2017年第1四半期決算について説明いたします。はじめに、今決算のポイントを2つ申し上げます。1つ目は、2015年度第2四半期以来7四半期ぶりに四半期として黒字を回復しました。また、足元の業績予想はおおむね、期首公表どおり推移しております。2点目は、今年度の始めに新中期経営計画を策定いたしましたが、先週ニュースリリースをいたしましたとおり、重量物船の事業売却など、中期経営計画に沿った施策を着々と実行しております。以上、2点が第1四半期決算のポイントでございます。

 

A.2017年度第1四半期決算概要

 

A-1.第1四半期決算概要

 

 それでは、資料のP3、第1四半期決算概要を説明いたします。はじめに、事業環境について、コンテナ船は東西航路、アジア域内航路の荷況が好調で、運賃市況は回復を見せました。ドライバルクにおいては中小型船で一部、市況の持ち直しが見られたものの、船腹需給ギャップの改善には時間がかかっております。
 当社では前々期、前期の2期にわたり、ドライバルク事業、コンテナ船事業等において競争力強化への取組みとして構造改革を実施しました。この構造改革の効果に加えて、継続的にコスト削減の実施、配船効率化などの収益改善策に必死で取組みました。
 その結果、第1四半期は、売上高2,874億円、営業利益39億円、経常利益60億円、親会社に帰属する当期純利益85億円となりました。セグメントごと、部門別の経常利益については、コンテナ船61億円の利益、不定期専用船4億円の利益、海洋資源開発および重量物船2億円の損失、その他、合計で60億円となりました。
 簡単にセグメントごとの要因について、説明します。まずコンテナ船事業については、欧米航路を中心に底入れが見られる等、収益が回復。航路の合理化、コスト削減の取り組みの効果もあり、黒字に転換いたしました。
 次に不定期専用船部門では、油槽船市況は低調でしたが、ドライバルクは需要の見通しの不透明さもあり、市況の上値が重く、またサイクロン等による一部航海の第2四半期への期ずれがありました。自動車専用船は資源国向けが低調に推移するも、欧州向け、大西洋域内貨物の積み取りが堅調に推移しました。昨年度までの構造改革等によりエクスポージャー縮小効果もあり、不定期専用船部門全体では黒字に転換いたしました。
 次に、海洋資源開発および重量物船部門では、7月に重量物船部門売却を実施いたしました。また、FPSO事業参画基本合意により、ポートフォリオの変革も実施いたしました。オフショア支援船では市況が低迷しており、引き続き収益安定に向けた努力を継続してまいります。
 次に、主な財務指標ですが、2017年度第1四半期末の自己資本は2,276億円、有利子負債は5,550億円、DERが244%、NET DERが154%、自己資本比率は22%という結果でございました。

 

 

A-2.第1四半期業績変動のポイント<前年同期比>

 

  次に資料のP4、第1四半期業績の変動のポイントを前年同期比で自社要因、外部要因に分けて分析しております。
 前年同期、2016年度第1四半期の経常利益は▲225億円でした。2017年度第1四半期実績は60億円の黒字で、285億円の改善になります。その要因は自社要因が+138億円、外部要因は+147億円です。
 自社要因の主な項目は、構造改革および引当金等の影響額で約90億円。また、コンテナ船を中心としたコスト削減によって46億円の改善となりました。
 外部要因は、コンテナ船市況の回復効果が見られ、北米航路は運賃指数が前年度73から76に3ポイント改善しております。欧州航路は、前年度40から54へ14ポイント改善をしております。不定期船部門においては油槽船市況が前年比を大きく下回ったものの、ドライバルク市況は回復いたしました。
 これらの市況の変化に伴い、コンテナ船市況改善92億円、不定期専用船市況荷況改善9億円、為替換差90億円など、外部要因合計147億円の改善。自社要因、外部要因合計285億円の改善でした。

 

 

A-3.上期及び通期業績予想

 

 次に、資料のP5今後の業績の予想について説明いたします。まず上半期の予想ですが、売上高5,700億円、期首公表時と変更しておりません。営業利益100億円、期首公表比▲10億円になります。経常利益100億円、当期利益150億円についても期首公表時と変更はござません。営業損益▲10億円の主因は、油槽船の市況低迷によるものでございます。
 次に、通期業績予想ですが、コンテナ船やドライバルクの海運市況が大底を脱したものの、本格的な船腹需給ギャップの解消には、いましばらく時間を要するものと見られ、さらなるコスト削減や合理化による収益改善に努めていく予定です。売上高1兆1,220億円、営業損益230億円、経常利益210億円、当期利益210億円を予想しております。
 なお、業績予想の前提ですが、為替レートが上期予想111円、通期予想110円で期首公表時と変更ありません。燃料油価格については上期予想325ドル、通期予想322ドルで、期首公表比+2ドルとなります。
 また、今後の第2四半期から第4四半期にかけての9カ月間の為替レートおよび燃料油価格の変動影響ですが、為替レートが1円変動で±4億円、燃料価格は10ドル変動で±、6億円となります。
 配当につきましては、当社は財務体質改善と事業基盤の安定化を今期の最優先課題と捉え、誠に遺憾ながら当期中間および期末配当予想は無配とさせていただきます。

