2008年3月期の決算についてご説明させていただきます。
A-1. 決算概要
それでは、まず全般的なことですが、売上、営業、経常利益、当期利益ともですね過去最高を記録いたしました。
具体的には売上高は1兆3,310億、前年に比べて23%増。それから経常利益については、1,259億、前年に比べてほぼ倍増ということになっております。ただ経常利益につきましては、第3四半期の決算の時に発表しました通期の公表値1,280億を若干下回ることになっております。当期純利益については830億、これも60%強増、前年に比べて増になっております。
為替は特に第4四半期に入って急速な円高が進みました。期中平均しますと115円台、前年に比べても感覚的には随分円高が進んだな、と思うのですけれども、期中平均では1円62銭の円高におさまっています。
燃料油価格についても期中平均407ドル、感覚的には現状ではもう500ドル越えていますのでもっと上がっているかな、と思いましたが、期中平均にしますとこの程度の値上がりで済んでいるということでございます。
配当につきましては当初25円ということで発表しておりましたが、配当性向20%を勘案し、1円増配で年間26円の配当を行なう予定であります。
A-2. 業績のポイント
前年に比べ増収・増益となりましたが、まず第一にあげることはバルク市況が高原状態を保ったということ。
新造船が27隻竣工し、営業規模が拡大できた。それから増益要因としては懸案であったコンテナの欧州向けの運賃がお陰さまで修復できたということ、それからこれも含めてバルク市況が高騰したと、こういうことであります。
ただ、一言申し上げると、見込みに比べて経常利益が若干未達であったのですが、これについてはやはり、第4四半期の急速な円高、これによる所謂期末評価損の増加、及び第4四半期における為替差損が、この表にある対見込み比その他のところで43億というマイナスがありますが、そのうち為替の影響が38億くらいあります。これがしめてみると公表比減益の一番大きな要因になった、ということであります。
A-3-1 部門別業績動向 - コンテナ船 -
部門別に簡単にご説明申し上げます。
後ほどそれぞれの部門に対するご質問があるかと思いますので、それはそちらの方に委ねますが、コンテナ船については、前年に比べて増収増益ということで売上約6,000億まで行っています。損益につきましては、前期に比べて125億円の増益ということで黒字転換を果たしております。
但し、この中にはですね、会計基準の変更ということで複合輸送進行基準を導入しまして、当初中間期の段階では140億程度と思ったのですが、期末でしめてみるとこの影響が118億あります。
従って数字上は125億円の増益ですが、実質的には118億足すと240億強の改善がなされたと、こういう風に考えております。
増収・増益の要因はここにある通り、お陰さまで営業規模が拡大できた、堅調な荷動きが我々も享受できたということと、やはり懸案であった運賃の修復がかなりの航路で実現できた、ということであります。但し、特にコンテナ船は高速で運航する航路が多いわけで、特にバンカーの値上りが相当効いて来ています。オイルの値上りが勿論バンカーのコストに響いてくる、北米の鉄道や或いはトラック代のコストに響いてくるということで、結構コストの増も出ております。
A-3-2 部門別業績動向 - ドライバルク-
ドライバルクについてお陰さまで前期、当社として史上最高の益を更新できました。その大きな要因でありまして、全般的に増収・増益を果たすことができました。
要因としては新造船が、2007年度には10隻竣工し営業規模が拡大できたということ、それから,大型船から小型船にいたるまでマーケットの高騰局面が続いたということであります。この表にもあります様に、平均のマーケットレートは、前年に比べるとほぼ倍のマーケットレベルであったと、こういうことであります。
ちなみに新造船10隻のうち、ケープが2隻、パナマックスが4隻、ハンディマックスが2隻、スモールが1隻で幅広のコロナタイプの船が1隻、計10隻運航しております。
A-3-3 部門別業績動向 - 自動車船-
自動車船部門についても、好調な出荷を背景に増収・増益を果たせました。新造船5隻が期中に竣工すると同時に前年度の2006年に竣工した8隻がフル稼動をしております。直近の数字を見ましても北米向けに若干荷動きの翳りは出ておりますが、その他の地域、特に中南米・カリブ、中東、中近東・アフリカ及び三国間も非常に好調であり、ここしばらくはこういう状況が続くのではないかと思います。
