A-1.中期経営計画見直し 事業環境変化の認識と見直しの重要テーマ

  見直しということで、従来の「"K" Value for our Next Century」の後に、「Action for Future」とつけ加えました。昨年の春に発表しました中期経営計画ですが、事業環境、世界経済は昨年後半から大きな曲がり角に来ていると考えています。具体的には、中国では過剰投資の調整による影響が顕在化し、WTO加盟後の2000年代には2桁の成長を見せた鉄鉱石の輸入量は大きく減速、2015年は横ばいとなりました。中国政府主導による「新常態」への移行期であり、いわゆる爆買いの再来はもう期待できないと考えます。新興国では、資源・原油価格の下落が影響し、経済は大きく低迷、回復の兆しが見えません。先進国でも、統一金融政策のきしみが顕在化するEUでは、政治・経済両面で足並みの乱れに、難民問題が拍車をかけ、英国の離脱問題などその基盤は大きく揺らぎ始めています。また、テロ、IS問題は、中東のみならず先進国経済にまで大きく影響が拡大、地政学リスクが増大しています。加えて堅調であった米国経済も世界経済の減速の影響を受け始め、不透明感が非常に強まっていると認識しています。このような事業環境をめぐる構造変化が、昨年後半より急速に顕在化しており、経済成長の減速による物流需要の成長鈍化がしばらく続くことが懸念されます。一方で船腹供給圧力も当面継続、結果として、ドライバルク及びコンテナ船を中心にボラタイルな市況を誘引しています。
  いわゆるシクリカルな従来型の市況循環という経験則を超えた事業環境の変化、過渡期と捉え、従来から取り組んでいる財務体質の強化による安定性の確保に加え、構造改革の実施によるコスト競争力の確保を行うこととしました。当面の荒波を乗り越えて、今後の事業環境の構造的な変化を見定めたい、と考えています。ボラタイルな市況に直面するドライバルク、コンテナ船への対処として、ドライバルクの中でエクスポージャーの大きい中小型船のフリートを、構造改革により削減します。中長期契約で船隊の約9割の貨物を確保するケープについては、高コスト船の処分により船隊競争力を高める一方で、船隊の増強計画は当面棚上げせざるを得ないと考えています。コンテナ船については、最新鋭の省エネ1万4,000個型10隻、これは2018年にそろいますが、中小型船との入れかえ、コスト競争力強化を図るとともに、さらに東西航路への集中を行います。安定収益と位置づけております自動車、それからLNG、油槽船などのエネルギー資源輸送、鉄鋼原料、電力炭、チップなどの中長期契約をベースとするドライバルク、物流事業については、これまでと同じ取り組みを行い、できる限り拡大していくつもりです。事業環境の悪化に直面している重量物船事業については、抜本的な見直しを検討しています。オフショア支援船事業については、NOKの借り入れによる為替対策を含めた安定化に向けて取り組み中です。


A-2.中期経営計画の見直し 構造改革の実施と今後の事業規模・投資計画

  昨年来急速に進む事業環境の変化に対応し、効果的な構造改革の検討を進めてきました。2015年度には340億円、2016年度には約350億円、合計約690億円の実施を予定しています。2015年度はドライバルク中小型船及びケープの構造改革、2016年度にはドライバルクに加え、海外の関係会社の事業見直しに伴う構造改革を予定しています。構造改革による収支への改善効果は、2016年度に100億円、2017年度に135億円を見込みます。
  構造改革に伴い船隊整備計画も大きく変わります。2014年度の基幹船隊526隻を、2019年度に564隻に増やす計画でしたが、514隻と1割減、当初の計画から50隻減となります。50隻減のうちの43隻、大半がドライバルクです。ドライバルク全体では2014年度の218隻を239隻に増やす計画から2割減の196隻、当初の計画から43隻減となります。そのうちパナマックス以下の中小型船は2014年度の96隻を99隻に増やす計画から、3割減の70隻、当初計画から29隻、3分の1の船隊を削減し、エクスポージャーを減らし市況耐性強化のため、中期的には半減させていく計画です。ケープについては、中長期契約を抱える中、高コスト船の処分によるコスト競争力強化を図り、船隊の増強計画は一旦棚上げとします。コンテナ船については、1万4,000個10隻の竣工に伴い追加2隻の中小型船の処分を行う予定ですが、基本的なフリートプランに変更はありません。LNG船については、原油価格の急落、低迷によりプロジェクトの進捗に遅れが生じていますので、2019年度の目標は61隻から57隻へと変更します。2014年度の43隻から14隻の増加ですが、8隻分は既に確保しています。その多くは2020年度以降に竣工する船にて、2019年度までの収支影響は限定的です。自動車船については、予定どおり7,500台積み15隻投入による船隊整備、それから鉄道車両及び建機を初めとする非自走貨物の取り組みを着実に行っていきます。
  船隊整備計画の変更に伴い、投資計画も変わります。2015-2019年度の5カ年の投資キャッシュフロー総額は、見直し前の中期経営計画の3,300億円から2,300億円と、3分の1に相当する1,000億円の減少となります。安定収益体制の拡充への投資を1,700億から1,050億円、成長への戦略投資を1,200億円から950億円に縮小しました。見直し前の中計では、毎年の投資キャッシュフロー500億円をスタートとして、2017年度以降に800億円まで段階的にアクセルを踏む計画でしたが、事業を取り巻く環境、構造的変化を経験する中、当面500億円レベルで抑え、次のステップへ備えることとします。


