皆様本日はお忙しいところ、決算説明会にお集まり戴きまして誠に有難うございます。

 

海運界そのものは、引き続き、ファンダメンタルズが改善しているとは言えない状況ではありますが、
ご承知の様に、「アベノミクス」効果ということで、 為替が相当に円高から修正されているということ、
それから株式市場が非常に活況でありまして、この二つがですね、
我々の業績をある程度下支えしてくれている、ということがまずあります。
そういった中で、第3四半期の決算と今年の通期の見通しを資料に基づいて 順を追って説明させて戴きます。

 


A-1. 第3四半期決算概要

それでは、 最初に第3四半期決算概要でございます。

 

第3四半期はですね、
売上高が 2,562億円。
営業損益は 残念ながらマイナスの15億円となりましたが、経常損益プラスの15億円。
当期純損益ではプラスの105億円を計上することができまして、
9ヶ月累計は
売上高が 8,024億円
営業利益は  106億円
経常利益も  106億円
当期純損益は、 94億円ということでございます

 

第3四半期の為替レートについては、ここに書いてあります様に、
平均のレート79円79銭で、年末にうんと円安になりましたが、
その分は第3四半期実績には殆ど反映されておりません。
しかし 期末のレートで 評価益等がありまして、
第3四半期だけの主な営業外での為替差益は、40億円を含んでいます。 
従いまして
その営業利益マイナス15から経常利益プラス15に、この数字の変遷の中に、
為替差益というのは40億円含んでいるということをご報告申し上げておきます。

 

その他に主な営業外、特利・特損で言うと投資有価証券の評価損の戻し入れですね。
これはもう新聞発表しましたけれども、143億円ありました。
それから、売船利益等も、売船益はこの第3四半期だけは7億円ですが、
そういうものも含んでおります。

 

この下がセグメント別の第3四半期及び9ヶ月の累計。
コンテナ船ですが、第3四半期は、売上げ1,228の経常利益はマイナス9と。
コンテナ船はコンテナ船事業のほかに、港湾事業と物流を含んでおります。その合計がマイナス9億円。
不定期専用船は1,171億円売上げ、経常利益が14。以下こういうことですが、
冒頭申し上げた海運のファンダメンタルズ、市況については依然厳しい状況であるという中にも、
第3四半期もそれなりに、健闘したと言ったらおかしいですけれど、
そこそこの数字があげられたのは、一重に合理化、構造改革を進めて来たということだと私は思っております。

 


A-2. 第3四半期累計実績のポイント
第3四半期累計実績のポイントということですが、
この比較の対象が前年同期比、もう最悪の悪すぎた前年同期比なので、
それと比較してもあまり意味が無いかなと思いますけれど
敢えて前年同期比で言えば、696億円増収、増益が512億円ということですが、
為替・バンカー等は殆ど変動が無いので、つまるところ、
市況、それから営業規模、それからコストを削減したと、この3つのところだと思いますが、
市況変動という部分で括りますと、前年同期では143億円の増益効果があった。
一番大きいところは、やはりコンテナ船の運賃修復の効果が非常に大きかった。
一方でドライ・バルクは前年同期だと悪化していますので、このコンテナ船の運賃の修復が、
これに書いてある数字より遥かに大きいということです。
それから、営業規模は自動車船が、前年はタイの洪水がありまして出荷が減ったということもあって、
2012年度は非常に順調な出荷がありました。
それからコンテナ船もそこそこ積高を増やしましたということで
積高増で106億円の増収効果があった。
それからコスト削減、コンテナ船等での合理化効果、不採算航路からの撤退ですとか
一番大きいのは燃料費、バンカー・オイルの削減、スロー・スティーミング、効率配船による燃料費の削減と
いうことで190億円前年と比べて改善したということでございます。

 


では次に、最も注目されるところの通期業績予想に移ります。
A-3.通期業績予想
2012年度 第4四半期はですね、 関係会社、海外の連結子会社の12月決算期のもの、
これを3月に決算期を合わせるということで、若干その分が嵩上げされておりますが、それを含んで、
第4四半期の売上高は3,276億円、営業利益はプラスの4、経常利益プラスの54、
当期純利益プラス6を見込んでおります。

 

前提の為替レートは85円53銭。
燃料油は640ドル/メトリック・トンということです。
この85円53銭という為替レートの前提が適正かどうかは社内でも随分議論しましたが、
ややコンサバティブに見ておくというところで今回の予想は発表させて戴いております。

 

セグメント別はこの下の方にありますが、 
コンテナ船は それぞれの事業を含んで、経常利益はほぼとんとん、プラス1億円。
不定期専用船はプラス66億円、海洋資源開発及び重量物はマイナスの4。
その他と調整をひっくるめて合計 経常利益 第4四半期はプラス54億円を見込んでおります。

