皆様、本日はお忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。2017年度決算説明および2018年度業績予想、そして、中期経営計画の進捗状況と今後の取組みについて説明させていただきます。

 

A.決算概要

 

A-1 通期実績

 

 A-1、2017年度決算概要、通期実績です。売上高1兆1,620億円、営業利益72億円、経常利益20億円、当期純利益104億円となりました。主な変動要因は、当期計上のコンテナ船事業統合会社ONEの持分法損失額は通期で71億円。この71億円は、ONE社全体の発生費用約220百万ドルに当社シェアの31%を掛けたものです。人員出向料等の戻し入れを含めたコンテナ船事業統合に関連する影響額は、前回通期予想の約▲50億円から約▲41億円の実績となりました。また、円高が進行したことにより、第4四半期のみで▲36億円の為替差損、通期で▲15億円の為替差損となりました。これらに加え各事業の市況変動などがあり、最終的な経常利益は20億円となりました。当期純利益は、前回3Q公表の85億円から29億円上振れの104億円となりましたが、これは前回公表の前提としていた特利損の見積金額の変動などによるものです。
 中計の重要な指標の1つとしている自己資本比率は、2017年度末で21%、前期末同様の結果となりました。これは、当期株主資本は増額したものの、円高進行による為替換算調整勘定、いわゆる海外などのドル出資に係る金額が、評価損となり相殺されて、前期末と変わらず21%となりました。
 セグメント別実績は、コンテナ船では、前回3Q公表時の経常利益5億円から34億円となりました。これは、ONE社持分法損失を加えたコンテナ船統合関連影響全体を含んでも引当金等効果がありプラスとなったこと、および物流事業での持分法利益の増加によるものです。不定期専用船では、前回公表経常利益70億円から32億円と38億円下振れました。これは円高による為替差損の計上、そして油槽船の市況低迷による影響です。その他は、大きな変更はございません。

 

A-2 業績変動のポイント<前期比較>

 

 A-2、2017年度決算概要の業績変動のポイント(前期比較)です。2017年度と2016年度の通期実績比較では、自社要因として構造改革及び引当金等の影響、そしてコスト削減の結果+449億円の効果がありました。外部要因としては、コンテナ船市況の変動などを中心に+95億円の効果があり、昨年度の経常損失524億円から544億円改善して20億円の経常利益となりました。
 2017年度の市況レベルは、コンテナ船では、北米航路は前期並みに推移しましたが、欧州航路では6ポイント改善し、ドライバルクでは、全ての船型で昨年度と比べて回復しており、市況は底を打ったと見ています。一方、油槽船市況は、足元は軟調に推移しており、昨年度比でも大きく下落をしています。今後は油槽船では、スクラップの進展などによる市況回復を期待しておりますが、軟調な市況が継続するものと考えております。

 

A-3 構造改革及び引当金等による収支影響額・コスト削減

 

 A-3構造改革及び引当金等による収支影響額・コスト削減について、A-2で自社要因の改善+449億円のうち、構造改革引当金の影響額が16年度実績と比較して+253億円と申し上げました。A-3での記載は構造改革及び引当金収支影響額として346億円とありますが、これは、15年度及び16年度の2期にわたり実施した構造改革による影響額を累計したもので、そのうちの93億円は16年度において既に実現済にて、前年度比較で+253億円になります。

 


B.2018年度 通期業績予想

 

B-1 決算開示セグメント

 

 B-1、2018年度通期業績予想と、開示セグメントの変更のお知らせです。コンテナ船事業の統合を受け、2018年度より当社の事業開示セグメントを変更いたします。これは、当社の事業経営方針に沿い、より経営状況をステークホルダーの皆様にご理解いただくことを目的としたものです。変更内容は、鉄鋼原料と主に中小型船のバルクキャリアを含むドライバルクセグメント、LNG船、油槽船、電力炭船、海洋資源開発、オフショア支援船、液化ガス新事業を含むエネルギー資源セグメント、自動車船、自動車物流、一般貨物の物流、そして内航・近海、コンテナ船を含む製品物流セグメント、にセグメント分けをいたします。その他セグメントおよび本部・調整につきましては、変更はありません。今後もよりご理解をいただけるように検討を継続していきたいと考えています。

 

B-2 2018年度 通期実績予想

 