A-3.中期経営計画見直し 2019年度に向けた業績とROE向上に向けた取り組み

  事業環境の変動に伴い、市況前提の見直しと構造改革の実施、ドライバルク及び関係会社の事業見直しによる経営資源配分の見直しを行いました。創立100周年の2019年度ROEは8%を目標とし、見直し前の目標ROE10%は2020年度以降へ後ろ倒しします。2019年度の目標は、売り上げ1兆2,000億円に対し経常利益が450億円、当期利益は330億円、ROE8%、自己資本は4,000億円、自己資本比率は40%には届きませんが36%とし、有利子負債は4,800億円、D/Eレシオは1.2倍弱となります。
  ROE10%に向けた取り組みとして、経常利益ベースのROA6%、税引き後のベースで4%強の達成を掲げ、ドライバルクの中小型船隊の削減、関係会社の事業見直しなどによる事業ポートフォリオの入れかえに取り組みます。構造改革、コスト削減などの収支改善を積み重ね、グループ全体での不要資産の圧縮などを進めることで効率化を図り、達成に努めたいと思います。財務レバレッジ2.5の前提となる、自己資本比率目標の40%は変更しません。海運事業は市況ボラタリティが高く、また、収入の大半を占めるドルなどの為替リスクを抱える中、自己資本を厚めに持つ必要があります。中長期の目標としては40%を維持し、絶対額としては5,000億円を目指したいと考えています。一時的に構造改革を進めることで自己資本比率は30%前後まで下がりますが、目標は変えません。
  配当については、安定配当方針は変えませんが、2016年度は現時点においては未定とさせていただきます。2015年度、2016年度と2年に跨る構造改革費用を計上した上で、まずは事業の競争力の確保、そして財務体質の強化を最優先事項として取り組みたいというものです。今後の事業環境の動向を見極めた上で、2017年度以降の安定配当への復帰を果たしたいと考えています。


B-1.決算概要

  2015年度の実績は、売り上げが1兆2,439億円、営業利益が94億円。経常利益は、4月に行った修正開示の10億円をやや上回る33億円の黒字となりました。当期純損失は、修正開示の500億円に対し515億円の損失。通期の平均為替レート120円78銭、燃料油価格は295ドルでした。前年度比、売り上げが1,085億円の減少、経常損益は456億円の悪化となりました。
セグメント別の主なものは、コンテナ船が100億円の赤字。不定期専用船が247億円の黒字。海洋資源開発及び重量物船で、為替評価差損20億円のマイナスを含めまして66億円の赤字となりました。
  構造改革、資産処分、為替変動による包括利益の変動などによって、自己資本は前期の4,415億円から3,554億円と861億円減少、自己資本比率は32%となりました。キャッシュフローは、営業キャッシュフローの+396億円に対し投資キャッシュフローが▲296億円にとどまり、フリー・キャッシュフローは+100億円の黒字となりました。特別損益の内訳は、構造改革費用が339億円、投資有価証券の評価損が84億円、有価証券及び固定資産などの売却による益が165億円、繰延税金資産の取り崩しが94億円となりました。配当は、中間配当2円50銭に加え、期末2円50銭を行う予定です。