それから私どもは欧州域内でバルト海中心に域内の自動車輸送も手がけておりますが、これもお陰さまでロシアの影響を受けて非常に拡大しております。積み台数も9%弱のびて338万台に行っております。
A-3-4 部門別業績動向 - エネルギ- 資源輸送-
エネルギー資源輸送でありますが、この分野は営業規模はお陰さまで拡大しましたが、残念ながら利益ベースでは減益であります。
減益の要因としてはシンガポールで手がけているアフラマックスの輸送の市況が軟化したということと、クリーン船の市況もはかばかしくなかったということであります。ただ世界的に見て、エネルギーの需給関係は特に中国・インドの高経済成長を背景に、今後とも底堅いものが予想されますので、あまり心配しなくても良いと思っております。
A-3-5 部門別業績動向 - その他事業部門 -
その他の事業部門ですが、昨年の4月にドイツのSAL社に資本参加し重量物船事業に参入しましたが、非常に荷況は活況であります。特に中東向けのプラント輸送であるとか、それから資源開発ということで、オフショアビジネスに近い様なところも荷動きが増えてきている様で、我々としては非常にタイミング良くこの分野に参入できたかな、と考えております。前期からこのSAL社を連結の中に入れまして、この影響は4月からですから、4分の3、約8ヶ月の決算になりますが、売上で約150億近く、経常利益で20億強の貢献をしております。
それから内航フェリー、物流事業とも需要は非常に底堅く推移しておりまして、営業規模も拡大できたということで双方とも増収増益を果たしております。
以上が、2008年3月期の決算の概要であります。2008年度の予想見込みに入る前に、新しく策定しました中期経営計画についてご説明して、その中で2008年度の見込みについてご説明したいと考えております。
“K” LINE Vision 100
“K” Line Vision 2008+という経営計画、ついこの間までやっておりまして、それをベースに我々は事業運営してきたわけですが、今から述べます様な背景がありまして、その経営計画の見直しをしよう、と、こうして新しく策定された経営計画のネーミングは “K” LINE Vision 100、ワン・ハンドレッド。2019年に迎える私どもの100周年を視野に入れて経営計画を策定しました。
<スライド4>
“K” LINE Vision 2008+見直しの背景
業績推移と総括
具体的に中身を簡単に説明します。
先ほど言いました “K” Line Vision 2008+見直しの背景としましては、2006年、07年、08年の3年をカバーしたわけですが、策定した当初からやはり世の中の流れが随分変わりまして、その時想定していた前提条件、或いは経済状況がガラっと変わって来たということで見直しの必要を迫られました。
特にバルク市況が全く想定していた以上に拡大し、市場が拡大すると同時に海運市況も高騰したということで、この表にあります様に、2008+のとりあえずの最終年度、2008年度の計画、右の方に書いてありますが、その数字を概ね、或いはほぼ、1年前倒しで達成できました。
売上高についても1兆3,000億を越える、それから経常利益、当期利益、その他の項目についても、概ね達成しております。ただ自己資本比率、或いは自己資本、それからDebt Eaquity Ratioについては2007年度の数字は概ね達成しましたが、2008年度の数字には至らなかったということであります。
2008+の、どう言いますか、目標としては、2010年代半ばに売上高1兆5,000億、経常利益1,500億、それから運航規模を700隻にする、とこういう大きな目標を持っていたわけですが、ほぼそれを視野に入れるようなところまで2007年度の実績が積みあがってきたということであり、前々から皆様に報告していた通り、2008年度を含めて、それ以降の見直しをやりたい、ということであります。
<スライド5>
“K” LINE Vision 2008+見直しの背景
−事業環境の劇的な変化−ポジティブ要因
先ほど言いました様に、ドライバルクが非常にこう、市況が高騰した、それからその背景には海上荷動き量が増えている。勿論バルクだけではなくて、コンテナにおいても然り、自動車においても然り、非常に市場が拡大した、ということであります。
<スライド6>
“K” LINE Vision 2008+見直しの背景
−事業環境の劇的な変化−ネガティブ要因
一方でnegativeな要因もあります。
先ほども言いましたように燃料油価格が大幅に高騰している。
