それではご説明に入ります。

 

A-1-1. 決算概要

2009年度の決算概要、表ではA-1-1になりますが、既に前回、第3四半期に発表しておりましたマイナス700億円の当期純損益の発表から3月に最後の駆け込みの増収もございまして、今回の決算はマイナス687億円の当期純損益という形で、少し改善することで迎えることができました。
これは、コンテナ船の賃収アップが最後に反映されたこととドライバルクのマーケットが反映されたという2つの要因の結果でございまして、その他特に大きな要因はございません。

 

A-1-2. 決算概要(事業別売上高・経常利益)

次にA-1-2ですが、第4四半期、コンテナ船の改善幅の拡大、及び「その他海運」の黒字化というところですが、皆様ご注目のコンテナ船のところにつきましては、残念ながら構造改革費も計上しましたことから、2009年度の通期においては上から2番目のマイナス670億という赤字の決算をコンテナ船としては迎えざるを得なかった状態でございます。
「その他海運」につきましてはコンテナ船部門以外を全て纏めまして、29億円の赤字決算となっております。従いましてトータルで663億円の赤字の決算になっております。

 

第2四半期ではもう既にご報告の通り、構造改革対策費用の一部で52億円を計上しておりますが、それ以上については後ほど、構造改革費のところでご説明を申し上げたいと思っております。

 

A-2. 通期実績のポイント

続きまして通期実績のポイントですが、前回公表比との比較におきましては増収で80億円、増益で47億円でございますが、上から3番目の市況変動46億円、コンテナ船の北米・欧州、南北航路での運賃修復の部分が殆どでございます。これが最後に第4四半期で私どもの収益に貢献をしたということです。

 

非常に簡単でございますが、次に、今年度の事業予測の方に向かいたいと思っております。

 

B-1. 業績予想

業績予想でございますが、残念ながら売上高につきましては、1兆円という予算をたてるところまで回復、強気では見ることができませんでした。通期予想につきましては9,500億円、営業利益320億円、経常利益は前回発表の時には非常に抽象的に3桁の黒字の確保を目指したい、という風に私の社長就任の挨拶も兼ねて前回ここでご説明しておりますが、ドライバルク及びコンテナ船の運賃修復と、特に合理化効果、及び、前期に実施いたしました構造改革費の効果もありまして、260億円と大幅な経常利益の改善を目標とすることを今日発表できる状況になっております。

 

従いまして、当期純利益を180億円と見ることになりまして、最終のページの方に行きます。

 

C-2. 配当政策

配当性向につきましては従来から株主様にお約束しております24%という数字を今期から復配実施という形でコミットをしたい。こういう風に思います。
中間配当につきましては、今回24%の配当性向を前提に2.5円という数字の発表になりました。

 

実は金額を今日は発表しないで、もう少し中間決算を見た上で金額については後ほど発表させて頂きたい、という選択肢もありましたが、やはり永い間株主様にご迷惑をおかけしたということと、私自身の強い決意で、本当にこの数字を確約したいという風に思った次第で、私自身、或いは経営陣の課題ということも含めて、今回数字を発表するということに到りました。

 

B-2. 通期業績予想のポイント

つきましてはその中の通期業績予想ポイントですが、B-2に出ておると思いますが、この中で、為替変動、バンカー変動のところはもう既に何回もご説明しておりますので、この市況変動要因の700億円、コンテナ船の運賃修復と、油槽船の市況の上向きで700億円の改善を見込んでおります。
特にこの700億については、今の時点ではこの数字でこういう形だという風にご報告することで、次へ進みたいと思います。及びコスト変動220億円につきましても後ほど詳細のご説明をしたいと思います。

 

B-3-1 (1). 部門別業績動向 コンテナ船

続いて部門別コンテナ船のB-3-1でございますが、ここでのポイントは、表が少し細くなっておりますが、一番右の、89、97という右端の数字のご説明をしたいと思います。
これは運賃の推移を、08年度の第1四半期を運賃指標100と致しまして、今年の運賃のレベルをどの程度で予想したのかということをご説明したつもりでございます。
非常に強気で、上げ底をして260億円の益を確保しているのではないか、或いは今後落ちて行くかもしれないのをどういう風に見ているんだ、という質問の一部先取りのご説明という風にご理解下さい。

 

