本日は川崎汽船の2009年度第1四半期の決算説明会にご出席頂きまして誠に有難うございます。

 

A-1. 決算概要

まず最初に、2009年の第1四半期の実績については、誠に厳しい数字となりました。
元々2009年度の見込みについては第1四半期, 4−6月期が1番厳しいであろう、こういう風に見ていました。
昨年の第4四半期、1−3月期から、極めて厳しい数字を示したわけですが、やはり今期の第1四半期が色々な
意味で一番厳しいのだろうなと思っていたところ、そのような数字となっております。
数字についてこのパワーポイントにあるように、売上高については前年同期に比べて45%のマイナス、2000億
を切ることになりました。経常利益についてはマイナス227億、当期純利益はマイナス149億という極めて厳し
い数字となっております。

 

売上高が45%も減ったということですが、コンテナ船の運賃が下落したこともありましたが、ドライバルクの運賃の
下落が、パーセンテージから見るとコンテナを上回るようなマイナスとなっているということで、マーケット全体が非
常に厳しい状況であったと考えております。

 

為替については6円弱の円高。燃料油は、前年同期に比べると230ドルも安くなって収益に与える影響はプラ
ス113億だったわけですが、マーケットの落ち込みが非常に厳しいということです。
後ほど通期の見通しもご報告いたしますが、通期ベースで見ると、営業赤字となるのは87年3月期以来27期
ぶり。経常赤字となるのも94年3月期以来の16期ぶり。こういうことになっております。
いずれにしても、四半期ベースで行きましても、過去最悪の数字を示しております。

 

A-2. 業績のポイント

色々言いましたが、前年同期に比べると、変動要因としてはやはり海上荷動きが実体経済に与える影響、昨年
の金融危機以降、目に見えて大きくなって来ている。現在のところで若干底打ち、明るい情報もありますが、押
しなべて、第1四半期については厳しかった、ということです。
コンテナ船の運賃の下落が、やはり私どもの想定以上に大きかった、それから不定期船・油槽船の市況も落ち
た、ということであります。市況の変動の要因が一番大きいわけですが、前年同期に比べると市況変動だけで6
00億を越える影響となっている、ということでございます。

 

A-3-1. 部門別業績動向 −コンテナ船−

当社の主力部門であるコンテナ船ですが、前年同期に比べると積高が15%減、今期公表していた想定よりも
若干下まわるような積高想定になっています。
やはり一番大きな要因は運賃が急落したということでありまして、特に欧州航路における需給の悪化は昨年か
ら申し述べて来ましたが、現状変わっておらず、ますます悪化の状況が見えている、底が見えないような状況で
ありまして、運賃は前年同期に比べると半分、50%になっている。
それからまた北米の運賃につきましてもサービス・コントラクトを順次締結してきたわけですが、契約更改の最終
段階になってやはり需給関係が悪いということで、相当厳しいところで契約を結ばざるを得なかったという様なこ
ともあり、期初に考えていた、想定していた運賃よりもやはり落ちましたし、前年同期に比べると3割弱レベルが
落ちている。それから私どもにとって、コンテナ船のポートフォリオを変えて行きたい、即ち今まで北米偏重プラス
東西航路偏重であったのを、やはり今後とも荷動きが伸びて行くであろう南北航路のサービスを拡充して行こう
と順次手を打ったわけですが、やはり、世界経済の悪化の状況がそういう南北航路にまで影響し、運賃は昨年
同期に比べ、これもやはり50%程度下落したという様な状況でありました。

 

A-3-2. 部門別業績動向 −ドライバルク−

ドライバルクについては、特に連休明け以降、マーケットが、我々想定した以上に回復したこともあって、これは
我々にとっては明るい、数少ない明るい要因でありました。
特にケープサイズ、大型船を中心に、我々想定していた以上にマーケットは回復しましたが、ご存知の様に前年
は、5月に史上最高の市況をつけた、という状況でしたから、前年同期に比べると残念ながら減収・減益という
形になっています。
後ほどご質問あるかと思いますが、色々なコンテナ、自動車、それからエネルギー関連の今後の見通しの中で
唯一ドライバルクだけが明るいかな、というところでありまして、何とかこういうトレンドが続いて欲しいと思っており
ます。

 

