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2008年度の川崎汽船の決算の概要について報告させて頂きます。
まずこのパワー・ポイントに沿って行きますが、A−1−1からですね。

 

A−1−1. 決算概要

2008年度の業績につきましては、まさに上期と下期で明暗分かれる、天国から地獄という様な感じでありました。
上期はもうご案内の通り、売上高、利益とも史上最高を記録しましたが、下期は一転して、ここにあります通り、営業利益段階でも赤字に転落、ということになっています。
通期で行きますと売上高は1兆2,443億、前年に比べますと7%の減であります。経常利益は辛うじて600億を達成しましたが、前期に比べると半減、マイナス52%の結果であります。

 

当期純利益のところではですね、3rd Quarterの決算時よりも、実は関係会社株式の評価損のところで、有税でたてていた部分が費用として認められたこともあって、公表300億で見ていたわけですが、その税金部分が作用して324億となり、3rd Quarter時よりも若干改善していますが、それでも前期に比べますと6割以上の減になっております。

 

為替は、下期95円台でしたが、通算で辛うじて100円台をキープすることになりました。燃料油につきましても、足元300ドルを切る程度まで下がっていますが、下期で行きますと約400ドル近くになっており、通期におきましても、上期の原油高の影響で500ドルを越える燃料油価格となっています。

 

ここにあります様に為替の変動は前期に比べ14円50銭の円高、収支に与える影響は133億円。
燃料油の変動は前期に比べて97ドル高で、これも200億を越える収支への影響となっています。

 

関係会社株式の評価損ですが、これは3rd Quarterの時にもご説明しました通り、FLEX LNGに出資しました株式が、株式価格の下落ということで、約170億を越える評価損を計上することになりました。

 

以上が前期の決算の概要であります。

 

A-1-2. 決算概要(事業別売上高・経常利益)

これを部門別に見ますと、まずここで言えることはですね、全般的にコンテナ船の収益が、下期に至って急速に悪化したということと、それから特に不定期(ドライバルク)のマーケットが、下期以降かなり大幅に下落したこと。この影響がもろに出ていると考えております。

 

コンテナ船につきましては、上期はご案内の通り59億のマイナスでしたが、下期については314億の赤を計上するの止む無きに至り、これは前期に比べ420億の減であります。
前期は会計の計上ルールを変えたこともあり、約118億だったと思いますが、これが減額されていますので、実質的に言うと540億近くの収益悪化ということになっております。

 

その他海運、これは自動車船、不定期(ドライバルク)、エネルギー関連等含めてですが、やはりこれも、後半の、不定期船のマーケットの下落、自動車船事業の収益悪化、ということがありまして、前期に比べて200億を越える悪化となりました。3rd Quarter時に公表しました数字も下回っているという結果です。

 

ということで、全体の収益から行きますと、経常損益段階で前期比659億の悪化。3rd Quarter決算時の公表数値に比べても70億の悪化となっております。

 

A-2. 業績のポイント

業績のポイントですが、前期に比べ、まず収入の部分で867億の減収、利益のところで659億の減益となっておりますが、やはり、2008年度上期はですね、先ほど申し述べました通り、売上高・利益とも史上最高を計上しましたが、下期に至って相当急速に悪化しまして、まさに需要が、並大抵の言葉では言えないくらい、ある新聞には需要が“蒸発”という様な表現がありましたが、まさにそれに近い様な需要の減でありました。

 

従って、ここに至っては、まさに全てのことが減益要因になって来る。即ち、荷動きの急減、それから傭船・運賃市況の悪化。それから為替も円高に振れましたし、バンカーの価格も、下期の後半は若干落ち着いて来たとは言え、やはり前期の平均と比べると約100ドル近い燃料油高になっている。

 

こういうこともありまして、相当厳しい決算となりました。

 