 B-2、2018年度通期業績予想です。売上高は、上期3,820億円、下期3,725億円、通期7,545億円。営業損益は、上期75億円の損失、下期125億円の利益、通期50億円の利益。経常損益は、上期90億円の損失、下期140億円の利益、通期50億円の利益。当期純利益は、上期25億円、下期45億円、通期70億円を計画しております。前提為替レートは1ドル109円、燃料油単価は1メトリックトン当たり373ドル。為替レート1ドル当たり変動額はプラスマイナス6.5億円、燃料油価格変動影響は10ドル変動ごとにプラスマイナス1億円となります。従来よりも燃料油価格変動影響が小さくなっておりますが、コンテナ船事業以外の事業セグメントでは、燃料油サーチャージで補填されている割合が相対的に大きく、実際の変動額としては小さいためです。ONEにおける燃料油価格変動は、ONE事業計画のパートで別途説明させていただきます。
 新セグメント別の業績予想とその前提となる市況は、ドライバルクセグメントは、上期は2017年度通期並み、下期は例年の第3四半期での市況上昇を予測し、通期の経常損益は35億円の利益を見込んでおります。エネルギー資源セグメントは、油槽船市況は引き続き軟調に推移すると見ておりますが、LNG船、電力炭船、ドリルシップ等は、安定的に稼働する見込みで、経常損益は通期30億円の利益を計画しております。製品物流セグメントは、コンテナ船事業全体とONEの持分法利益を別掲しており、ONE社持分法利益は38億円となります。コンテナ船事業につきましては、第1四半期に、複合輸送進行基準による当社コンテナ船事業の損失が、一過性要因として85億円計上されており、通期で48億円損失の計画です。他の製品物流セグメントの事業を含む経常損益では、通期15億円の利益を計画しております。その他及び本部・調整を含め、連結の通期業績予想は50億円と計画いたしました。
 なお、コンテナ船以外は航海完了基準を採用しており、その航海が全部終わった時点で、収入も費用も計上しますが、コンテナ船は複合輸送進行基準を採用しているため、運賃は按分して計上されますが、費用は発生基準で計上されます。例えば東京を3月25日に出発し、ロングビーチで4月3日に揚げて、シカゴに4月7日着く場合、この輸送に係るBLの運賃収入が3,000ドルとすると、収入3,000ドルのうち9分の6の2,000ドルが3月25日から31日分までの分として17年度に計上。運賃の残り1,000ドルは18年度に計上され、ロングビーチで発生した揚げ費用とシカゴまでの鉄道費用等々は18年度に計上されます。もちろん東京での積み費用は17年度に計上されます。そのように、川崎汽船が請け負っている費用が、5月頃まで一過性費用として発生する可能性があります。
 最後に18年度の配当について、中期経営計画の方針に沿って、財務体質の改善を喫緊の課題と捉えた上で今期業績の改善に取り組む所存ですが、中間、期末の配当につきましては現在のところ未定とさせていただきます。

 

B-3 業績変動のポイント<前期比較>

 

 B-3、2018年度通期業績、業績の変動ポイント(前期比較)です。自社要因のうち、ONE持分法損益は、2017年度に持分法損失41億円を計上していますが、2018年度では持分法利益38億円を計上予定で、79億円の改善となります。しかしながら、コンテナ船の一過性費用を85億円見込んでおり、合計で6億円のマイナスとなります。一方で外部要因では、川崎汽船本体の事業セグメントの市況、荷況変動による影響額を+48億円見込み、外部要因を合計で36億円のプラスとなります。自社、外部要因合わせて合計で対前年比30億円の改善を見込んでいます。市況前提は、ドライバルクは底を打ち、油槽船については弱含んで推移するとしています。

 


C.中期経営計画進捗および部門別動向

 

C-1 中期経営計画進捗状況

 