当初の計画ではトンあたり300ドルの計画が、実際には2007年度には400ドルを越える様なレベルに上がっています。それから、随分長い間デフレの状況の中で、物の値段が上がるという様な状況はしばらく我々経験していませんでしたが、随分世の中が変わってきまして、まず一番最初に直面したのが潤滑油の値上がり、それから修繕費の値上がり。それから大幅に増えてくる船舶に対応するために、船員のコスト、船員費の値上がり。
というようなことで船舶経費の高騰が続いており、当初見込んでいた流れとは全く変わって来たということであります。
この右側のグラフにもあります様に、個船あたりの船舶経費は2004年などと比べると25%程度値上がりしている、という状況になりました。
<スライド7>
100周年ビジョン“K” LINE Vision 100
1919年 − 2019年
会社創立100周年(2019年)に向けて
そういう状況の中で経営計画を見直しまして、先ほど言いました様に100周年を迎える2019年を見据えて
“K” LINE Vision 100という計画を策定しました。
<スライド8>
“K” LINE Vision 100のテーマ
新しい計画のテーマは「共利共生」、ちょっと言葉として堅いですが、「共利共生」と「持続的成長」を掲げております。
我々としてはやはり海運というのは、今後とも年率3%から5%くらいの荷動き量が増えてくるだろうと見ています。需要はそこにあり、世界の国々が平和で経済成長を続けていく限り、私どもの仕事の対象とする海上荷動き量は今後とも引き続き伸びて行くと。
従ってそういうマーケットの中で私どもも持続的な成長を遂げたい、ということであります。これは前回の経営計画のテーマと同じです。ただ我々としては一つ海運だけがそういうマーケットを享受することではなく、最近脚光を浴びている、例えば環境問題への配慮とか、それから、これは古くから言い慣されていたことですけれども、関係者、ステーク・ホルダーとも関係を密にすることによって、それぞれのステーク・ホルダーと利益を分かち合うような関係で「共利・共生」を図りたい、そういう意味合いから「共利共生」と「持続的成長」というテーマを掲げました。
参考までに、今回の経営計画を策定するに当たっては、単に我々がよく言う企画部とか、経営企画とか、そういう社内の特定の分野の中だけで数字をまとめあげるとかということではなくて、今回は “K” Line本社の役職員にとどまらず関係グループの皆さんに色々な意見を聞きました。勿論それは国内だけに止まらず、海外で “K” Lineグループで働く従業員の皆さんから色々な意見を吸い上げました。そういう中から、今回のこの様なテーマをつくった次第であります。
<スライド9>
“K” LINE Vision 100
「共利共生と持続的成長」に向けた取り組み
5つの大きなテーマ課題を掲げております。
・環境保護への取組み
・確固たる安全運航管理体制
・最適・最強組織によるボーダレス経営
・戦略投資と経営資源の適正配分
・企業価値の向上とリスク管理の徹底
と、それほど目新しい視点ではありませんが、やはり基本的に川崎汽船グループとしてこういう課題に取り組んで行きたい、ということであります。
<スライド10>
“K” LINE Vision 100 「共利共生と持続的成長」に向けた取り組み
【環境保護への取組み】
まず、環境保護への取組みを一番最初の課題に掲げましたが、これは課題の重要性から順番に並べた、というわけではありません。ありませんが、やはり今後我々がこの世界で仕事をし、暮らして行く限り、やはり環境問題への取り組みが、中でも重要なことであろうという風に考えておりまして、あらゆる方策を通じて環境保護に取り組んで行きたい。
具体的な目標としては、CO2、それからSOX、NOXの輸送トンマイルあたりの排出量を2006年度に比べて10%削減したい、という2010年代半ばの目標を掲げております。それを具体的に実行するために7月から現在ある環境チームを環境推進室という組織に大きくしまして、具体的なアクションプランを作成し、その実行に取り組んで行く所存です。2006年に比べて10%削減するというのは決して易しい取り組みではありません。具体的にアクションプランを今後掲げて取り組んで行きますが、相当力を入れて取り組んで行かなければならない問題だと考えております。
<スライド11>
“K” LINE Vision 100 「共利共生と持続的成長」に向けた取り組み
【確固たる安全運航管理体制】