A-3-1. 部門別業績動向 −コンテナ船−

肝心のコンテナ船のところですが、元々2007年度の後半から、アメリカの経済減速の兆候がありました。
従って2008年度においては3、相当cautiousにアメリカ向けの荷動きを見ていまして、新しい配船形態を考えるということも抑えて、比較的荷動きの堅調さが見られた欧州航路に営業資産を振り向ける、というような計画でいたわけですが、サブプライム・ローンの問題の影響は恐くアメリカ国内以上に欧州域内で影響が出ており、やはり需要は急速に悪化、落ちたということで、従って運賃レベルも相当な勢いで落ちました。

 

このパワー・ポイントにあります通り、その結果として積高は前期に比べて3.6%減になり、運賃率は、欧州向けについては、往航で17%を越える運賃の下落となっております。北米については、辛うじて、若干、前々期を上回ったわけですが、押しなべて運賃の下落がありました。

 

A-3-2. 部門別業績動向 − ドライバルク−

ドライバルクについては、皆様もご存知の通り、5月にですね、運賃市況が史上最高値をつけ、それ以降はつるべ落としで落ちて行ったわけですが、上期は辛うじて何とか収益を確保した。下期に至ってはBDIが1,000を下回る様な数字が出て、長期契約、或はCOAで決めた契約についても一部でパフォーマンスが、契約履行の繰り延べとか、というようなことがあり、マーケットの下落が大きく影響したということです。稼動延べトンについては前期に比べ4%増、となりましたが、やはりマーケットの悪化は極めて大きな影響を持っております。
ちなみにですね、ここにあります様に2008年度、例えば、平均ですがケープのマーケットは上期の13万4000ドルから下期に至っては1万2000ドルまで下落する、パナマックスとハンディは下期に至ってはあまり船型差が無い、或はパナマックスの方が下回る様な状況になっております。

 

A-3-3. 部門別業績動向 − 自動車船−

自動車船については、日本のトップ・メーカーの色々なメディアへの発信の通りですが、在庫が急速にたまって行った結果、かなり在庫調整に腐心をされ、結果として我々が運ぶ完成車の量が急速に下落しました。

 

下期を通じては、在庫調整の影響があり、恐く、メーカーさんの仰っているのは大体4割程度の減という風に仰っていましたが、我々の現場感覚から見ると、もう少し出荷量が減ったのかな、という感覚でおります。

 

いつが底かということですが、希望的観測も含めて、今年度の1sr Quarter、即ち4月−6月の間に底を打って、出荷が徐々に上向いて来るだろうという期待を持っておりますが、やはり自動車メーカーさんの裾野は広くてですね、色々なところで影響が出て来たと。即ち、部品メーカーさん、部品も色々ありまして、鉄鋼メーカーも然り、やはり自動車の売上げ・販売台数の急速な減というのが相当広い範囲で、色々な産業を巻き込んで需要の減になったという風に考えております。

 

A-3-4. 部門別業績動向 −エネルギー資源輸送−

エネルギー輸送の分野では、前年に比べますとLNG船が14隻追加で竣工したこともありまして、前期に比べますと増収・増益となりました。

 

ついこの間までは、恐く我々のやっている色々な営業部門の内エネルギー資源輸送部門は、比較的、需要の減の影響は少いかな、と思っていたわけですが、最近の状況を見ますと、中々そうでもなくなった雰囲気があります。

 

前期に比べますと、この表にあります様にマーケットは通期で比較的良かったということですが、上期と下期とを比べると、下期の方にかなりマーケットの下落等もあり、今期、2009年度以降若干心配なところもあります。

 

A-3-5. 部門別業績動向 − その他事業部門−

その他の事業部門においては、重量物船についてはお陰様で、比較的長期の仕事をやっているものですから目先の経済の変動は即には効いて来ないところもあり、重量物船事業では増収・増益を果たし、内航フェリー部門でも、近海をはじめ、比較的安定した収益をあげることができた、と。物流事業においては、特に航空貨物の分野で海上貨物よりもう少し早いピッチで影響が出て来たこともあり、この事業分野では減収・減益となっています。

 

B-1. 通期業績予想

以上が前期、2008年度の決算の概要ですが、2009年度の見通しについて若干ご説明申し上げます。

 