B-2.通期実績 経常損益<2014年度比較>

  こちらの表は、前期比の経常損益の変動要因分析となります。11円59銭の円安、246ドル/メトリックトンの燃料油安によって507億円、コスト削減によって104億円改善しました。一方、コンテナ船、ドライバルクを中心とした市況の悪化で892億円の悪化、そのほぼ8割はコンテナ船、残りはドライバルクが中心となります。為替評価差損、それからバンカー先物等の精算損といった、一過性のもので175億円の悪化となりました。最終的にコンテナ船及びドライバルクの市況の悪化影響大きく、前期実績490億円から33億円へと456億円の悪化となりました。
  前期比の市況比較では、コンテナ船は、北米航路では運賃指数102から91へと11ポイント下落、欧州往航では73から47へと26ポイント下落し、係船分岐点を下回る急落となりました。ドライバルクは市況も低迷し、ケープでは4,450ドルの下落となる6,450ドル、パナマックスでも日当たり1,225ドル下落の5,100ドルとなり、今年前半には、歴史的な最安値まで落ち込んでおります。ただし、足下ケープは大きく値を上げており、日当たり8,000ドルぐらいに上昇しています。


B-3.通期実績 経常損益<期首公表比較>

  期首公表比の経常損益の変動要因分析をみますと、2円78銭の円安により17億円、55ドル燃料油安により86億円、合計103億円の改善効果はありましたが、期末に向けて円高に動いたことによる為替評価差損などの一過性要因による42億円の悪化及び収支改善策の未達による33億円程度の悪化でほぼ相殺となり、下期に向け大きく下落したコンテナ船及びドライバルクの395億円の市況悪化要因が、そのまま収支悪化。395億円のうち9割がコンテナ船、残りはドライバルクです。期首公表400億円から実績33億円へ367億円の悪化となりました。
  期首公表比市況前提比較では、コンテナ船、ドライバルクともに、特に下期に入ってからの市況低迷、運賃の下落がひどく、世界経済の低成長はしばらく続くと見込み、今回構造改革に踏み切ることとしました。期末時点の公表値から、コンテナ船は北米往航で7ポイント、欧州往航で17ポイントの下落、ドライバルクでは、期首想定比で日当たりケープで5,050ドル、パナマックスで2,900ドルの下落でした。


C-1.2016年度通期業績予想

  2016年度の通期予想の為替前提は110円、燃料油価格は275ドル、これはブレント原油価格で約50ドル相当の前提です。売り上げは1兆1,000億円、営業利益は170億円、経常利益は150億円。当期純利益につきましては、2015年度に続き2016年度も、ドライバルク及び関係会社の事業見直しを主とする、構造改革費用として350億円を計上した結果、350億円の赤字を見込んでいます。
  セグメント別では、コンテナ船が110億円の黒字、不定期専用船が90億円の黒字、海洋資源開発及び重量物船が20億円の赤字、為替変動1円増減で5億円、燃料油価格10ドル変動で6億円の収支変動影響がございます。配当については、先ほど来申し上げましたが未定とさせていただきます。2015年度、2016年度と2年に跨る構造改革費用を計上した上で、まずは事業の競争力を確保し、財務体質の強化を優先的に行いたいということです。事業環境の動向を見据えた上で、2017年以降の安定配当体制への復帰をぜひとも果たしたいと思います。


C-2.2016年度 通期業績予想<2015年度比較>

  次に2015年度、2016年度の構造改革費用についてご説明します。事業環境の急速な変化とドライバルク市況の長期的な低迷予想を受けて、2015年度下期から構造改革の検討を始め、2016年度にまたがる形で、ドライバルクに加えて関係会社の事業見直しを主とする構造改革を実施することを決めました。2年間に跨る費用は総額690億円、2015年度の構造改革費用340億円の内訳は、船舶減損、対象18隻で82億円。船舶の売却処分、対象7隻で53億円。定期傭船の早期解約、これは対象16隻で204億円と、全て合わせて41隻が対象となりました。2016年度の構造改革の350億円は、ドライバルクの売却処分及び定期傭船の早期解約、また、関係会社の事業見直しなどが対象です。2年に跨る構造改革による収支改善効果は、2016年度で100億円、2017年度で135億円。2016年度は、加えて188億円のコスト削減に取り組みます。コンテナ船は合計165億円の改善目標、そのおよそ半分がアライアンスベースでの寄港地整理、大型化の最適配分、南米東岸からの撤退、南北航路のさらなる合理化などによるもの。残りは、北米内陸費用の削減と、コスト削減運動の積み重ねです。不定期船における配船効率化による運航経費削減も、この中に含まれています。
  2016年度予算の2015年度実績との要因別比較では、為替変動その他による影響で83億円の悪化、燃料油価格変動による12億円の改善、構造改革による100億円の改善と188億円のコスト削減で合わせておよそ290億円の改善を図ります。
  市況変動影響については、ドライバルクはエクスポージャーとなる1年物のスポット貨物の成約の影響が前期から当期へずれてくるものがあります。前年度の市況の底値のときに更改した契約が、当期に出てきます。また、油槽船の市況軟化を予想していますが、合わせて150億円程度の悪化を見ております。ドライバルクのケースは、市況が急速に下落する局面では翌期に悪化の影響がずれ込むというものです。コンテナ船は、北米で2ポイント運賃下落の影響、欧州航路では11ポイントの改善。ネットでおよそ50億円の改善を見込んでいます。以上積み上げて、2016年度の経常損益は2015年度比で117億円改善の150億円の黒字を見込んでいます。