川崎汽船が世界で業務を行い、お客様から信頼を得るためには、これも過去から何回も言っていることですが、安全運航体制、安全運航というのが一番の大きな課題であり、その安全運航管理体制を確立するために取組んで参ります。色々な指標といいますか、ベンチマークがあるわけですが、川崎汽船としては、川崎汽船独自でケイライン・クォリティ、或いはケイラインセイフティスタンダードというのを作り、それに基づいて着々と進めて参る所存です。
<スライド12>
“K” LINE Vision 100 「共利共生と持続的成長」に向けた取り組み
【最適・最強組織によるボーダレス経営】
それから組織の問題ですが、今や海運、特に外航海運、川崎汽船の対象とする仕事は世界の多くのお客様とお付き合いをさせていただいています。こういう中で、やはり世界で通用する組織、或いは人材登用も含め通用する組織を作って行かなければいけないだろうと。こういう考えの下に、さらに効率の良い、そして日本だけじゃなくて世界のお客様から信頼されるような組織に作り上げて行きたい、という風に考えております。
<スライド13>
“K” LINE Vision 100 「共利共生と持続的成長」に向けた取り組み
【戦略投資と経営資源の適正配分】
経営資源の適正配分ということですが、2008年度から2011年度、4年間について具体的な数字の目標を掲げました。4年間で約180隻、1兆1,800億円の船舶投資を行なう予定であります。2007年度末には運航船腹は499隻であり、この4年間で180隻新造船を投入します。2011年度末には640隻の運航体制に持って行きたいと考えております。
この前の計画では、2010年代半ばに700隻体制というのが2008+の目標でありましたが、このペースで行くと、2010年代半ばには運航船腹は750隻体制位になるだろうと考えております。このVision100の最終年度である2019年度末には900隻体制に持って行けるだろうという風に考えております。
勿論、既存の事業に今後とも引き続き、積極投資を続けると同時に新規事業の育成も、今後ともやって行きたいと考えております。先ほど説明しました重量物船についても新造船が出てくる、それから新たにオフショアの事業も参入を決めました。これが2010年以降に実を結んでくると考えております。
このパワーポイントの最後のところに社内財務規律に基づいた投資の推進と書いてありますが、私どもも行け行けどんどんでむやみやたらと船を造れば良い、ということは考えておりませんで、財務規律としまして最終的には自己資本比率が40%以上、ROA 8%以上、Debt Equity Ratioが95%以下、有利子負債/営業キャッシュ・フロー比率が4・5倍以下、とこういう規律を掲げて、自ら律して行こうという風に考えております。この財務規律は、私どもが格付けでA格以上がとれる、或いは取る、という前提でこういう1規律を設けております。
<スライド14>
“K” LINE Vision 100 「共利共生と持続的成長」に向けた取り組み
【企業価値の向上とリスク管理の徹底】
それから、5つめは企業価値の向上とリスク管理の徹底ということですが、まず企業価値の向上としては、先ほど説明しました様に設備投資を着実にやって行くと同時に株主の皆様にも利益還元をしたいと、いうことで、配当につきましては、前の計画で2010年代半ばには配当性向30%を目指してやって行きたい、という風に申し述べました。それに近づくために、今回のこの計画の中の、当面の最終年度である2011年度の配当としては25%まで持って行きたい、という風に考えております。
勿論ここに書かれている様に様々なリスクがありますが、社内の財務規律と同じように社内で色々な組織的なチェック&バランスを取りながらこれらのリスクに取り組んで行きたい、という風に考えております。
<スライド15>
“K” LINE Vision 100 −事業戦略−
それから具体的に事業戦略でありますが、私の方からは大きな流れを押さえることにしまして、個別の事業分野についてはまた後ほどご質問を頂ければと思っております。
<スライド16>
“K” LINE Vision 100
−中・長期(2010年代)の経営環境の見方−
これは先ほども述べましたが、中長期的にみてもマクロの世界経済としては今後とも新たな経済振興国が出て来て、大きくなって行くだろうと見ています。従って世界の経済は今度とも、多少のデコボコはあるにしても拡大して行くだろうと。それに従い、我々が対象とする海上荷動き量は増えていくものと考えております。
<スライド17>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略− コンテナ船事業