先程申し上げましたように、2008年の第1四半期を100と致しまして、北米航路の往航を本年度の予想としては89と見ております。従って、まだ2008年度の運賃レベルまで十分に改善していない、まだ1割程度の落ちを見込んだ前提で運賃水準が推移するであろうという見方をしております。
釈迦に説法かと思いますが、運賃水準そのものでございますので、これはコストを含んでのものではございません。
北米航路は、まだ10%強の運賃水準の低下が見られたまま推移するであろうという慎重な見方をしておりますが、欧州航路においてはほぼ2008年度の第1四半期並みの運賃水準が今日現在確保されておりますが、今後一部アップ・アンド・ダウンがあると思います。
と言いますのは、前回にもご説明しておりますように、やはりまだ全世界で5000隻に上るコンテナ船の、ざくっと見積もって1割はまだ係船をしておりますし、8000個積み以上のコンテナ船がさらに本年度も新造されるという事実は残念ながら否定できない。そういう意味では、大型船が就航して来るであろう欧州航路は、運賃交渉が一般的に1年に1回の年間契約である北米に比べて、良くも悪しくもの影響がございますが、やはりまだ欧州航路においては四半期毎の交渉が比較的多く残しておる。繁忙期と閑散期を迎えることは事実ですので、それを背景にどこまで運賃を維持できるかと、或いは燃料油の上がった部分をさらに繁忙期割増し運賃等で、繁忙期が来た時には運賃を回復し、閑散期を迎えることができるのかというアップ・アンド・ダウンはございますが、通期でほぼ、今現在手に入れておる運賃水準が推移すれば、先程申し上げたようなコンテナ船の黒字化というものが見通せるような予算の見通しを立てています。そういう意味でこの表をご覧いただければ少しおわかりいただけるかと思います。

 

B-3-1 (2). 部門別業績動向 コンテナ船

続きまして前回もご説明申し上げましたこの棒グラフを改めてもう一度出して参りましたが、これはですね、注にございますコンテナ船の事業構造改革費用、2009年度については当初500億円の構造改革費用という形でご案内申し上げておりましたが、最終的に443億円を計上することになりました。
これは若干最後に、前回、第3四半期のご説明をした時より、14-15億円増えておるかと思いますが、幸い、特にドイツ船主との返船を早めることができ、違約金を増すことで決着がついた。そういう部分でひょっとしたら今期にずれこむかもしれない交渉が、前期中に終えたことでたまたまこの数字が増えたということで、内容的には変わっておりません。
そういう説明で新造船については私どもはコンテナ船について基本的に新規投資はフリーズするという姿勢は変えておりませんが、船種の一部変更と、既存船については傭船解約をして関係会社の会社を売却し、固定資産を、これは例えばターミナル等の減損を行うことによって、443億円の構造改革費を昨年度もう既に計上しております、というご報告でございます。
これを前提に本年度はコンテナ船の黒字化50億円を予算に見ております。

 

B-3-2. 部門別業績動向 ドライバルク

続きまして、ドライバルク部門の収支予想でございますが、私どもの予算の前提は、一番表の右端、ケープ・サイズは35,000ドルのマーケット、パナマックス20,000ドル、ハンディ18,000ドルで推移するという風に見ております。

 

比較的私どもとしては堅調に見ているのかな、と思っております。
ただ、若干ご質問を先取りすれば、私どものケープが74隻の運航規模でございますので、その中で、フリー比率が今日現在は10%を切った形で運航しておりますし、若干反省をこめて、羹に懲りて膾を吹きすぎておるということも覚悟で、殆ど今年度は契約を決めておりますので、実はケープとパナマックスについてはフリー船比率が比較的少のうございますので、マーケットの変動による収支への影響は軽微だと思います。
逆に申し上げれば、ハンディ型の部分については、フリーが約5割強、今日現在ございますので、ここのハンディのマーケットが上振れすれば、私どもとしてはバルクの業績の上振れを期待したいところだと、こういう風に思っております。
また私自身としてはね、「残念ながら」という表現を敢えて使わせて頂きますが、あまり中長期の契約が決まってしまうということは、ある程度安定収益が確保できるという意味では、投資家の皆様、或いは株主の皆様にご説明はし易いのですが、海運会社としての若手の育成という意味では、その辺が、あまりマーケットにビシビシと反応する社員が育たない、ということも懸念いたしまして、4月1日付で、私どもの社内の、一部組織変更もして、けっしてパナマックスをやっている人間はパナマックスだけをやるのではなくて、ケープとか、ハンディとも、横を見ながら、マーケットに敏感に反応する社員も育てて行くという組織にしておりまして、長期的にはやはり、敢えて批判はされても、もう少しフリー船のマーケットを増やして、本質的には船会社というのはどこかベンチャー企業だと私は思っておりますので、バルクにおいてもその精神は失うことも無いような船隊構成と契約を中期に渡っては模索して行きたい、と思います。
もう少しフリー船の比率を中長期に渡っては増やして行きたいという風に思っておることを付言しておきます。

