A-1-1 2014年度実績

2014年度は通期売上高1兆3,524億円、営業利益480億円、経常利益490億円、当期純利益268億円、
となりました、対前年同期比で増収増益です。
平均為替レートが109円19銭、燃料単価はトン当たり541ドルとなりました。

特記事項としては、前期比為替の影響で83億円、燃料油の影響で111億円の利益改善要因がありました。
キャッシュフローは営業キャッシュフロー1019億円から、投資キャッシュフロー112億円を差し引きし、
フリーキャッシュフローはプラス906億円となりました。

期末配当は3円50銭の増配の6円を予定しており、中間配当と合わせて年間配当は8円50銭となります。
前期比4円の増配、配当性向30%となります。

第4四半期の純利益が61億円の赤字となっている背景は、ドライバルクを中心に150億円を上回る
構造改革を実施し特別損失を計上した為です。

 

A-1-2 2014年度実績 事業別売上高・経常損益

セグメント別ではコンテナ船で206億、不定期専用船で365億の利益となりました。
特記事項としましては、海洋資源開発部門のオフショア支援船事業で
ノルウェークローネの借入金の評価損が57億円発生しており、
その結果の海洋資源開発部門はほぼ同額の赤字となりました。

 

A-2 通期実績のポイント

通期実績前年比165億円増益のポイントは以下となります。
為替と燃料油は、為替が前年比9.44円円安で83億円、
燃料油はトン当たり85ドル安で111億円の収支改善効果となりました。
一方、市況は不定期専用船が大きく悪化し、コンテナ船の堅調な運賃と荷動き改善を相殺し、前年比53億円の悪化。
コンテナ船をはじめとするコスト削減で155億円の改善効果がありましたが、
燃料油スワップ精算損、前年比為替評価差益の減、等その他131億を差し引いて、
2014年度は前年比165億円の増益となりました。

 

A-3 前中期経営計画との比較

前中計「Bridge to the Future」の2012年から2014年度の主要財務数値を総括します。
2014年度の自己資本比率は36.1%、DERも122%と、目標を上回って財務体質の強化を実現しました。
投資キャッシュフローは、西岸のターミナル子会社ITSの株の一部を売却した効果もあって、
各年目標の500億円を大幅に下回り、3カ年累計のフリーキャッシュフローは2,063億円を創出、
財務体質の改善に貢献しました。

 

B-1 2015年度通期業績予想

2015年度の業績予想は、円安による増収効果もあり売上高は1兆4600億円を予想していますが、
営業利益は50億円減益の430億円、経常利益は90億円減益の400億円を見込んでいます。
為替前提は118円、燃料油はトン当たり350ドルです。

コンテナ船が86億円の減益の経常利益120億円、
不定期専用船で45億円減益の320億円、
海洋資源開発・重量物船ではノルウェークローネの為替評価差損の減少により57億円の改善、
全体で90億円の経常利益の減益を見込んでいます。

配当は、新中期経営計画の安定配当方針を適用し、年5円、中間2円50銭を予定しています。
なお、当期純利益230億円は、ROEベースで5.1%相当となります。

 

B-2 通期業績予想のポイント

次に業績のポイントを説明します。

為替、燃料油変動で、それぞれ75億円と345億円合計420億円程度の改善を見込みますが、
他方コンテナ船とドライバルクの市況悪化により、それを上回る450億円の悪化を見込んでいます。
コンテナ船を主として14000TEUの投入による合理化効果等コスト削減努力を続けていきますが、
資産売却益の減少や、北米西岸の港湾労働者の賃金、鉄道料金等の値上げ増もあり、
最終的には全体で90億円の減益を見込んでいます。

 

B-3 コスト削減

2014年度のコスト削減は期首の131億円の目標に対し、24億上積みの155億円を達成しました。
2015年度は、14000個型大型コンテナ船投入による配船合理化による費用削減、
更にリーファーカーゴ増量による収益改善等で114億円のコスト削減・収益改善を見込んでいます。
その他、不定期専用船の23億円を加えて、全体で137億円のコスト削減を見込んでいます。

 

C-1 コンテナ船

2015年度のコンテナ船は、各社の大型新造船の投入により、特に欧州航路で厳しい需給状況が予想され、
更に北米西岸港湾労働者賃金、北米内陸輸送鉄道費用やトラック費用のコスト増等もあり、
前年比86億円減益の経常利益120億円を予想しています。

 

C-2 ドライバルク

ドライバルクは、全船型とも船腹の余剰感が強く市況は低迷している状況です。
スクラップ増加、バラスト水新ルールに適用できない船の退役による市況環境改善も予想されますが、
今の低迷状況は2年間程度続き、大量の竣工が落ちつく2017年以降になって漸く市況が回復すると予想しています。
今はフリー船を減らし、運航コストを削減する等、収益の構造改善に努めることでこの低迷期を乗り切りたいと考えています。

 

C-3 自動車船

自動車船については、資源国、新興国の不透明感はありますが、
全トレードで見た完成車輸送の台数そのものは堅調に推移すると見込んでいます。
地域的に見れば欧米発極東向け、大西洋域内、タイからの輸出は堅調な一方、日本からの輸出は漸減傾向という状況です。
このようなトレードパターンの変化に対応することで、日々の運航効率を高める努力を継続する一方、
更に7月に第1船が出てくる7500台積み最新省エネ大型船による、High & Heavy貨、非自走貨物の増量に取組み
貨物の種類の多様性を追求することで安定的かつ強固な事業基盤を構築していくつもりです。

 

C-4 LNG船、油槽船

LNG船は新中期経営計画のなかで中長期契約の安定収益を積み上げる戦略的投資対象と位置付けています。
油槽船事業は昨年度後半から市況が好転しました。
当社のはVLCC、LPG船は、共に日系の荷主中心の中長期契約のもと安定的な収益を見込んでいます。
また、中型船のアフラマックスも、新造船の圧力が弱まってきていることから、市況は安定的に推移すると見ています。

 

C-5 海洋資源開発及び重量物船

オフショア支援船、重量物船とも、原油価格の低迷によるプロジェクトの遅延等の懸念があります。
重量物船に関しては収益性の高いプロジェクトカーゴの獲得をターゲットとしていますが、
目先大きな変化は見えていません。
オフショア支援船も市況環境が非常に厳しい中、中長期の契約を今後どのように取り込んでいけるかが課題です。
ドリルシップは小額ですが安定的な収益が見込まれます。