その中でも当社のコア事業の一つであるコンテナ船についても、やはり今後とも伸びて行くだろうと。
ただ目先のことを見ますと、アメリカ経済がスローダウンしていることに合わせ、特に今年についてはアメリカ向けの荷動き量は相当ペースが落ちるだろうと見ておりますが、中長期的には、これも回復して巡航速度になってくるだろうとこう見ておりまして、我々としては従来からやって来ている、トランクラインである東西航路のみならず、今後とも新興経済国が発展して来ることを前提に、所謂南北航路に力を入れ、南北航路の比率を高めて行きたいと、こういう風に考えております。
<スライド18>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略− ドライバルク輸送事業
ドライバルク輸送事業ですが、世界の3大バルクが、やはりまず世界の人口が増える、或いは色々な鉄鋼業、電力需要が新興経済国で増えてくる、それに伴い原材料、或いは燃料炭の輸送、それから人口が増えて来ることによって穀物の輸送、これの需要が増えてくるだろうと見ています。資源が偏在していることから、今までの既存のトレードから我々で言うトンマイルが長くなる様な航路の輸送の需要が増えて来るだろうと考えておりまして、今後とも成長をして行く、と。特に新興経済国がこれからも発展するということで、川崎汽船としての取組み方も、従来以上に海外拠点を強化し、海外でのお客様との信頼関係の基に事業を伸ばして行くことになろうと思っております。
<スライド19-21>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略− ドライバルク輸送事業(鉄鋼原料部門、一般不定期船部門、電力炭・製紙原料部門)
ドライバルク事業部門の中でも鉄鋼原料部門、一般不定期船部門、電力炭・製紙原料部門、とこうありますが、個別の事業については、ここに書いてある通りですので、また別途ご質問頂ければお答えできるものと思っています。
<スライド22>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略− 自動車船事業
自動車船事業につきましては、やはり今後とも経済が発展し、皆さんの生活レベルが上がり、やはり自動車の需要というのもこれから増えて来るだろうと。今現在世界の自動車の販売市場は7,000万台程度と言われておりますが、これが2010年代の半ばには9,000万台程度まで伸びて来るだろうと。勿論それにより我々が対象とする完成車の輸送も色々なトレードが生まれ、増えて来るだろうと、こういう風に考えております。
<スライド23>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略− エネルギー資源輸送事業
それからエネルギー資源事業でございますが、これも冒頭に述べました様に、エネルギー需要というのは非常に底堅いということ。もちろん環境問題等、実際の地域によっては例えばガソリンの需要が減ったりというのがあるかも分かりませんが、やっぱり世界のエネルギー資源が限られていることを考えれば、需要に合わせて、事業としては比較的安定した事業が営まれると思います。
これから世界の需要を満たすためにやはり新しい油田の開発や新しいガス田の開発ということで、そういう資源の開発がこれからも強化されるだろうと。我々としては既存のただ単なる、最終、と言いますか、原油の輸送等に止まらず、できるだけ上流部分で輸送に関係がある事業に我々としては入って行きたいと、こういう風に考えております。
それの対象となるのがオフショアであるとか、それから従来より続けておりました、まだ実現はしておりませんがCNGであるとか、それから産出国が工業化を図って単に一次産品を輸出するのではなく製品にして輸出するということから、製品船、ケミカル船等の需要がこれからも増えて来るだろう、と。
それらに対応するための組織強化を図るために、エネルギー資源輸送事業の中に開発グループを設けまして、既存のビジネスだけではなく新しい、そういう事業モデルを追求するために専門のグループを設けることにしました。
<スライド24・25>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略− エネルギー資源輸送事業(LNG船部門、油槽船部門)
その中でLNG、それから油槽船、タンカー部門については、ここに書いてある通りでございます。
<スライド26>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略− エネルギー資源輸送事業(オフショア船部門)