 

 

A-4.セグメント別 上期及び通期業績予想

 

  次にP6、セグメント別上期および通期の予想です。2017年度通期予想はコンテナ船では経常利益190億円、期首公表時と変更はありません。不定期専用船75億円、期首公表比▲15億円。主な要因は油槽船の市況低迷によるものです。海洋資源開発および重量物船▲15億円、期首公表比+5億円、その他、調整額を差し引き後、合計210億円で、期首公表比、変更はありません。
 セグメントごとの要因ですが、コンテナ船事業については、運賃市況は改善が見られるものの、今後の地政学的リスクや加速化する同業他社の合併、統合によるマーケットへの影響などに注意が必要だと考えております。また、THE Allianceによる顧客ニーズに合致した、より強力なネットワークの提供を継続したいと思っております。
 次に不定期専用船事業について、ドライバルク市況は緩やかな回復基調を維持するものの、油槽船市況は上値の重い展開の継続が見込まれております。自動車船事業では、資源国向けの不透明感もありますが、完成車の海上輸送は世界的に堅調に推移するものと予想しており、大型船を最大限に活用した効率の高いオペレーションをしていく所存です。
 次に海洋資源開発事業では、オフショア支援船事業において市況回復にはしばらく時間を要することから、収益安定化に向けた事業構造改革を進めていきたいと考えております。

 

 

A-5.2017年度上期業績変動のポイント<期首公表比較>

 

 次にP7、2017年度上期業績変動のポイントです。期首公表時の上期予想経常利益100億円、最新予想100億円と変更がござませんので、説明は割愛させていただきます。
 なお、上期における市況前提、コンテナ船運賃指数や、ドライバルク市況、油槽船市況等は、記載のとおりでございます。

 

 

A-6.構造改革及び引当金等による収支影響額・コスト削減進捗

 

  次にP8、2015、2016年度に行った構造改革および引当金等による2017年度の収支への影響額ですが、前年度期末決算時の説明のとおりで、最新の通期見込みでもほぼ変更ございません。
 また、コスト削減実績についても、第1四半期は、ほぼ期首に立てた目標どおりに実績を計上しており、今後の見込みについても大きな変更はございません。

 

 

A-7.中期経営計画 進捗状況<2017年度第1四半期>

 

 最後にP9、中期経営計画の進捗状況について説明申し上げます。今回の中期経営計画については、3つの柱を立てて臨んでおります。1つ目が事業ポートフォリオ戦略転換、2つ目が経営管理高度化と機能別戦略強化、そして、3つ目がESGの取り組みでございます。
 まず事業ポートフォリオ戦略転換ですが、重量物船事業の売却を実施と、ガーナ沖油ガス田FPSO事業参画の基本合意をいたしました。また、新しいお客さまとの取引では、マレーシア・テナガ社向け発電用石炭COA契約締結など、安定収益基盤拡充に取り組んでおります。また、コンテナ船事業統合については、その完遂に向けて鋭意、準備を継続しております。
 次に、経営管理高度化と機能別戦略強化ですが、まず事業リスク・リターンの管理高度化に向けて準備作業を継続しております。近日中に内容の公表ができるよう努めます。カスタマー・リレーションシップ・マネジメント強化については、既に社内的に組織手当をいたしまして、お客様に、当社社内の横断的組織で最高のサービスを提供できる、もしくは川崎汽船グループとして、お客様に最高のサービスを提供できるような組織および営業施策を打っていきたいと考えております。技術革新・ビジネスモデル変革については、7月に先進技術グループを設置いたしまして、CRMと共同しながら新しい顧客ニーズに対応できる技術を開発していく所存でございます。
 最後に、ESGへの取り組みですが、おかげさまで当社の自動車専用船DRIVE GREEN HIGHWAYが2016年シップ・オブ・ザ・イヤーを受賞いたしました。また、SRI投資関連構成銘柄に継続的に選定されるなど、ESGの取り組みについて精力的に施策を実行していく所存でございます。