A-1-①.第3四半期決算概要(全社)

2015年度第3四半期決算の結果は、売上高3,094億円、営業損益▲36億円、経常損益▲42億円、四半期純損益▲24億円となりました。9ヵ月累計実績の経常利益は117億円に留まり、前年度462億円の黒字に対し345億円悪化、そのうち100億円は為替評価差損、残りの250億円は主にコンテナ船及びドライバルクの市況の悪化によります。9カ月累計の営業利益が前年度比で251億円悪化に対し経常利益は345億円と、およそ100億円経常利益が悪化していますが、これは為替評価差損益によるものです。昨年度はドル円で円安が18円進行したため、70億円の為替評価差益を計上しました。今期はドル円では為替の変動がほとんどありませんでしたが、ノルウェーのオフショア支援船事業会社においてノルウェークローネ安による30億円の為替評価差損を計上、前年度の比較において100億円の悪化となりました。四半期純利益については、9カ月累計で93億円と、前年度比237億円の悪化です。
なお、第3四半期の平均為替レートは121円23銭、燃料価格はトン当たり271ドルとなりました。


A-1-②.第3四半期決算概要(セグメント別)

コンテナ船については、欧州・南北航路ほどではありませんが、年初の北米西岸港湾施設の混雑緩和後に運賃の下落が北米航路にも波及してきました。欧州航路の短期運賃市況が、第3四半期に係船点レベルを下回る中、経常利益は9カ月累計で224億円悪化の42億円の赤字となりました。不定期専用船は、64億円悪化の263億円の黒字となりました。そのうち約75億円は為替評価差益の剥落によるもので、為替評価前でドライバルクの悪化を油槽船の市況回復でオフセットしたものの、経常段階では前年同期比悪化という結果となりました。海洋資源開発及び重量物船は、原油を始めとする資源価格の下落を受け、市況が低迷しました。船舶を1隻の処分し、ローンの組みかえ等金利負担の低減に努めましたが、24億円悪化の65億円の赤字となりました。

A-2.第3四半期累計業績のポイント

約16円弱の円安及び263ドル/メトリックトンの燃料油価格安による効果は、合わせておよそ440億円のプラス要因です。一方、コンテナ船及びドライバルクを中心とした市況悪化によって670億円のマイナス要因。この内訳は、コンテナが80%程度、ドライバルクが15%程度です。プラスマイナス合わせて230億円の悪化となりました。その他悪化要因で主なものは、為替評価差損益約100億円に燃料油の先物清算損50億円弱なども含めて合計170億円。コスト削減を70億円程度実施しましたが、最終的には345億円の赤字となりました。


A-3-①.通期業績予想(全社)

第4四半期のコンテナ船は旧正月に向かい一時的な需要増に伴う若干の市況回復は織り込んでいるものの、ドライバルクにつきましては当初想定を下回った市況が継続する前提です。第4四半期の経常利益は、第3四半期の42億の赤字とほぼ変わらず、48億円の赤字を見込んでおり、通期では経常利益が70億円、純利益が50億円の黒字を予想しております。経常利益は前年度比420億円の悪化、純利益は前年度比218億円の悪化となります。第4四半期の為替前提は117円、燃料油の平均消費単価は240ドル。2月以降の補油価格は足元の150ドル前後で見ております。なお、原油価格下落に伴う収支変動はほぼありません。配当に関しましては期首に公表したとおり、通期で5円となる2円50銭の期末配当の予定に変わりはありません。


A-3-②.通期業績予想(セグメント別)

コンテナ船は、欧州及び南北航路を中心に運賃下落による影響が大きく、前年度比306億円悪化の100億円の赤字を見込みます。不定期専用船については、記録的なレベルで低迷するドライバルク市況の悪化を、市況が回復した油槽船がカバーするものの、為替評価差益剥落の影響が大きく、前年度比75億円悪化の290億円の黒字を見込みます。海洋資源開発及び重量物船は、資源安に伴う影響が大きく、ノルウェークローネ安による為替評価差損約30億を織り込み、18億円悪化の75億円の赤字を見込みます。