A-3-3. 部門別業績動向 −自動車船−

自動車船ですが、これは恐らく今の日本の経済が置かれた状況を象徴的に示しているのではないか、という風
に思っております。
即ち、去年の11月頃から輸出車両の在庫調整が始まり、恐らく一番 底のところでは4割ぐらいまで生産規模
が落ちたのではないかと思っていまして、4月5月には在庫調整が完了して、それ以降、徐々に伸びて行くだろう
なという見通しを持っていたわけですが、4ー6月期については底打ち確認ということで、これはほぼ想定通りだっ
たと考えています。
勿論、前年同期に比べると輸送台数が5割以上落ち、需給関係、と言いますか、船はあちこちで停まっていると、
こういう様な状況が続いております。勿論、係船、それから売船を含めて対策は取っているわけですが、やはり
収益的には極めて厳しいところになっており、残念ながら自動車部門において水面下の結果となっております。

 

A-3-4. 部門別業績動向 −エネルギー資源輸送−

エネルギー資源輸送のところですが、LNGについては1隻新造船が入ったということもあるのですが当社LNGの
フリー運航の部分が一部ありますので、この短期の傭船市況が、やはりエネルギー需要が減っているということ
もありまして、低迷。
加えて油槽船については、新造のVLCC1隻追加竣工という規模拡大の要因はありましたが、東京で行ってい
るクリーン船の市況が軟化したということ、それからまたシンガポールで運航しているアフラマックスの南方石油
のマーケットが落ちたということもあり、残念ながら全体としては減益という結果となっております。

 

A-3-5. 部門別業績動向 −その他事業部門−

その他の事業部門ですが、重量物事業については、世界経済が悪化する中で先に決めた契約等があり、いま
だ活況を呈しているということで、前年同期に比べると増収・増益を果たすことができました。

 

それから内航フェリー、国内のところは国内の景気がやはり悪化しているということもあり、押しなべて減収、或
は減益の要因となっております。

 

物流事業の方も、恐らく海上貨物以上に先に取扱量が若干、落ちたということあり、これも残念ながら減収・減
益となっており、トータルとして先ほど言いました非常に厳しい状況となりました

 

B-1. 上期・通期業績予想

上期及び通期の業績の見通しですが、本当は通期の業績は出したくなかった、というのが正直なところでござい
ます。これは別に隠すとかそういう意味ではなくて、なかなか我々が取引きする荷主さんの業界の需給の見通し
が、今の時点で通期を見通すのが非常に、極めて難しいところがありまして、ある大手企業の経営者は、色々な
わからない様な不確定要素が多い中で先の見通しを出すこと自体がおかしい、というような言い方をされていた
方もいらっしゃいますが、けれども、川崎汽船の立場で行くとなかなかそうは行かんだろう、ということもあり、今現
在見通し得る範囲内でつめた上で通期を見通しました。

 

前提となる為替は95円。第2四半期も下期も95円で見て、これで行くと通期が、第1四半期の為替レートがあ
るので、通期でこれは96円、になるのかな。
それから第2四半期、および下期について燃料油価格は400ドルの前提で先を見通しております。

 

で、上期のことはしばらくおきまして通期で見ますと、経常利益、マイナス420億の見通しであります。この中身
で行きますと上期でマイナス440。下期で何とか挽回してプラス20を目指して、通期でマイナス420億と、こうい
計画をたてております。

 

B-2. 事業別売上高経常利益予想

やはり一番焦点となるのは、私どもにとっては特にコンテナ船の収益の改善がどこまでできるか、これが一番大
きなところでありまして、第1四半期でコンテナで200億の赤字を計上して、上期でやはりこの状況は大きくは今
のところは変わらないだろうということで上期380億。下期は何とかコスト・セーブ、それから色々な手立てを打っ
て何とか200億のマイナスまで持って行きたいと。その他不定期、自動車、それからエネルギー等で、200を越
える収益をあげトータルとしてプラスに持って行きたいという風に計画しております。
やはりここのポイントはコンテナ船が、四半期毎に200億近く赤字を出していると。これを何とか改善をして行き
たい、これが一番大きな課題であります。
当初から、期首の予算をたてた時からやはり、この世界の景気の、どう言うんですか、悪化というのはなかなか
数年では元に戻らないであろう、と。需給関係が完全に緩んでいるので、従来我々がやっていた様に、いやいや
先行き運賃は上がって行くんだとか、積高は増えて行くんだとかいう前提で収支をとると、とんでもないことになる
な、ということで見通しとして運賃が上がるような前提で収支見込をたてるな、ということで色々やって来ました。
従ってそういう意味では非常に厳しい数字が出るわけですが、今のコンテナ船の需給、或は需給関係で行けば
なかなか運賃が上がるような需給関係にはなっていない。これが一つの要因。
ところが今年の1−3月期、皆様ご存知の様に世界の主要なコンテナ・オペレーターのロスは、積算すると2,50
0億円、円貨にして2,500億円を越えるロスを出している。で我々の第1四半期、4−6月で私どもが色々あた
っている主要なコンテナ・オペレーターも、全般的にはですよ、第1四半期よりも赤字の幅が広がっているというと
ころが多い。
で、それは恐らく、僕はよく分析してませんが、他の2社、邦船のコンテナの収益の状況もそういう傾向を示して
いるんじゃないかと思うんですが、ということは、今年の1−3月で世界のオペレーター2,500億を越えるロスを出
しているということは4−6月期で更にそれを上まわるようなロスが恐く出ているだろう、と。
色々な主要なオペレーターの一部で、いわゆる資本増強とか色々な問題が出ている。
即ち もうこのままの状況が続けば、需給関係だけから言えば運賃がとても上がりそうにない需給ギャップがある
けれど、とてもオペレーターがこのままやって行けるとは思えないような運賃レベルにある。こういう要因があるの
で、まず、期待とかなり可能性のある確率でもって運賃がそこそこ修復して行くんじゃないかと、こういう風に見て
います。とてもこのまま続けられるとは思わない。
ただ、ある一定のところまで、こう上がっても、需給関係が根本的に解消、いわばバランスがとれない間は、まあ
上がってもそこそこコンテナ・オペレーターが、色々、息をつきながら運航できるレベルまでは行くんではないかな、
と思っております。
そういう風な前提のもとに色々な見通しをたてたのが我々の数字でございまして、コンテナ下期にはなんとかマイ
ナス200億程度には持って行きたい。更にはその先について、更に改善ができるような色々な構造的な問題も
含めて、検討を進めて行きたいという風に考えております。

