A-1.2016年第2四半期決算概要
   上期実績は、前回公表比、経常損益で91億円悪化の361億円の損失。当期純損益は105億円悪化の505億円の損失となりました。部門別の経常損益は、中段の表の通りです。
 経常損益の91億円の悪化の内訳は、大部分がコンテナ船の市況が想定より悪化したことによります。そして、新興国向けを中心とした自動車船の荷動きが想定を更に下回った事も悪化要因の1つとなりました。コンテナ船につきましては、昨年後半より新造大型船を中心に供給量が増し、かつて見たことのないレベルまで落ち込み、厳しい市況が継続しています。8月に世界第7位の韓国の有力コンテナ船会社の経営破綻が生じたことは皆様ご既承のとおり、昨年は欧州向けの荷動きが減少するなど、需要減退も背景にありました。今年は緩やかに荷量も回復基調を見せるものの、市況は好転せず、韓国船社の経営破綻後、一旦上昇を見せましたが長続きせず、第2四半期の運賃指標は想定レベルを下回る結果となりました。11月に入ると、さすがに欧州、北米とも運賃に回復の兆しはあるものの、上値が重いと言わざるをえない状況です。
  さて、主な財務指標ですが、自己資本が2016年3月末と比較して723億円悪化しました。主な要因は当期純損益相当の約500億円の悪化と、為替換算調整勘定の約160億円の悪化です。また、有利子負債は220億円ほど増えました。これは市況環境に不透明感があり、手元の流動性を確保するため適宜借り入れを行ったためです。


A-2.上期業績変動のポイント<前年比較>
  上期の経常損益は、前年度実績の160億円の利益に対し、361億円の損失で521億円の悪化となりました。最も大きな要因は市況の悪化。東西航路を中心とするコンテナ船市況の悪化が288億円。不定期専用船につきましては267億円の悪化。市況が最も落ち込んだ上期後半に更改した契約があり、それも含めてドライバルクや油槽船の市況低迷要因が267億円の約3分の2となります。残りの3分の1は新興国向けを中心とする自動車船の荷動き減退によるものです。市況悪化による影響額が全体で555億円。前期比で為替評価損が100億円あり、悪化要因として650億円を超えます。一方で改善要因として、コスト削減の91億、構造改革による35億円など約130億円を積み上げるも、全体では521億円の悪化となりました。


A-3.通期業績予想
   厳しいコンテナ船の市況の低迷が当面継続し、また自動車船は中東、中南米、アフリカなど新興国向けの荷動き回復には来期まで時間を要するとの想定など、最新の状況に鑑み、主にコンテナ、自動車2部門を中心に、下期を含めた見直しを行いました。ドライバルクにつきましても、中国を中心とする石炭、鉄鉱石の荷動きは堅調で、年初の歴史的最安値の水準から脱して、緩やかな回復を見せるものの、需給の改善には今しばらく時間を要する上値の重い状況です。
   経常損益は、前回発表の215億円の損失に対して325億円悪化の540億円の損失。当期純利益は、前回発表の455億円の損失に対して485億円悪化の940億円の損失。経常損益に対して当期純損益の悪化額が大きいのは、当初予定をしていた資産売却等を翌期以降にずらしたためです。なお、下期の為替前提は100円、燃料油価格の想定は310ドルです。
   部門別の経常損益の明細は、中段の表に記載の通りです。不定期専用船は下期に黒字化すると予想しますが、通期では中小型船を中心とした市況低迷による影響が大きいドライバルクの損失が響き、赤字を予想しています。
配当につきましては、通期で当期純損失を見込む中、まずは財務体質の改善を喫緊の課題と捉え、今後3社のコンテナ船事業の統合にも備えるため、誠に遺憾ではありますが、中間、期末とも無配とさせていただくこととしました。


A-4.通期業績変動のポイント<1Q公表比較>
  通期業績について1Q公表数値との比較です。1Q公表時の通期予想215億円の損失と比較し、325億円悪化の540億円の損失。コンテナ船の市況低迷が想定以上に長引くことによる207億円の悪化。新興国向けの自動車船荷動きの回復の遅れや、油槽船の市況鈍化を中心に不定期専用船で60億の悪化。また、円高進行による為替評価差損の拡大や、経営破綻に陥った韓進海運の運航船に積んでいた貨物の救済措置などを含む一時的要因、57億円の悪化などが主な要因です。


A-5.通期業績変動のポイント<前年通期比較/当期上下期比較>
   前年通期比較については、市況悪化による影響額が672億円。東西航路などコンテナ船の市況悪化が397億円。不定期専用船全体では275億円の悪化。ドライバルク、油槽船など市況悪化による影響に加え、自動車船の新興国の荷動き悪化が主な要因です。加えて、前期の平均為替121円が今期は104円と、円高による収支影響額が72億円の悪化となります。その他、為替評価差損の増加、韓国船社経営破綻の対応を含めて、悪化額は合計850億円を超えました。
   コンテナ船を中心とする199億円のコスト削減、ドライバルクの構造改革による100億円の収益改善策を実施しましたが、前年との比較では573億円の悪化となりました。
  当期の上下期比較については、上期の経常損益361億円の損失に対して下期は179億円の損失と、182億円の改善を見込みます。内訳については、一定の市況修復によりコンテナ船56億円、不定期専用船27億円、合わせて83億円の改善。また、コスト削減及び構造改革効果など自助努力によるものが41億円、上期に生じた為替評価差損が解消される前提としており85億円。主な改善額の合計が約210億円となります。一方、燃料油価格はトン当たり上期226ドルに対して下期は310ドルと想定している為、43億円の悪化要因となります。以上、改善効果と合わせて182億円の改善を見込みます。


A-6.構造改革、コスト削減進捗
  2015年の約340億円の構造改革は、ほぼ計画どおり実施しています。2016年度についても、ドライバルクに関してはほぼ終了、残りの関係会社関連の構造改革については鋭意進めており、まとまり次第公表します。
  構造改革による改善額は、今年度は想定通り100億円を確保しております。来期については、135億円までは積み上がっています。
  構造改革による船体の縮小に伴い、ドライバルク全体では、2014年度末に比べて今期末には34隻、内、中小型船23隻の船隊の削減を図る予定です。
今年度のコスト削減は、期首目標の188億円に対し、最新の通期見込みは11億円増加の199億円。199億のうちコンテナ船が177億円を占めます。コンテナ船の内訳は、大型船投入による東西航路の配船合理化、そして今年撤退した南米東岸航路の整理等です。


  部門別の業績動向、11~15ページは記載のとおりです。

  最後に17ページ、中期経営計画の見直しです。2018年4月の邦船3社によるコンテナ船事業統合にともない、現行の中期経営計画を見直しのうえ、今年度中に公表する予定です。また、市況低迷に対する追加の対応策についても検討を進めており、まとまり次第公表します。