こういう風に需要が落ちていることから、我々としてすべきところはやはり、需要と我々のサプライ、供給の方がある程度バランスするような状況に持って行かないと中々マーケットの回復は無い、という風に認識していますので、特にオーバー・サプライが懸念されるコンテナ船事業部門においては、今後先行きしばらくの間、オーバー・サプライの状況が解消されない、という認識の下にですね、相当思い切った対策を講じる予定でありまして、申し遅れましたが、こういう状況を受け、昨年の12月には緊急対策本部を立ち上げまして、その当時300億円を越える緊急対策案を講じる、と考えていたわけですが、結果としては、今年度、2009年度の収支計画の中には300を越え、トータルで450億程度の収益の改善策を織り込み済みであります。

 

この見込みは、まず前提から行きますと、為替の見方は1ドルあたり100円、燃料価格については300ドルの見方です。

 

上期については残念ながら営業・経常・当期利益段階で赤字予想であり、通期でなんとか経常利益110億を確保する計画であります。需要が大幅に減少していることもあり、売上高も1兆円を下回り、9,500億の見込みです。

 

配当ですが、前期につきましては、中間期に13円50銭の配当をさせて頂き、下期はなんとか11円50銭の予定でしたが、残念ながらああいう需要の急減、下期経常利益段階で赤字ということもあり、期末の配当は見送らせて頂く予定であります。
2009年度につきましても、このまま今の計画では、当期利益段階で約65億の予定で、以前に皆様に公約しております昨年配当性向22%、今年は23%と毎年1%づつ上げて行くという計画は変えておりませんで、今年度の計画について65億の当期利益があがると2円50銭の期末配当をさせて頂きたい、ということです。
中間配当につきましては、残念ながら上期の段階で赤字が予想されることから、中間配当は今のところ予定しておりません。
燃料油価格の300ドルはDubaiの原油価格が53ドルの前提であります。

 

B-2. 事業別売上高経常利益予想

部門別ですが、コンテナ船につきましては、昨年度コンテナ船事業の経常利益が373億のマイナスでしたが、今年度は、あらゆる対策を講じる、ということであり、なんとか前年比150億程度の改善を見込み、通期でマイナス220億程度までに何とかして持って行きたい。それから、その他の部門で、何とか収益をあげ、トータルとして経常利益110億をあげたい、という風に考えております。

 

B-3. 通期業績予想のポイント

前期に比べまして経常利段階で490億の減益の見込みですが、まさに市況変動で大半を占めていまして、何とか、バンカーの減額見込みとコスト減により、110億の経常利益を何としてでもあげたい、と考えております。

 

B-4-1. 通期部門別業績予想

コンテナ船事業については、また後ほどご質問があるかと思いますが、見方としては特に市況がどうなるかということですが、まず今の段階で行くと、北米航路においても市況の荷動きは前年に比べてマイナス7%。欧州については11%のマイナスの前提でコンテナ船の収支を今予定しております。

 

運賃率の下落につきましては、この表にある通りですが、需給関係が回復しない以上、なかなか運賃の修復というのは無いだろう、ある程度需給がバランスするまで、運賃の値上げというのは難しいだろう、という風に見ていまして、ここにあります様に、通期で北米につきましては運賃率17%の下落、欧州につきましては26%強の下落を見込んだ上で、航路再編、それから、係船・停船、これも含めて、あらゆるコスト改善策、収支改善策を講じた上で、通期で220億の赤字の前提となっております。

 

B-4-2. 通期部門別業績 予想

ドライバルクにつきましては、
ケープについて通期で3万ドル、
パナマックスについては1万3750ドル、
ハンディについては7500ドル、

 

と見ておりまして、直近の市場から行くと、
ケープは2万ドル強
パナマックス1万3000ドル前後、
ハンディも1万ドル前後となっておりますので、

 

通期で見ると何とかまあまあそこそこの見方だろうと考えております。

 