 

この第4四半期につきましても、
為替がさっき申し上げた前提のレートで、為替益というものがかなりあり、
全体で60億円為替の押し上げ効果を見込んだ数字です。
ただ どちらかと言えば今のトレンドで言うと、85円よりは更に円安に振れるのではないかと
私自身は思っており、そういう意味では最終的にもう少し経常利益は、増える可能性はございます。

 

下期の概況で簡単にそれぞれのメインの事業セクターのところを申しておきますと、
コンテナ船につきましては、東西航路は北米欧州とも運賃は若干軟化傾向。

積高についても欧州は、なかなか積高は想定通りには行かないということを前提に通期予想を出しております。
ドライ・バルクについては、後程 詳しく説明しますけれど、市況低迷は
長期化するという前提で、予想をたてておりますが、事前に船腹の削減等を進めているので
あまり市況が低迷することによる業績へのインパクトというのは 
この第4四半期についてはもうあまり考える必要は無い、殆ど無いということです。

 

あとは自動車については、これも想定より若干積高は下回ると、当初の想定より
若干下回るという前提で予想しております。
為替は円安で、本当ならもっと日本からの輸出等が増えても良いんじゃないかという期待もあったんですが、
各メーカーさんそれぞれもう3月一杯の計画はもう作られているということで、
それを超えて輸出ドライブをかけるという様なことは、どうやら無さそうです。
積高は当初の想定より下回りますが、収益については、ほぼ想定した範囲内でこの下期は推移するというのが
全体の予想であります。

 


A-4. 通期業績予想のポイント

次は、スライドのA-4 通期業績のポイントと言いましたが、もう今さっき申し上げたところが、
これが 数字になってこういう風に纏まっているとご理解下さい。

 


A-5.コスト削減の進捗状況
次にA―5、コスト削減の進捗状況、 これはですね、
期首に設定致しました今年度のコスト削減は280億円でやりましたが、
第3四半期迄に既に85%進捗しています、ということです。
最新の見込みでは、期首公表した280億円に更に40億円上積みして、320億円コスト削減するという
目標をたてて、3月までやって行きたいという風に思っております。


B. 部門別業績動向
ちょっと駆け足になりましたが、それでは部門別の業績部門別の業績動向を、 
私からそれぞれ簡単に説明させて戴きます。

 


B-1. 部門別業績動向 - コンテナ船 -
コンテナ船の業績動向は、欧州航路を中心とした 運賃修復、
対前年比で言えば、もう明らかに運賃は相当程度修復されていますが、
やはり荷動きがどうしても 緩慢というか、前年比で割り込んでいるという状態ですので
一旦上げた運賃もまたすぐに下がるという様なこともあって
運賃上げ下げは繰り返しておりますが、
2011年の様に一方的に下げ続けるという様なことはもう全くございません。
一旦下げたらまた上げるという、また下げるまた上げる、この繰り返しが2012年の特徴であります。

 

 

それから我が社については、大型船投入、減速航行等による構造改革の成果ということで
収益性が高まったということをご報告させて戴きたいと思います。
大型船というのはしかし 欧州航路に投入した8600個型のことで
1万4000個型のことではありません。
この8600型を投入することによって、やはり相当に運航コストが、削減することができたという
これは一つ今回手応えを掴んだということです。

 

それから減速航行についても社内で徹底的に、研究を進めまして、
落とせるものは最大限落とすという方針で臨みまして、これはかなり効果を発揮致しました。
コンテナ船だけで言うと、前の年と比べますと同量の貨物を輸送するのに使った燃料が、
年間で20万トン削減できております。
20万トンといえば単価660ドルで1億3000万ドル。 円価で約100億円くらいに相当するわけで
この燃料削減効果というのは非常に大きな意味があると思います。


 
運賃推移はここに書いてあります様に2012年は一番上の北米往航、第1四半期100、第2四半期105、
第3四半期101。
その下が欧州の往航ですが同様に97、88、第3四半期73。これは実績であります。
ここまで下がったわけですが、収支的には先ほど申し上げた様に、思ったほど悪い数字にはならなかった
と思います。

 


B-2. 部門別業績動向 – 不定期専用船 -ドライバルク

次に、不定期専用船の中のドライバルクですが、これはもうご承知の様に、ケープサイズを始め、
パナマックス、だけではなく全船型に言えることですが、 
大量に新造船が2012年投入されたと。供給圧力が余りにも大きくて市況が低迷しております、と
もうこの一言であります。
2012年の市況、それぞれ書いてありますが第3四半期の実績もケープは上がると見たのですが、
12,600ドルで終わってしまった。 、
パナマックスにいたっては6,600
ハンディ7,600、スモール6,500と
全くこれではスポットでは採算にならないというレベルですね。
第4四半期は予想ですが、それぞれ10、000、8,000、6,500、7,000ということで
予想をたてておりますが、 先ほど申し上げました様に、第4四半期といえば、
もう1月も終わって2月3月残すところだけで、ほぼ フリー船というのは無いと
もうほぼ商売も決めているということもあって、この予想ではありますが、 
このマーケットがこれから上がろうが下がろうが最終的にあまり収支には影響は無いということです。