A-4.通期業績変動のポイント

通期の経常利益につきまして、前年度との要因別の比較は次のとおりです。11円弱の円安効果及び237ドル/メトリックトンの燃料油価格安による効果を合わせて、およそ500億円のプラス要因がある一方、コンテナ船、ドライバルクを中心とした運賃市況の悪化が大きく、910億円のマイナス要因。この内訳も、コンテナ船が80%程度、ドライバルクが15%程度となります。プラスマイナスあわせて約400億円の悪化となります。その他の悪化要因で主なものは、為替評価差損の計上で約70億円、燃料先物清算損等を含め、合計約110億円弱。コスト削減による収益改善要因が100億円程度ありましたが、最終的に420億円の悪化を見込んでいます。公表値との比較では、コンテナ船を中心とした運賃下落を主要因として130億円の悪化を見込んでいます。


A-5.コスト削減の進捗状況

期首目標の137億円に対して通期で99億円、達成率72%の見込みです。リーファーカーゴの増量をコンテナ船の収益改善策として見込んでいますが、増量はしたものの運賃下落によって目標未達となるものです。


B-1. コンテナ船

コンテナ船については、1万個型以上の新造船約62隻を含む8%程度の供給増に対して、需要が1%と伸び悩んだことにより需給ギャップが拡大しました。一方で、特に欧州航路につきましては、GDPのプラス成長にもかかわらず荷動きは前年度比4%のマイナスと後退したため、大型新造船の引き渡しを受けたアジア船社を中心に、運賃競争に拍車がかかりました。北米航路の荷量については、前年度比4%増となりました。今後のポイントは、東西航路、特に今年は前年度比▲4%成長であった欧州航路の需要の回復や、当期閑散期における需要に即した減便など、スペースを柔軟に需要に合わせて調整することで市況の回復を待つということになろうかと思います。
また、当社は14,000個型の5隻目が10月に就航しました。来期は5隻体制のメリットをフルに享受できる見込みです。さらに、CKYHEアライアンスの効果を最大化する配船繰り、バージョンアップしたイールドマネジメントシステム活用、空コンテナの持ち返り費用の削減などにより収支改善を図りたいと考えています。


B-2. ドライバルク

過剰投資、そして余剰施設の調整を進める中国発の資源需要減退の影響を大きく受け、鉄鉱石、石炭を初めとする素材原料の資源安が続いています。この影響を最も受けるドライバルクの市況においては、リーマンショック後のレベルをも下回る記録的なレベルに低迷しています。環境対応に伴う解撤(スクラップ)が進むことも予想されますが、供給圧力はいまだに高く、本格的な回復には今しばらく時間を要すると見ています。第4四半期の市況についても、船型にかかわらず日額約5,000ドル前後を前提としています。ケープ等の大型船や電力炭船などは一定の利益を確保していますが、エクスポージャーの大きい中小型船で苦戦を余儀なくされている状況です。


B-3. 自動車船

中国経済の減速によって欧州から中国向け、原油資源安に伴う景気の悪化によってアジアからロシア向け等の荷動きは減少していますが、2015年の自動車販売が米国は1,750万台、欧州が1,320万台と好調でした。それを背景に大西洋の域内、北米、中東向けなどが堅調に推移した結果9ヶ月累計ベースで全体では微減の242万台を輸送しました。今後は、最新鋭の7,500台省エネ対応船を最大限活用して、重建機、鉄道車両の取り組みを図り、収益のかさ上げを図っていきたいと考えています。


B-4.  LNG船・油槽船

LNG船は中長期契約が中心となるため市況の変動を受けず安定収益を確保しています。新規案件についても、資源安の影響から一部プロジェクトの進展に遅延が見られますが、積極的な取り組みを継続していくつもりです。油槽船については、VLCC及びLPG船はLNG船同様に中長期契約のもと安定収益を確保しています。市況連動契約をしている中型原油船(アフラマックス)及び一部のVLCCでは、回復した市況を享受し収支改善に寄与しました。


B-5.  海洋資源開発及び重量物船

ドリルシップについては安定的に稼働をしていますが、その他オフショア支援船、重量物船については原油価格低迷による新規海洋資源開発の停滞により、厳しい市況にさらされ苦戦をしています。