 C-1、中期経営計画の進捗状況と今後の取り組みです。2017年度の中期経営計画の取り組み内容をまとめております。まず中期経営計画で目指す指標の達成状況ですが、2017年度は2016年度と比較して大きく改善の上、黒字化を達成できました。今後も、さらに業績の改善に取組む所存であります。また、安定収益型事業の積み上げは、2019年度での300億円超に向けて順調に推移しており、2017年度では約270億円の安定収益を確保いたしました。引き続き重要な方針として継続してまいります。20%台半ばに向けた自己資本比率の積み上げにつきましては、円高の影響による為替換算調整勘定の評価損に伴い足踏み状態となりました。
 事業ポートフォリオ戦略については、コンテナ船事業統合の完遂、そして重量物船事業の売却や市況連動型の高コスト船隊の縮減に取り組んだ上、より選択と集中を図り、資産効率を高めるため、非コア事業資産の処分、そしてコンテナ船事業スピンオフ後の手持ち現預金水準の見直しなど、取組んでいく所存です。また、次代の中核事業となる分野への取組みも進んでおります。経営管理の高度化と事業ポートフォリオ戦略の連携を強化し、2018年度以降に戦略転換を加速させていく所存です。
経営管理高度化は、昨年10月末に公表させていただきました事業リスク・リターン管理を軸に運用を開始しております。同管理は、異なる角度からの課題の抽出、それから解決施策の実施を可能にしつつあると考えており、運用をさらに熟成させていくことで当社の経営管理の高度化を深めていく所存であります。
 機能別戦略では、CRMの強化、技術革新、ビジネスモデル変革、人材確保・育成・多様性を融合させて取組む必要があると考えており、社会の変化やお客様の戦略を理解して、協同して新たなビジネスモデルを構築することを目指し、進めてまいりたいと考えております。
ESGの取組みでは、統括ユニット制の強化、リスクマネジメントの強化などを進める一方、環境への取組みも評価いただいております。コーポレートガバナンスおよび環境への取組みは経営計画を実行する上で重要と考えております。今後もさらに深めてまいりたいと考えております。

 

C-2 中期経営計画進捗状況詳細と2018年度取り組み
 
 C-2、中期経営計画の進捗状況と、2018年度以降の重要な取組みです。以下の項目が課題となります。安定収益型事業の徹底強化、コンテナ船事業の収益事業化はしっかりと継続してまいります。2018年度以降は、市況影響型事業の縮減、そして、非コア事業資産の処分などをさらに進め、事業ポートフォリオ戦略を具体化していく方針です。また、お客様の戦略変化に沿い、次代の中核事業の育成を重要課題として取組んでいくことに変わりありません。

 

C-3 ドライバルクセグメント

 

 C-3、ドライバルクセグメントについて、まず17年度の動向から簡単に説明いたします。市況は16年度から主に中国に起因する輸送需要が大きく増えたことと、新造船の供給が非常に限定的だったということで、需給ギャップが大きく改善し、市況レベルも一段と上がりました。そのような中で、15年、16年とドライバルクで構造改革を実施し、その効果もあり、17年度の結果は16年度比で増収、ドライバルク全体で黒字転換が図れた結果となりました。
 基幹船隊数は合計で、電力炭を除き、15年は201隻が、16年は177隻、17年は171隻と基幹船隊数を減らしております。昨年発表の中計で、とりわけコストの高い固定の船腹を減らすという計画を実行したものです。市況の変動に対して耐性を高めること、コストを削減していくことを狙ったものですが、計画どおり進んでおります。
 一方、期末運航規模は、ほぼ変わっておりません。全体で243、236、243隻と推移しております。ドライバルク全体として、事業規模は維持しており、とりわけ大型船のケープサイズでは、事業規模を伸ばしおります。したがって船隊の体質改善を進めながら、事業規模は維持し、今後の稼ぐ力を強めていけるベースをしっかりと確保している状況です。
 その結果、運航規模におけるエクスポージャー率では2018年度の計画を期初でケープサイズ9%、中小型37%、チップ船0%と、極めて小さいところまで落としております。体質改善をし、非常に市況耐性の強い船隊ができつつあると思います。
 また、18年度の市況については、総じて昨年までの需給ギャップの改善を受け、需要サイドは、大きくは伸びない一方、供給も非常に限られており、堅調な市況環境が続くと見ております。

 

C-4 エネルギー資源セグメント-油槽船 / 電力炭船

 

