想は経常損益+10億円、通期予想は+30億円で、期首公表比較変更はありません。足元の油槽船市況が軟調なものの、エネルギー資源の他の事業でカバーし、期首想定どおり計上したいと考えております。
 製品物流は、上期予想は経常損益▲120億円の損失、通期予想は同▲5億円の損失に留める計画です。通期予想の▲5億円は、期首公表より20億円悪化しております。主な要因は、当社コンテナ船事業経常損益18億円の悪化です。

 

A-4.2018年度通期業績予想 変動のポイント<期首公表比較>
 

 通期業績予想の変動のポイントですが、経常損益は+50億円で変更しておりませんが、中身について説明します。
 自社要因では、コンテナ船の事業一過性損失影響による▲30億円の下振れを、ドライバルク、製品物流セグメントの収支向上策で改善する計画になります。同収支向上策+25億円の内訳は、ドライバルクにて9億円、製品物流にて7億円となります。ネットワーク再編とは、コンテナ船事業が主体で築いていたグローバルネットワークを自動車船事業及び物流事業がコストも含めて継承し、組織再編、ネットワークの最適化を進めていきますが、そのコスト削減を早期化させることで4億円を改善します。
 外部要因では、為替はほとんど影響なく、燃料油変動で▲8億円の悪化を見込み、その他一過性要因の+3億円の改善と合わせて▲5億円の悪化となります。
 市況前提比較については、CAPEは期首想定の通期見込み1万9,000ドルを同1万9,250ドルに上方しています。足元は2万4,000ドル近辺で推移しておりますので、それほど高い市況前提ではないと思われます。VLCCは期首想定の通期見込み1万4,600ドルを、足元の低調な市況を勘案して同1万2,550ドルに変更しております。


B. 部門別業績動向
 

B-1. ドライバルクセグメント
 

 市況は堅調かつ安定的に推移しております。2018年度運航規模におけるエクスポージャー率にある通り、中小型船は37%から32%に順調にエクスポージャーを減らしています。また、中長期契約や、優良なCOA契約を順調に獲得できており、安定収益の拡充が、順調に推移していると考えております。なお、中期経営計画の進捗については、上期終了後、総括してご説明申し上げます。また、ドライバルクセグメントでは、最近の中国での景気刺激策と思われるような政策や金融緩和政策等も若干みられることから、市況に与える影響にさらなる期待が持てるかもしれません。

 

B-2. エネルギー資源セグメント 油槽船/電力炭船
 

 期末運航規模推移におきまして、VLCCが2隻増えております。そして、他油槽船が5隻減っており、主に石油製品船を減らす予定です。運航規模におけるエクスポージャー率については、電力炭船が、期首見込15%が最新見込で6%に下がっております。

 

B-3. エネルギー資源セグメント LNG船/液化ガス/海洋資源開発
 

 液化ガス新事業におきまして、名古屋の伊勢湾を対象に、中部電力様、豊田通商様、日本郵船様と共同でLNG燃料供給の事業化を決定し、当社を含めた4社で設立した合弁会社より、川崎重工様にLNG燃料供給船を発注いたしました。

 

B-4. 製品物流セグメント 自動車船/自動車物流
 

 自動車船の輸送台数推移は、2018年度第1四半期実績で合計98万7,000台です。前年同期が88万7,000台で、輸送台数は着実に増加しております。ただ、輸送台数が増えたからといって収益性が比例して上がることはなく、収益性は大変厳しいです。第2四半期以降、諸々の施策を早期に着実に実行し、また、コンテナ船セグメントから引き継いだ海外ネットワーク機能の最適化までの残置固定費用の削減を進めることにより、少しでも収益性を改善していくことが課題です。
 また、当社では船体整備計画の見直しにより、今年度から自動車船の耐用年数を変更しました。従来の耐用年数20年から25年に変更します。現在の自動車船使用実績が約30年という点も勘案して今回の耐用年数変更を行いました。なお、通期業績予想上は既に見込んでおりましたので、変更はございません。第1四半期の影響は、約6億円の損失の縮小となります。