C-3-1.部門別業績動向  コンテナ船

  2015年度の状況を振り返ると、上期こそ北米の港湾ストに絡む運賃の高止まりで黒字を維持できたものの、下期に入り短期市況がほぼ全航路で急落という状況で、残念ながら第3四半期、さらに第4四半期も赤字となり、通期で100億円の赤字という結果となりました。2016年度の収支見通しは、経常利益で110億円の黒字としております。前期比210億円の改善ですけれども、大きくは165億円のコスト削減によります。そのうちおよそ半分は、1万4,000TEUの大型船が、前期から徐々に入ってきたものがフルに稼働してくる効果と不採算航路の撤退・縮小等含めた配船合理化、残りの半分は北米の内陸コストをはじめとした諸々の変動経費の削減で、これの確度についてはかなり高いものであり、今後さらにコスト削減については積み増す余地が十分にあると考えています。
  市況の前提は、2016年度北米の往航については、2015年度91ポイントに対して2ポイント減の89ポイントを、欧州航路の往航については、歴史的に低迷した昨年平均47に対して11ポイント改善の58を織り込んでいます。積高は、スペースでは、北米航路については昨年比約10%増、欧州については逆に10%減で、比較的まだ経済状況が好調な北米に厚めに船腹を投入していく方針です。積高前提の見方では消席率、どれだけ貨物がスペースに対して埋められるかという見通しでは、昨年度は北米航路で年平均89%、欧州では年平均82%でした。例年にない低迷といえますが、これは下期以降スポット市況が極端に崩壊したため、消席率が落ちることについてはやむを得ないという判断をしたことによります。本年度は運賃市況がそれなりに適正化され、例年並みの92%程度の消席率は確保する前提としています。


C-3-2.部門別業績動向  自動車船

  自動車船は、昨年度の輸送実績は通年で315万台、前年2014年度と比べると2万台減ではあるものの、概ね安定した輸送台数を確保しました。ただし、昨年度後半中東向け及び南米、アフリカ等資源国向けの完成車の出荷については、残念ながら足元減少傾向が見られます。これについては年後半に向かい、資源価格が回復してくることを想定しています。昨年度は、7,500台の新造船合計7隻がサービスに入ってきました。省エネタイプの船で、所期の経済的な効果を発揮しています。これらによる中型船から大型船への入れかえも計画どおり進んでおり、さらにこれらの新造船はハイスペック船ということで非自走貨物、建機や重量物も柔軟に運べる船体構造となっており、完成車以外の集荷も着実に伸ばしております。