 C-4、油槽船と電力炭船です。2016年度、採算点を超える3万ドル以上の市況で推移しましたVLCCですが、年度初めこそ4万ドル超でスタートしたものの、春の定期点検の集中や新造船の供給圧力で軟化し、夏場以降1万ドルを切る水準に低迷しました。長引く市況低迷とスクラップ鋼材価格の持ち直しに後押しされ、7月以降スクラップも進み秋口に一時回復はしましたが、17年度通年平均で1万5,000ドルと低水準となりました。17年度中のVLCC新造船供給は約40隻で、スクラップは特に後半に集中したものの約30隻でネットの増加は10隻。VLCC船隊はマーケット全体で680隻ですので、1.5%のネット増にとどまっています。2018年度も約40隻の新造供給を見込んでおりますが、年明けからかなりのハイペースでスクラップが続いております。市況低迷が継続するかは、スクラップ水準次第と考えております。
 油槽船の契約カバー率ですが、VLCCは70%、LPG船は全隻カバーしており、エクスポージャーが大きいのはその他の船隊です。この部分につきましては、中型の原油船ですとか大型の石油製品船になりますが、一部船隊の縮小によるエクスポージャーの縮減を今年度計画しております。
 電力炭船ですが、電力会社様向けに発電用の電力炭を輸送しており、ほぼ全船、中長期契約に安定的に投入されております。将来的には、世界的な環境問題の進展に伴い、石炭火力発電所の新設遅延や、計画の見直し等懸念がないとは言えませんが、船隊の船齢管理を通じたリスク管理を行っており、2017年度も高齢船2隻を売船処分することにより、エクスポージャーの縮減を行っております。

 

C-5 エネルギー資源セグメント-LNG船 / 液化ガス / 海洋資源

 

 C-5、LNG船、液化ガス新事業、海洋資源です。LNG船の契約カバー率は、ほぼ全てが中長期契約に入っています。ドリルシップや、昨年度参入を果たしましたオイルのFPSO事業も同様です。エクスポージャーにさらされているのはオフショア支援船ですが、こちらは原油価格の回復に伴い、北海で稼働しているリグの数も増加傾向となっております。地合いは徐々に改善傾向で、当面はコスト削減努力を継続し構造改革のチャンスをうかがいたいと考えております。また、液化ガス新事業は、LNG燃料や、エネルギーバリューチェーンの下流の事業開発に取組んでおりますが、2020年から導入が予定されているIMOのSOx規制に加え、その後に控える地球温暖化ガスの排出規制等を視野に各種船舶のLNG燃料化の検討を進める一方、すでに発表したとおり、中部地区におけるLNG燃料供給事業を中部電力様、豊田通商様、日本郵船様と共同で検討開始するなど、着実に事業開発を進めております。

 

C-6 製品物流セグメント-自動車船 / 自動車物流

 

 C-6、製品物流セグメント、自動車船と自動車物流についてです。2017年度の日本からの完成車輸送の総量は16年度以降引き続き堅調でした。欧米向けは堅調でしたが、特に資源国である中近東、アフリカ向けは引き続き低調な状態が残念ながら続いている状況です。船腹需給は、PCCと言われている、自動車を専用に積みつける船、これは世界中で約750隻程度ございますが、16年度あたりは需給ギャップが少しあり船が余っていた状況でした。しかし、昨年度後半から、特に韓国沖等で停船している船がどんどん市場に戻り、現在は、ほぼ供給がバランスしている状態に近づきつつあります。
 2018年度は、我々の基幹船隊は94隻から89隻に減少させております。2015年から、ポストパナマックスと言われている7,500台積みの新造船を逐次投入し、今年も3隻投入します。この結果我々の新しい船隊が完成いたします。1968年の第一とよた丸から50年間かかりましたが、新しい船隊への入れかえがほぼ終わりました。昨年度は、最新の環境対応船でありますDRIVE GREEN HIGHWAYがシップオブザイヤーを受賞し、市場からも高く評価されております。今後は建機や農機、鉄道車両、特別なものではプラント関係、発電設備等、HIGH&HEAVY貨物の増量を目指します。これらはマフィーカーゴといって、通常自動車積んでいたところに車台を置いて、その上に荷物を積むのですが、空間として非常に安全な空間が供給できるためお客様にかなり好評をいただいております。また、自動車物流は、完成車物流ということで、海上輸送のみならず、その前後に様々な作業を行います。約2年半前から新しい部署をつくり、事業展開が10か国、約300万台程度まで取扱いが増えてきた状況です。引き続き効率配船、コスト削減で、収益構造を強めていきたいと思っております。

 

C-7 製品物流セグメント-物流

 

 C-7、物流についてです。アジアを中心とした物流、または航空貨物輸送の取扱いを前提にした安定的な収益を上げてきましたが、コンテナ船事業スピンオフ後の体制として、ケイラインロジスティックスを当社の海外ネットワークの中心とし、再構築するということは、以前ご説明したとおりです。海上輸送貨物の取組みに対する組織の見直しを行うとともに、ケイラインロジスティックスは、既に拠点を築く国ではコンテナ船の顧客基盤の継承を進めております。拠点がなかったところについては、従来のコンテナ船事業の代理店がIATAのライセンスを取得する等、物流事業の拡大強化に努めて、これをさらに進めていきたいと思います。