 

B-3-3. 部門別業績動向
自動車船

次に自動車船、B-3のところでございます。
自動車船につきましては、大変 先行きが不透明という風に言わざるを得ない、と思っております。
従いまして採算的にはかなり慎重に見ておりますが 結論から申し上げますと、各メーカーさんの6月くらいの、販売台数、輸出台数の計画を見させて頂いた上で それに合わせた採算を、また本年後半にどういう形で見直すかというのが正直なところでございます。
台数的に今申し上げられるのは2008年に輸送台数としては310万台を輸送しております。2007年がピークで、2010年度については260万台の輸送をするということにつきまして私自身大変確信を持っております。
ただ、この内容的には、例えば自動車メーカーさんが色々なショックから現地生産を増やされる。それで例えば、インドだとか中国、中国からの輸出は少し先だと思いますが、インド゛からの輸出だとか、北米から中国向けの輸出だとか、アフリカから出す、或いはタイからオートラリアへ持って行くという非常に複雑な動きをされ、それに柔軟な対応をする形で、台数的にはこういう台数を確保するということについては間違い無い。そういう船隊を当社としても維持して行く、ということについては間違いございません。

 

B-3-4. 部門別業績動向
-エネルギー資源輸送-

営業部門的なところで最後になりますが、エネルギー資源輸送に関しましては、VLCCについては比較的堅調に推移しておりますし、推移して行くであろうと思います。

 

当社はご承知の様に、9隻“しか”と言った方が良いかと思いますが、9隻しかVLCCを現在、運航しておりません。ただ、3月末から、当社、VLCCの1隻をフリーの運航をしてマーケットに晒してみて、私どもとしてどこまでこれが競争に耐えられるかという試練をやろう、とやっております。
幸い足元のマーケットがコストを上回る形で行っておりますので、これに期待するとしても、収益そのものの数字としては長期安定になっておりますので、VLCCのマーケットは様子を見て、WS(ワールド・スケール)80ぐらいで移行するのではないかと見ております。

 

一方、アフラは、関連会社、連結決算的にシンガポールのKLPLというのがアフラの運航に専念しておりますが、ここのマーケットが大変落ち込んでおるということが懸念されておりまして、この辺の見通しが大変不透明だという言い方を正直に申し上げざるを得えない。又、本年度中に、原油用のアフラマックス・タンカーのマーケットが回復するかどうかについては極めて私どもとしては懐疑的に見ざる得ない、という立場を持っております。

 

その他、クリーン船その他につきましては、ここにご案内の通り150くらいの、あまり良くないマーケットで推移するのではないか、という風に見ておりますが、私どもの運航規模的には、あまりここは、収支そのものには影響が軽微だという形でご案内しておきたいと思います。

 

B-3-5. 部門別業績動向

重量物事業については現在私どもSAL(エス・エー・エル)という会社とジョイント・ベンチャーを立ちあげてから比較的順調に来て参りましたが、2009年度もなんとか日本出しも最後に残っておったプロジェクトを積極的に、その前の年から展開していたことで、収支トントンくらいで推移ができたのですが、残念ながら今年については、このリーマンショックの時差が一番効いて来て、プロジェクトが全て昨年、一昨年とフリーズした年を運航船社としては受けざるを得ないということで二桁くらいの赤字は覚悟せざるを得ないと思っております。 が、すでにもう来年度の早々の商談が始まっておりますので、来期についてはまた一転してここのところについては当社の下支えをする基本的には黒字基調の重量物船だという風に捉えておりますので、ご心配頂くことは無いと思っております。
その他物流港運・内航フェリーについては特記してご案内申し上げるところは今日のところではございません。

 

C-1. 財務指標

財務指標、既に先ほどご案内申し上げましたが、本年度につきましては先のKV2010では売上高を一兆円という風に見ておりましたが、残念ながら一兆円という数字に売上高は届かないのではないかと思います。
しかしながら、矛盾する様ですが、逆に経常利益が110億円程度と言う風に見ておりました。
この前提は先にもご案内申し上げましたが、特にコンテナ船がこの前提では200億円くらいの赤字がまだ残るであろうと見ておったところの急速な改善がありましたので、売上高が伸びない割には実質的な経常利益が改善されて260億円を目標として掲げることができ、その結果当期利益を180億円とすれば、下の方に飛びますけれども自己資本比率も29%になり、配当性向24%ということを株主様及び皆様方にコミットする、という形で本日の本年度の収支予想ができることになりました。

 

大変かけ足でございますけれども、まず私の方のご説明を終わりたいと思います。

 

ありがとうございました。

以 上