オフショア部門についても、エネルギー資源輸送事業の中にオフショア船部門を入れ、先ほどの開発部門で担当して行くことにしました。
<スライド27>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略− 重量物船事業
それから先ほど言いました重量物船の事業でございますが、着々と新しい高能力の船を既に発注しており、今後とも需要に対応して行けるものと考えております。
<スライド28>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略−物流事業
物流事業については、前々から言っておりますが、ケイライン・ロジスティックスの事業が強化されケイライン・ロジスティックスがケイライングループの物流事業の中核会社となる様に、今後ともこの分野についてはグループとして積極的に支援をして行くつもりであります。
<スライド29>
“K” LINE Vision 100 −中期事業戦略−新規開発事業
新しい事業の、今まだ具体化していないものもありますし、具体化に向けて乗り出したものもあります。先ほども言いました様なCNG輸送船というのは、一部で非常に有力なパートナーが見つかりつつある様にも聞いていますし、今後、市場の動向それからガス田の状況によってはこれが際めて短期間の間に具体化するような期待もあります。
それからエネルギー関連の上流、或いは先ほども言いましたケミカルの下流部分のビジネスも強化して参ります。
環境関連事業、環境問題をやることによって我々も独自に研究開発し、或いははこれが事業のシーズとなる可能性もあるだろうと。船舶の修繕事業も今新造船がどんどん出来てくるわけですが、なかなか修繕ドックの数が足らなくて苦労していると。こういう中で海外ということになりますが、当社が資本出資をしてそういう事業に参画することも色々検討中であります。
<スライド30>
“K” LINE Vision 100 −数値目標−
<業績・財務数値目標>
こういう様な事業環境と、我々の施策―戦略、という風に考えていますがーこれをベースに2011年度までの数値を計算しまして、2011年度には売上高が1兆7,500億、経常利益が1,600億の数値計画を作りました。この前提は、為替が100円、それからバンカーが520ドル。520ドルというのはDUBAIの原油マーケットが100ドルの前提です。この前提の下に、2008年度については1兆3,400億円の売上高、経常利益が1,210億、当期純利益780億、という計画を作りました。
これは2007年度の数字に比べると売上高は微増、経常利益・当期純利益は微減ですが、2009年度、10年度、11年度を見通して09年度以降は、増収・増益に転じるような見込みがついたので、2008年度の経常利益・当期純利益の微減については私としてはあまり心配はしておりません。
実は来年2009年の4月には、創立90周年を迎えます。中には記念配当という考え方もあるかと思うのですが、私どもとしては記念配当的な考えも含めて2008年度の配当性向については、従来の20%から22%に上げ具体的には27円の配当をしようと今考えております。
<スライド31>
“K” LINE Vision 100 −数値目標−
<計画の前提>
計画の前提条件ですが、為替とバンカーについては先ほど申し述べました様に100円と520ドルであります。
まず収益の一番大きな数字的な柱になっているのは、ご存知の様にドライバルクの事業分野であり、そのドライバルクはマーケット前提をこういう風に見ております。
例えばケープでは今年度は10万ドル、以降、徐々に下がってくる、8万ドル、6万ドル、5万ドルという見方をしております。パナマックス、ハンディマックスについてもこの通りですが、このマーケット前提は私どもが2011年度にはマーケットが下がると考えているわけではなくて、今現在先物の取引があります。その他にも例えば3年とか5年の契約が現実問題として出ていると。そういう、現状のマーケットがこの様な見方をしているということでありまして、当社が下がるという風に思っているわけではありません。
この前提の下に、先ほど言いました様な数値計画が出てきておりまして、世間でよく2010年問題と言われておりますが、このマーケットが既に2010年問題を織り込こんでいるとすれば、それでも2011年度にかけて営業規模の拡大、或いは安定収益の確保、即ち長期契約を増やして行く、という様なことで、右肩上がりの絵が描けたものと考えております。
以上が新しい経営計画の説明であります。
以 上