 

大体今のところで大分しゃべりましたので、あとは資料を見て頂きたいと思うんですが、次は飛びまして、B−5
「下期のポイントと見通し」というところに行っていただきたい。

 

B-5. 下期のポイントと見通し

ここに書いてある通りでございまして、コンテナは先ほど言いました様に、今コスト・セーブ、色々なことをやります
が、それだけではなかなか根本的な収益改善にならない。従って何としてでも運賃を、ある一定のレベルまで上
げて行くと。でないとコンテナ事業を続けられない、という固い決意で臨んで行きたいと。
後は無い、という風に考えております。
そういう意味で行くと我々としてはコンテナ専業社よりも色々な、良い悪いは別にして、色々な収益部門があるわ
けですから、何とかこの部分を更に伸ばして行きたい。言うなればドライバルクのところで、この市況の、かつてに
比べると低いわけですが、それでも今のところコストプラス、プラス、プラスぐらいのマーケットになっているから、何
とかこれで収益を最大化したい。

 

自動車については、これはメーカーさん頼みでありますが、メーカーさん頼みと言っても結局は欧米の需要が回
復しないとなかなか、輸送量の増に結びつかないということもあります。従って今後の各自動車メーカーさんの
色々な計画を見ながら我々も適宜それに対応して行くということだと思います。

 

エネルギーについては、これはちょっとマクロの話になりますが、やはり中国とかインドの、エネルギー需要という
のは今後ともあるわけですから、国内のエネルギー関係のところは頭打ちということもあって、厳しいところもあり
ますが、シンガポールで拡大している様な事業基盤をさらに強化するとか、色々なカスタマーベースを拡大するこ
とによって幅を広げて行きたい、という風に考えております。

 

それから先ほど言いました様にコストの削減、収益の改善でございますが、期首には450億のコストを削減する、
この内300億はコンテナで達成する、150億については他の部分で達成すると、こういう風に計画しておりまし
たが、やはり思った以上にコンテナ船の収益が悪化しているということもあり、さらに130億上積みして580億の
収益改善・コスト削減に取り組みたいという風に考えております。
昨日付でこの収益改善・コスト削減に取り組むべくフォローアップをするために委員会を設け、私自身がその委
員長になって、これを具体的に進めて行くということにしております。

 

すみません、肝心なことを申し述べるのを忘れました。
実は期首の公表の時には利益が上がるという前提で、配当を2円50銭、期末配当をするという風に発表してい
たわけですが、その前提は、何とかその配当性向、以前にお約束していた23%をやって行きたいということで、6
0億の当期利益が残る前提で、2円50銭期末配当、と申し述べたのですが、今回の見直しで、純利益が赤字と
いうことになって、配当性向の考え方から行くと今の数字では配当できない、と、しない、ということなんですが、
色々な意味で需要が我々もなかなか的確に掴めないところもあるので、もう少し、やはり我々も収益改善のため
に頑張るし、需要動向も今後変わることも期待できる、ということもありまして、配当しない、ということは言わない、
と。未定、ということで修正させて戴きましたので、説明しておきます。

以 上