 

因みに前期の決算発表会の時に弊社のバルクは上期は黒字でした、と申し上げました。
で下期は多分赤字でしょうと、場合によっては上期の黒字を喰って
通期で赤字になるかもしれませんと申し上げましたが、
これは、そういう事態は免れます。下期も黒字をあげることができまして、
1979年以来の黒字、連続の黒字というのは今年も確定ということであります。

 


B-3. 部門別業績動向 – 不定期専用船 - 自動車船

それから自動車船は、3四半期累計輸送台数258万6000台、
対前年同期比で6%増ということであります。 去年は タイの洪水等 色々ありましたが、
今年は輸送台数については順調でしたということです。
ただ 方面別は欧州向けはやはり厳しい。中東あたりは  比較的堅調ということです。
第4四半期に関しては、先ほど申し上げた様に
円安効果でもっと輸送台数は増えるかという期待もあったのですが、これは
どうやらそういうことにはならない、ということですね。 
しかし円安効果、来年度以降については必ず出て来るのではないかという風に思っております。

 


B-4. 部門別業績動向 – 不定期専用船 - LNG船・油槽船

次、 B-4のスライドは、 LNGと油槽船ですが、もう 、LNGについては
中長期契約を中心に安定収益を確保と書いてございますが、漸く弊社のLNG部隊も黒字に転じて、
安定的な軌道に入ったということで、今後は新規のプロジェクトに参画して行くと、
新しい契約を取ることに注力して行くということです。

 

油層船、VLCC、アフラマックス、ケミカル等については、 
前回もレポートしたと思いますが、市場環境が改善するのはかなり先だという認識でありまして、
2011年に弊社はこの部分の船腹削減を実施致しまして、その効果で、上期は赤字だったのですが、
非常に限定的な赤字。 
この第3四半期は、ぼちぼちかな。 いずれにしても 全体に与える影響は殆どありません。
で、第4四半期については、ワールドスケール50、アフラマックス90という市況予測をたてておりますが、
残念ながら市況はやっぱりこれよりは下回っているなというところで、我々がとった施策については、 
良かったのだろうな、という風に考えております。

 


B-5. 部門別業績動向 – 海洋資源開発及び重量物船 -

それから、最後に 海洋資源開発及び重量物ということですが、海洋資源開発、つまりオフショア支援船と
ドリルシップについては、波はありますけれど、 比較的順調です。
一方、重量物船は、非常にこの分野もコンペティションがきつくなって来て、
残念ながら、赤字がですね、止まりません。
むしろ若干拡大する傾向にあるので、この重量物船事業を今後どうするかということは 
経営課題の1つになっております。

 

あと 最後に、キャッシュ・フローのところをご説明させて戴きますが、
第3四半期決算短信で12ページ、13ページ。
営業活動によるキャッシュ・フロー、4月以降の累計で340億円プラス。
投資活動によるキャッシュ・フロー、マイナス423億とこうなっていますが、実はこの
投資活動の中に有価証券取得という、どちらかと言えば現金および現金同等物に相当するものも入ってまして、
正味の実際の船舶設備等の投資活動によるキャッシュ・フローは、これより遥かに小さい数字です。
従いまして、フリー・キャッシュ・フロー、第3四半期までのフリー・キャッシュ・フローは
実質上はプラスです。
そしてこの表に、このページに書いてあります、13ページ。
現金、及び現金同等物の四半期末残高が1,189億円ということですが、先ほど申し上げた、
有価証券等ちょっと買っておりまして。
それが225億円ですが、それを加えますと、1414億円というのが現在の
現金及び現金同等物相当の四半期残高です。
ということで、流動性に関しては全く問題無い。充分すぎるほどということです。

 

あとは 財務指標等について、若干、資料はありませんけれど
先ほど申し上げました第4四半期の予想に基づいて、第4四半期が予想通りに行くという前提で
自己資本は中間期2,621億円、これが3月末2,995億円に増える予定です。
有利子負債は中間期末が6,048億円ありましたが、これが5,725億円に減るということです。
自己資本比率 同じく9月末23.7%でしたが、3月末は予定では27%です。 

 

Bridge to the Futureと銘打った中期経営計画の初年度は、今の数字が、自己資本2600億円、有利子負債
5800億円に、自己資本比率23%という目標でしたので、
この目標については問題なくクリアできるという風に見ております。

 

以上説明申し上げました。