バルクの市場を見るのに、やはり中国の経済の状況というのが相当大きな要素を占めており、今、我々が掴んでいる範囲内では国内経済の、injection、4兆元を越えるような景気対策をやっているということで内需の拡大につきましては、相当手応えがあるのではないかと、それに基づいて一番大きな荷動きを持っている鉄鉱石・石炭等についても比較的今後期待ができるのではないかという観点からこういう市況の見方をしました。

 

自動車は、前期に比べて減収・減益の見込みですが、やはり在庫調整のところが、恐く、この決算期で行きますと第1Quarter、4−6月の間に何とか在庫調整を終えて徐々に出荷が回復して来るのではないかという見方をしておりまして、かなり下期期待という面はありますが、何とか、もう暫らくたつと手応えが見えて来るのではないかという風に考えており、コンテナ船と同じく、需給がある程度バランスするまでは、停船・係船を含めて、あらゆるコスト削減策を取って行くということであります。

 

B-4-3. 通期部門別業績 予想

エネルギー資源輸送については、ついこの間まではこの分野が、比較的、マーケットの変動の影響が少なくて、他の事業分野に比べると回復も早いのではないか、という様な見方があったわけですが、やはり世界の経済動向が早く立ち直りを見せないと、この分野にも影響が出て来るかもわからない、出て来る可能性があるということで、足元は、相当悪い指標を示しておりますが、何とかこれは、中国等の経済動向が活況を帯びてくれば、何とかマーケットが回復するということも期待できるのではないかという風に思っています。

 

重量物船事業につきましては昨年度は相当良い業績が残せましたが、やはり徐々に、世界の経済の、その下落の影響が出てくることもあり、今年度は減収・減益の見込みとしております。

 

B-5. 経営指標の推移

経営指標ですが、やはり今、昨年の後半以降ですね、我々が一番留意しなければならないことは、急速に需要が悪化している中でやはり財務的な体力と言いますか、これについて従来以上に留意して行くと。
昨年4月に新しい経営計画、“K” LineVision 100というのをたて、積極的に需要の増に対応して行くという計画でしたが、需要が急速に減り、その中でやはり計画の数値自身は、どこかの時点で見直すつもりであります。

 

ただ、経営計画に掲げた定性的な考え方は変えない。但し、経済環境が急変したので、どこかの時点で、中期的な数値の見直しをしなければならないと思っていますが、今のところなかなか先行きが、需要が読めない状況もありまして、2010年、11年度の数字を固めるにはまだしばらく時間がかかるという風に考えております。
中期的には、我々が、公表致しました通り4つの観点から財務規律を守って行きたいと考えています。
即ち、
ROAが8%、
自己資本比率が40%、
デットイクィティレシオは95%、
有利子負債/営業キャッシュフロー比率が4.5倍
中期的にこの数値を守って行きたいと考えていますが、やはり、昨年度、それから今期、相当厳しい状況が予想されるので、この数値については中期的にこれを達成して行きたいと考えております。

 

昨年度、有利子負債が急速に膨らみまして、4396億円まで行っております。これは年央から期末にかけて、やはり相当厳しい状況が予想されるということもあり、積極的に、前倒しで資金を調達して行った、ということも入っております。

 

B-6-1. 経済危機緊急対策 − 収益改善・コスト削減の取り組み −

昨年12月につくりました緊急経済対策本部ですが、これについて、あらゆる観点から収益の改善・コスト削減の取り組みを行っておりまして、この表にあります通り、コンテナ船事業部門においては約300億の収支改善の計画を織り込み、不定期専用船ほか、その他の分野においても150億、トータル450億の収支改善を織り込んだ上での今年度の計画になっています。

 

B-6-2 経済危機緊急対策 − 船隊整備計画見直し −

当初の船隊整備ですが、当初の計画では、2011年度末には640隻という見こみでおりましたが、相当程度、今回の需要減を見込んで、前倒し返船、それからスクラップ売船等を織り込みましたので、特にコンテナ船部門、及び自動車船部門で相当船隊を絞りこむ、という計画を今考えております。

 

以上でございます。

以 上