 

B-5. 製品物流セグメント 物流
 

 前年同期比で増収減益でした。物流事業子会社のケイラインロジスティックスが、国際物流事業において、ITシステム投資などの先行費用が発生したためです。国際物流事業は航空機貨物を中心に半導体等の荷動きが好調で、順調に推移しております。なお、近海・内航事業については、川崎近海汽船が決算を発表しますが、一部大型船の竣工や、新規配船により費用が増加しております。

 

B-6. 製品物流セグメント コンテナ船
 

 当社コンテナ船事業にかかる一過性費用で運航費用が約30億円程度、約10%増加しました。またコンテナ船事業統合後の当社ネットワーク組織再編費用のうち、様々な想定をして、費用への引き当てや、費用の発生を折り込んでおります。16年度末には、事業再編関連一時費用として、ONE社への人員移籍等による一時的人件費、物件費の発生について引き当てております。その引き当ての一部が17年度末時点で残っています。さらに、コンテナ船事業統合後の当社ネットワークの一部清算費用についても、今年度の通期業績予想に別途折り込んでおります。さらには、コンテナ船事業の当社ネットワークの最適化までの35億~40億円の残置固定費用のうち、一部のコスト削減を織り込んではいるものの、更なるコスト削減の早期化に取り組んでいきます。

 

C. ONE社 2018年度第1四半期決算説明
 

 資料16ページの収支概況は、第1四半期については、税引き後損益で120百万USドルの損失でした。上期は期首予想同損益+3百万USドル、今回予想▲38百万USドルの損失と、期首公表比約40百万USドルの悪化です。ただし、通期見込については+110百万USドルと変更しておりません。燃料油価格の急激な上昇はあるものの、シナジー効果の前倒しや、会計処理方法の見直しによる収益改善要因が確保できると見込みからです。会計処理方法の見直しとは、IFRSにおける新リース会計基準の適用が2019年度からとなったことによるものです。燃料油価格前提は当初1トン当たり383ドルでしたが、今回同454ドルに変更しております。
 資料17ページでは、第1四半期実績の消席率を記載しております。北米往航で73%、欧州往航で73%となります。営業スタート時のシステムオペレーションの不慣れや、人員の問題等々があり、一部お客様に迷惑をおかけしてしまいました。その結果、消席率が当初見込んだより若干低かったことが影響し、粗利益減となりました。ただ、7月の消席率は北米往航が90%、欧州往航は92%まで回復し、ONE社が期初に想定した消席率と同水準まで戻ってきております。お客様には大変ご迷惑をかけしましたが、足元定常状態に戻ってきているという認識です。
 資料18ページの滝グラフに表示した通り、通期業績見通しに変更はありませんが、中身を変更しております。まず、粗利益減ということで、主に消席率の悪化で270百万ドル悪化しました。次に、燃料油単価増で260百万USドル悪化しました。次に、海外ターミナル事業移管の遅延により50百万USドル悪化しました。邦船3社からONE社へのターミナル移管が当初よりも遅れており、現在の想定では、第4四半期より移管後の数字が反映されます。次に、統合シナジー効果ですが、当初予定よりも前倒しのペースで進んでおり、240百万USドルの改善となります。次に、プロダクトコスト減についてですが、燃料油価格が上がったため、燃料消費量を減らすための施策を、プロジェクトチームを立ち上げて必死で行っております。その効果が既に出始めており、240百万USドルの改善を見込んでおります。最後に、リース会計処理見直しで100百万USドルの改善となり、通期業績予想については変更なしとなりました。
 資料19ページでは、シナジー効果について説明します。シナジー効果とは、邦船3社から、様々な機能を集約することにより、ボリュームディスカウントや、交渉力の上昇によるコスト削減などによるものです。初年度となる2018年度は約60%の現出を予定しておりましたが、最新の見込みでは約80%の現出が可能となり、順調に進んでいると理解しております。