C-3-3.部門別業績動向  ドライバルク

   ドライバルクについては、ケープ、それから電力炭、チップという比較的中長期の契約で安定利益を積み上げてきました。市況が追い風のときにはさらに利益を積み上げ、市況が悪いときでも安定利益を食い潰さないモデルを過去36年続けてきたわけですが、さすがに現市況の悪化が激しく、2015年度に関しましては、37年ぶりに残念ながら赤字に転落となりました。下の方に、2014年度及び2015年度の各船種と市況の実績、及び2016年度の前提となる市況前提を示しています。四半期ベースでは2015年度の第4四半期に一応市況はボトムアウトし、2016年度に徐々に回復を見込んでいます。ただし、ブレークイーブンまではまだ大きく及ばない見通しとしています。
  足元の需要を見ますと、中国の需給調整により、特に鋼材に関して昨年来減産が続き、在庫が減少しました。これに伴い需給が締まり、昨年11月のボトムから2月には8割ほど鋼材価格が上がり、鋼材生産、粗鋼生産を刺激、今年3月には単月で過去最高レベルの粗鋼生産、月間7,100万トンを記録しました。あわせて、鉄鉱石の輸入も増加しています。ただし、中長期的に見ますとこの高いレベルの粗鋼生産の持続性については確信を持てません。供給面では、スクラップについてはかなり高い水準だった去年に引き続き、1~4月のベースでケープは昨年比3割増、ハンディマックスも3割増となり、パナマックスも大体倍ぐらいのスクラップが売られているということです。また、新造船につきましても引き渡しの遅延、延期傾向が強く、発注残の6~7割しか引き渡されない状況が今年も続くと言われています。
  このような需給環境を背景に、BDIは2月20日に過去最低の290をつけた後上昇に転じ、足元では700前後、ケープをベースにするとインデックスで3,000ドルを切るレベルから、8,000ドルレベルまで回復しています。これは心理面で行き過ぎた市況の修正と一過性の理由に負う面が多く、2016年度については需給ギャップを解消するには至らず、低調な市況が継続すると予想しています。また、係船レベルを超える水準が続けば、停・係船も減少し、供給圧力になるでしょう。
  こうした環境下、ケープについては中長期契約を抱える中、高コスト船の処分によるコスト競争力の強化を図り、船隊増強計画については一旦棚上げとします。また、中・小型船隊についてはエクスポージャーを減らし、市況への耐性を強化、中期的には半減させる計画にて、今回まず29隻、約3分の1の船隊の処分を行います。
  また、2016年度期初時点の各船種のエクスポージャーは、ケープ15%、パナマックス22%、ハンディマックス50%、スモールハンディ45%と見ております。ケープにつきましては、例年7~10%ぐらいのエクスポージャーが比較的高くなっていますので、昨年度の低市況下で中長期の損を固めてしまう事を回避するため短期物の契約でしのいできたことによりいつもよりは高いレベルになっていますが、今後市況の回復とともに徐々に減らしていく予定です。


C-3-4.部門別業績動向  エネルギー資源輸送

  足元のスポットのLNG船市況は過去史上最低レベルに落ちていますが、当社のエネルギー資源輸送事業は中長期契約を前提とした安定収益確保に努めていますので、その影響はありません。LPGについても軟化していますけれども、これも中長期契約で固めています。また、LNGの新造案件については、受注成約は着実に進んでいるものの、原油価格の下落・低迷によりプロジェクトの立ち上げが遅れていますので、2019年度までの新中計の目標は若干減らして後ろ倒ししました。
  油槽船は、新造船の竣工が本年度後半からやや増えてきますので、やや弱含みに推移すると見ています。したがい、収益目標も2015年度には届かないレベルで予算を立てていますが、一方で軟化を見込む市況に対応して中期契約を固める施策をとっており、市況にさらされる隻数を3.5隻から1.5隻、約2割まで減少させました。中長期の契約の確保が大前提になりますけれども、VLCCについては船隊の拡充も検討しています。


C-3-5.部門別業績動向  海洋資源開発及び重量物船

  まずオフショア船に関してですが、ドリル船については長期契約のもと安定利益を享受しています。オフショア支援船の事業については、原油価格低迷の影響を受けて需要が縮小し、北海では小型船を中心に世の中のPSVの約3割、アンカーハンドラーの約4割が減船されている状態ですが、当社の場合は、高品質の船隊をベースに中長期契約の獲得を継続しております。一方で、外貨建て債務の評価損の縮小に向けた取り組み等を行っていきたいと考えています。
  重量物船については、プラント輸送の減少等で低調が続いており構造改革の検討対象としています。


D.ステークホールダーとの対話と協働<持続的成長と企業価値向上に向けて>

  今回の見直しでは、数値目標を一部見直しますが、コーポレートガバナンスの強化など他の基本となる部分は、何ら変更はありません。この4月から事業ユニット統括制の導入を進めるなど業務執行体制の強化を進めるとともに、指名・報酬諮問委員会の設置も行いました。また、独立社外取締役を現在の2名から3名へ変更します。全体の数は変わりませんので、社内6名、社外が3名、9名体制で社外が3分の1という体制となります。