 

C-8 製品物流セグメント-コンテナ船

 

 C-8、コンテナ船事業セグメントについてです。2018年度の経常損益については、上期91億円の損失、下期43億円の利益、通期で48億円の損失という予想を立てております。上期の損失については、当社側に残る2017年度の事業収支流れ込みなどによる一過性の影響が約85億円あり、これが上期収支の足を引っ張る形になります。ONE社持分法損益については、上期1億円と一定の消席率の落ち込みを織り込んでおり、下期に35億円の改善を見込みます。ONE社設立に伴い、今までコンテナ船を支えてきたネットワークを見直しております。要員体制も減ってくることになるのですが、完全に新体制に移るまでの過渡期は一定期間要員を残しておく必要がございます。最終的にネットワークの最適化が完成する2019年をめどに、さらに販管費については35億円から40億円削減を進める計画です。

 


D ONE 3カ年事業計画(2018-2020年度)

 

 次に、ONE社事業計画の説明に移ります。船腹需給については供給で5%の増加、荷動きについては4%の増加ということで、供給が需要を若干上回る前提を予想しています。昨年度は、アライアンスの改編に加え船社間の統合を控えたシェア獲得競争により、一部市況に混乱があったと見ておりますが、今後徐々に収束すると期待しております。3カ年の収支計画については、2018年度の売上高は131億6,000万ドル、連結の当期純利益は1億1,000万ドルを見込みます。上期は期初の一定の積高の減少を織り込んでおりますので、ONE社全体では300万ドルの黒字、巡航速度に入ってくる下期以降については1億700万ドルの黒字を見込むと、ONEは計画しているとのことです。燃料油価格の想定は1メトリックトン当たり383ドル、10ドル変動に伴う影響については3,700万ドル、当社シェアは持分31%ですから、当社への影響は1,100万ドルの影響になります。運賃レベルにつきましては、概ね2017年度の市況を前提として収支計画をいただいたと報告を受けております。
 連結当期純利益は2019年度が3億1,300万ドル、2020年度が6億4,800万ドルを想定しておりますが、運賃の前提を基本的には2018年から変えていないと聞いており、積高については、年率3₋4%の荷動きの成長率の増加を前提としております。さらに、シナジー効果を3年以内に実現することで着実な収益を上げていく計画となります。シナジー効果については、ONEが完全に立ち上がり、各部門において取引先と交渉を進めるなど精査した結果、統合発表時に提示した1,100億円を上回るベースとなっております。最新の目標額は10億5,000万ドルですが、初年度18年度に60%、2年目に80%、3年目には100%の実現を視野に入れております。10億5,000万ドルの内訳は、鉄道料金、トラック、フィーダーやターミナル料金などの変動費削減が約4割を占め、4億3,000万ドル。次に、ITシステムの統合、組織の合理化による一般管理費削減が4割弱の3億7,000万ドル。また、アライアンスの対象でなかった航路も含めた配船合理化による効果、燃料費削減などの効果で2割弱の2億5,000万ドルを見込んでいるとのことで。初年度の達成見込みは、取引先との交渉も順調に進んでいるということで、目標の達成は明確に見えていると報告を受けております。
 ONEの航路別ポートフォリオですが、アジア北米航路が最も大きく、売上高ベースの47%、アジア欧州航路が24%、アジア域内航路が13%ということになります。
 船隊構成ですが、3社からの傭船が出そろいますと、2万個型6隻、1万4,000個型23隻を含め、合計224隻、155万TEUと、欧州3社に次ぐ150万TEUクラス入りを果たすことになります。業界紙において、一部ブッキングやBL発行におけるトラブルがあるという報道がされていますが、システムの不稼働などが原因ということは全くございません。移行期の一時的な要員の不足やシステムの習熟度の問題ということで、要員の増強は進めておりますし、ONEは全力を挙げて解消に取り組んでおりますので、時間の問題と考えております。立ち上げ時の一定の消席率の落ち込みは予算に織り込んでおり、顧客サービスを一刻も早く改善させることに一段と取組んでいると報告を受けております。